「そろそろ時間だせ…準備はできたかい?」処刑を待つ罪人のように顔を伏せ絶望のどん底のメイサの元に顔を出したのは、見世物小屋の主だった。「あんたは、これから舞台に1人で上がってもらう…まず最初は客に挨拶だ…自分の身分や何でここに来たのか…ついでにその身体のサイズもな…」見世物小屋の主は…舐めるような視線をメイサに向け話を続けた。「あとは…そうだな…投げ銭を沢山出してもらえるよう頼むといい…ギャラの他にその投げ込まれた投げ銭は全部あんたのものだからな…せいぜい客を喜ばすことだ…ショーの流れだが、あんたの挨拶のあと曲が流れる…あんたはその曲に合わせ踊りながら、そのドレスを1枚ずつ脱いでいく…たがその宝石やアクセサリーはそのままた…そのほうが如何にも貴族って感じがするだろう?素っ裸になったら、あとは客のご要望に応えるだけ…簡単だろ?」ショーはメイサが考えていた以上に恥辱にまみれた内容で、今さらながらに恐怖がメイサを襲う…足が竦んでなかなか立ち上がれないメイサだったが、見世物小屋の主に腕を掴まれ罪人の如く舞台へと連れられていく。ホールの入口から中をそっと覗いてみると、ホールの中は薄暗くハッキリとは見えないまでもかなりのかんきやかが詰めかけているようで、ざわついていた。アレクか見世物小屋の主に話を持ち込んだあと、主により街中に宣伝して回った効果だった…普段は庶民など鼻にもかけないお貴族様がショーに出演するとなれば関心を集めるのは当然だった。背中を押されメイサが中央の円形舞台へと続く細い渡り廊下に姿を見せると同時に一筋のスポットライトがメイサを照らし出した。それまでざわついていた会場は一瞬静まり返ったあと大きな歓声が上がる。見世物小屋に金のために出演する貴族…大方の客は、貧相な格好をした年増の貴族を想像したのだ。それかスポットライトに照らし出されたのは、ロイヤルブルーのドレスを身にまとい宝石をふんだんに使ったアクセサリーに身につけた美女とあれぴ、その歓声も当然と言えた。「すげぇ…めちゃくちゃいい女じゃねぇか…」そんな声があちこちから上がり、その声はメイサの耳にも届いた。フローレンス領では、誰もが敬い憧憬の目を向けるメイサにとって初めて受ける好奇に満ちた声と視線だった。3メートルほどの円形舞台に立ったメイサは、見世物小屋の主の指示通りに挨拶を始めた…領民の前では、常に落ち着き払い慎ましやかながら堂々とした姿はなく、顔すらまともに上げられない知らない所へ連れてこられた猫のように縮こまり、ハーブの音色のような美しい声すら聞き取れないほど小さかった。メイサの挨拶が一通り終わると会場内に曲が流れだし、それに合わせるように円形の舞台はゆっくりと動きはじめた…会場のどこにいても舞台上の踊り子が見えるためのものだが、メイサにとっては余りにも余計な仕組み…100人ほどの観客に余すことなく身体を見せることになる…「とうです?ビルボー殿…あれが公爵夫人です…私の学生時代からの親友…だった女です…ちょっと事情があって今は私の言いなりで…この後に行われるオークションてはビルボー殿にあの女を競り落として貰うつもりです…競り落とした金額の半分は私が持ちますので…」ボックス席では、ホールに姿を見せたメイサに目が釘付けになっていたビルボーにリーゼロッテが耳元て囁きかけていた。「ほう…親友だった…女…ですか…ふふふっ…まぁ詳しい事情は聞きませぬが…貴女からのこのお話…喜んで受け取りますよ…これなら契約のほうも上手くまとまりそうですな…」公爵夫人と聞いてはいたものの、ビルボーもまた観客と同じような想像をしていただけにメイサの美しさ余りにも予想外だった…入院と言っても5日間ほどて、ちょっと目の具合が悪く手術を…今はもう元通りになりました。私から持ち出したイメは気にしないでください。それより
