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1:碧い眼の雪女
投稿者:
味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
日本人は肩書きやブランドに弱いと聞いた
金持ち、高学歴、社会的地位の高さ 表面で物の価値を決める輩ばかり 上司には逆らわず下の者をこきおろす そんな悪しき習慣もあると聞く 今日、日本にやってきた 俺はこんな国で長い間生活せねばならんと思うとしんどくなる "ファーストクラスの"旅客機から降り 空港のロビーを通り外へ出れば迎えの車が待っている "運転手付きの" 車が! 質のいいスーツを着た女性が出迎える 美人だ・・・日本人の美人は好きだ 歳よりずっと若く見えて黒髪が神秘的だ 「隼斗ぼっちゃま、お待ちしておりました。」 「ハァーイ♪はじめまして」 「私は中津八枝ともうします。日本では秘書兼執事の役目を任されました」 「はいはーい♪よろしくぅ」 車に乗り込む BMW 6シリーズか 悪くないけど良くもない 俺・・・名前が長ったらしいので省略させてもらう 葛城隼斗 世界有数の富豪の息子 この世界では数奇な ゆりかごから墓場まで"勝ち組"な人間 ちなみに純日本人ではない 血が色々と混じっててよくわかんないけど いいとこ取りの色男ってやつ!! 運転席の執事に話かける 美人だし食っちゃおうかな 「中津さん、今夜ひま?」 「・・・いえ、多忙です」 「そっかー、一緒にディナーでもどうかなと思ったんだけどー」 「・・・ぼっちゃまは昔と変わりませんね」 「へ?」 中津さんはこちらを見ずに写真を一枚こちらに差し向けた 小さい頃の・・・俺? 隣の少女は? 「私です」 「ほ!?」 「幼馴染みというやつでしょうか、ちなみに今ぼっちゃまが14歳、私が21歳です」 「うほほ!?なんと、まぁ・・・・あ!てか俺の事が好きで好きで専属秘書に!?」 「ご冗談を」 早っ!? 俺が言い終わってからコンマ一秒の間も無かったぞ 「ま、いいや、・・ディナーはなにかなー?スシー?ステーキー?」 信号で車が止まる 中津が振り返る 「ぼっちゃま、日本に来たのは"調教"のためにございます。故、私も厳しく指導いたします。ご覚悟を」 きっ・・・・つい目付き やべ・・・この人、美人だけどマジに怖い人だ ・・・・ 時計を巻き戻そう 簡潔に言うと ハワイで親戚の叔父たちの娘に手を出した 親戚全員だ チューしたりちょっとエッチな事しただけだよ? それがいけなかったようで・・・・ 俺の祖父 つまり 王様のお怒りをかったわけだ しかし 調教って・・
2014/09/23 14:13:02(z3nDAXgn)
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味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
何日かここで生活してた
彩花といるから退屈はしないがな 妹が不気味で仕方ない なんなんだ、アイツ 五秒先が分かる? たしかにこの世には超能力みたいなものはあるのかもしれないが・・・ 正直キモチワルイ 彩花と真理亜はすごく仲良くなったようだ それもまたムカつく 「真理亜ちゃんは近くの学校に通ってるの?」 「ん?ううん・・・学校は苦手なの・・でも勉強は好きよ」 二人で仲良さそうにガールズトークしやがって 俺も混ぜてよ 「ぼっちゃま、おじ様からお電話です」 「あ?あぁ・・・」 中津から電話を受けとる なんだっつーの、ジジイ 「もしもし」 「隼人か、どうだ?」 「どうだと聞かれても答えようがないです」 「まったく、お前は・・・・真理亜とこれから一緒に暮らすんだと伝えたか?」 「は?」 「なんだ?言ってないのか・・・・その洋館はホテルとして再利用する計画があってだな」 「勝手だな」 「その代わりに新居は用意してやる」 「なぁ、ジジイ」 「こんの、ガキが!・・・なんだ?」 「俺の親ってどんな人?」 