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麗しき女教師
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:強姦輪姦 官能小説   
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1:麗しき女教師
投稿者: ミキ
進藤玲子、32歳は合唱コンクールを前にビアノを担当する女子生徒の練習につき合っていた。


………今日はもう遅くなったから、これでお仕舞いにしましょ。

そう生徒に促して、帰り支度を始めた。

………ちょっと待ってて、一緒に帰りましょ?

悪戯っぽく微笑みかけて、10分ほど待たせていた生徒とバス停まで歩き、程なく到着したバスに乗り込んだ。

駅に近いせいで混み合う車内、分かってはいたものの座ることは叶わず吊り革に掴まった。
演奏の上達を褒めるとこれまで頑張ってきた苦労を思い出しているのか、顔をときめかせる生徒。
あまり饒舌に喋る子ではないが顔を上気させながら、言葉を選ぶように答えてきていた。

異変を感じたのはどこか困惑したような、そんな表情を見せ始めたからだ。
元々頭の良く人に気を使うような性格の子だったが、伏し目がちになり目を合わさなくなってきていた。
玲子にはこの態度、仕草に覚えがあった。
同性から見ても人前で女の顔をするということは、状況から見ても原因は限られていた。

痴漢、ピンときた。
なぜならかつて自分も、経験したことがあるのだから。

女子生徒の下半身、お尻の辺りを見るとスカートを捲くられて男の手が蠢く様子を目の当たりにしてしまった。
身長が高く大人びたこの子は恰好の獲物ということか、餌食にはさせまいと二人の間に身を割り込ませる。
ちょうど目の前の人が下車のために席を立った。
すかさず生徒を座らせて、振り向きざまに男を睨みつけた。

………チッ!

強かな舌打ちをする仕草を見せた男が、忌々しそうに顔を横に向ける。
騒ぎを起こしてもよかったが、生徒に余計なトラウマを印象つけるような真似は控えた。

不安そうにこちらを見上げる生徒に精一杯の笑顔を見せた。
あなたを守る、大丈夫、強がりでも何でも自分しか盾になるしかないとその時は思ったのだ。

不意に自分の尻に不快感を覚える。性懲りもなくあの男の仕業に違いなかった。
もう小娘ではない、女とはいえ至近距離で睨みを効かせれば怯むはずだと冷静な眼差しを男に向けていた。

男は尻から手を離すとポケットにしまった。
さすがに怯んだと内心でホッとしたのも束の間、再び現した手にはナイフが握られていたのだ。
何が起きてもおかしくはない今の時代、背筋が凍りつく。
テレビの情報番組では連日に渡って事件を報じ、新聞の紙面を賑わす光景が目に浮んだ。

男は無言で指示をするように、顎を上げて前を向けと仕草で見せる。
こんなところで命を終えるのは悔しくてたまらないが、この子を巻き添えにはしたくなかった。

言う通りにする前に、男の手は既にスカートの中へと進入してきていた。
強張る表情を努力して笑顔に作り変え、女子生徒に向ける。
不安そうな顔を崩さない生徒に向かって口の動きだけで、大丈夫と伝える。

脚の付け根に冷たい感触、パンストが切り裂かれていた。
男の指が知りの下から前へとなぞるように進み、前後の動きに切り替わる。
あまりにもの不快さで、全身に鳥肌が立つ。
下着の前側のクロッチを通り過ぎた直後の位置で、男の指先が円を描くような動きに変わった

ここは、やめて………
危機感を感じて太腿をクロスして封じようと試みたが、脳がある予感を察知し始めてしまった。
寝た子が揺さぶり起こされて、愚図りだしてしまっていた。

波紋が広がるように幾度もうねりが押し寄せる。
唇を閉じて車窓の外を見ると、明かりを灯した建物が過ぎていく。
股の下を前後に動いてはピンポイントで刺激を繰り返す男の手、押し寄せる波に杭らう術を見つけられず固く目を閉じる。

爪を立ててカリカリと引っ掻く刺激が如実に鋭い刺激となって、甘味な信号を脳へ届ける。
クロッチを前後させる男の指が、滑らかさを欠いてきていた。
ある意味で動かしづらそうで、違う意味では動作を阻害するどころか助けになっている。

濡れていた………。

浸潤した玲子の愛液は量を増すごとに男の動作を補助してしまい、クロッチを指先でトントンと叩くと僅かに糸を引くほどに。

男は玲子の尻が半分が露出するくらい横にずらし、溝に沿って指を走らせる。
柔らかい玲子の肉襞が男の指を挟み込み、粘膜の上を難なく移動する。
行先を遮る場所に辿り着くと、こん盛りした部分を労るように撫で回す。
無意識に腰を引く格好になる玲子、直接触れてくる刺激は文句のない快感を体にもたらした。

眉間にシワを寄せて唇を閉じるしかない玲子。
泣きそうな表情を見せる生徒に携帯のイヤホンをさせ、目を閉じさせた。見なくても良い光景を見せるわけにもいかない。

男の指が入ってきた。
繰り返される出し入れは、程なく違う種類の波を寄こしてくる。
それは高さと奥行きのある波となって、否応なく玲子の膝の力を奪おうとする。
ガクガクと笑う膝をなんとか踏ん張る玲子を嘲笑うかのように、執拗に膣壁を行き来する男の指。
横顔を隠す髪の内側の玲子の表情は、甘味の渦に飲み込まれまいと理性が水面で息継ぎをしては飲み込まれていく危うさを表していた。

感じやすい体質の玲子はこんな場所じゃなければと場違いなことを思い、ベッドの中ではないことが恨めしかった。
男の指は置くまでは届かない。自らの膝を曲げたりしゃがみ込むような無理な態勢をしない限りは不可能で、この場ではさすがに出来ない。
それでも入口から程近い位置のポイントは、玲子を酔わせるには十分だった。

玲子は誰かの質問を否定するかのように顔を微妙に振り、正気を保とうと努力した。
溺れかけては一瞬だけ素に戻り、直ぐに飲み込まれ足掻いた。
やめて、やめて、やめて、やめて…………
呪文のように心の中で唱え、必死に杭った。

不意に波が収まるった。余韻が支配する体が言うことを聞かず、頭に靄がかかって思考が働かない。
下がっていたスカートの裾が上がった動きの空気が、下半身に触れる。
何かがソコに押し付けられ、内臓が圧迫されるような苦痛が押し寄せた。

玲子の口からは控えめに呻き声が漏れ、信じられないというように目を見開いていた。
 
2024/06/18 05:08:49(nuT2x6/5)
17
投稿者: ミキ
カランッ…………

氷の崩れる音が、耳に心地いい。

汗をかいたロックグラスの中で、琥珀色の液体が優雅に揺れる。

風呂上がりの火照った身体を落ち着かせ、すぅ~っと汗が引いていく。

玲子は2杯目をグラスに注ぎ、今度はソーダで割った。

見た目にはスコッチウイスキーに見えなくもないが、玲子はアルコールに強くはない。
3ヶ月前に青梅と完熟梅を瓶詰めにして、氷砂糖で漬け込んでおいた物が出来上がったのだ。
玲子特製の梅シロップ。
完熟梅だけだと甘すぎて、青梅を混ぜると酸味が出てちょうど良くなる。
水で割るだけで美味しいし、ソーダ割りにしたらそれだけで格別なのだ。

シュワシュワした刺激が喉を通り過ぎると、後を引く。
お代わりを作ろうとして、氷がないことに気づいた。

…………もうっ!

嘆いてみても無いものはない。

どうしようかしら……

アイスクリームは太りやすいので控える代わりに、これだけは我慢したくない。
飲み過ぎれば意味はないのに、読書の友にこれがないのは寂し過ぎる。

今から買いに行くしかないか………。

玲子は自分の格好を確認する。
部屋着のTシャツワンピース。
今から着替えるのは面倒くさいし、こういう時は大着をしたくなる。
カーディガンを着ればいいや……軽く考えて財布だけを持って外に出ていった。

コンビニから出てきた玲子は氷の入った袋を手からぶら下げて、生温い夜風に当たりながら家路を急ぐ。
歩道橋の階段を登りきった時だった。
誰かが道路の下を覗き込むようにしていたのだ。
若い男性らしい彼は身を乗り出そうとしていた。玲子は手に持つ物をその場に落として、走り出した。


………なにやってるのっ!


普段の玲子を知る者が見たら、どこにこんな力と勇気を秘めていたのかと思うだろう。

玲子は彼を引き摺り降ろした。
尻餅をついて呆然とする彼を見て、玲子は口を抑えて驚きを隠せなかった。
彼は玲子の教え子だったのだ。

…………研二くん?……研二くんじゃないのっ…


焦点の合わない瞳が宙を彷徨い、玲子に止まった。


ーーーあれ………玲子先生?


