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1
2024/06/07 22:41:03 (yYbiglp6)
イメージは中世欧州です。

城下街の裏道にあるギャングやアサシンなどが集う酒場。
経営してるのは見た目はか細い老爺、この場を知らぬ初めて訪れる者は誰しもその老爺を胸倉を掴み脅しをかけるが老爺がジロリと目を動かすだけで圧倒され逃げ出してしまう。
それを見て大笑いする客たち、薄汚れた白いカーテンに隠されたような扉の向こうによく当たると言われている占い師がいる。
占い師は真深く被ったベール越しでも美しさわ判り、濃紫シースルーの着衣からもスタイルの良さから男共は恋人、妻、愛人は断られそれでと無理やり悪さをしようとする者は悉く街からも見なくなってしまう。

「フフッ、頃合いかしら?」
部屋で水晶に向かい手をかざしある人物に夢を見せていく。


〔止めろ!!私に触れるな、無礼者!!〕
夢の中である人物は何者かに拘束され陰部をいいように弄られている。
〔ウッッ…、止めろと言ってるではないか!!グウッ……、あぁぁあ、止めろ!挿れさせるな!グッアアッ……。
アァァアーー……、止めろ!イクッ、イキます!!ハァハァハァ……〕
体を痙攣させていると目を覚ます。
〔なんて夢だ!この私が……。〕

息を切らせ額からは汗が滴り、陰部は勃起し陰のうにも触れられた感覚がある、そして何より白濁した液体が腹を汚している。
〔まさか……夢精か……?否、そんなはずはない、風呂でメイドに出してもらってから休んだんだぞ。〕

「あの人はいい夢が見られたかしら?あとは頼んだわよ、愛しの相棒さん……。
私たちはあの方を復活させないといけないのよ。
復活したあの方も私たちの意のままによ?」

お相手は決まってます。
読んでくれたら嬉しいなぁ。
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62
投稿者:リルベル ◆NCfYZhhGkk
2025/04/04 14:08:02    (n6RQBgcA)
−−−見た目荒屋【隠匿魔法で屋敷】−−−

「お帰りなさい、首を長くして待っていたわ…。」
弟妹の前だと言うのにヨハンセンへと寂しかったとばかりにハグをする。

「仲良くと言うか魔国の仕来りの話をしていただけよ、それにリルベル様がもし魔龍族と何らかの関わりがあるのであれば…。」
「タリスは姉上が魔族になった今も尚、聖魔法が使えると言う事は魔龍族でも地位の高い…、リュウトベック殿と血縁関係にあるのではと考えているんだろ?」
「な、な、何をそんな打算的な……、お兄様、ごめんなさい、有ります、打算有ります。
リルベルお義姉様がもしリュウトと血縁関係で今日の態度を知られてしまったら嫌われてしまうと…。」

ヨハンセンはジギタリス、サマエルに構わずリルベルを傍に寄せたまま明朝には姿が元の姿に戻ると二人へ話す。
「ジギタリス様、リュウトベック様は…。」
「リルベルお義姉様、その前に私をタリス、お義姉様を名前無しのお義姉様とお呼びさせて下さい。」
「えぇ、タリスと呼びしましょう、安心してね、番、何が有っても嫌いになれないのよ。
魂の繋がりなの、魔族を獣人族と同じにしたら叱られてしまうでしょうが獣人族にも番と言うものがあるの。
無いのは人間だけなのよ、だから平気で裏切れるのかしら……。」

ジギタリスとサマエルにもテレパシーの声は聞こえた。
「お兄様、ハイルってインキュバスのハイルなのですか?」
「兄上にお考えがあるのでしょうが…、私はまだインキュバスやサキュバスの性の奔放さを理解出来かねます。」
「エル、種族で違いがあります、理解しろとは言いませんが受け入れる事はしなければなりません。
タリスもです、二人は魔国の王族なのですから魔国の人々を大事にしなければなりません。
……明日には姿は戻るでしょう、スープだけでなく他の食事も頂けば体力は回復すると思います。
魔力は私が作る回復水を少しずつ飲みながら勇者と現人間国王の愚かな行為、被害少なく止めるべく共に戦いましょう。」


−−−フアナ王女(リリス)−−−

〈そこの貴女、朝食頂いたけどまたお腹が空いてきたわ、軽食頂けるかしら?〉
〈はい、フアナ王女様、ガレットとホットミルクは如何でしょう?〉
〈いいわね、料理長に頼んで来て頂戴、それから食べ終わったら城下に買い物にでも行こうと思っているの。〉
〈恐れながら王女様、明日は舞踏会です、メルビル様がいらっしゃらないですが…
エスコート役には騎士団長の次男様をと……。〉
〈嫌よ、だってあの方、弱そうなんだもの。〉
〈騎士団に入隊しておりますから弱いとは……。〉
〈いやぁね、夜の方が弱そうと言う事よ。〉
〈王女様……。(逆ハーレムのお噂は本当な様ね、離宮にいらっしゃらる男性方は王女様の……。)〉
〈エスコート役は侍従見習いの銀髪碧眼のあの人にするわ。
ドレス決めないとだわね、ピンクと白いビーズの買ったばかりのドレス有ったわよね?〉
〈ご用意いたします、装飾品は私共にお任せ頂けませんでしょうか?〉
〈いいわよ、但し誰よりも美しくして頂戴ね?〉
〈畏まりました。(王女様より美しい物を持つ者なんて居ないわよ、楽勝よ。)〉

