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1:三十ヲ目前ニシテ初体験シタ女
投稿者:
J
◆WCdvFbDQIA
はっぴばぁすでぇ、つーゆぅ・・・? ・・じゃねぇな。 to you じゃなくてto me だな。 ・・だって独りだもん・・。 いずれにせよ、そこ・・文法的に・・は、大きな問題ではない。 二十代最後の誕生日を独りで祝っていること自体が切実な問題だ。 しかも虚ろな鼻歌混じりのアタシの前に鎮座ましますのは、バースデーケーキではなくコンビニでテイクアウトした広島風お好み焼きだ。 ・・冷蔵庫に・・マヨネーズが在った筈・・。 ・・・青海苔も・・確か・・。 ヲタフクソース、とやらも・・。 いくらトッピングをしようとも侘しいことに変わりはない。 むしろ、トッピングを重ねれば重ねる程、侘しさはいや増すばかり。 いえ、勿論、お祝いの電話くらい、は・・貰いましたよ・・。 ・・離れて暮らしている母からですけど・・。 『お誕生日、おめでとう。』 ・・ありがとう・・ございます。 『あんたが産まれた年はさぁ・・』 社会的には、或いは身の廻りでは、あんなことがあって、こんな情勢で・・・想い出話は尽きない。 生返事をしながら時計を見れば、既に二十二時を過ぎていた。 「あ、ゴメン・・。明日、早いし・・お風呂、湧いたから。」 ・・平日にゃお湯になんか・・ ・・浸からないけど、さ。 ・・後から湯船、洗うの・・面倒なの。 ・・ゴメンね、ウソ・・ついてる・・。 ・・・正直・・辛いんです・・。 『自慢の娘』って程じゃないけど・・『まぁまぁ出来の良い独り娘』が未だに・・良くも悪くも浮いた話すら無いことを心配してくれているのは痛い程分かる。 でも・・・ね・・。 母さんが、きちんと育ててくれたから・・。 あたしも・・身持ちが固い・・っていうか。 結果的に・・未だに処女なんです、はい。 ・・言えねーよ、誰にも・・。 それが二年前のあたしだ。 あ。 一応、言っておきますけど・・色々なことが無かったわけじゃないんですよ・・。 ・・言い訳がましいっすか? ・・興味、無い・・? でも、聴いて下さい・・よ。 っつーか、聴け。
2020/08/09 02:48:36(QDsUGS/l)
投稿者:
J
◆WCdvFbDQIA
ティーシャツとハーフパンツを身に付け、いつも通りラフな、、脱がしやすい、、服装をしたあたし達二人。 これからウォーキングに行くと言っても違和感は無い格好だが、いつもと違い、彼は布団の上で仰向けに寝転んでいる。 あたしは戸惑いながら立ち尽くす。 ・・いつも・・何してくれたっけ・・? ・・何を、どんなことをされても幸せなことしか覚えてない・・や。 取り敢えず、、、抱きついてみよう。 初めて抱かれたあの日、あの時のように。 あの時は抱き寄せられたけど、今日は自分から抱きつくのだ。 彼の匂い。 彼の体温。 彼の息遣い。 条件反射的にあたしは欲情する。 心底からこの愛おしい存在に触れたい。 手で、指で、唇で触れたかったし、舌で舐めたかった。 首筋に。 頬に。 耳朶に。 ちょっとだけ・・しょっぱい、な・・。 あたしはティーシャツの下に手を潜らせて彼の肌に触れる。 ドキドキした。 痴漢する時ってこんな気分? さわ、さわさわ、さわさわさわ・・・ 彼の肌が粟立っていた。 気持ち・・いい・・のかな。 上目遣いに視線だけ動かして彼の顔を見る。 ご満悦、だ。 あ。 夢中で気づかなかった。 いつの間にか彼のアレがビンビンだ。 めちゃめちゃ嬉しい。 だから、もっと気持ち良くしてあげたい。 もっと気持ち良くなって欲しい。 あ・・れ? 何、これ。 ひょっとして乳首? へぇー。 男の人も乳首立つんだぁ。 舐めて・・みます、ね。 ちろり あ、固くなってる。 いつも乳首の周り、舐めてくれてたな。 ちろちろちろ・・・ あたしは夢中になって彼の肌を指先と口唇で愛撫していく。 躯が熱い。 欲情のあまり、あたしのアソコがぐしょぐしょに濡れていた。 と、いつの間にか、彼の手があたしの頭に触れているのに気が付いた。 触れられた手、その指先がツムジに触れる。 ・・だ、駄目。 気持ちいい・・。 くたり 不意に脱力するあたし。 いきなり果ててしまいました・・。 ・・駄目なあたし。
20/08/15 05:04
(KpjGhXLE)
投稿者:
J
◆WCdvFbDQIA
まるでセミだ。 気に止まったセミのように彼の身体にしがみついて躯を震わせるあたし。 情け無い。 だが彼の言わんとしていたコトが、朧げながら理解出来たような気がしていた。 相手が気持ち良くなるようにすれば、自分も気持ちいいんだ。 「分かった?」 「わ、分かった・・ような・・。あ!」 彼の指先があたしの腰、、尾槌骨の辺りに触れた。 そのまま、そこを指の先で強めに掻かれた。 ふひぃん! 最早、メロメロだった。 その日、二度目の絶頂。 あたしは彼の言ったことを理解していた。 フェラチオは到達点にして出発点に非ず。 その旨を伝えた時、彼は満足そうに微笑んでくれた。 「見事じゃ。」 ・・・何で師匠モードなの?