髪はボサボサで無精髭を生やし、薄汚れた服を着た身体からは悪臭を放っていた。
頬は痩けてかつての彼は見る影もなかったのだが、間違いなく彼なのだ。

ボロボロの彼を自宅に連れて還り、浴室に放り込む。
その間に玲子はもう一度外出し、身の回りの物を揃えて帰宅すると、彼のために消化の良い食事を作り始めた。


食事を終えた彼の前に、玲子特製の梅ジュースが置かれた。
それを一口飲んで、涙をこぼして彼は話し始めた。

確か彼は、演劇の道を歩んでいたはずだ。
信じていた彼女に騙されて借金を負わされ、彼は恐喝の被害にあっていた。

その詳細を聞けばきくほど玲子は、腸が煮えくり返った。
情事を隠し撮りされ、それをネタに彼から金銭を巻き上げていたのだ。
美人局という言葉が浮かぶ。
然るべき対応を取れば、解決する問題ではない。
映像が世に出たら、永久日消えることはない。
玲子にも苦い経験があった。

………大丈夫、先生にその手のことに精通する知り合いがいるの、だから待ってて。

玲子の腹は決まっていた。




ーーーその手のことに精通する知り合いねぇ……

………あら、違うの?

ーーー言ってくれるなぁ

………するの?…してくれないの?…そっちにも利益はあると思うけど

ーーー分かったよ、あんたの頼みじゃ断れねぇよ

………あたしの頼み?…頼んでないわよ?…利益になる話を教えてあげただけ、分かる?

ーーーあぁ〜分かった、分かったよ……あんたにゃ敵わねぇなぁ~まったく……

闇の世界の住人は頭をボリボリかいて、がっくりとうなだれた。

かつて玲子を闇の世界に引き込み、地獄の快楽にどっぷりと浸からせて、この男も玲子を味わった。
柄にもなく玲子に惚れてしまい、負い目を抱くようになってしまった。


ーーーまぁ調べてみたよ…俺が言うのもなんだが小悪党だな…被害者は何人もいらぁな…で、どうやる?

………そうね、絶望を味合わせてあげましょう



玲子は研二に相手と連絡を取ってもらい、待ち合わせ場所におびき出すように話をした。

ーーーオレ、先生を巻き込みたくないよ…先生まで被害に会ったらオレ………

………相変わらず優しいね、変わってなくて安心したわ……先生はね、怒ったら怖いのよ?………大丈夫、呼び出すだけでいいのよ……

玲子の包み込むような笑顔を見せるその瞳には、怪しい光りが灯っていた。


ランチタイムに賑わうファミリーレストランは、待ち合わせ場所に相応しい。
どんな相手が来るかと思えば、可愛らしい女の子だった。
ずる賢そうに笑みを浮かべる彼女の横には、これ見よがしに金のネックレスをした同年代の男が立ち、同じように玲子を見て微笑んでいる。

ーーーおばさん、誰?

開口一番に女の子が言った。

ーーーおい、そんな口を聞いたらダメだろ?

女の子は頭が悪そうだが、男のほうは少しは頭が回りそうだ。もっぱらこいつが指示役だろう。

男画が言う。

ーーーで、持ってきてもらえました?

いきなり金銭を要求してきた。
玲子も言った。

………ここではなんだから、車の中でお渡しします

2人は顔を見合わせて、ニヤリとしていた。


スモークフィルムを張り巡らせた高級ミニバン……メルセデス・ベンツを見て金持ちだと思わせる。
後部座席に2人が乗り込んだところで、どこからともなく現れた男が乗り込んできて、ドアがロックされた。

ーーーなっなんだよオッサン!

男が気色ばむと、闇の男は冷静にこう言った。

ーーー若いっていいなぁ…まっ、頑張れや

そう言う闇の男の手には、モデルガンが握られていた。
ただモデルガンにしては、あまりにも精巧に出来すぎていた。



男は赤い絨毯が敷き詰められた部屋に連行され、ひとりポツンとしていた。
四方をコンクリートの打ちっぱなしの壁に囲まれ、部屋のまん中に大きなベッドが鎮座していた。
施錠されたドアが開く音に、男が振り向く。

そこには屈強な身体をした男が2人、立っていた。
髭は綺麗に剃られているのに四角い顎は青く、頭は坊主、白いお揃いのブリー1枚だけの姿だった。

ーーーなっなんだよおい……来んなよ……こっち来んなよ!

怯える男を見て、屈強な彼らは太い声で言った。

ーーー美味しそうね……ほんと、美味しそう……

舌舐めずりをしながらブリーフを脱ぐと、自販機に並ぶ細い缶コーヒーほどの太さのあるペニスが、見事に天を向いていた。

2人のうちの片方が男を羽交い締めをし、もう片方が衣類を剥ぎ取っていく。
全裸にされた男は巨根を咥えさせられ、もう片方の後ろから受ける衝撃に涙を流していた。

部屋中に男の絶叫が響き渡った…………。


女の子は5人のおやじに囲まれていた。

ーーーいや…来ないで…来ないで…触らないでっ!


剥げおやじ、脂ぎったデブ、巨根もちのチビのとなりには包茎の長身、無駄に筋肉質な極短極太のペニスもち。

ジリジリと間合いを詰めて捕獲した女の子の暴れる身体を抑え、身包みを引っペ剥がした。

ある者は下半身に取りつき、ある者はペニスを口に突っ込み、ある者は貧乳にむしゃぶりつき、残りの2人はそれぞれペニスを握らせた。

ひとりが挿入し、遅漏の長いインサートが始まった。
口汚い罵倒を吐いていた女の子もいつしか静かになり、しつこく突かれているうちに恍惚の状態に変化を遂げた。
1人目がやっと終わると間髪入れずに二人目が入り、本気のオーガズムを迎えた。
当然そのおやじが終わるまで続き、すぐに三人目、四人目………五人目遂げた続く。
一人辺りが3〜40分はかかり、一周するまでに三時間近くぶっ通しで続けられた。

彼女は回復期間を与えられ、長期間に渡って数かぎりなく貫かれた。
その結果は精神を病むことになったが、セックス依存症となって自ら腰を振るまでになっていた。

彼らは半年後に僻地で発見され、精神病院に収容されたという…………。



研二が玲子の部屋に来てから2週間が過ぎようとしていた。

まだ危なっかしいが、精神的には落ち着いてきたようだ。

いつまでも置いておくつもりはないが、その時が来るまで玲子は待っていた。

その兆しはあるのだから………。


洗濯機の中に入れた下着が物色されるようになり、クローゼットの中も多分、見られているだろう。
死んだような目をしていたが、性欲が戻るようになればもう安心できる。

だがいつまでまっても手を出してこない。
そうなれば、体よく旅だちを促せるのに……。



その夜のことだった。

夜中にトイレに行きたくなった。

玲子はリビングのソファに眠る研二を起こさないように、静かに通り過ぎるつもりだった。
暗闇にも彼がそこにいないのが分かったのだ。
ベランダにもいないとなると外出でもしているのだろうか………こんな夜中に。
思わず考え込みそうになった玲子の耳に、物音が聞こえた気がした。

トイレにいるのかもしれない。
でも、違った。
彼は洗濯機の前に座り込み、玲子のショーツを嗅いで自慰をしていたのだ。
もう潮時だ、朝になったら出ていってもらおうと冷めた目で彼の後ろ姿を眺め、その場から遠ざかるつもりだった。

彼の背中が小刻みに震えだした。
小さなすすり泣く声が、その状況には相応しいわけがない。
不意に彼が振り向いた。
身を翻すタイミングを失った玲子は彼の目を見て、ハッとした。

彼が手に握るペニスは萎えたままで、彼の目は、歩道橋で会ったときのように死んだ目をしていた。



玲子は胸騒ぎがして、そこから動けなくなっていた。
24/07/16 00:53 (By6fdI27)
18
投稿者: ミキ
日々回復する研二を見ていても、彼の見せる笑顔には影があるような気がしていた。

時間が解決してくれると思っていたけど、甘かった。一向に上向きにならない原因を知りたかったが、彼の心を開かせるほど、残念ながら玲子にはその器用さがない。

研二は助けを求める術が分からずに心から血を流している……彷徨う彼を救いたかった。
不能になるくらいだから、彼にはまだ話せないことを隠しているに違いない。

玲子は研二を立たせると背中に手を当てて、自分のベッドルームへと歩いた。
自己防衛なのだろう、心がどこかに行ってしまった彼の目は、何も見てはいない。

自分のベッドに寝かせると、彼は横向きになって赤子のように身体を丸めてしまった。
玲子の心は張り裂けそうだった。

在学時の研二は女子にモテる明るい人間だった。
男女分け隔てなく接する彼はとても明るくて、困っている人を見過ごすことは出来ないのだ。
押しつけがましくなく、優しい彼はそこを利用されて漬け込まれたのかもしれない。