王宮の騎士、警備兵、見習い侍従などだけではなく城下の庶民、既婚未婚、婚約者有無、未成年、未成年だけではなく男娼まで
好みの男を離宮に連れ込み逆ハーレム状態になっている。
城内城下でフアナの破廉恥な行動が真実として人の口々にのぼる頃には舞踏会当日となった。

舞踏会前、会場に入る時、貴族は馬車を降り会場外に居る民衆にアピールするため着飾り、羨望の眼差しで見られる。

王族並びに客員や他国招待王族などはバルコニーでの挨拶となればフアナの事で民衆がざわつくに違いない。


−−−荒屋【隠匿魔法で屋敷】−−−

「その前に勇者にヨハンセンと貴方達の叔父上を倒させないとね。」
「叔父様も愚かよね、お父様に任せておけば人間なんかに倒される事もなかったのに。」
「タリス……、しかし我らも兄上が人間国の見聞に行ってる時、子猫なんかの姿にされてしまったのだから
少しは叔父上も少しは力があると思うぞ。」
「ヨハンセン、大丈夫よね、ハイルにリリス、ただのインキュバスとサキュバスじゃないものね?」
ヨハンセンの魔法とリルベルの魔法で階級が上がり理性を持つインキュバス、サキュバスと成っていた。


−−−勇者、メルヒル一行、舞踏会一日前−−−

翌朝、ベルとお楽しみだったメルヒルは寝不足ながら起き上がりハイルとルチアが用意した食事を摂り早速、魔国の国境へと…。
「人間ではないか!何用だ!」

槍を構える警備兵にいきなりメルヒルが斬りかかる。
メルヒルに斬られる前、警備兵が現魔国王へと鴉を飛ばすと続々と魔物が集まってくるが……。
インキュバスとサキュバスばかりで色欲狂いのメルヒルはその集団に囲まれ色欲に溺れていく。
「ルチア、ベル、心配するな、インキュバスにもサキュバスにも我ら三人の姿は見えぬ、事が終わるまで姿が見えぬは不味いが
臭いや音などは防ぐ結界魔石を使おうとしよう。」
「ハイル様、それは?」
「そうか、ルチアは知らないのね、リルベル様が私達の為に作ってくれたのよ。」
「聖聖女…、いえ、リルベル様はそこまでお考えでいて下さったのですね。」
「あぁ、では結界を張り茶会でもするか。」

結界を張った後、三人は勇者の破廉恥極まりない行為を橋目で見ながら今後の事を話していく。
「あの獣勇者は現魔王を◯(あや)めてしまうのですね。」
「ルチア、現魔王はヨハンセン様のお父上、お母上を幽閉し、好き勝手に勇者と同じ様な事をしている、一部のうまい汁を吸う者しか着いていない人望もない人だ。」
「そんな、ヨハンセン様のお父上とお母上を…、リルベル様が知ればお心を痛めるでしょうね。」
「それが…、リルベル様は知っているんだ。」
「私はリルベル様に助けられた孤児だった、拾われ修道院で育ち、魔法が使えると判り孤児ながらも
西国の魔法学園に推薦して頂き…、恩も返せてません。」

何刻掛かってであろう勇者が満足げな姿で辺りを見回している。
「ハイル、ルチア、ベルはどこだ?まさか俺が居ない間に3Pか?ハイル、許さんぞ!」

「やれやれ、勇者様は色欲に取り憑かれて何が何でもそっち方面に持っていくな。」
「片付けて結界を解きましょうか。」
「気は進みませんが勇者の思う様に現魔王と対決しましょうか…。」

結界を解くと勇者には三人が並んで立っているだけに見える。
「ハイル、お前!……あれ?いや、何でもない、ここから極秘任務だ現王が魔国の資源を手に入れたいと言う
これから魔国王を倒しに行くぞ!」
「勇者様、何と仰いました?」
「魔国王を倒すと言ったが?」
「人間国と魔国は友好関係で…」
「煩い!王と勇者の俺の命令だ!着いてこい!」

「その必要はない、人間め!勇者め!」
現魔王が姿を現せた。
63
投稿者:ヨハンセン ◆LeY5PvBg4w
2025/04/25 21:57:00    (8NlPycXP)
ーーーーーーーーーー夜が明け翌朝のあばらや--------

「(リュウトったら駄目よ…まだ駄目だったら笑」
熾火になった暖炉の前に置かれたクッションの上では、魔族の姿に戻ったジギタリスとサマエルが裸で抱き合い眠っている。
サマエルの顔はジギタリスの胸の膨らみに押し付けられている。
程なくして目を覚ましたジギタリス。
「きゃあ……(ちょ…ちょっと…サマ…)」パシッ。
今の状況が呑み込めずないまま、サマエルの頬を平手打ち。
「(夢か…なんで隣にいるのがサマエルなのよ?それになんで裸?…ここはどこなの?)」
「痛ってえなぁ…急に何するんだよタリス。」
平手打ちの痛さで目覚めるサマエル。その頬には赤くくっきりとした手形が残されている。
「離れ…離れなさいったら…」
再度手を振り上げるジギタリス。
「ちょ…ちょい待ち…」
自分の姿をしげしげとみて
「おぉ…兄上の言った通り魔族の姿の戻れた…」

