遥が走り去ったあと、暫らくの間、手に持ったショルダーバックに目を落としたまま身じろぎもせず立ち尽くしていた。あれだけ欲していたモノが手に持つショルダーバックの中にある…降って湧いたような幸運に高揚する気持ちを抑えられない。欲しい…遥のパンティが…遥が1日履き続けたパンティが…だが、欲望のままにそれを手にし、もしバレたら…窃盗という犯罪を犯し社会的制裁を受けることを恐れたのではない…遥の信頼を失うことを進一は恐れたのだ。遥が走り去ってからもうすでに何分かは経っている…学校はさほど遠くはない…遥のことだ…進一を待たせては申し訳ないと一生懸命に走るに違いない…だとすれば残された時間はあまり多くはないだろう。遥の未洗濯のパンティを手に入れる機会は、今の逃せばもう二度とはない…進一は、道路脇に作られた花壇の縁に腰を下ろした。膝の上にバックを抱え辺りを見渡す。黒を基調としたショルダーバック…仮に誰かが見ていたとしても女子高生の持ち物を中年の男が漁っているようには見えないはず…進一の後ろめたい気持ちが現れた行動だった。震える手でバックのファスナーを開けると、中には色々なものが割と乱雑に詰め込まれていた。(こ、これだっ!遥ちゃんのパンティ…)目当てのものは、バックの底に隠すよう入れられていた。進一は、それを槌むとポケットへ押し込んだ。「ごめ~ん…進一お兄さん…ハァハァハァ…」ショルダーバックのファスナーを元に戻したところに遥が息を切らして走ってきた。案の定、一生懸命走ったのだろう…額から大粒の汗が遥の頬を伝って流れていた。「そんなに急がなくてもよかったのに…それで忘れ物はあったのかい?」危なかった…あと少し決断が遅れていたらと胸を撫で下ろした。遥と別れ自宅へと向かう進一…あと少しでたどり着くところまで来てふと考える。時間的に考えると別れた場所からは、遥の家の方が近く、もう家に着いているころだ。だとすれば今頃は、合宿の後片付けをしている頃だろう…バックの中から使用したショーツを入れたビニール袋がなくなっていることにも気づいているはず…遥は、どう思うだろう…誰かに盗まれたと思うだろうか…遥がどう考えるかは分からなかったが、ただ、一緒に合宿をした仲間や昔からの顔馴染みの進一を疑うことだけはないと何の根拠もないが、そう思った。家に着いた進一は、リビングのソファーに座るとポケットからビニール袋を取り出した。焦って押し込んだためクチャクチャになっているビニール袋を丁寧に広げる。綺麗に折りたたまれた2つのショーツ…思いがけず手に入った宝物のように思えた。しばらくビニール袋を見つめ大切なものを取り扱うように持ち上げる…この時になってビニール袋の中身に対しての重さが比重が大きいことに気づく…遥が暑い中、1日中履いたショーツ…汗などを吸ったためだ。どんな匂いがするのだろう…進一がビニール袋のジッパーを開けると匂いが立ち込める…汗と僅かなアンモニア臭…遥の匂いだと思うと不思議と芳しい匂いに感じる。進一は、ビニール袋の口に顔を埋め思い切り空気を吸い込んだ。(こ、これが…は、遥ちゃんの匂い…)なるべく、ご希望に添えるよう頑張ってみます。なので、遠慮なくどうぞ。
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