玲子は着ている物の緩い襟をずらし、滑らかな肩からストンっと落とした。
薄いパープルでレースと透けた部分のある、大人の下着は彼の目には映ってはいない。

窓から入る柔らかな月明かりに照らされて、息をのむようなプロポーションが浮かび上がった。
そのシルエットが動き、背中のホックを外す。
プツンッと僅かな音の後に、玲子の足元に落下した。
続いて両手をショーツのサイドに差し入れ、靜に降ろしていく。
長い脚を曲げて片方づつ抜いて、玲子の手から離れてヒラリと落ちる。

玲子の膝がベッドに沈み、彼の横に並んだ。
研二の瞳は玲子を通り越して、地球の地平線を眺めていた。
玲子はそっと彼の唇に、自分の唇を重ねた。

仰向けにした彼に自分の身体を預け、包み込む。
また唇を重ねた。
不意に彼の意識が彼の身体に戻ってきた。
玲子はそれを認めると、彼に静かに話し始めた。


………大丈夫よ、大丈夫だから安心しなさい…

…辛いことがあったのよね…いい?大丈夫よ……

…ゆっくり取り戻そうね…安心して……


また唇を重ねた。
研二の唇が震えている。

………心配しないの……ねっ、大丈夫だから……

玲子は話し始めた。

……今日のことは、秘密だからね?
先生ね、誰にも言えない秘蜜があるの。
好きでそうなったわけじゃない、仕方がなかったの。


玲子の心もまた、血を流していた。
未だ止まらぬ出血は、一生止まらないかもしれない。


…あのね…先生も誰にも言えない辛い体験をしていたの、学校に研二くんが居た頃もそうだったのよ、知らなかったでしょ?

研二くんに酷いことをした彼等はもう、いなくなったの。二度とその姿を現さないからね。
お金も取り戻したから、大丈夫よ。
理由は話せないから、聞かないでね。

世の中の女性の皆がみんな、あんなクズじゃないからね。
研二くんはたまたま事故に遭って、怪我をしたの。だからあとは心が回復するだけ。
元気になろうね、先生と約束よ?


先生と約束よ………研二は懐かしい言葉を聞いた。
学校にいた頃、玲子にそんな言葉をかけられたことがあった。忘れていたが、今それを鮮明に思い出した。
玲子先生は可憐で清楚で、優しくて温かくて、その美しい見た目も人柄も大好きだった。
いや…決して実らない片想いをしていた。
その彼女がいま、側にいる。
今はじめて気づいたように、正常に戻された心が心臓を鼓舞し始める。

玲子がまた唇を重ねてきた……柔らかい。
舌をが入ってきた……上顎を撫で、歯の裏側に触れる。
舌を絡ませてきた……口の中で抱き合い、何度も愛撫を受ける。
玲子の唾液が甘くて、心が溶けそうになる……溺れて窒息する前に飲み込んだ。

玲子が下にずれて首筋からデコルテ、胸板…乳首を口に含まれて研二は声が出てしまった。
脇腹までその唇が下がり、やがて下半身に到達する。
玲子は気づいた。
玲子のこれだけの愛撫を受けても彼は、勃起をしていないのだ。
そのペニスを手にとって、口に含む。

決して急がず、優しく丁寧に舌を使う。
柔らかい唇の粘膜を密着させて、いつまでも執拗にゆっくりと味わう。
何度も何度もゆっくり上下させ、味が滲み出てくるまで何度も。

頑なに拒否していた血流が流れ出し、海綿体がその流れをやっと許可した。
むくむくと膨張をはじめ、研二は立派な勃起を果たした。
玲子は本当の理由が分かった気がした。

彼のペニスは手術痕があったのだ。
素人がちょっと見ただけでは気づかない、プロが巧みに縫い合わした見事な仕上がりだった。
どうせあの小娘が研二を弄んで、男の尊厳を踏みにじったのだろう。
まだろくな収入もない中で生活をきりつめて貯めたお金で手術を受ける、そんな研二の健気な姿が想像される。
その彼の恋愛感情に漬け込んで、恋人だと信じていた女の子が美人局を仕掛けられた心痛は想像するに余りある。


透明な男の愛液が溢れ出した。
研二が堪え兼ねたように溜息を漏らす。
怖ごわ玲子の頭に彼の手が添えらた。
その手が彷徨うように動き、震える。
腰が少し持ち上がってはベッドに着地する。

ーーーあっ…あぁっ…先生…玲子先生…あぁっ……

その時が近づいてきた。
すぐにはゴールさせないように、その寸前で立ち止まり鈴口を舐める。
竿の横を玲子の口が滑り、根元まで唾液を刷り込んで先端に戻るとまた新たな愛液が溢れ出た。

ゆっくり頭を上下振る。
唇が茎から大きな蕾に移る。
腰がうねり出し、早くも限界が近づいてきた。
玲子は焦らす。
鬼頭から唇を外すのに、彼が腰を上げて追いかけてきた。

堪え性がないわね…………。

玲子は微笑ましく思いながら、スパートをかけた。
研二が悶絶をはじめる。

じゅっぷっ…じゅっぷっ…じゅっぷっ………

玲子の唾液と研二の愛液が空気を含んで泡立つ。
彼の腰が硬直を始めて動かなくなった。
唇が鬼頭を抱き込んで数回ほど通過した時だった。
玲子の喉奥に、勢いよく精液が発射された。

うぐっ!………

咳き込みそうになるのを玲子は必死に堪え、目に涙が溜まった。
何度も脈打ちながら出てくるものを受け止めて、玲子は全てを飲み込んだ。
尿道からも吸い出すと………

ちょっと待ってて……喉が渇いちゃった…

玲子は一旦、ベッドを離れた。
本当は口を洗いたかったが、ベッドルームのドアが開け放たれている。それを閉めるのは意味深だし、キッチンが見えていてはそれが出来ない。
玲子は2人分の梅のソーダ割りを作って戻った。
経験値の浅い彼は、自分の精液の臭いがする玲子の口と、キスはしたくないだろう。


………はい……あたしね、お酒が弱いから梅酒じゃないんだけど、好きなの…これ

口をグラスにつけた玲子を見て、研二も飲んでみた。
香りがよくて甘過ぎず酸味も絶妙だ、研二は喉を刺激する炭酸の心地よさを楽しんだ。

………お酒じゃなくて、ごめんね…どお?

ーーー美味しいよこれ、どこの?

………あら、お世辞でも嬉しいな……先生の自家製よ

ーーお世辞じゃないよ、変な香料の香りないし……へぇ~、先生が作ったんだ?

………研二くんに少し持たせて上げようか?

ーーー玲子先生用でしょ?…なくなっちゃうからいいよ………ねっ、お金出すから来年は僕の分も作ってよ?…だめ?

…………しょうがないわね、そこまで絶賛されちゃったら…来年は先生が研二くんの分も作って置いてあげる……お金はいらないわよ


何気ない会話をしていたが、今更に全裸でいることが急に恥ずかしくなってきた。
玲子は自分から視線を外して言葉を探すようにする、そんな研二に気づいた。
会話がうまく続かなくなってきた。

研二は痩せ型だが、肌もきれいで程よく筋肉質だ。照れる彼を見ていたら玲子も猛烈に羞恥心が湧いてきた。

…………もう、なによ……恥ずかしいから何か喋ってよ

ーーーえっ…何かっていわれても……

盗み見るようにチラチラ玲子を見る。
月明かりに玲子の白い肌が眩しくて目を逸らしたが、無理だった。
巨乳ではないにしろ十分なボリュームの乳房。
アンダーとの差の開きのある形の良さは彫刻のように美しく、突き出た大きめの乳首に目が惹かれる。

先ほど部屋から歩いていくときに見せた後ろ姿。
歩を進めるたびに動くお尻はとても魅力的で、クビレのある腰のラインが女性らしい美しさを見せていた。
すべすべしていそうな背中だけでも素晴らしく、まったく贅肉のないお腹の下に燃え盛る炎のような濃い陰毛が、その下へと誘いをかけてくるかのようだ。