「どうした?どうした?朝っぱらから騒がしいな。」
その騒ぎで別室から、リルベルとヨハンセンが姿を現す。
二人の姿を見て全て思い出すジギタリス。
「(そうか…叔父様に不意を突かれて、子猫の姿にされ、タリスと一緒に逃げ出して……放浪してるところをお兄様に。)」
「思い出した?ジギタリス。思い出したなら何か言うことあるでしょ(笑)」
そう言い覗き込むサマエルの顔には、赤い手形。
「ご……ごめん…。」
「全くタリスはいつもいつも…そんなことだと、リュウト…」
「それくらいにしといてやれ、サマエル。二人にそれぞれシーツをかけてあげなかった、私も悪かった。」
そう言いながら、何事か呪文を唱えるヨハンセン。
次の瞬間、空中から服と湯気の立ったスープやサラダ、パンなどが現れる。
「サマエル、ジギタリス。先ずは服を着なさい。」
サマエルとジギタリスが身形を整え終えると、朝食。
その席上ヨハンセンが
「それと私とリルベルは今日は戻らないか、戻っても遅くなるから、このあばら家は好きに使うといい、食料も用意してあるから、体力回復に努めるがいい。」

ーーーーーーーーーー人間国王宮、舞踏会会場--------

「さあもう少しだ、精を出しておくれ。」
会場準備は恙なく最終局面、視察に訪れた前国王は、平静を装い、準備に追われる一人一人に声をかけていたが、内心は穏やかではなかった。
「(〇〇(現国王)め。本当に今日やる気なのか?もし、舞踏会の席上でそんな報告が入ってきたら…仕方ないが、皆の目の前で勇者と現国王の非道さを公開するしかあるまいな。)」
次の瞬間前国王の意識は、執務室控室にいる魔の子村から来た男女の若者二人に向いていた。

ーーーーーーーーーー前国王執務室控室--------

「本当にここは、私達なんかがいていい場所なんだろうか?」
孫娘の幼馴染が何度目かの同じ問いを口にする。
「大丈夫よ。前王様もヨハンセンって名乗った方も、優しく話を聞いてくれて、ここで待っててくれって言ったんだから。それにしてもこの部屋は質素な造りね。王様のお部屋って、もっと煌びやかなものかと勝手に思ってた。質素って言っても貧しい私たちの家とは大違いだけど(笑)」
「あぁ、ベットのふかふかさといい、出してくれる食事といい、何もかもが違ってまだ騙されてる感じだ……それはそうと、舞踏会とやらで証言することになったら……俺は全く問題ないけど君はまた傷口抉られる思いじゃない?大丈夫?」
「もう何度聞くの(笑)?大丈夫よ。あの獣のような自称勇者とやらを追い落とせるのだったら…村の皆のためにも、ねっ。」
「だったらいいけど…あ、あのさ〇〇〇。こういう時に言うことじゃないとは思うけど、復讐が終わって帰ったら……村に帰ったら、け…けっこ……結婚してくれないか。勿論犠牲になった皆の弔いを終わらせてからだけど。」
「ほ…本当にいいの、私で。。私もう傷物に……」
「あれは、自己中心的な獣のようなやつに、ちょっと噛まれただけのようなもの……〇〇〇がいいんだ、いや、〇〇〇じゃなきゃ駄目なんだ。お願いします結婚してください。」
孫娘の前に跪き手を差し出す幼馴染。
目から涙があふれだす孫娘。
「嬉しい…〇〇〇〇。こちらこそよろしくお願いします。」
差し出された手をしっかりと握り答える孫娘。

ーーーーーーーーーー現国王執務室--------

「おい、メルヒルからまだ報告は入らんのか。」
「はっ、未だ何も…」
「そうか…前王主催の舞踏会の席上、未だかつて誰の手でも成しえなかった魔国の平定、そしてその地下に眠る資源の独占に成功したと高らかに宣言できれば、前王派の連中もこちらになびくであろうに。」
「お言葉ながら、舞踏会の席上を逃しても、この後いくらでもタイミングはあるかと。」
「……そうか…それもそうだな。急いては事をなんとかか。」


現王と側近が話す執務室とその控室は、前王のものと比べ何十倍も煌びやかで豪華なものであったが、見ていない孫娘と幼馴染には分からないこと。

ーーーーーーーーーーサキュバスとインキュバスの村ーーーーーーーーーー

いきなり現れた現魔王。
「ちょうどいい。向こうから来てくれたか。ハイル、ここは俺がやるから、いいというまで入って来るなよ。」
「はっ、分かりました。(馬鹿が、いくら力が劣る現魔王とはいえ、人間のお前では手も足も出んわ(笑) といって、ここは勇者に勝ってもらわなければ…魔法で現魔王のスピードと力を弱くしてやるか。)〘ベル、お前は勇者が傷ついたらすぐに直すんだぞ、いいな。〙」
〘分かったわ、気が進まないけど、しょうがないわね。勇者に勝って貰わなきゃだもんね。〙

ーーーーーーーーーー再びあばらや--------

食事を終え、
「リルベル、私たちはそろそろ用意を始めようか。」
服を着替え、身だしなみを整え終えると、石付きのイヤーカフスを手にして困った顔をするヨハンセン。
「すまんリルベル。これはどうやって付ければいいんだ?悪いが付けてくれないか。」
ヨハンセンがリルベルにそう言った時に、ハイルとベルのテレパシー通信が聞こえてくる。
「リルベルそれにサマエル、ジギタリス。勇者と叔父上の戦いが始まるようだ。リルベル、君の復讐も始まる。最初の獲物は騎士だったな。方法はもう考えているんだろ(笑)」
64
投稿者:リルベル ◆NCfYZhhGkk
2025/04/29 13:12:55    (g6ViBc6V)
−−−あばら家−−−

小さな悲鳴が聞こえ何かを叩く音が聞こえるとヨハンセンに手を引かれサマエルとジギタリスの元へ。
二人の姿を見、何が起こったか瞬時に理解すると顔を手で覆い二人を見ない様に努めていると直ぐに服を着、兄妹の話を聞きながらヨハンセンが用意した食事、回復を助ける為にリルベルは水差しに指を向け回すと回復水を作ると隣の部屋で着替え始める。

