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これは、妻が大和さんと過ごした1週間の夏が終わり、1年が過ぎた物語である。
季節は夏の暑さが過ぎて、秋の過ごしやすい陽気になっていた。 妻「ねぇ、パパ。土曜日の幼稚園の運動会は来れるの?」 残業を終えて帰宅した妻は食卓に夕飯を出しながら私に聞いた。 私「あー。そういえば土曜日だったな。うん。大丈夫。行けると思うよ。」 妻「そっか。お弁当は何がいいかなぁ。」 私「俺はおにぎりと卵焼きがあればなんでもいいよ。」 妻「三郎が唐揚げばっかり食べるからなぁ。うーん。鶏肉どれくらい買おう。」 私「そうだなぁ。あまり作りすぎても仕方ないから なぁ…。」 そんな夫婦の会話をしながら、私は妻の出した夕飯を食べ始める。 私「しっかし、土曜日は何とか休みが取れても、日曜日は仕事だろうな。」 妻「そうなんだ。最近土日の連休あまりないよね。」 私「仕方ないよ。今大きなプロジェクト任せられてるからなぁ。」 妻「そうなんだ。あまり無理しないようにね。」 今、私は去年から取引を始めたイベント会社から新たな社内システムの構築の仕事を請け負っていた。 久々の大型案件の受注で部長や課長からも、今後の取引継続のために、何としてもクライアントを満足させる仕上がりにするように、との厳命を受けていた。 しかし、私のチームだけでは正直人手が足りず、同期の藤田のチームからも、何人か応援を貰っていたが、それでも時間にあまり猶予はなかった。 私「ま、なんとかなるだろ。」 そう呟いて、私は妻の出したミートソーススパゲッティを口に運んだ。
2020/01/11 16:45:18(TSnRjRsG)
朝6時。
真冬では、まだ陽が昇る前の時間だ。 リビングに入ると、既に梢さんが着替えてリビングにいた。 梢「あ、おはようございます。さっき私も降りてきたんで。」 私「おはようございます。早いですね。」 梢「いえ。それよりも、朝食準備しちゃいますね。昨日こちらに戻る前に食材買ってきたんで。キッチンお借りしてもいいですか?」 私「あ、はい。食材のお金は?」 梢「あ、大丈夫です。これくらいはうちでさせて下さい。」 私「いや、悪いですから。」 梢「気使わないで下さい。これくらいしないと、私が自分のこと許せないんで。」 私「そうですか。では、お言葉に甘えます。」 梢「ありがとうございます。」 梢さんは、駐車場に止めてある車から食材の入った袋を持ってきた。 梢「Kさんや、お子さんとか、何か食べられないものありますか?」 私「ないです。ただ、三郎はふりかけごはんしか食べませんが(笑)」 梢「うちのまりんも似たようなものです(笑)」 そう言うと、梢さんはお米の袋を開けてご飯を炊き始めた。 梢さんは流石専業主婦だけあって、一度、妻とうちのキッチンを使っただけで、何がどこにあるかは私よりも詳しかった。 20分くらいすると、高橋さんがスーツ姿で降りてくる。 高橋「おはようございます。」 私「おはようございます。」 高橋「あ、母さん。朝食はいらないから。今日はちょっと早く会社に着いておきたいから。」 梢「分かった。」 高橋「洗面所お借りします。」 私「どうぞどうぞ。」 高橋さんはスーツの上着を椅子にかけ、洗面所で軽く顔を洗い、歯を磨いた。 高橋「よし。行ってくる。」 梢「行ってらっしゃい。くれぐれも社長には気をつけて。」 高橋「あぁ。分かってる。」 高橋さんはスーツとバッグを持ち家を出ていった。 梢「昨日、寝る前に夫が話してました。少し早いけど、今日、吉田社長と勝負に出る、と。」 私「勝負?」 梢「詳しくは分かりません。けど、夫なりに何か覚悟を決めたみたいです。これで失敗したら、私達家族は会社を去らなきゃいけないみたい。」 私「そう……なんですか。」 高橋さんの勝負というのが、非常に気になったが、私はとりあえず、長男の一郎を起こした。 一郎は目をこすりながらリビングに入ってきた。 一郎「う~ん。お母さんは、大丈夫だったの?」 私「うん。ちょっと急な仕事で疲れたみたいだな。暫く病院に入院するけど、大丈夫だから心配するな。」 一郎「そうなの?お仕事辞めればいいのに。」 私「うん。仕事は辞めることにしたみたいだよ。」 一郎「そっか。あれ?おばさん?」 梢「一郎君おはよう。お母さんが病院に入院したから、代わりにおばさんが朝御飯用意しにきたんだ。」 一郎「え?そうなんですか?お父さん、お父さんがやればいいじゃん。」 梢「お父さん、昨日の夜遅かったから、おばさん手伝いにきたの。これからお母さんが退院するまで、たまには、おばさんのご飯で我慢してくれる?」 一郎「僕は大丈夫ですけど。何か昨日から、おばさんに悪いですよ。」 