「・・・・・真理亜から聞け」 けっ 電話切りやがった 中津に電話を返した 俺も彩花とじゃれたい! 「彩花、なにしてんの?」 「ん?この子真理亜ちゃんのお友だちだってさ」 彩花の手のひらにはネズミ ひぃいいい! 「ねずみ!」 彩花が呆れ顔でため息 真理亜がくすくす笑う 「お兄様、ハムスターですよ」 「似たようなものだろうが」 ハムスターか だいぶ年老いている こんなののどこがかわいいんだか・・・ 「真理亜、おじ様から聞いてるか?」 「はい?」 「ここから出ていかなきゃいけないって事」 「え・・・・」 真理亜はとても動揺しておろおろし始めた 「彩花さん、ごめんなさい。その子を返して」 「あ、うん・・」 彩花がハムスターを返すと 真理亜は小走りで逃げていった どうしたんだよ・・・ 「真理亜ちゃんはどうしたの?」 「知らんな、ヒッキー根性が染み付いてて外界に出るのが怖いんだろう、情けない」 「はは、君はキツい事言うね」 「それより彩花、外で散歩でもしようか」 「え?あー・・うん」 よし!中津いない!二人きりっ! 雪景色にうっとり とても美しい そしてそれよりも美しい彼女に見とれる 彩花はカメラを振り回す 撮りたいものを撮りまくってる 「はは、楽しいっ、、」 襲うぞ!襲うぞ! ・・・襲い・・たい
14/09/29 12:38
(ioNk2A1C)
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味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
彩花に抱きついた
「愛してる」 そうささやく 「えへ、、衝撃の瞬間!」 あれ、彩花あっちにいる? じゃあ、、、これ・・・なに? 「葛城くんは木を愛してるんだね」 「あ・・うん、大好き」 彩花はニンジャか・・・ 二人でしばらく外で遊んだ 「葛城くんはお母さんとお父さんいないんだっけ」 「あぁ、でも妹にはいた」 「ふーん・・・」 「彩花のお母さんって・・・」 「ん?あぁ・・・まぁ・・・うん」 彩花はうつむいた あぁ、いかん事を聞いてしまったか 「私はね、昔は大事にされてたんだよ」 「へ?」 「母さんの思うように行動してれば愛されてた。母さんの認める笑顔をつくれば抱き締めてくれた。母さんの言う通りに男の子の服を着たらみんなに自慢してくれた・・・」 「それ・・・どうなの?彩花?キツかったんじゃ?」 「正直なにも思わなかった。ただ弟が生まれてから母さんは変わった・・・結局母さんはね。"私"を育てたんじゃなくて"中性的ななにか"を育てたかったんだよ」 「・・・・でも母親がいるっていいよな」 「そう?」 彩花が足元の雪を丸めて遠くに投げた 「結局ね。親なんて誰でもなれるんだよ」 「ん?」 「例えばさ、私と葛城くんで子供を作ったとする」 「お、、、、」 やっべ!やっべ!超興奮する! 「私も君も親っていう肩書きがもらえる。法的にも親でいられる」 「うん、、」 「でもさ、その親の質ってどう?中学の女の子と男の子に人を育てられるだけの資質があると思う?」 「あ、あ、、、」 やばい、、、その子供を作る仮定の行為がぁああ、、、 「結局・・・親がいたって。つらい場合もある。親がいないほうがマシな場合もある・・・人間的に異常な女でも子供を作れば"親"の肩書きが貰えるけど・・・"母親"になれるわけじゃない。ずっと"異常な女"のままかもしれない。」 「は、、はぁはぁ、、」 「葛城くんはフェラーリほしい?」 「ふぇら・・・ほしい、、、して、、、ほしい」 「欲しい物が手に入らない時には都合のいい理想になっちゃう。恋は片想いが一番キモチイイのと似てるかな」 「きもちぃ、、なるほど、、」 「でも手に入れたら高い維持費を払わなきゃいけない。手に入れたら手に入れたで違う苦悩があるって事」 「お、俺はそれでも君が!」 彩花がしゃがみこんで またなにかを抱き締めるような仕草をした 「それでも・・・欲しい・・・瑞希くんが欲しい」 「彩花?、、」 彩花はそのまましばらくしゃがみこんだままだった・・
14/09/29 13:03
