2024/06/09 11:35:00
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喧騒の一夜が明け、当日の開店準備の為、酒場の扉を開ける
老爺。
掃き掃除を終え顔を上げると、小高い丘の上に王宮が建っている。
「王様か…あそこから街を見下ろす気分は、どうなんだろうな…おっといけない準備準備。」
その時、店の奥を間借りさせている、美人の占い師が姿を現す。
「おぉ〇〇。早いな。中まだ掃除終わってなくて。」
薄く笑いを浮かべ、会釈をしながら店内の奥に入っていく〇〇。
王宮の国王執務室
「国王、この頃以前にもましてお盛んのようで(笑)」
「何を言っとる、ヨハンセン…お主が宛がうからだろうが(笑)」
「王国中の女と言う女は、老若・既婚未婚問わず王様のものゆえ。そういえばそろそろ王女(姫)様もお年頃でございますな。」
「どういう意味だそれは?」
「いえ、別に私からは何とも……王女様お綺麗で、お年頃になられましたから(笑)」
国王と参謀ヨハンセンがそんな話を終え数刻後、国王執務室へ向かう一人の男。
「国王より呼ばれて参った。お目通り願う。」
そう言い身体をずらし、窓際の壁の前で物思いに耽り始める勇者。
(この私が夢精とは…まだまだ修行が足らないようだ。)
「これは勇者殿、今国王へ取り次ぎますので、しばしお待ちくだされ。」
執務室のドア前を警備していた衛兵は、そう言うとドアを小さく開け中へ向かい声をかけようとするが、
「国王様、お戯れを…およしになって……あっ…いや……だめ…だめですってば…こくおう…さま…だ…だめ…で…す。いやっ……そんな…とこ。」
「いやいや言ってる割には、洪水になってるではないか…好きなんだろ(笑)」
「だ…だめ…で…す。。あうっ…あっ…あんっ…」
その声を聞き衛兵は一瞬<またか。>という表情を浮かべるが、
「国王様、勇者殿が参られました。」
と務めて冷静に声をかける。
「きゃっ…」
っという小さな声の後に響く衣擦れの音。
それに被せるようにこれも小さな
「ちっ…」
という舌打ちが聞こえるが、つづいて
「わかった、ちょっとまってくれ。」
との声が流れてきた後、しばらくして
「待たせたな。勇者殿をこちらへ。」
との誘いが聞こえる。
衛兵はその言葉を聞き、
「勇者殿、お待たせいたしました。国王様の用意が整いましたので、どうぞ中へ。」
薄く苦笑の表情を浮かべながら、ドアの前を一歩退き勇者を執務室の中へ誘う。
「では失礼して。。」
衛兵にそう声をかけ軽く頭を下げて、執務室の中へ入る勇者。
「勇者殿、お呼び立てして申し訳ない、どうぞそちらへ。」
数段高くなった場所にある椅子に座った国王は、入ってすぐにある椅子を指すように言葉をかける。
国王の後ろにあるカーテンが少し揺れている。
勇者が椅子の前に立ったのを確認して
「どうぞ、お掛けくだされ勇者殿。」
一言声をかけた後続けて
「勇者殿を見込んでなんだが、〇〇山山頂の祠のそばに咲いているという青い百合の花と、祠の中にあるこれも真っ青な石を、取ってきてくれまいか。」
「百合の花と石…ですか?」
「ああ。どんなものかは、町にある修道院にいる、修道女が知っているでな…道案内も頼むといい。では頼んだぞ、話はそれだけじゃ。」
そう言うと、立ち上がってカーテンの奥に消えていく国王。勇者はそれを見送ってから、執務室を出て王宮の後にし、町の修道院へ歩みを進める。
勇者が王宮を出て、町の修道院に向かう準備をする為に自宅へ戻ったころ、〇〇山のさらに奥にある△△山山頂近くの洞窟
<サキュバスよ、今年も〇〇山に青い百合が咲くころだな。>
<魔王様、そうでございますね。今年も人間共が取りに来ますかね。>
<あぁ、来るだろうな。あの百合には強壮の効能があるからな。人間共も強壮剤は欲しいらしい(笑)>
<今年も先に取ってしまいますか?>
<あぁ、勿論。。今年は別のものを植えといてやろうか(笑)>
<別のもの?>
<こちらにはあの百合に似た、別のものがあるだろうが。>
<あれは……毒では?幻影が見えたり、あの行為を止められなくなり衰弱し、最終的には…>
<構わんだろ、どうせあの国は目障りで、その内潰そうと思ってたのだから……そんな事よりサキュバスよこっちに来なさい。>
魔王の腕が触覚に代わり、何本かに分かれその内の一本がサキュバスに巻き付く。
<お前の中に儂の分身を植え付けておくから、取りに来た人間に注入してやれ(笑)>
触角の一本がサキュバスの口らしき部分に入っていくと、身体の奥底まで侵入してしていく。
サキュバスは目を見開き体を震わせる。
開店前の酒場のカーテンの奥から、老爺に声がかかる。
「お爺さん、今日の夜か明日こちらの店に、場内から勇者殿がこの店に来られますよ。」
「そりゃ嬉しいね…〇〇さんお得意の占いかい。」
老爺がそう返すが、返事はない。