「えぇ、残酷な復讐よ、クレアのエスコートがフレデリックから婚約者にエスコートが代わった時、刻止まり魔法でウェイスト、クレアに人間だった時の私の拷問から処刑までの出来事を見せてあげようと思うの。
勿論、王族、勇者、魔法使いクレアの父母弟が全て知っていたと言う事も…、フレデリックより騎士道精神を持つウェイストと淑女の鑑と言われるクレアがどの様な反応を示すか愉しみでもあるわ。
私の予想ではウェイストは騎士道精神でただただ忠誠心だけで王族に仕えていた事を悔やむでしょう、クレアは全員の事を軽蔑するでしょう、積極的には味方になってくれないでしょうけど邪魔はしないで居てくれると思うの。
……魔族になってから気づいたのだけどウェイストって王族の血を継いでるのね、王国復興に使えるわね。」
何十代か前にウェイストの家に降嫁した王女が居た。

「貴方にエスコートされている私に許可なく話し掛けてくるのは人間界では不敬なのよ、貴族社会では下の者から声掛けは厳禁。
前王、現王にも注意を受けると思うの、まぁ、現王は人前だから注意でしょうけど…(クスクス)それって騎士としてもだけれども貴族としても侮辱されたと怒りを露わにしを醜態を晒すのよ、プライド高いフレデリックはその怒りを私に向けてくるはずよ。
その後は…、ねっ、愉しくなりそうでしょう?」
話しながら手でヨハンセンに屈む様ににイヤーカフスを着けると「永遠に…。」外れない様、魔法を掛ける。

「ヨハンセン、そろそろ時間ね。」
食事を終えたサマエルとジギタリスがやって来る。
「姉上、そのドレス、黒がよく映えます、何層かのレースの下に紫の生地に縫い付けられているパールがまるで星の様に見えます。
身体が動く度に色が濃くなったり薄くなったりするドレスですよね?」
「えぇ、ヨハンセンが贈ってくれたのよ。」
「お姉様のイヤリングとネックレス、指輪の色、お兄様の瞳の色なのですね。」
「えぇ、愛の証として……。」
「お兄様のイヤーカフス、お兄様の瞳の色とお姉様と瞳の色の宝石なのね、素敵だわ……。」
「兄上、姉上の指輪…。」
「特殊な隠匿魔法が掛けられていますよね?」
「騎士、フレデリックがどんな愚行に出るか…、出なければまた違う方法を考えますが…。」
「兄上も姉上も中々…、怖ろしいです。」
「エル、人々に知らしめる為ですよね?」

頷くリルベルとその横で微笑むヨハンセン。


−−−孫娘と幼馴染が居る前王控えの間−−−

ノックと共に侍女数名が手に何かを持って入ってくる。
「失礼致します、ヨハンセン様に申し使って持って参りました。」
「こちらでご用意致しますのでご心配はいりません、さぁ、お嬢様はあちらの部屋へ、お坊ちゃまはこちらの部屋で…。」
「お嬢様?!えっ?あの……。」
「お坊ちゃま?!」

幼馴染は直ぐに着替え終わり部屋の中を落ち着かずウロウロしていると数十分後、すぐ横では孫娘の用意がされ、二人の姿は男爵の令息と令嬢となる。
「○○○?別人だ…、可愛い、綺麗だ。」
「○○だって格好いいわよ。」

扉がノックされると警護兵が入ってくると侍女が下がる。
「○○○と◯◯、キールさんの酒場で話していた出来事は本当なのか?」
「……□□兄?何でそれを?」
「王都の兵士になっていたんだね、……魔の子村は自称勇者が壊滅状態にした。」
「□□兄、まだ詳しくは言えないけどある方が◯◯と私の命を救ってくれたの、□□兄の家族は無事よ。」
「しかしお前らがどうして王宮の舞踏会に?俺はお前らを警護しろと前王に言われここに来た。」
「魔の子村の者がキールさんの酒場に居ると聞き行ったんだ、勇者の話はその時聞い、今日は兎に角、お前らを警護しなければならないらしい。」

カタッ……!
「何者!」
剣を抜き衝立を退かすとそこには記者が立っている。


−−−サキュバスとインキュバスの町−−−

ハイルとベル、ルチアの三人にテレパシーが…。
〘これから自称勇者は現魔王と戦うのね、ハイルとベル、そしてルチアが魔法で手を貸すのよね?
提案なのだけど自称勇者は自分に自信があると思うの、そのプライドをズタズタにしてやりたいの。
なので暫くは現魔王の攻撃をそのままにして?自称勇者がある程度、そうね、中程度の怪我を負って
装備品もボロボロになった頃、僅差で勝たせてあげて欲しいのよ。〙
〘リルベル様、私達もある程度、傷を負った方が宜しいのでしょうか?〙
〘いいえ、少し装備に綻びがあるくらいでいいわ。〙
〘リルベル様、畏まりました。〙
「愚かな人間よ、掛かって参れ!」
「魔王!!」先手必勝とばかりに剣を構え間合いを詰め現魔王へ攻撃を仕掛ける。