……もう…そんなに見ないで……先生だって恥ずかしいのよ…



先生だって………。
そう、彼女はかつて通った学校の音楽教師だ。
憧れていた玲子先生………先生………。

言葉は必要なかった。
彼に熱く見つめられていると、玲子は体温が少しづつ上昇するのを意識せざるを得なかった。

研二が近づいてきた。
目を閉じると唇に柔らかな感触を感じて、自然に彼の首に手を回していた。

ゆっくり押し倒されると、胸に舌の触れるなんともいえない喜びを感じて身体が反応を始めた。

持ち上げるように下から這い上がる手に包まれて、倒された乳首がピンっと跳ね起きる。
指先で摘まれて挟んで、こねくり回される。
舌にちろちろと舐められて、吐息が漏れる。

右手がいつの間にか下ろされていた。
陰毛をかき分けてたどり着いた指先が、敏感なところに触れた。
玲子の顎が弾かれたように上がり、咄嗟に手で口を抑える。
ただ指先が擦るだけなのに、堪らない。

研二は玲子の反応を見て身体ごと下にずれる。
少し抵抗する脚を膝を持って拡げる。
身体を入れて、玲子のそこを凝視した。
剛毛の森から小指の爪ほどもあるクリトリスが顔を覗かせ、その下に愛液で光るクレパスが続いている。

指で開いて下から舐め上げた。
滑りのある粘膜が舌触りよく続き、何度か往復させてクリトリスに取りかかる。
自分を騙したあの女の子のクリトリスは小さかったが、とてもよく感じてくれた。
…………いや、比べられるものか!
玲子先生のほうが比べ物にならないくらい綺麗で、大きくて素晴らしくて、甘い気がする。

舐めれば舐めるほど愛液が湧き出てきて、玲子の切なげな声が聞こえてくる。
愛液の分泌が増えるにつれて芳醇な女の匂いが漂い、研二の興奮も増す。

甘い玲子の愛液を啜る。
この大きいクリトリスをどうすれば玲子先生を感じさせてあげられるか、考えるよりも反応を見た。

がむしゃらに舐めるよりも、繊細に舐めたほうが淫らになった。
舐め方をころころ変えるよりも、ある程度同じ攻め方のほうが腰をよく弾ませた。
試しに吸って舌先で叩いたら下半身を震わせて、そのまま腰が浮いてきた。

舌が痺れようと疲れようが、動かし続けた。
暴れる腰を抑えるのが大変だったが、最後に腰をストンっと落として、軽い痙攣を見せて静かになった。

お腹、脇腹、溝落ち、乳房………。
徐々に相上がりながら愛撫の旅をした。
恍惚を漂わせる玲子の表情は美しかった。

薄目を開けた玲子が唇を重ねてくる。
ねっとりとした舌の戯れが、求め合う為の導火線に火をつけた。
勢いのついた絡みつきは、互いの唾液が潤滑油となって激しさを増す………。

再び玲子は研二のペニスを咥え込む。
愛おしさを包み込み、その温もりを欲しいままに愛した。

ーーーせっ……先生……ぼく…もう…………

彼の化身から口を離し、玲子は微笑んで言った。

………ふふっ……だめよ、まだ…

身体を起こして研二に跨がった。

彼の化身が抱き起こされて、先端が茂みの中に連れて行かれた。

…………そんなに見ないで……恥ずかしいじゃない…

ーーー玲子先生、綺麗です……すごく…

…………ばか……

ーーー違うよ、先生のソコも……玲子先生のすべてが素敵なんだ………悔しいな、上手く言えない…

………ありがとう……好きよ、研二くん…

玲子はこんなに愛おしい気持ちになるなんて、夢にも思わなかった。

その気持ちを溢れさせ、彼を飲み込んでいく。

離さない………離したくない……ずっと……


玲子の中に彼を包み、まだ未開の地へと誘い込んむ。


ーーー先生……玲子先生……ずっと好きだった…ぼく

玲子は化身に夢を与えながら、甘いマスクに顔を近づけた。

………何も言わないで……研二くん……

これ以上、彼に何も言わせないように唇を重ねた。
本当に好きになりそうだったから………。
未来ある彼を自分のような女に立ち止まらせるなんて、出来ない。

心の底から気持ち良かった。
見栄も立場も必要ない、今夜はひとりの女になりたい……そう思った。

自ら心を開放したセックスをしたのはいつ以来だろう………いつになく玲子は乱れた。
恥ずかしいくらいに感じて、一気に上り詰める。
そして、動き始める。

彼は我慢していた。

………いいの…………我慢しないで……………………

……あなたを、ちょうだい……………そのまま………

…………きて……そのままきて……んっ…んんっ…あっ…



美しい玲子は、常識を超えた苦しみを与えてきた。

清楚で柔らかくて、優しくて温かくて、どこまでも綺麗でいい匂いがして……エロチックで………。
淫らに身体を揺らしながら、暴力的な快感を惜しげもなく注ぐのだ。

耐えられない……だめだった。

研二は背徳的な快感に打ち震え、玲子の中に射精した。

ーーー先生………

………いいの……こんなに良かったの、久しぶりよ


ーーー玲子先生、もっと……いい?

…………えっ?…まだできるの?

ーーーもっとあなたを見ていたい……だめかな?

…………ばか……恥ずかしい…………ちょうだい………



身体を入れ替えて、研二は若さを打ち込んだ。

限界の旗は遥か遠くにあり過ぎて、当分はたどり着きそうにない。

乱れる玲子に覆いかぶさる。
ペニスで中から……唇と舌で外から……
敏感になった玲子は何をしても喘ぐ。
顔を紅潮させた玲子は子供のように嗚咽を漏らし、しがみついてきた。

また、その時を迎えていた。


乳首を転がしていると、やっと回復した玲子が深い息を吐いた。

………壊れちゃうと思った………すごいんだもん

ーーー玲子先生、素敵だったよ

…………だから、恥ずかしいって……もう

ーーーあんなになって……いいなぁ

ーーーばか………えっ……研二くん、まだなの?

ーーーもっと感じて欲しくて、見ていたかったんだ……玲子先生、かわいいんだもん

………呆れて言葉が見つからないわ……

ーーーいつまでも見ていたい……あなたが素敵だから……

どう言葉を返していいのか、本当に分からなかった。
こんなに丸裸な言葉は、経験がない。

死ぬほど恥ずかしくて、幸せだった。

彼に抱かれたい、もっと抱いて欲しい………

心の底から想いが溢れて止まらなかった。


………ねぇ、研二くん………先生のどこがそんなにいいの?

ーーー存在のすべて

………もういい

ーーー本音だよ?

誰だって人に知られたくないことはあるでしょ?

それが何であれ、乗り越えた人は魅力になる。

玲子先生は見た目が素敵なだけじゃなくて、あなた自身が素敵なんだ。

………抽象的過ぎて、よく分からない。

分かりやすく言ってくれる?


心の奥深く誰にも触れられたくない部分が、癒やされていく。
足かせを外された気がした。

ーーーわかり易くかぁ……玲子先生の心が好き。
月並みなのは、声が好き、匂いが好き、自分が嫌いだと思うあなたも好きです……

もうだめだ………玲子の心が震えていた。

玲子は初めて異性に惚れたのだ。


ーーー信じてないでしょ?……じゃあ……新しいところだとね………

玲子先生の梅ジュースが好き。先生の温もりが好き。目が好き。髪の毛も好き。眉毛も好き…………

…………………………下の……下の毛も好き。


舌触りの良いクリトリスが好き。
下から出るエッチな液体も匂いも好き。
下の形も色もみんな好き。

玲子先生の胸もお尻もお腹も背中も……身体の全てが好き。

玲子先生が、大好き。



玲子は途中から彼の言葉が耳に入らなくなった。
黒い歴史に彩られ、自分でも手がつけられなくなった部分が初めて浄化されたのだ。

涙が溢れて止まらなくなった。


ーーー玲子先生?………


研二は玲子を黙って抱きしめた。

可のが泣き止むまで。


研二自身、玲子によって地獄から救われたのだ。
だから玲子を縛る頑固な焦げ付きのような、黒い影の存在を感じたのだ。


鼻をすすり、やっと玲子は顔を上げた。

………ありがとう……やだ……あたしったら…

ーーー重石が取れたみたいで、良かった。

玲子先生がぼくを助けてくれた、お返し、出来たかな?


玲子は黙って唇を重ねた。
舌を自然に愛撫をし、彼の唇を甘噛みした。
耳も首も、腕も胸も、お腹も脚も、身体中を甘噛みしても玲子は足りなかった。

ほとばしる女の性欲を、収めて欲しかった。


…………研二くん……おねがい……抱いて……


恥ずかしくて、彼に背中を向けた。

研二はそういうことかと思い違いをしてしまった。
玲子を後ろから抱きしめ、そのまま一緒に前に身体を倒すと腰に両手を置いた。


…………えっ?これじゃないのに…

玲子はまた抱きしめあって愛を確かめ合いたかった。
研二は女心までは見通す力はないようだ。

………えっ…ちょっと…まっ…んっ!

