S先生は車を運転しながら、静かに話した。「あれか…」私「私が自分の研究費以外で書類を作成するのは先生の指示によるものだけです。ですから…」S先生は私の話を遮り、語気を強めて言った。S先生「嵌められたんよ、あれに!!」私「あれって?」S先生「学部長や」S先生はそれから話を続けた。企業共同研究費の発注と納品、支払い…全く安全な人間に手続き書類を用意させ、業者に手を回して納品数を減らし差額をせしめる。昔は業者からマージンを得られたが、今は入札だから厳しい。そこで、入札で決まった業者に圧力を掛けて、上手くやる。大きな額ではないが数あれば大金になる。そういった書類は監査を通るが、ほとんどは納品数を数えないし、スルー出来る。私は妻を狙われて、あえて私の書類に違和感があると学部長がでっち上げた。納品数を確認すれば明らかになる。理事会に掛けられれば、アウトだ。S先生「おまえはやってない。だけど、やったことになってる。」私「S先生、それをご存じなら力になってください。」S先生「無理や。証拠が無い。」私「では辞表を出します。」S先生「おいおい、勢いで言ったらアカンよ。子どももおるのに…大体、辞表なんか受理されるかよ!?学部長にみんな押し付けられて被らされてクビや。再就職の道も断たれる。まあ、運転手くらいなら出来るけどな~」私は完全にやられたんだ…どうすれば…S先生「着いたぞ、まあ、入れ。俺の家だ。」郊外の立派な一戸建てで、庭もガレージもある。車を降りて、S先生と玄関を入った。すぐに女性が出迎えてくださった。とても品の良い綺麗な女性だ。歳は40後半だろう。S先生「妻だよ」私は丁寧にご挨拶をした。S先生「上がってくれ。着替えてくるから。」そう言って奥に入って行った。私は客間に通された。京料理のような美しい料理が並んでいた。部屋は純和風で、欄間を見ればこの家の経済力が分かった。S先生が入ってきた。「お待たせ」すぐに奥さまがビールを持ってきた。シックな紺のワンピースがよく似合う。S先生がビールを持って「まあ、やれよ」と勧めてきた。私は「いえ、今日は…」S先生「飲んだ方がいい。おまえの覚悟は分かった。全部、教えてやるよ。」私はビールを頂いた。S先生「一気に空けろ。そして食ってくれ♪」何かを吹っ切ったような表情に見えた。冷たいビールが私の喉を潤した。奥さまが酒を持ってきた。私にも「どうぞ、なにもありませんが」と言いながら酌をしてくださった。S先生「俺はな、旨い肴に旨い酒、そして、女が好きだ、ハハハー」と笑った。私にはS先生が豪快を越えて、バカに見えた。S先生はこれは旨いだろ!? どこどこの店のあれは旨い等と話ながら 飲む。私はこれから聞かされる話が怖くて…何を食べても味が無い。飲み込むも難しいほどに緊張と不安に襲われていた。ただ、酒だけはやたらに辛く感じた。S先生の料理の減り具合を見計らって、私が言った。「先生、本題をお願いしてます。」S先生は急に真顔になり、時計を眺め「そうだな。始めるか。心静かに聞けよ。それと他言するな。絶対に。ユキさんにもだ。」私は黙って頷いた。S先生の話によると学部長は、頭脳は勿論すばらしいが、政治力もあって、私が在学中、まだ講師だったS先生とある方のパーティーで知り合い、それから可愛がってくれてそうだ。S先生は まだ子どもが小さかったらしいが、学部長の力で今の大学に引っ張って貰った。そして、今の地位がある。「だからなんだ!?早く話せよ」私はイライラしていた。ゆっくり酒を含みながらS先生は続けた。「学部長の奥さんが病気なのは知ってるか!?」私は頷いた。S先生「病名知ってるか!?」私「存じません。」S先生「そうだろうな。たぶん、うちの人間では私しか知らないだろう」「心の病気だ。 うつ病と人格性解離障害等といろいろな病名は付いてるが、簡単に言うと人格破壊だよ」私は「はぁ」とだけ答えた。そこからS先生は堰を切ったように話した。S先生の話によると学部長は 滅茶苦茶なSの変態で、自分の妻でさえ、欲求の捌け口に使った。人前に晒したり、触らせたり、抱かせたり、縛った。時には複数の男たちに自由にさせた。S先生も何度も参加して抱いたらしい。奥さんは真面目で美しい方だったらしい。学部長の変態ぶりはエスカレートして、複数の男の前で、罵倒し、叱責し、辱しめ続けた。そして、男たちにやらせた。生で…ドロドロの奥さまに最後は学部長が、淫乱め!!肉便器!!雌ブタ!!と罵りながら、髪の毛を掴み、振り回して犯した。浮浪者を集めて回させた時もあったとか。いつしか奥さまは 孤高の人 となったらしい。何をされても 何を言われても 笑ってたらしい。私は吐き気がした。
...省略されました。