ガキン………ドサッ!いとも簡単にふっ飛ばされる自称勇者。

「あれは…、勇者と魔王、なぜ戦っている?人間国と魔国は友好関係を結んでいるはずでは?
まさか、魔国の地下資源目当てで現王様が勇者に命じた?まさかしかし目の前では勇者と魔王が……。
そんな事をすれば戦争になってしまうじゃないな!今すぐ知らせに行かねば…、しかし、スクープも…、それどころではない!前王様にお知らせしなければ…。」
「そこの方お待ち下さい。」
「ルチアさん!待てません、今すぐ知らせねばならないのです。」
「こちらをお持ち下さい、ある方にお預かりした映像魔石です。」
「映像魔石?」
「この魔石単体でカメラ、マイクをリアルタイムに流せるものです、勿論、録画も出来ます、片方は私が持ってます。」
「ルチアさん、いいのですか?」
ハイル、ベルの三人で頷くと映像魔石を持ちころげる様に下山していく記者。


−−−現王と次官達とフアナ−−−

「おぉ、フアナ、体調はどうだ?」
「お兄様、いいえ、国王様、大分育ってきております。」
「……フアナ、腹の子はメルヒルの子だよな?」
「アハハハ、そんな事を聞くなど可笑しいわ、多分、メルヒル様の子よ。」
「姫様、多分では……。」
「大丈夫よ、産まれてくる子は私の赤子、王家の印である瞳の色は間違いないし、メルヒル様の髪色と同じ男としか……。」
「フアナ、もう何も言うな!お前が産む子はメルヒルとお前の子、皆の者も解ったな?」


−−−舞踏会会場−−−

招待客達が会場に入場してき談笑をしている頃、入り口にフレデリックにエスコートされたクレアの姿が…。
「クレア、今日は迎えに行けず申し訳ない。」
「いいえ、急ぎの用があったと聞いています。」
ギロッとウェイストがフレデリックを睨む。

「フレデリック殿、クレアのエスコート、この先任せて頂く!」
「ウェイスト様、何か有ったのでしょうか?」
「クレア、こちらへ。(挨拶をしながら隅へと。)…クレア、こんな日に済まないが家を出る、家を捨てる覚悟があるか?」
「仰っている意味が分かりません…。」
「本日、メルヒル様が魔の子山の祠から魔国へ侵入した。」
「………!!」目を大きく見開き驚くクレア。
「何も言うな、俺はクレアを守りたい、父上も母上も他の家族もクレアだけならと言ってくれている。」
「それはお父様、お母様、フレデリックも知り関係しているんですか?」
「まだ判らないが…、噂が出回っている、確証がなくクレアに話せなく済まない。」
「解りました、私は幼い頃から貴方様だけをウェイスト様だけを見ていました、そんな貴方が言うのです、信じない訳がありません。」
「クレア、君だけは守るから必ず守る、俺の命が無くなろうとも。」
「それは嫌です、二人で末永く暮らしたいです。」
「俺は騎士として最低な事をする可能性がある、王族を裏切るかもしれない。」
「処分されるなら正しい事をして一緒に処分されましょう。」
怒りと虚しさに満ちているウェイストに春の太陽の様な笑みを見せるクレア。

ファンファーレが鳴る直前、出入り口の大きな扉の前に転移魔法で現れるヨハンセンとリルベル。
65
投稿者:ヨハンセン ◆LeY5PvBg4w
2025/05/05 16:37:30    (9WuYiK5I)
ーーーーーーーーーーあばらや--------

「ほぉこの隠匿魔法、サマエルに見破られてしまったか…サマエルも腕を上げたな…これも、舞台装置の一つ。まぁ人間には分からんだろうから問題はないがな(笑)」
リルベルに向き直り
「そろそろ行くとしようか。いくら何でも遅れるわけにはいかんからな。」
そう言うと、リルベルの腕を取るヨハンセン。
何事か呪文を唱えると、次の瞬間リルベルとヨハンセンの姿は、そこから掻き消えていた。
「お兄様、行ってしまわれたわ。今日一日養生していれば夜には魔法も使えるようになるだろうって、お兄様は仰ってたけど…」
そう呟くとリルベルが用意した回復水を口に運ぶジギタリス。

ーーーーーーーーーー王宮、舞踏会会場--------

衛兵が扉を閉めようとする寸前に、リルベルの腕を取り忽然と姿を現すヨハンセン。
ヨハンセンの姿を確認した顔見知りの衛兵が、
「これはヨハンセン殿、国王様・前王様・フアナ王女以外は、皆様もう中においででございますよ。」
そう声をかけた衛兵は、無礼に映らぬよう一瞬リルベルの左手に視線を投げて、
「ヨハンセン殿、お美しい奥様をお連れですね。これほど美しいなら、いつもご自慢していたのも分かります(笑)」
リルベルの視線に気が付き、
「これはご無礼をいたしました。ヨハンセン殿、奥様、お荷物があればお預かりしておきますが。」
「いや大丈夫です。ありがとう。」
そう衛兵に言うと、扉をくぐるリルベルとヨハンセン。

リルベルとヨハンセンが舞踏会の会場に足を踏み入れると、二人の後ろで、ガシャンと音を立てて扉が閉まる。

ざわめきに包まれている舞踏会会場。
会場内を見渡すと、一段高くなったステージの近くに、クレアとフレデリックの姿を見つける。
リルベルとヨハンセンは、他の出席者と挨拶を交わし談笑を始める。
その近くにいる人たちは皆、リルベルの指輪に気が付き、ヨハンセンに羨望のまなざしを向ける。
「おい見たか、ヨハンセン殿の連れている女性、綺麗だな。同じ色の石が付いた指輪とイヤーカフスか。羨ましいよな。」
等々、囁き合う噂話が二人の耳にも届いている。

その時ファンファーレが鳴り、続いて、
「ご出席の皆様、国王様・前国王様・フアナ女王様がお着きになられました。」
との声が会場内に響き、ざわめきが止み、ファンファーレが最高潮を迎える。