20/08/15 05:10
(KpjGhXLE)
投稿者:
J
◆WCdvFbDQIA
『見事じゃ。』 そう言って微笑む彼の笑顔。 あたしの一生モンの宝物だ。 その時、分かったの。 『見事じゃ。』=『分かってくれて嬉しい。』 なんだなって。 一生懸命、愛撫することにより相手が気持ち良くなってくれれば嬉しい。 だから、もっと気持ち良くしてあげたい。 じっくりと時間をかけながら彼はあたしを愛撫してくれる。 結果、あたしは悦びながら果て、時には怖くなって泣き出すことすらあった。 え? 『怖くなって』って何だ? いや、その・・・ ・・・あんまり気持ち良すぎて 壊れちゃうんじゃないかって・・・ ・・怖くて泣いちゃう時が・・ あったのよ・・ね・・。 話の腰を折らないで下さい。 恥ずかしいじゃないですか。 ともあれ、だ。 気持ち良くなっているあたしを彼は喜んでくれているのだ。 そして、彼が気持ち良くなってくれることが、あたしにとっても嬉しい。 だから・・もっと乱れよぉっと。 違うか。
20/08/15 05:14
(KpjGhXLE)
投稿者:
J
◆WCdvFbDQIA
彼との交際により、あたしが手にしたのは肉の悦びだけではありませんことよ。 以下、ご参照あれ。 【その一】 ホルモンバランスなのか分からないが、生理痛が軽くなりました。 四半期に一度は会社を休む程だったのに。 助かるわ~。 【その二】 食事中の方、ごめんなさい。 慢性的な便秘が解消しました。 腸が刺激されるからかしら・・。 【その三】 お肌の状態が改善されました。 吹出物が減ったし。 うふふ。 これは会社の同僚にも言われたので、身贔屓ではありませんからね。 『彼氏、出来たんじゃない?』 これには複雑な想いをしましたけど。 【その四】 ・・えっと・・ですね・・ オナニーでイケるようになりました・・。 ・・彼とのエッチを思い出すと、その・・ ま、ま、毎日じゃありませんよ・・。 これ以上、言えません・・。 しかも、だ。 『初めて』から僅か半年。 あたしは五キロ近い減量に成功していた。 一割ですよ。 しかも何もしていないのに。 え? もともとの体重? いいじゃないですか・・。 言えませんよ・・。 ・・ていうか放っとけ。 原因は明らかだ。 まずは運動量が増えたことによるカロリー消費量の増加。 平たく言えば・・彼とのエッチとオナニーによるカロリー消費だ。 だって・・ハンパない量の汗かくし。 普段、使わない筋肉使うから最初の頃は、そこら中が筋肉痛になったし。 次に間食をしなくなったことによる摂取カロリーの減少。 基本的には出不精なあたし。 家に引き篭もっていると何かしらを口にしてしまう。 それが月に何回かとはいえ彼の家を訪ね、『運動』に勤しむのだ。 彼と会わない週末だって、ちょいちょい外出するようになった。 服や靴を見たり、当て所なく街をブラブラすることで更にカロリー消費。 でも、そんな時、切なくなるのも確かだ。 楽しそうに街を歩くカップルや家族連れ。 彼らが街で知り合いとバッタリ出くわすこともあるだろう。 あたし達にとって、それは破滅と終わりを意味する。 彼との年齢差、彼の家庭のことを考えれば、二人の間に生まれた子供を連れて出掛けることも有り得ない。 そんな時、あたしは落ち込む。 落ち込んだあたしは食欲が落ちる。 結果として体重は落ちるという悲しいスパイラル。 良かった。 ヤケ喰いするタイプじゃなくて。 負け惜しみですけどね・・。
20/08/15 05:36
(KpjGhXLE)
投稿者:
J
◆WCdvFbDQIA