奥まで貫かれ、悶絶した。

わりと早いペースで彼は突いてきた。
玲子は意思を伝えようとしたが、その前に思考が鈍りだしてきた。
そして、とろけるような快感に飲み込まれていく。

不本意で理不尽な彼のペニスは玲子の想いを飲み込んで、表ではお尻に接触するたびに湿度のある音を奏で、中では粘膜と執拗な接触を持続しながら子宮の入口を叩いた。

玲子は腕で身体を支えられなくなり、上半身が崩れ落ちた。
手に握りしめられたシーツがシワを刻み、身体が前後に揺れる。
肛門が弛緩してはキュっと締まる。
無意識に足の指が開く。

そして、玲子は脱力した。

研二は達する直前に痙攣を起こされて、その機会を失った。
疲労が蓄積した身体が重い。

玲子を仰向けにして、その中に入る。
弛緩した入口が締めつけた。 
出し入れもゆっくりなものにして、その世界に浸る。
すると忙しく動いていたときには気づきにくい、膣の複雑さが与えてくれる寛容さを改めて知ることができた。
ザラついた腹部側が嫌味なほど鬼頭をなであげる。

玲子の落ち着きのある反応が、エロチックに揺れる乳房に釘付けにさせる。
転がしがいのある乳首が舌先に心地いい。

玲子の反応が怪しくなる。
何度も聞いたその時が近づく際の、そんな兆しが現れていた。

一段と締めつけがキツくなった。
愛おしい玲子を抱きしめて、すぐ近くに迫る限界に杭らうことをやめた。

そして、その感覚に身体が震えた。





翌朝、玲子が目覚めた時に、研二の姿はなかった。
シンクには昨夜に2人で飲んだグラスが洗われて置かれ、もう乾いていた。
いつ部屋を出ていったのか、まったく気づかなかった。

テーブルに彼のメッセージが残されているのを見つけて、玲子は見ずに捨てた。




冷たい空気が肺を満たす。

自分の吐いた息が白い水蒸気となり、背後に流れ消えていく。

早朝のジョギングを再開して、半年が経つ。

公園前を通り過ぎ、道路に出た。

横断歩道を渡って駅前も通過する。

また横断歩道……赤信号に捕まった。

ふと雑居ビルの壁に張り付くポスターに、目が止まった。

今度開催される舞台の予告ポスターだった。

予感めいた気持ちに後押しされて、キャスト陣の居並ぶ名前を目で追っていた。

その中に、研二の名前があった。

懐かしさが湧き上がりそうになる前に、軽い痛みを覚えた。

おめでとう……………。

玲子は一言そう呟いて、彼の名前に指先で触れた。


そして、また走り出した………。





24/07/17 00:42 (maFGcMYm)
19
投稿者: ミキ
玲子の部屋には訪問者がよく訪れる。

夏のこの時期になると色鮮やかな蝶々や、窓から入ってきたきたセミが壁にとまり、盛大に鳴くこともある。もちろん、丁重にお帰り頂いた。
びっくりさせられたのは、カブトムシである。
カーテンにいたのを発見したときにはゴキブリと勘違いをして、震える手に持つ殺虫剤を噴射するところだった。

クーラーがあまり得意ではない玲子は、開け放たれた窓からの風が好きなのだ。


………まったくもう…見てないで追い払ったらどうなの?


ちょこんと足元に座る猫に対し、腰に手を当てて不満を漏らさずにはいられない。

つい先月の昼下がりのこと。
玲子がうたた寝から目覚めると、ベランダから入って来たらしい一匹の猫が部屋にいた。
玲子に気づいても逃げようとするわけでもなく、堂々と昼寝を再開する子だった。

……きっと人と暮らしていたことがあるのね……

玲子は薄汚れたその猫が、昼寝から覚めれば帰えるだろうと、そっとしておいた。
だけど、待てど暮らせど一向に帰ろうとはせず、お腹が空いたと玲子に訴えだしたのだ。

……あなたのお家はどこなの?……困ったわね……

追い出すわけにもいかず、夕食用の鶏肉を茹でて裂いたものと、お水を猫に与えた。
空腹が満たされると優雅に毛繕いを始め、玲子お気に入りのクッションの上で寝てしまった。
翌日になっても出ていく気配を全く見せようとず、快適なこの部屋に居座る気満々だった。

とうとう根負けした玲子は猫グッズを取り揃え、動物病院で健康的診断を受けさせた。

ーーーん~3〜4歳の男の子ですね、虚勢済みですよ……放浪してた影響で痩せてるけど、血液検査も問題ないし…まぁ健康かな。ノミとお腹の中の寄生虫の駆除をしましょうか。

獣医師に太鼓判をもらって部屋に帰ると、剥離期間が明けるまで組み立てたケージの中にいてもらうことにした。不満を訴えられたが、寄生虫が落ちるまでは我慢してもらわなくてはならない。

今はで〜んとお腹を上に向けて、頼んでもいないのに玲子のベッドで一緒に寝ている。
猫は人間より体温が高い生き物である。
人が大好きらしく、玲子にべったりとくっついて寝てくれるのだ。

………嬉しいんだけどね、暑いのよ……

愚痴る玲子を見ても……知らにゃい…と言わんばかりに幸せを独り占めにする猫。
喉を鳴らす大爆音のゴロゴロを耳元で聞かされ、今夜も玲子は眠れぬ夜を過ごす………。


…………行ってくるね……夕飯までには帰るからね……



床に伸びて寝る毛むくじゃらに、外出と必ず帰る旨を語りかける。
彼を迎えてから外出先から帰宅すると、拗ねてご飯を食べてくれないことがあった。
あれこれと懸念事項を消去法で排除すると、残るは独りぼっちにされたことしかないと思ったのだ。

彼は部屋を移動する玲子の後を、どこでも後追いする猫だった。
最初は可愛くて仕方がなかった、それは独りよがりではないかと見方を変えて考えてみた。
甘えん坊な性格だが、聞き分けは良い子だ。
なのに部屋中をついて回る理由に思い当たって、胸が苦しくなってしまった。

恐らく彼は一度、捨てられている………。
また置いていかれる…捨てられる…そんな不安に襲われるのではないか、そう考えれば合点がいく。
以来、外出するだけで、必ず戻ると報告することが習慣になった。理解して安心したらしい彼は、寝ていても尻尾を動かして……あいよ!…と返事を見せるようになった。もちろん帰宅時に拗ねて見せるなんてことは、もうなくなった。



カランッ…コロンッ…カランッ…


浴衣を着た若い女の子が下駄を鳴らす。彼氏なのか、手を引かれて玲子の前を歩いていた。

左手には金魚の入った透明な袋とウチワが握られている。

アップにされた髪の毛が白いうなじを見せて、涼しげな浴衣がいなせである。

カップルが通り過ぎた後にオレンジ色が鮮やかな鬼灯の鉢を見つけた。
鬼灯の鉢の隣りには涼しげな朝顔の鉢も置かれ、玲子は思わず足を止めた。

ーーーおっ!?姉さん…鬼灯に目をつけるたぁ粋だねぇ〜

白髪を角刈りにした、法被姿の店主が声をかけてきた。

ーーー日本の夏はこういうのがいいやな………そこをいうと姉さん、こういう風流なのが分かるたぁいいねぇ……気に入った!…今の人はこんなのが分かんねぇのが増えていけねぇや……

江戸ッ子気質の店主に気に入られて、通り過ぎることが出来なくなってしまった。
そうとなれば玲子は、本腰を入れて物色を始めた。

ネイビーのワイドパンツを履いたお尻に手を当てて、すぅ~っと膝裏まで滑らせながらしゃがみ込む。
その形の良い尻に、斜めに切れ上がるショーツのラインが浮かび上がった。

長く楽しみたいならこっちだと、まだ青みの残る鬼灯を店主に進められ、玲子は購入した。
それにしても、今日は暑いな…………
ノースリーブのブラウスに汗が滲んで、白いシンプルなブラジャーが浮き出ていた。

バス停までを近道しようと商店街に差し掛かる。
急に人の数が増えてきたと思ったら、賑わいのある音が聞こえてきた。
玲子は身動きが難しくなった体を建物の前に寄せた。
すると笛や太鼓の音と共に、御神輿がこちらに向かってやってくるではないか。
威勢の良いかけ声が飛び交い、人々の熱気が一気に上がった。

………これの影響だったのね……

滅多に見られない光景だが、身体がだるくて楽しむ余裕もなく、早く涼みたい気持ちを抑えて通り過ぎるのを待っていた。


………わっしょいっ!わっしょいっ!わっしょいっ!