私「一郎、あまり遠慮しすぎると、おばさん困っちゃうから。とりあえず、学校の準備しなさい。」 一郎「はーい。」 そう言うと一郎は二階の子供部屋に上がった。 梢「礼儀正しくて、いいお子さんですね。」 私「妻が普段大人の人に対する言葉遣いはしつけてますから。」 梢「Yさんらしい(笑)普段からKさんのこと、主人って呼ぶのYさんくらいですよ。皆、旦那とか、ひどい人なんて、うちのハゲ、とか言ってる人いるのに(笑)」 私「あ、そうなんですね(笑)」 梢「やっと、ちょっと笑えましたね。」 私「あー。うん。そうですね。」 梢「とりあえず、Yさんがいない間は私達夫婦も手伝いますから、Kさんはお子さん達のパパをしてあげて下さい。」 私「ええ。そうですね。本当に。」 一郎が着替えてランドセルを持って降りてきた。 梢さんは、トーストとハムとスクランブルエッグそれとオレンジジュースを食卓に置いた。 一郎は、出された朝食をかきこむように食べて、歯磨きをすると、「いってきまーす!」と大きな声を出して学校へと出発した。 梢「お待たせしました。Kさんの朝食です。」 私の座る席の卓上に一郎と同じメニューが出された。 スクランブルエッグは甘い味付けをしていて、非常においしかった。 朝食を食べ終えると8時近くになっており、私は二郎と三郎を起こした。 二郎は一郎同様、母親がいないことを不思議に思っていたが、一郎と同じ説明をすると 二郎「じゃあ、病院で一杯寝て早く帰って来て貰わないとね!」 と言って幼稚園の園服に着替え朝食を食べ始め、三郎は、朝からまりんちゃんが家にいることにはしゃいで早速遊び始めていたが、まりんちゃんが朝食を食べ始めると、隣で一緒に朝食を食べていた。 私は課長に本日高橋さんが打ち合わせに向かう旨のLINEをした後に、妻の着替えを5日分、バッグに詰め、その間、梢さんは洗濯物を干していた。 8時半になり、全員朝食を食べ終えると、梢さんは、 手際よく食卓を片付けていった。 私一人では、とても出来なかっただろう。 やはり、高橋夫妻に助けてもらったのは大正解だった。 8時50分には出掛ける準備が整うと、梢さんは子供達を車に乗せた。 梢「じゃあ、お子さん達、幼稚園に連れていっちゃいますね。もしよければ、帰り私迎えに行きますよ?」 私「う~ん。大丈夫です。私は妻に面会出来ないみたいですし。多分迎えにいけますよ。」 梢「多分、お子さん達、バスで帰るんでしょうけど、じゃあ、幼稚園にはKさんが迎えに来ること言っておきますね。」 私「ありがとうございます。」 梢「いえいえ。これ私のLINEのIDです。もし、迎え厳しいようであれば、いつでも言って下さい。」 私「分かりました。」 梢「じゃあ。」 二郎「パパー!行ってきまーす!いってらっしゃーい!」 三郎「いってきまするー!」 二郎と三郎は梢さんの車の中から大きく挨拶をすると、梢さんはお辞儀をしながら、車を出発させた。 私は妻の着替えを車に積んで家の戸締まりをして、妻の入院する病院へと向かった。
20/02/03 23:08
(tcgx7iya)
投稿者:
(無名)
これから、Kさん家族は、どーなるのかな?Yさんは、どこまで元気になるのでしょう?続きお願いします。
20/02/04 13:14
(mUDlUD9M)
10時頃にC県T市にあるメディカルセンター病院へ到着し、受付窓口に行く。
受付「K.Yさん………午前最後の診察に産婦人科の日下部先生の名前で入っていますね。あれ?転院ですか。じゃあ、受付はこちらで……」 一時間程で受付が終わり、私は家族待合室に通された。 待合室で待っていると、妻の母親からの電話が入る。 義母「あ、もしもし。Kさん、病院着いたんだけど。どこ行けばいいかしら。」 私「あ、では今から総合受付行きますね。」 総合受付前で義母と落ち合う。 私「お義母さん、すみません。」 義母「大丈夫よ。心配しないで。Kさんも大変なのにね。」 私「まだ診察始まってないんですが、とりあえず暫く入院するみたいなので、これ、Yの着替えです。」 義母「ん、分かった。でも、家族は面会禁止なんてね。」 私「お医者さんの判断なので……。」 義母「そうねぇ。ただ、私も週1くらいしか来れないんだけど、いいかしら?」 私「いえいえ、十分です。ご迷惑おかけして申し訳ありません。」 義母「娘のことなんだから、迷惑なんてないわよ。それより、一郎達は大丈夫なの?」 私「えぇ。とりあえずは。」 義母「そっか、そっか。それが1番心配よねぇ。」 義母と話をしていると、看護師らしき女性が待合室に入ってきた。 看護師「K.Yさんのご家族の方、いらっしゃいますか?」 私「はい。」 看護師「診察終了しましたので先生から説明がありますので、どうぞ。」 