ーーーーーーーーーー前王控えの間--------

「今の話……やはり勇者メルヒルの噂は本当だったのですね。」
と記者。
「貴様……」
剣を振りかざす□□。
「ちょ…ちょっとまって……ただの記者、新聞記者ですって。何も害を成すようなものは、一つも持ってませんよ。」
□□に対して両手を上げる記者。
「なぜここにいる。記者証を見せろ。」
□□に記者証を提示しながら
「いやトイレの帰りに、折角なんでと思って隣の部屋の中を見てたら、話し声が聞こえるじゃないですか……記者魂が疼いてしまって気が付いたら間の扉を開けてたと…」
「どこから話を聞いてた。」
「○○○可愛い、綺麗だ。ってところから。」
と記者が言うと、赤くなる孫娘と幼馴染

ーーーーーーーーーーサキュバスとインキュバスの町--------

映像魔石を持った記者が、下山していくと
「一部始終しっかりと記録しといてくれよ、ルチア。もしあの記者が間に合えば、面白いことになるからな。」
そう言い、勇者と魔王の戦いに視線を戻すハイル。
「おいおい、押されっぱなしじゃないか勇者。リルベル様にはああ言われたけど、ここで、手助けしないと勇者やられちゃうよな。」
〘ヨハンセン様・リルベル様。今映像魔石を持った記者が〇〇山からそちらに向かっております。このままではライブ放送間に合いそうにないので、途中で記者を拾っていただけないでしょうか、お願いいたします。〙

ーーーーーーーーーー王宮、舞踏会会場--------

〘ハイル、ご苦労。分かった記者を拾って、こちらに連れ込めばいいのだな。〙
「リルベル聞いたように、記者がこちらに向かってる。ちょっと迎えに行ってくるから…リルベルお主と私の間柄は、大半の出席者に見せたはず。ここから少し騎士がお前に話しかけやすいように、私は席を外すから。」

リルベルが気になっていたフレデリックは、ヨハンセンがリルベルの傍を離れて、リルベルが一人になったのを目敏く見つける。



66
投稿者:リルベル ◆NCfYZhhGkk
2025/05/11 13:32:10    (Mx40v0EG)
ヨハンセンが姿を消した後、フレデリックが一歩足を動かした瞬間、ウェイストとクレア以外に〝刻止まり〟の魔法を掛けると音楽、会話も止まり静まり返る会場。

二人は辺りを見回しウェイストがクレアを後ろにし警戒する中、微笑を浮かべながら目の前まで歩くリルベル。
「驚きまして?ウェイスト様、クレア様、今の所はお二人に危害を加えるつもりはありません、ただ私達の計画を邪魔立てするのなら容赦なく排除させて頂きます。」
「計画とは?それに貴女とヨハンセン様のご関係は?」
「申し遅れました、私、ヨハンセン様に婚約の打診を受けお受けしたリルベルと申します。」
「まぁ、ヨハンセン様のご婚約者様なのですね、ウェイスト様、お綺麗な方ですね。」

まだ警戒を解かないウェイストと婚約した者同士、友好的なクレア。
「お二人に見てもらいたいものがありまして…、お断りになられても見て頂きますが…、〝回想魔法〟」

二人に回想魔法を掛けるとクレアは小さく悲痛な声を上げ目に涙を溜める、ウェイストは声は出さないものの苦痛の表情になる。
「それが〝正聖女、ベル〟に有ったことです、ベルは偽りの罪で王族、仲間達に裏切られギロチン刑に処せられたのです。
そしてベルだった私はヨハンセンのお陰で…、魔族として復活しました。」

回想魔法を解いた後、ウェイストが先に声を出す。
「これは王国がしたと言うこと?まさか……噂は本当であったか…、勇者メルビルが魔の子山の人間国と魔国が繋がる祠を潜ったのは…、否、警備がどうなっているかを調べ……、いいや、
奪う為に侵入したと言うのか、信じられん、信じたくない!」
「騎士様が王国に忠誠を誓われているのは知っていますが、先程見た事が真実です、お心当たりありませんか?
例えば…、勇者が魔の子村を襲い村の女性達を…、女性達を救おうとする男性達を斬りつけたなど…。」
「まだ真実がはっきりしたわけでない!それにその回想魔法で見せられたものが、貴女が正聖女ベル様だったと言うのが真実かも判らないではないか!(俺は何の為に王族に忠誠を誓ったのか……。)」
「…ウェイスト様、その方がベル様…、正聖女様なら偽りをおっしゃるわけがありません。
酷い、ベル様の尊厳を…、大公様達を…。
お父様、お母様もお知りだったとは…、それにフレデリックに至ってはベル様と邪竜討伐の旅に出た仲間だと言うのに……。
軽蔑に値します、人ではない…、獣以下です。」
「ウェイスト様、信じられないのは無理もありません、では……。」
会場に居る魔の子村の孫娘と青年の方へ元に行き〝刻止まり魔法〟を解くと二人がリルベルに頭を下げる。

「リルベル様、……人間だった時、正聖女様ですよね?」
「ごめんなさいね、今は私、魔族なのよ。」
「○○!魔族だとしても魔の子村の皆を救ってくれた事は間違いない事です!」
「改めまして私、魔族のリルベルと申します、貴方がたの村で起こった事をあの二人に話してもらえるかしら?」
「はい!村の救世主様!」
「村の救世主……。」
「ウェイスト様、彼らは私達の事を知りません、きっと真実を話してくれるでしょう。」