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「…っ、……。」決して綺麗とも言えない、なんだか変な臭いがする地下の部屋。どん底のような表情で時を待ち続けたたメイサは扉が開く音で、まるで小動物のようにびくんっと驚いて顔をあげた。メイサは店主に向かい、ハイライトを失ったような虚な瞳を向け、じっと話を聞いた。ストリップ、見物小屋、娼館…。民の娯楽であるそれらの存在は知っているが、詳細については知らない。何故なら住む世界が違うから。しかし、今は当事者となってしまっていて、説明を聞くうちに、ステージの上の自分を想像してしまって足が竦んで震えてきてしまう。自己紹介?身体のサイズ?個人のプライバシーを見せ物にされるために晒すの?その上で脱衣だなんて信じられなかった。元々そういう職の女性のことは差別的に見たことはなく、きちんと理解を持っていた方。色々な事情だってあるし、需要があるのならそれは立派な仕事。しかし、それをする側になったのなら、もはや理解どころではなく、尊敬さえ覚えてしまう。(嫌、怖い、こんなの無理よ…っ。リズのイタズラだったり…、し、しないかしら…。きっと、ステージに行ったら客はリズだけで…)怖くてソファから立ち上がれないメイサの細い腕を引っ張り上げられ、ステージへと連れて行かれる。入り口から覗いた光景によって、淡い期待は打ち砕かれた。ホールの中は観客がぎゅうぎゅうに押し寄せていて、貴族のストリップを待ち望んでいるのだった。ギョッとして固まったメイサだが、不意に背中を押され、高いヒールをよろめかせながら、壇上に登場する。そうしたところ、暗闇のステージに一つの大きなスポットライトが当てられ、今日の出演嬢が衆目に晒された。「ひゃぁっ!?…ぁっ、ぁっうぅ…っ」こんなところに堕ちてくるなんて、年増の貧相な女だろう、とどこかで思っていた観客は良い意味で裏切られた。小柄で可愛らしいうえ、見るからに高価なアクセサリーを携え、まるでパーティから抜け出してきたかのような美しいドレス。そのうえ、なんと言っても美しい顔立ち。恥ずかしそうに顔を伏せがちで、ドレスの裾をギュッと掴むいじらしい仕草は、早くも観客の心を掴んだ。実際メイサはじっくりまじまじと顔を近づけてみなければ、顔のシワなどほとんど見つけられず、メイサは経産婦であることなど観客の誰もが想像もしていなかった。一方でメイサは、心の準備もできないままにステージに立たされた上、ギラついたような好奇な視線に耐えられず、顔を上げられなかった。(こんなところに本当にリズがいるの…?…、いや、それよりも、挨拶…、自己紹介…?とにかく名前は、偽名にしないと…。ああ、沈黙が長くて、変な間が…っ。なんか言わないと…っ)顔を伏せたまま動かないメイサ。スポットライトが当てられたまま、無言で数十秒が経ってしまった。みな、メイサの第一声を待ち望んでいる。「…よ、よろしく、おねが…します…。なま、名前っ、名前は…メ…、メイ…、えっと、メリッサ…です。その、あまり身分は、言えませんが、貴族…、ですが、お金がなくて、ここにきました…。」普段の明朗快活で天真爛漫な明るい声色ではなく、顔を伏せたまま、ボソボソと呟く声は、前列の客くらいにしかまともに聞こえなかった。そのまま口をつぐんでしまったが、目の前の客から、「身体のサイズも言えよ、ストリップの常識だろ?」と野次を飛ばされ、店主の説明を思い出した。どうせ分からないのだから適当に言えばいいのだが、もはやメイサにそんな余裕はなく、ドレスの採寸の時のことを思い出してしまった。「身長は150センチで…、その…」スリーサイズは最もデリケートな情報、言い淀んでしまった。観客の視線が怖く、チラッと目線だけ上げたところ、おそらくVIP席である奥のソファに座るリーゼロッテと目が合った。まるで査定するような鋭い視線に気圧され、目を逸らしてしまった。