(ioNk2A1C)
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味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
中津の冷たい視線を受けても興奮が覚めぬ
うぉー!、、 今夜あたり襲う! ・・・・ ・・・・・・・はぁ シャワーを浴びて 服を着て いざ、彩花の部屋へ! 中津にはバレないようにせねば 夜中の洋館の廊下 薄気味悪い でも性欲のほうが勝る これから彩花を抱くのだからな・・・ サッと 目の前の十字路を誰かが通った びっくりした・・・ なんだ・・・だれ? 覗きこむ 真理亜? ここ数日部屋にとじ込もってたようだけど なにか持っているようだ 気になる どうしてか・・・あれだけあった性欲がしぼんでしまった いつの間にか後をつけてた 彼女は何をするつもりなのだろう ある部屋に入っていった なんだ? ドアの隙間から覗く いない・・・?どこに行った? しずかに中に入る 誰もいない が・・・ 部屋の奥 本棚のところに通路が なんだこれ? 隠し部屋でもあるのか? 奥へ行く なぜだろう 足が勝手に動いてしまう 妹の事なんてどうでもいいのに どうでもいい・・はずなのに 鉄製の扉から光が漏れている 恐る恐る中に入る 真理亜が何かしている 水槽のような大きな装置 湯気みたいなものがもくもくと沸いて出ている だがそれは下な落ちてきている 湯気じゃない 湯気なら上に上がる 理科の実験で見たことがあるが ドライアイスのように 冷たい空気は下に落ちる 特殊液体窒素と書いてあるタンクがある 「もう・・しんじゃったのね」 真理亜がそうささやく 手のひらにあるのはあのハムスター 「貴方は私のそばにいて。貴方はずっと私を愛していて」 真理亜はゆっくりとハムスターを水槽にしずめた ごぼごぼと泡がたつ なにかものすごく恐ろしい行為をしているように見える しばらくすると 真理亜が手袋をはめて網のようなもので"ハムスターだった物"をすくい上げた 真理亜は微笑んで さらに奥の部屋に入っていった 追いかける なぜ?体が言う事を聞かない きっと、この先には見てはいけない物がある ドアから覗いた 冷気が肌に突き刺さる 無数の"動物だった物"の氷漬け 真理亜はそれ見て微笑んでいる ハムスターだった物を棚に置いて 振り返った 「お兄様、私はこんなにもたくさんの愛に囲まれてるの」 俺に気付いてた? 妖怪だ・・雪女だ 俺の妹は・・・バケモノだ 冷気の中微笑む彼女は この世の者とは思えぬほど儚げで怪しく美しく・・恐ろしく見えた 碧い眼の雪女・・
14/09/29 13:37
(ioNk2A1C)
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味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
・・・眼が覚めた
気を失っていた? ・・・真理亜 あいつ・・・バケモノだ ここ、どこ? 俺の客室? なんで? 「ぼっちゃま」 「へ?中津?」 「お加減は?」 「中津!やばいよ!真理亜はバケモノだよ!」 「・・・・・」 中津が何も言わずにハーブティーを入れる いい香りだけど 今はそれを楽しむ気分じゃない 「中津!中津!」 「ぼっちゃま、真理亜様とゆっくりお話ください」 「いやだ!行くな!怖い!」 「ぼっちゃま・・」 抱き締められて 背中を撫でられた 「行くな」 「どこにも行きません」 「怖い・・怖い・・」 「私がいます」 彩花にこんな醜態見せられない 絶対に・・・・ コンコンとドアがノックされる 「あの・・」 真理亜だ 振り向いた瞬間の顔がフラッシュバックする 「来るな!バケモノ!」 「そう言われると覚悟はしていました。お兄様」 「う・・・」 中津に抱きつく 怖い・・・こんなに恐怖を感じたのは初めてだ 「お兄様、私はバケモノかもしれません」 「・・・しゃべるな」 「でもバケモノはバケモノからしか産まれません」 「・・・どういう意味だ」 「貴方はずいぶん母や父に幻想を抱いているようですね」 「そんな事・・・」 「両親がどうしてここ長く住んでいたか分かります?