目の前を通り過ぎる御神輿を担ぐ法被姿の男達。
なぜだかそのかけ声が遠くに感じた。
呼吸が苦しくて、頭痛もする。
手足が痺れ、膝に力が入らなくなってきた。
視界が急に暗くなり、次に見えた光景は横になった地面と人々の膝から下の脚だった。


おいおい…女が倒れたぞ……

うだつの上がらない町の産婦人科医が偶然、倒れる玲子に気づいた。
神輿に興奮してみんな前を見て、誰も後ろの事態に気づく者はいなかった。
酒好きが災いし、赤ら顔の産婦人科医に足を向ける人がいなくなるのは当然である。
気晴らしに祭りを見に来て、貧乏くじをも引いた気分になっていた。

腐ってもそこは医者、見て見ぬふりはできなかった。
畑違いだが、熱中症なのは産婦人科医でも分かる。
点滴をして休ませれば回復するとみて、玲子を連れ帰ることにした。

診察台に寝かせ、点滴の処置をする。
今さら気付いたが、えらい美女ではないか。
酒が飲みたかったが、昨夜飲んでしまってもうない。
玲子の胸元を摘み上げ、中を見た。
シンプルな白いブラジャーが見える。
下から持ち上げられるようにして、乳房の盛りあがりが凄いではないか。
良からぬ思いが止まらなくなった。
中年男は受話器を耳にあてていた。


ーーーもう…かんべんしてくださいよ~

呼び出された男が開口一番に、泣き言を漏らす。

ーーーツケをチャラにしてやると言ったろ?
あれは持ってきたか?

呼び出された男は、中年男の後輩だった。
麻雀で散々負けて、借金が溜まっていたのだ。
それをチャラにする代わりにある薬剤を要求されたのだ、

ーーーまずいなぁ…まずいですよ…医師免許がなくなっちゃいますって…

泣き言を続ける後輩に、中年男は言った。

ーーーんじゃ今すぐ借金、払えほら

中年男は手を出して、後輩の顔の前でひらひらさせる。

ーーーわかりました…わかりましたよ……これっきりにしてくださいよ

中年男はしたり顔で言った。

ーーーじゃ、始めろや……お前しかできんからな

持ち出させた薬剤は、量を間違えられない。
間違えたら最後、考えたくもない結果になる。
だが、量を調節したら身体の自由を一時的に奪えるのだ。

ーーーもう知りませんよ?…ぼくのことはナイショにしてくださいよ

最後まで泣き言をいいながら、奇妙な泣き笑い顔で禁断の薬剤を投与していった。



ずいぶんと寝ていた気がする。
見慣れない天井が不思議だった。
平らなところに寝かされたはずなのに、身体が後ろに傾斜して下半身が開いていた。
玲子はハッとした………身体に力が入らない。
誰かがパンツを脱そうとしていた。

ーーーおぉ〜いいねぇ…サイドがヒモになってるじゃねぇか

玲子は腰骨の上を通るサイドが紐状になっているショーツを履いていた。
夏は薄手の服装になりがちなので、腰回りが特にタイトなパンツなら、横がすっきりしていたほうが綺麗に見える。

玲子は声をあげようとしたが、口も舌も上手く動かせないことに気付いた。

ーーーちっ!…目が覚めたか……おい、頼むわ

目隠しのカーテンが引かれた向日から誰かの指示する声がした。
いきなり目隠をされ、手首を縛られて固定されてしまった。


ーーーいいか?…じゃ、味見するか

中年男は玲子の下半身のそこに鼻を近づけて、鼻をわざわざ鳴らして匂いを嗅いだ。

ーーー洗ってないここの匂いは堪らんな……

中年男は我慢ならないといった感じで玲子の脚を片方づつ降ろし、ショーツを引き抜いた。

ーーーおいおい、またそそる濃さじゃねぇか………近頃は毛のない女が多くなったからな………こんな
いい女が………クリトリスも舐めがいがありそうだ


土手を左右に開き、また匂いを嗅ぐ。
臭い、我慢ならん!…独り言をいいながらしゃぶりつく……玲子の身体がピクリとした。

尿と汗、おりものの入り混じった芳香が鼻腔を貫く。
舌が割れ目を掻き分けて、通り過ぎると閉じていく。
塩味を楽しみながら、しっとり柔らかな粘膜と両側の壁の肉感を堪能させてもらった。

オーラルセックスにおけるメイン、クリトリスに取りかかる。
女性器を知り尽くした中年男は、見た目にそぐわずソフトに舌先を使った。

触れるか触れないか、繊細な攻め方に玲子の身体は準備を始めた。
徐々に膨張をはじめ、ぷるぷるした感触はツルンッとしたものに変わった。



玲子は論理的な思考が難しくなった。
部分麻酔でもかけられなければ、誰だって嫌でも感じてしまう。
せめてもの抵抗で呼吸を制御して、無理やり仕事のことを考えたが長くは保たなかった。
魅惑的な刺激に身体が反応し、足に力が入る。
視覚が奪われて、どうしても触覚に集中してしまう………だめだった。


中年男の舌が滑りを捉えた。
視界の隅で、足の指に力が入る様子が入ってくる。
舐めがいのある大粒が、舌先を押し返すような硬さを誇示する。
肛門に愛液が溜まり、小さな水たまりが現れた。
弄ぶのはこれぐらいにして、本格的に攻めることにした。

ーーー先輩、ぼくもいいですか?

後輩も、暴走をはじめる。

ーーーん?……なんだ、我慢できなくなったか?……

そっちで楽しめよ…


後輩は淫らな呼吸をする玲子を見て、ブラウスのボタンを外し始めた。
現れたブラジャーを上にずらすと、見るからにその気にさせる乳房がお目見えした。
白くてボリューミーな山には大きめの乳首が勃起して、見る者を誘っているように見える。
我慢できそうもなかった。


柔らかい乳房を自分のほうに寄せ、薄い茶色をした乳首を口に含んだ。
舌の動きに反発して動いてはすぐに戻り、ぷるぷると弾む。
舌を左右にスライドさせて、先端を愛撫する。

玲子が我慢しきれなくなったように、喘ぎ出した。
見えないカーテンの向こうから聞こえる水音に合わせ、反応を見せている。
呼吸する息が小刻みに震え、吐きだす息が苦しげに聞こえる。
切なげに出る玲子の声が、興奮に拍車をかけた。


いきなり玲子が胸を反らせ、口を開いた。
白い喉を見せ、顎を上げた。
ぷるぷると身体を震わせ、ゆっくり頭を振っている。
尋常ではない何かと戦っているようだった。


中年男は鬼頭の形をした濃いピンクの粒を惜しげもなく、ちゅうちゅう吸い込み舌を使った。
叩いてずらして擦って、強弱をつけて吸った。
薬剤の投薬量をびびって間違えたようだ。
もう腰が持ち上がっているではないか。
突然、顔に温かい液体が噴射されて、びっくりした。

そんなに気持ちいいなら、イッていただこう。
舌を押し当てて、細かくスライドさせる。
暴れる腰を押さえつけ、手を離さなかった。

ブリッジのように持ち上った腰が数秒ほど停止をし、力尽きたように落ちて、そのまま動かなくなった。

まだまだ楽しもうと思っていたが、我慢できなくなった。
年季が入ったペニスを取り出す。
赤黒く屹立して血管が浮かせ、カウパー汁を滴らせていた。
押し当てると拒絶され、体重をかけると少し埋没し………飲み込まれていった。

若い子でもないのに締めつけが思ったより凄い。
いや………普通じゃない。
絡みつくという表現そのままに、ペニスが抱きつかれるようではないか。
前に眠らせた女の子の中に入れたときも凄かったが、その比較にならない。
天国だった。



しゃぶる乳首が口から逃げた。
リズムを刻む揺れ方に乳房が波打つ。
始まったようだと思った。
次は自分だと、後輩は期待に股間を膨らませていた。



吸い付かれるような感覚に、早くも限界が近づいていた。
女が見たい、習慣で意味のない目隠しカーテンを引いてしまったが、それをどけた。
乱れる女の反応のしかたで、中の感じが露骨に変化する。
こんなに興奮させるいい女は久しぶりだった。


揺れる乳房を鷲掴みにして、突き入れる。
もう余裕なんか無い。
いい歳なのに、夢中になって必死に出し入れを繰り返した。


ーーーあっ………あっ……………むぅ~っ!!!