私は義母と共に診察室へ入ると、昨夜診察してくれた女性医師がいた。 遥香「えーと。Yさんのお母様でよろしいですか?」 義母「はい。娘をよろしくお願い致します。」 遥香「産婦人科の日下部といいます。今回Yさんの主治医になります。よろしくお願い致します。」 義母「え?産婦人科なんですか?」 遥香「あぁ。はい。今回のYさんは、女性特有の病気もあるので、今回私が主治医になりました。」 義母「そうなんですね。」 遥香「まず、Yさんは女性ホルモンの分泌異常から神経系の病気が発症してしまい、今回の入院になりました。詳しい原因はまだ解明されておりませんが、過労や過度なストレスが原因と考えられております。ですから、同居ご家族の方との面会については今は控えて、お母様のみ面会を許可します。」 義母「はい、分かりました。」 遥香「ちなみに過去に何かトラウマ的なものとかはありますか?」 義母「んー。ない、と思うんですけどねぇ。女手一つで育ててきましたが、良い子に育ってくれて。」 遥香「そうですか。過去にトラウマ的なことがあったりすると、それが症状に影響を与えるおそれがあるので良かった。」 義母「あ、そうなんですね。」 遥香「それからYさんは、一部記憶が途切れていたりしますので、看護にあたり、無理にどうしたの?とか聞くと混乱してしまいますから、それも避けてあげて下さい。」 義母「え、そうなんですか?記憶がなくなるなんて、元には戻るんですか?」 遥香「大丈夫ですよ。例え戻らなくても、生活には支障ありませんから。」 義母「あ、よかった。」 遥香「とりあえず、病室は6階西棟の621号室の個室になりますので、荷物とかを持っていってあげて下さい。」 義母「分かりました。」 そう言うと、義母は看護師と共に診察室から出ていった。 私「お世話になります。」 遥香「よろしくお願いします。昨夜は、よく眠っていましたよ。まぁ、軽い導入剤入れたからですけど。」 私「ちなみに、義母にした説明は…」 遥香「全然違う内容ですよ?言ったじゃないですか。それらしく説明する、と。」 私「やっぱりそうなんですよね。」 遥香「さて、私は今日は奥様の診察のために来ただけなんで、病室に寄って帰りますので。」 私「あ、そうなんですね。わざわざありがとうございました。」 遥香「いえいえ。」 そう言って、主治医は診察室から出る支度を始めたので、私も診察室を後にした。
20/02/04 16:06
(sszqoekh)
待合室で待っていると、携帯電話が鳴った。
課長からだった。 私「お疲れ様です。」 課長「あ!K君!奥さんの具合はどうだ?」 私「1ヶ月くらい入院することになりました。」 課長「1ヶ月!?で、どこの病院に?」 私「C県にあるメディカルセンター病院です。」 課長「そ、そうか。お見舞いに伺いたいんだが。」 私「え?無理ですよ。家族も暫く面会出来ないんですよ。」 課長「えぇ!!そんな重病なのか!」 私「いや、精神的なものなので。」 課長「そ、そうなのか。」 私「課長どうしたんですか?昨夜電話した時は、私の出勤ばかり気にしていたのに。」 課長「い、いや………別にそういう訳ではないんだけどな。ただ、部長から、奥さんの容態を確認するように言われて……。」 私「そうですか。命に別状ありませんので、大丈夫です。明日は出勤するので、安心して下さい。」 課長「そ、そうか。分かった。では、明日待っているよ。」 私「お疲れ様です。」 課長との電話を切ると、義母が戻ってきた。 義母「予想してたよりも全然元気そうだったわよ。」 私「そうですか。」 義母「さて、帰りましょうか。」 私「はい。」 病院に近い駅で降ろしてくれれば電車で帰ると言うので、私は義母を駅まで送ることにした。 義母「あの子もねぇ。ちょっと責任感ありすぎる、というか、真面目すぎるのよ。何やるにしても、やると決めたら手を抜かないから。」 私「そうですね。」 義母「それで倒れちゃうんじゃあ、ね。もう少し気楽になってほしいわ。」 私には何も言えなかった。 家族を守る、という責任を押し付けたのは自分なのだ。 今更、私には何も言うことは出来ない。 車が駅に着くと、義母は車から降りる。 義母「じゃあ、来週は月曜日に行くわ。」 私「分かりました。ありがとうございました!」 義母「大丈夫、大丈夫。Kさんも、無理しないようにね。」 そう言って、義母は駅の階段を登っていった。
20/02/04 18:17
(sszqoekh)
投稿者:
(無名)
高橋さんが動いたんですかね?
まさか、Yさんをネタにしてたりして?
20/02/04 19:09
(FHc3WXyS)
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