それは或る日のことだった。 例によって例の如く、彼の家に泊めて貰ったあたしは、深夜、不意に眼が覚める。 一組しか無い布団の中にはあたし独り。 ・・トイレ? ちょうどいいや・・ ・・あたしも。 寝惚けマナコを擦すりつつ、あたしはトイレのドアを開ける。 彼は・・いない。 じゃぁ、ごぼごぼごぼ・・・ トイレを済ませ、室内を見廻すが、六畳二間と六畳のダイニングに彼の姿は見当たらない。 押入れにも・・いない。 当たり前だ。 未来から来たネコ型ロボットじゃぁないんだから。 ・・・あたしは明らかに寝ぼけていた。 午前二時半、外に出掛けるとも思えない。 『ちょっとコンビニに行く。』にしても車が無いと不便なエリアなのだ。 半覚醒の状態であった為だろうか、あたしは取り乱す。 あたしは、その場にへたり込んでいた。 彼があたしを置いて居なくなってしまった。 何の根拠も無いにも関わらず、あたしはそう思い込む。 パニックに陥る寸前、ベランダに続くサッシに誰かの影が映った。 あ・・。 タバコ・・・か。 稀にであるがタバコを嗜む彼。 梅雨時には封を切ったタバコが湿気ると溢していた。 からからから・・ あたしはサッシを開けてベランダに出る。 寒っ・・ 真冬の深夜、空気は身を切るように冷たかった。 吸い殻を始末しながら彼はあたしに問い掛ける。 「どした?」 「・・寒くて・・。」 確かに躯が冷え切っていた。 だが、それは寒いからじゃなかった。 ・・不安だった・・の。 『一緒にいる時は独りにしないで。』 喉元まで出掛かった言葉。 だけど言えなかった。 ウザい女だって思われる。 距離を置かれるに違いない。 だって・・あたし達の未来には破綻しか待っていないんだもん・・・。 ・・だから『今』だけだ・・。 ・・『今』しかない・・。 『今』を少しでも長続きさせて、破綻を遅らせることしか出来ない。 代わりに口にしたのは同じ言葉だ。 「・・寒くて・・。」 「ん。布団に入ろ。」 布団に潜り込んだあたし達。 彼は、大欠伸をするや否や秒殺で眠りに陥ちてしまう。 ・・の○太・・か? ・・あたしの気も知らないで・・・。 太平楽に鼾をかく彼の横、あたしは唐突に殺意さえ覚える。 『不倫あるある物語』として女が男を刺す場合、恐らくは似たようなシチュエーションなのではないだろうか。 北◯の拳でもそうだった。 ラ○ウ曰わく。 望んで手に入らない相手なら、いっそ命を奪ってしまえ。 そーすりゃ永遠に手に入る。 リ◯クの娘さんも言ってたな・・。 相手が振り向いてくれないなら命を差し出せばいい。 そーすりゃ相手は決して自分を忘れない。 何てこったい・・。 少年漫画にそんな含蓄が隠されていたとは。 だが、だ。 出来るわけなんかなかった。 眼の前で爆睡する大切な存在の時間を止めることなんかできやしない。 だったら、あたしの時間を止めて貰うしかない。 そして、その日、その瞬間までを充実させるしかないのだ。 時間を止める、それは結局のところ比喩に過ぎない。 つまりはお別れだ。 どんな形なのかは分からないけど、必ず、しかも遠からず訪れる筈の別れ。 彼の寝息から煙草の残り香が僅かに香る。 そうなったら、あたしは煙草を吸おう。 彼が吸っているのと同じ銘柄の煙草を。 お線香みたいなもんかな。 んで、あたし自身の冥福を祈るのだ。 彼のことを忘れるまで。 彼のことを忘れる・・・? ぶわっ またもや涙が溢れる。 ・・・・・忘れることなんか・・ ・・出来るわけ・・ない・・じゃない、か。
20/08/15 06:00
(KpjGhXLE)
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