暴発という表現が正しい、そんな終わり方だった。

潔癖な後輩は、中に出す姿を見て諦めた。




数週間後、とある町の産婦人科医が無惨な姿になって発見されたと、そう風の噂に聞いた。
彼は謎の失踪をしていたらしい。

PTSDの診断を受けた彼は、人口肛門の手術を持ちかけられていて、頑なに拒否をしているという。

その後輩だと判明した男も失踪から同じように、数週間後の発見だったらしい。

彼は精神科に通った後、なぜか同性とラブホテルに入る姿を目撃されるようになったとか。


その真意は、誰にも言わないらしい………。












24/07/18 01:26 (W6Wi2rqH)
20
投稿者: ミキ
だいぶ過ごしやすい季節になった。

昼間はそれなりに暖かいのに朝晩は冷え込むようになり、着ていく物を考えるのに頭を悩ませてくれる。

………あなたはいいわね、何も着なくていいから


腕の中で温もりに浸る猫に、語りかける。
夏毛から冬毛になって、ふわふわした触り心地になった。
そろそろベッドから出るのに…えいっ…っと、思い切らないといけない。
少し前まで玲子が起きると朝ご飯を食べたくて、自分を追い越してまでお皿の前で待っていたのに、今はまだ温もりに包まれていたいらしい。
ベッドの中に潜ってしまった。

猫のご飯を用意してトイレを掃除すると、浴室に行って熱いシャワーを浴びた。
毎朝の習慣の身体のチェックをする。
お腹まわりにお肉がついた気がする。
人が見たとしたら、どこが?と言うかもしれないが、気おつけなくては……。

お尻はまだ垂れてない、太腿にも隙間はある。
胸だって張りはあるし、首にシワもない。
顔は若い頃に比べればそれは……それでも同年代の女性に比べたら5、6歳は若く見られる。
化粧水を肌に染み込ませ、保水ジェルで追い打ちをかる。
下着は少し迷って薄いグレーのショーツを手にとり、足を通す。何の飾り気もないが必要以上に隠さず狭すぎず、シンプルなデザインが気に入っている。
揃いのブラジャーもシンプルだが、控えめに曲線を描くカップのデザインが好きだった。

髪の毛を乾かしてブローを施して、薄いメイクで音楽教師の仮面を作り、優しい色のルージュを引いた。

ヌードベージュのパンティストッキングに足を通し、プレストジャケットワンピースを着る。
Vネックが深く胸元に切れ込むデザインは大人の魅力を演出し、玲子の魅力的なボディを惜しげもなく上品に底上げしてくれる。

胸元には控えめなネックレスが素朴さを主張し、玲子のインパクトのある魅力を中和する。柔らかく可憐な雰囲気を漂わせるのに一役かっていた。

コーヒーとトースト、ヨーグルトとバナナの朝食を終えると、出勤時間だ。
猫に行ってくると伝えると、春秋用のパステルグリーンのロングコートを着て玲子は玄関を出た。

混み合う朝の電車はもう慣れたが、未だに好きにはなれない。
玲子の務める学校の生徒たち数人が乗っていた。
クラブ活動の朝練なのだろう、スポーツバックを持っている。
乗り込んできた乗客に押され、玲子の後に流れてきた。
その中の誰かの肩が、揺れに応じて玲子の肩甲骨に触れる。
身体が斜めを向いているのか、お尻の横が玲子のお尻に接触しては離れ、接触する。

あっと思った。
本人は手を当てているだけのつもりだろうけど、明らかに玲子のお尻を包んでいる。
振り向いて注意をするのは簡単だが、その後の彼は学校で針のむしろになるかもしれない。
自業自得と切り捨てるには、酷かもしれない。
そっと手で払いのけるだけに留めた。

だが玲子の気も知らずその手はコートのスリットをかい潜り、ワンピース越しに触れてきた。
これ以上してくるなら、本当に考えなければならない。
触り方から拙さが伝わる。
お尻の柔らかさを確かめるかのように、指先に少しだけ力を込める。
無駄に動かさないので、体温の温かさがいやらしい。

玲子は普段、淫靡な人格を心の部屋に閉じ込めている。

静かな部屋には白い木枠の出窓があり、レースのカーテンがそよ風に揺れている。
窓からはどこかの高原のような景色が見えて、鮮やかな緑の草原が広がっている。

外の景色は明るいのに、部屋の中は暗い。
部屋の中心にはベッドが置かれ、清潔な白い布団に深い眠りに落ちた玲子が寝ていた。


お尻に置かれた手は少しずれては止まり、玲子の逆鱗に触れる手前で立ち止まる。
触り方がソフト過ぎて嫌悪感が湧き上がる前に、天秤が望まぬほうに下がろうとする。
理性と欲求、その比重のバランスを保たなければならない。

腰をづらしてみたが、周りに迷惑なので手を振り落とすには至らない。
体温が上がってきた。
玲子はそんな自分を容認できなくて、下唇を噛んだ。
一度沈み始めた天秤は、水分を吸収したスポンジを載せられたように傾きが深くなっていく。

ベッドに眠るもう一人の゙玲子が寝返りをうった。

その手がついに動きをみせる。
じりじりとワンピースの裾を捲りだしたのだ。
気持ちは焦るのに身体が動かない………もう一人の玲子が目を覚ましてしまった。

受け入れられない、忸怩たる気持ちに理性が焦げて煙が上がる。
あっ…っと思った。
パンティスストッキング越しに、体温を感じていた。

玲子はただ、車窓を流れる外の景色に目を向けていた。



職場の学校に着くと、職員室の自分のディスクでその日の調整と確認、雑務をしてすぐ音楽室に向った。
音楽室の中には壁を隔てて自分用の部屋があり、ディスクに教材を置いて誰もいないトイレに足を向けた。

個室に入ってパンティストッキング、ショーツを降ろす。
割れ目の溝に食い込んでいた生地が、剥がれるようにしてやっと離れる。
透明な糸がツゥ〜っと伸びて、切れた。
ショーツには女性器の形そのままの、恥ずかしい滲みが出来ていて、玲子は溜息が出た。

手を洗いながら鏡を見る。
音楽教師にしては、いささか艶っぽい。
今日の玲子は教師というより、女になっていた。
少し堅く見えるワンピースのせいだろうか。
その理由に思い当たる玲子は、鏡に水を浴びせてやった。
そこに映る玲子の瞳は、淫らな色をしていたのだから。

身体の芯が、火照っていた………。



放課後の音楽室に楽器の音が鳴り響いていた。
体育祭に向けて吹奏楽部の生徒たちが、連日練習に励んでいるのだ。
この子達が社会に出た数年後、一生懸命だったこの日を思い出し、困難に打ち勝って欲しい。
青春を謳歌する彼らを見て、玲子は切に願った。


…………違う!……そこはタイミングをもっと合わせて…いい?……さぁ、もう一回いくわよ!


小一時間みっちり練習をして、解散とした。

………じゃあ机を戻しましょう…

フォーメーションを作るのにスペースを開けなければならず、机をどかす必要があった。
どかすということは、戻す必要もある。

自分の持ち場を片付けた子たち玲子が見ていない隙に、さっさと帰って行く。
明日、あの子たちにはお小言が待っている。
見かねた生徒の一人が残ってくれた。

ーーー玲子先生、みんな薄情だね?……
今日は早く帰んないとテレビドラマ、間に合わないみたいだよ?


………やぁ~ね……明日は菱木くん、そのまま帰っていいわよ?


呆れつつも一人だけ残った彼に、玲子は悪戯っぽく言ってみた。


………あとこれだけ動かすの手伝って呉れるかしら?………それでおしまい!