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(思っていた以上にメイサを気に入ったようね…これなら契約のほうも上手くまとまりそうね…でも…)リーゼロッテの隣に座るビルボーは、身を乗り出さんばかりしてステージ上のメイサに垂涎の目を向けていた。隣にいるだけで劣等感を覚えてしまうほど何もかもそなえているメイサ…ビルボーの反応は予想通りではあり、メイサに屈辱を与え満足のハズだが、リーゼロッテは苛立ちを感じていた。女を見下し品物程度にしか思わないビルボー…そんな男さえ魅了してしまうメイサに…足りない…こんなんじゃ…ステージ上では、下着だけになっていたメイサがブラジャーに手をかけた…観客からは待ってましたとばかりに拍手と歓声が沸き上がる。豊かでありながら形を保つ張りのある乳房…その頂きには興奮で固くなった乳首がツンと上を向く…曲に合わせ揺れる乳房の様子に観客の興奮は増すばかり…「早く下も脱げよっ!」そんなヤジとともにステージには次々と投げ銭が投げ込まれる。全裸になることは当たり前で投げ銭なと投げ込まれることはない…それほどメイサへの期待か大きかった。全身を赤く染めたメイサも観念したように残されたショーツに手をかけた…家臣、領民全てから尊敬され憧れられた公爵夫人は、その全てを下衆な観客の目に晒したのだ。だが、その姿は場末の見世物小屋でストリップ嬢に身を落としたとも思えぬ神々しさがあった。スポットライトの光は、まるで天界からの一筋の光のようであり、その光に照らし出されるメイサは女神のように美しい…信仰心もろくにない観客たちですらその存在を信じたくなるような光景だったのだ。「何してやがる?早く股を広げておまんこを見せろよ…!」厳粛な雰囲気をぶち壊したのは、最前列の男たちだった。彼らは、メイサが女神などではなく、見られて感じるただのドMだと気づいていた。踊りながらショーツの色が変わるほど愛液を溢れさせ女は、ショーツをなくした今、その愛液は太ももに垂れるほど…観客たちが全裸になったメイサをどう見ているのかなど知らず、只々恥ずかしさに身を固まらせていたメイサには、声の主がアレクか観客の中に仕込んだ「手の者」に思われ、その声に従い床に腰を落とし両脚を広げていく…「な、なんだありゃあ…ぬ、濡れてるじゃねぇか…」大きく広かられた脚の間には、涎のように愛液を溢れさす割れ目がパックリと口を開いていた。その事実は、観客たちを現実へと引き戻した。「綺麗なマンコじゃねぇか…もっと開いて中も見せろよ…!」「次は四つん這いになって尻を見せな!」観客たちの言葉に煽られるように様々なポーズをとるメイサ…恥ずかしさもあるのだろうが、その恍惚とした表情はVIP席のリーゼロッテには苦々しく感じられた…これではメイサを辱めるのではなく悦ばせているようだと…「アレク…ちょっと…」リーゼロッテはアレクを呼び寄せると耳元で何かを囁いた。それを聞いたアレクは、呆れたように肩をすくめ「はいはい…仰る通りに…」と言葉を残しVIP席を出ていった。舞台の上で観客に言われるまま恥ずかしいポーズをとり続けていたメイサだったが、場内に流れる曲が終わると同時にスポットライトも消え、ようやく羞恥に満ちた舞台が終わろうとしていた。(終わった…)と安堵したのも束の間、すぐに二本のライトがメイサと突然舞台上に姿を見せてアレクを照らし出した。いったい何か始まるのか、不安そうにアレクを見つめるメイサを無視するようにアレクはマイクを手に話しだす…「皆さん…貴族夫人のストリップ…楽しんでいただいたよ
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