おじ様に追放や投獄されたに等しい扱いです」 「は・・・」 真理亜は瞳を閉じた 「お母様もお父様もまるで躾のできていない子供のようでした。大人の皮を被った幼児です」 真理亜は拳をにぎる 「どうして私を選んだか分かりますか?」 「お前を愛してたから?」 「娘はいざとなれば売れるからです。体に価値があるから、金になるからです。別の家に嫁がせれば寄生もできるから」 「は・・・?」 「私はそうして母と父と一緒にここで暮らす事を強いられました。どうして誰も止めて救ってくれなかったんだろうって周りを恨むこともありました」 真理亜は俺をにらむ 「私はお兄様が羨ましい」 「なん・・・で?」 「あんなバケモノの近くで育つ事が無かった貴方が羨ましい」 「うそだ・・母親は愛をくれるものだろ?父親は守ってくれるものだろ?」 真理亜は冷たい眼をした 「毎夜、男を、女を連れ込んで淫らな楽しみに浸る両親は私にそんな物を与えてくれた事など一度もなかった」 彩花に言われた事が 頭をよぎった 「それでも・・・私はここが好きです。離れるつもりはありません。外界に出るよりもずっと幸せ」 真理亜がキツく俺を睨んだ
14/09/29 14:04
(ioNk2A1C)
投稿者:
味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
ジジイから電話があった
真理亜を説得して一緒に暮らせるようになるまでそこにいろと・・・ そんな・・・冬休みが明けてもここにいろだと? 彩花とのラブが深まらないではないか! 中津が紅茶を入れている 真理亜とはあれ以来口を聞いていない 「くそっ」 「ぼっちゃま、イライラした時には紅茶がよろしいです」 「なんなんだ・・・あいつは、むかつく、むかつく」 「・・・真理亜様もお辛かったのでしょう」 「・・・・・」 だろう・・・な 俺なんかよりずっと寂しくて怖くて辛かったんだろう だがイライラする どうすればいいのか分からない 彼女は最初、俺に心を開こうとしていた やっと会えた生き別れの兄に バケモノのような親ではない唯一の家族に それなのに・・・俺は あんな突き放すような あー!くそっ!くそっ! どうすりゃいいんだ 人間関係で悩むなんて事はなかった 短いサイクルでいろんな人と仲良くなるのは得意なのだが 一人の人間に真摯に向き合うなど・・・ 「ぼっちゃま」 「なんざます?」 「・・・・」 「ごめんなさい!なんですか?」 「ぼっちゃまなら大丈夫。真理亜様と仲良くなれます。努力しましょう」 「・・・ありがとうございます。中津さん」 よし、まずは話す事だ なんとか仲直りしよう 彩花と遊んでいる チャンスだ 二人に近寄る 「何してんの?」 「葛城くんもチェスやる?」 「あぁ、得意だよ!やるやる!」 真理亜はそっぽを向く いつも着物姿なんだよな・・・ かわいい顔してるな・・・これから仲良くならなきゃ 彩花の対戦が終わる 俺と真理亜が向き合うように座る 「真理亜、負けないぞ」 「私も"隼人さん"なんかに負けません」 「あ・・・」 真理亜は俺に微笑みかけるが・・・作り笑いだ もうお兄様とは呼んでくれない・・・・ やはり俺は彼女を傷つけてしまったのだ ゲームが始まり あっと言う間に勝敗がついた 俺の・・・負けだと? 「真理亜、すごいね・・」 「いえ・・」 「も、もう一試合・・・」 「彩花さん、道場を見学しませんか?私、武術も得意ですの♪」 真理亜は俺を見ずにすぐに彩花に話しかけた 「へぇ、いいねー!いこ!」 彩花と行ってしまった なんだよ・・・・なんだよ! 俺が悪いのかよ! むかつくむかつく! チェス板を放り投げた ・・・・が、中津がキャッチした 「ぼっちゃま、今は辛抱なさいませ」 「くそっ・・・」 むかつく・・・
14/10/02 11:52
(wNx8bfip)
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