最後に残った無駄に大きくて重い教壇を指さし、うんざりしたように玲子は言った。


玲子が前で彼が後。なので玲子が後ろ向きで背後に進む形になる。
途中までは順調だった。

バランスを崩した玲子が手を離し、たたらを踏んで尻餅をつく。
いきなり重い教壇から手を離されてつんのめった彼は、教壇の角に腹をぶつけたくなくて横に回避する。
何も触れるものはなく、たたらを踏んで前に倒れてしまった。

玲子に重なる形になった彼の手は、玲子の胸の上だった。
痛みとショックから回復した玲子が状況に気づき、あたふたと後ずさる。
彼も焦って身を起こしたが、玲子の膝が身体を支える彼の腕に当たってしまう。
そんな安っぽいコントのような不可抗力の連鎖が、奇跡的なことに繋がった。

つっかえ棒を外された形になった彼が倒れた先にあったのは、玲子の股間だった。
スッポリとスカートの中に顔が埋まり、2人の動きが止まった。

身を起こそうと後ろに両肘をついて停止した玲子と、暗闇の中で状況を理解した彼。
あまりにも信じられないことが起こると人間は、思考が停止する。

呼吸をしていた。
いや、彼はスカートの中で匂いを嗅いでいた。
異常な状況下で本性が出たのは彼だけではなく、玲子もだった。

淫らな玲子が覚醒したのだ。

身じろぎもせずその恰好のままで、頭を突っ込んだ彼ままの彼をうっとりと玲子は見つめた。
生暖かい彼の息がゾクゾクさせる。

あぁ………欲しい………


身体の欲する声が、理性を麻痺させようと甘く囁く。

彼の手が太腿に触れる………玲子はハッ!っとした。
今朝の電車でのことが蘇ったのだ。
あれは彼……間違いなく菱木だと確信した。
痴漢をする輩はそれぞれの癖がある。
彼の場合は無意識なのだろう、指先だけに力を入れて、感触を確かめるように触るのだ。

玲子は彼の頭を押しのけ、立ち上がる。
彼も立ち上がり、所在なさげにモジモジしている。
朝の犯人が彼だと分かって少なからずショックだったが、責任は取ってもらう。
もうしてはいけないことぐらい、分からない年齢ではない。


………今のはわざとじゃないんでしょ?

先生、黙ってるから………。

そうだ、今日はもう遅いから一緒に帰りましょうか…


彼の返事を聞かず、有無を言わせず玲子は言った。


体温が上昇するのを、玲子は自覚していた。



24/07/18 17:38 (W6Wi2rqH)
21
投稿者: ミキ
学校の目と鼻の先にあるバス停で待つ間、自転車に乗った生徒たちが2人の前を通り過ぎていった。
他の部活動で最後まで残っていた、運動部の生徒たちだ。
電車、バス通学をする生徒は、30分前にはもう下校してしまっている。

ポツポツと会話はあるものの、先程述べことがあって意識してしまうのか彼のぎこちなさが目立つ。
バスの中でも特に、会話はなかった。

駅の改札を前にして、抑えていた心臓が高鳴るのを玲子は意識していた。
たった10時間くらい前、彼は眠っていた玲子を起こしてしまったのだ。

食品工場や製造業のプラントが集まるこの路線は、帰宅ラッシュが過ぎたこの時間でもそんなに空いているのを見たことがない。

ホームに降りて、普段は並ぶことはない場所まで歩く。
階段から遠い最後尾の車両は、鉄道マニアでもなければ敬遠する人は少なくない。

電車が入って来た。
一応は連結部に近いほうのドアから乗車した。
やはり混み具合はそれなりなので、空間を求めるふりをして車掌のいるほうへわざと移動した。
玲子の想像よりも今日は混んでいる。
この中をまた戻るのはあまりにも迷惑にである。
計算通りに角まで辿り着けて、まずはホッとした。
壁に寄り掛かれるから……そんなはた迷惑な理由を彼に思わせられたようだ。

………ここまで混んでるわね…

玲子はひと言呟き、彼を隅に追いやって背中を向ける。
生徒を守る教師……そんな建前を彼に意識させられただろうか。
あとは…………玲子は待った。


何事もなく3つの駅に停車、そして当然のように電車が走り出した。
朝と同じ、彼の目の前には玲子の背中があった。
不完全燃焼になりそうで、玲子は諦めかけていた。
朝のことは、彼ではなかったのか?不安に思うのと申し訳なくて、自己嫌悪の気持ちが頭をもたげる。

自分の思い違いに辟易してきたときだった。
朝と同じ温もりが、同じようにお尻に感じていた。

触り方も同じ、スカートの中に入れてくるやり方も同じだった。
心に灯る炎が、勢いを増して大きくなっていく。
音楽室でのことが、尾を引いているのが分かる。

所詮はまだ子供なのだ。
パンティストッキングを降ろそうと、手が彷徨いがら四苦八苦している。
スカートをそこまで捲りあげる勇気はないのかもしれない。

玲子はスカートの中の彼の手を振り払い、彼に向き直って睨みつけた。
途端に顔を紅潮させて、俯いてしまった。
大人の女を軽く見る子供は、許しはしない。
最後まで逃さない。

玲子はワンピースの下のボタンを外し始めた。
プレストジャケットワンピースはボタンがデザインとして特徴的だが、ダミーも少なくない。
玲子の着るこれは、本当にボタンで止めるタイプである。
チラリとショーツを見せるとどうしていいか、分からないようだった。

この場でストッキングを脱ぐのは現実的ではない。玲子自ら破いて見せた。
彼の手を持って、押し当てる。
恐らく彼は、性体験はまだなのかもしれない。
的を得ない触り方が焦れったくて、興奮する。

彼のスラックスのファスナーに手をかけた。
やや抵抗の仕草を見せたが、あっさりとペニスを取り出せてしまった。
半分ほど覆う包皮を下げると、透明な液体が漏れ出てきた。
もうそれだけで、玲子は十分だと思った。

勃起したペニスを水平にしたくて下に向けると、苦痛らしくて手首を掴まれた。
それくらいペニスに勢いがあって、硬い。
ショーツを自らずらし、押し当てる。
この期に及んで拒絶を見せてきた。

腰を引いても彼の後ろは壁なのだ。
右足を彼の腰に回して絡ませる。
引き寄せられて彼は逃げられず、それでも抵抗を見せたが鬼頭はすでに埋没を始めていた。
両手で腰を引き寄せると、半分くらいが入ってきた。
大人しくなって諦めたように見えたのに、まだ腰を引こうとして見せる。
電車の揺れを利用して玲子が腰を使うと、彼が腰を引く。
彼が望むと望みまいとに関わらず、成立するのだ。

彼が玲子の腰を掴んで前に押すと、玲子が彼の腰をを引き寄せる。
彼の腰に絡めた右足を角の壁に押し当てて、彼は今度こそ逃げられなくなった。
彼がしないなら玲子が動けばいい。

彼が協力してくれなくては奥まで届くことはないが、気持ちの良い場所には当たる。
彼は顔を引きつらせて耐えている。

…ぬっちゃっ…ぬっちゃっ…ぬっちゃっ…ぬっちゃっ…

ペニスの温もりを感じ、硬さが堪らない。
気持ちが良いのか、堪らなそうな顔を見せ始めた。
彼に掴まれたところに力が入る。
悶絶を始めたと思ったら、鬼頭が膨らんだ感じがした。

若い子に精液を注がれるのは、久しぶりだった。


この程度では到底満足なんてできるわけがない。
まだ彼には役に立たってもらわなくては……。
玲子は腰を動かした。


射精直後は敏感なのか必死に拒絶をしてきた。
憧れていたセックスはこういうもの、女の膣の中はこういう感触だと知ってもらう。
彼に構わず道具としてペニスを味わう。
あんなに拒否していた彼が、また気持ち良さそうな表情を見せ始めた。

みっちゃっ…ぬっちゃっ…にゅっちゃっ……

結合部から漏れ出る精液が嫌な音を立てる。
さすがに玲子も感じてきてしまった。
こうでなくては………。


…………あぁ……すごい…………いい………


だが童貞の彼が、いつまでも保つはずがない。
2度目の射精が始まった。
若さのある、勢いが置くまで届く。

硬さが衰えないペニスを、利用しないわけにはいかない。
早いのだから回数をこなして、我慢して………。
身勝手な欲望を押し付けて、玲子は執拗にペニスを味わった。

……ぐっちゃっ…ぐっちゃっ…ぐっちゃっ………

乗客の数人が角にいるカップルが怪しげな雰囲気だと気付いたが、镸コートが邪魔で確信が持てずにいた。
目障りだ、いちゃつくな、ほんとにしてる?
各々が勝手な不満と妄想を抱いていた。



もう彼は諦めたかのように、されるがままになった。
眠そうな目蓋をして、呆けた表情を見せている。
そのうち腰を動かすようになっていた。

ねっちゃっ……ねっちゃっ……ねっちゃっ………


苦しげに顔を歪ませるのに、腰を止めようとは思わないようだ。
玲子も積極的に腰を使った。
迷うことなく奥まで導く。

………あっ…………だめ…………………いっちゃ……う………


人目もはばからず、玲子はオーガズムに震えた。
とても満足できるとは思わなかっただけに、堪らなかった。

玲子の締めつけに杭らえず、彼は3度目の放出をしてしまった。

しばらくはそっとして欲しい、それだけだった。


彼が腰を離した。

玲子はすぐにショーツを定位置に戻す。

漏れ出る精液が、臭いを発しないように………。



玲子はまだ、足りないと思っていた…………。
24/07/19 01:15 (JO.Wd8d3)
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