「クレア…、それが真実だとしたら回想魔法で見せられた映像が真実だと言う事になる、俺はどうしたらいいのだ…。」
「何もしなくていいのです、私達がする事を邪魔立てだけはしないで頂きたいです。」
「何をなさるのですか?」
「私は何もしませんよ?クレア様、ごめんなさいね、最初の復讐相手はフレデリック、貴女の家族よ。」
「………(涙を流し頷く。)あの者達は私の家族ではありません!人の皮を被った獣です!」

○○と○○○は魔の子村で起こった卑劣で残忍な出来事を語り、魔法石の映像もあると言い、新聞社に伝えていると教える。
「今から〝刻止まり魔法〟を解きます、この後起こる出来事を邪魔だけはしないで下さい、邪魔をされるとお二人も復讐対象者となります。
忠告しましたよ?」

静寂だった会場に音楽が鳴り、リルベルの元にフレデリックはじめ恥知らずな者達が近寄ってくる。
「お嬢様、少しお話を。」
「いいや、私とダンスを。」
「お前、俺が一番にお声掛けしたんだぞ!」

リルベルに害虫の様に群がる上位貴族であるフレデリック、婚約者が居るにも関わらずリルベルを拷問した騎士、貴族子息etcに軽蔑な視線を遠慮なく向ける貴族達とウェイストとクレア。
「フレデリック!貴様は誰に声掛けしておるのだ?魔国からの客分であるヨハンセン殿の婚約者に対し下の者から声掛けするなど言語道断!」
「フレデリック、貴様は確か第一騎士団副団長であったな、それ程の者が婚約指輪をしている女性を誘うなど…、騎士団の名を穢すつもりか!」
「指輪?…その様な物…!?(先程まで見えぬ物が何故?)し、失礼しました、余りの美しさに我を忘れ……。」
「国王様、前国王様(小首を傾げ)こちらの方々を許して差し上げてくださいませ、隣に居ないヨハンセン様がいけないのですから…。
火急があるからと姿を消されてしまったのです。」
「うむっ、ヨハンセン殿のご婚約者のお嬢さんがそこまで言うならば不問に致そう。」
「フレデリック、美しい女性に目を奪われるのは仕方のない事だ、お前も早々に婚約者探しをせねばならぬな。」

ざわつく会場。
婚約者が居る相手、しかも友好国である魔国の客分の婚約者を衆人の中でアプローチする男に娘はやれぬなど様々な声に
フレデリックの中は羞恥と逆恨みにも等しい感情で溢れている。
「(魔国の客分などなんだ!国王も衆人の前で注意などせずとも!)」
「皆様、お騒がせしてしまい申し訳ありません。」

リルベルの声に我に返るフレデリック、頭を下げ視線は外さず衆人達に誠意を持ち騒がせた事を謝るリルベル。
その姿にまた目を奪われ良からぬ事を思いつくフレデリック。
「(……魔国と言え男女二人で密室になれば婚約破棄…、そうだ!この美しい女性を魔国の客分から奪えば地位が上がるに違いない!)」
「誤解させてしまって申し訳ありませんが私、ヨハンセン様には助けて頂いて…。」
「助けてもらって(断れず婚約したと言う事か、ならば俺が助けてやる!)そうでしたか…。」

−−−フレデリックの脳内−−−

一度、婚約者とダンスをした後は誘っても大丈夫だ、ならばダンス後、シャンパンを進め…、憎き魔族の隙を付いて控えの間に連れ本音を聞き出そう。
あの魔族のヨハンセンから離せばきっと自分の方を見てくれる筈だ、屋敷に否、別宅に匿い助ければ
俺に心を向けてくれるだろう、それに…、あの身体……。

−−−会場−−−

国王、フレデリック、クレアの父母、ウェイストの家族達が見ているというのにフレデリックは無遠慮にリルベルに好奇かつ猥りがましい視線をぶつける。
「ウェイスト様、フレデリックはリルベル様の事に気付いていないのですね…、残念です。」
「クレア、会場入りする前に話した事を覚えているか?」
「えぇ、家を捨てる覚悟でしたわね、貴方がウェイストが居てくれさえすれば構いません。
それに私、あの者達と縁を切りたいです。」
「その点については私の遠縁と養子縁組をしてから嫁いでくればいい。」
「ウェイスト様、お願い致します。」


−−−魔の子山、あばら家−−−

「日が暮れたわ、お兄様が言っていた時刻ね、本当に魔法使えるのかしら?」
「姉上の回復水で大分力を取り戻した様だが……。」
「灯れ…。」
薄暗かった屋敷が明るくなる。

「次は食事だな、魔牛シチューでいいな?」
「パンとサラダもね、あと珈琲と果物もね。」
「はいはい、解りました。」
人さし指をテーブルに向け、脳内に食べ物、飲み物を思い浮かべるとテーブルに二人分の食事が並ぶ。

「何でよ!エルの方が魔力が強いのよ!」
「それは仕方ないだろう、タリスは攻撃魔法より支援補助魔法が得意なのだから…、とは言えタリスの方が風魔法は得意ではないか。姉上の回復水を飲めば更に回復するぞ。」
「そうね、お姉様の回復水、飲みやすい様にフルーツ水になってるのよ。」
「やっと認めたな。」
「仕方ないじゃない、お兄様が決めた方を受け入れないと…、それにお姉様、悪い人でないと思うの。」
「あぁ、兄上の事を想って復讐と同時に父上母上を救う手立てを考えてくれている。」
「そうなのよ、あの魔の子村で衰弱した子猫なんか連れて帰ろうとは思わないのよね、普通は…、お姉様が人間だったからかしら?」
「それは判らない、人間だったからなのか、元々の性格なのか、魔族は幼き頃より弱き者は切り捨てると教育されているからな。」
「だから私達、魔王家が弱きを守り統一すると教育されているのだから。」

