周囲に変に思われないように、カップルを装ってピタリと寄り添い、たまに私の髪にキスをしながらゆっくり歩くの。
私はまだ躊躇っていて、足取りが遅い。
「ほら、定期を出して」
「でも…」
「何処に入ってる?ココ?」
「あ…」
「ふぅん、なおちゃんか。俺はさとる。宜しくね、なお。」
そうこうしてる内に改札に着いてしまったの。まだ今なら間に合う、この人混みをかき分けて次の電車にでも乗れば遅刻はしない…。
あたまがグルグルしながらも、お兄さんの逞しい腕に促されながら人の流れに乗って、あと数人で外に出てしまう。
私を先に押しやり、お兄さんはすぐ後ろに続いて、あぁ…出てしまった。日常と官能の境界線…。
「さぁ会社に電話しろ、もう自分でも分かってるんだろ?本能が俺に犯されたがってるって。」私をグッと引き寄せて頭を抱き締めてくれながら甘い囁き声で命令するの。
その声と強引さが、私の理性を一瞬だけ吹き飛ばしたの。何かに操られるように、会社に休みの電話を入れてしまったの。
「そう。イイ子だね、なお。じゃあ行こう。すぐ近くにホテルが有るから、たくさん犯してやるよ。時間はたっぷり有るんだからな。」
お兄さんの胸に頬を押しあて、高鳴る鼓動を感じながら、コクリと頷いたの。
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