−−−会場−−−

「そろそろヨハンセンと記者は戻る頃かしら?」
67
投稿者:ヨハンセン ◆LeY5PvBg4w
2025/05/21 23:20:00    (KKbzzFmr)
ーーーーーサキュバスの町から王宮へ向かう道の途上-----

ハイルの気を追っていると、息を切らしながら山道を転げ落ちるように記者を見つける。
<あれか…ハイルの気も纏っているし、胸には映像魔石も仕舞っているようだな。>
走る記者の前に姿を現し、
<お前か?魔石を持って王宮に向かっている記者というのは。>
急に声をかけられた記者は、警戒するように魔石が入っているであろう胸に手を当てて、
<だ…誰だ!?>
<そんなに警戒しなくともよい。魔国側の国境の町で、ルチアという者に会っただろう、その仲間だ。走っていては時間がかかると思って、迎えに来ただけだ。>
<迎えに?ハイル様の知り合いなのか?どうして急に現れた?もしかして魔国の人なのか?>
<私の事は追々…まあ、これを見てくれ。>

そう言うと、正聖女ベルの処刑の場面・勇者メルヒルが魔の子村で引き起こした惨劇の場面の映像を、記者の脳内に送り込むヨハンセン。
<正聖女ベル様お労しい…で、でも正聖女ベル様が復活しておられるのか?…まさか勇者ともあろう者がこんなことを……>
<ベルが処刑されたわけは知っているかね。>
<噂ではベル様がフアナ王女様に魔法で……正聖女ベル様がそんなことするはずはないと思ってはいたんだが。>
<これから主には、新聞社に戻る前にあるところに付き合ってもらう。そのあるところで、本人の口から本当は何があったのか聞いてみるがいい。>
<あるところ?本人の口?私は一刻も早く社に戻って、この魔石のことを記事にしないと……>
<よった方が記事に厚みが出るぞ(笑)それに主がOKを出せば、次の瞬間にはあるところについておる。そこでの一仕事の時間を考えても、ここから走るよりははるかに速いぞ(笑)>
記者はヨハンセンが忽然と目の前に現れた時のことを思い返し、
<そ、それもそうだな。あるところとやらで何をするのかは知らんが、分かった。そうしよう。>
<決まったな。では早速向かうとするから、私の腕を掴んでくれ。>
記者が腕を掴むと同時に、呪文を唱えるヨハンセン。
次の瞬間二人の姿は、忽然とそこから消えていた。

ーーーーーーーーーー王宮、舞踏会会場--------

フレデリックや他の何人かの男がリルベルに声をかけている時に会場入り口のドアの前に姿を現す二人。
<ここは?王宮?舞踏会会場か。こんなところには入る機会なかなかもないし、ビデオカメラで撮っておくか。>
記者がビデオカメラを起動して目立たないところに置く。
記者の様子を見て薄笑いを浮かべたヨハンセン。
<記者殿、その魔石貸してくれないか。主の分はコピーを作るからそれを渡す。それから、ベルを紹介するから、処刑前に何があったか、本人の口から聞くがいいさ。>
ヨハンセンが言った時に、会場内に国王と前王の、フレデリックへへの叱責の声が響く。
<フレデリックと言えば、王国の騎士団副団長だよな。今回の盗賊団殲滅の功により、団長昇格が確実視されていたはず。そんな人のスキャンダル、これはこれで大ニュースだな。>

<やあ、リルベル外してしまって悪かった。>
ヨハンセンと記者はリルベルに歩み寄り、リルベルと自分及び記者以外の時を止める。
急に現れたヨハンセンにフレデリックは吃驚して、バツの悪そうな表情を浮かべている。
<彼が新聞記者だそうだ。君の身の上に起こったこと彼にも見せてあげてくれないか。>
リルベルが記者に回想魔法をかけると同時に、自分は国王の後ろに白幕を出現させて、映像魔石の映像を膜に映し出す。
魔王に押されている勇者の姿が映し出される。
〘おい、ハイル。少し勇者に肩入れしすぎではないか(笑)〙

ーーーーーーーーーー勇者と魔王の戦いの場--------

カン…キン…(剣の当たる音)
<くっ……やるな魔王。…>
ハイルとベルの魔法により、魔王の件の威力は3割減、切られても即座に直されていることなど思いもよらずに、勇者が呟く。
一方魔王は、
<くそっ、今日は調子が悪いのか、完全にヒットしたと思った斬撃が効いておらぬわ。>
その様子を魔石で見ていたのか、ヨハンセンからのテレパシーが脳内に響く。
〘これはヨハンセン様。記者とは無事合流できたのですね。
と仰られても、これくらい肩入れせぬことには、勇者の奴直ぐにやられてしまいそうで…〙
〘それでは困るな。勇者は人間の手で処刑されなくては、今後の人間国と魔国の友好関係が図れなくなってしまう(笑)
防御回復魔法はベルか。両方とももう少し力を弱めてくれ。傷だらけになってた方が、見る方も興奮するだろう。ハイル、こちらで合図をしたら、魔王の件の威力はゼロに、一方勇者の件の威力は最大にしてくれ。防御力もゼロにすることを忘れずに。
いくら鈍い魔王といえ、自分に魔法をかけられたら流石に気が付くだろうから、チャンスは一回だけだからな。〙

ーーーーーーーーーー再び王宮、舞踏会会場--------

リルベルを見ると、その前で驚愕の顔をして、口をパクパクさせている記者の姿がある。
<リルベル、終わったか?それでは時をもとに戻すとするか。>


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