第２Ｑで先輩達が本気を出してきて２５－３２と逆転されたが、ゾーンＤＦに切り替えてからは４点と抑え込んだ。沼田と望月、松本は激しく疲れていた。晃達３人はまだ息が上がってない。沼田が｢何で３人は辛くないの？｣と聞いた。晃が｢俺達練習してたから…｣と言うと｢えっ!?そうなの？｣と言った。晃達は引退した後も、朝晩走っていた。｢しょうがない…じゃぁ少し休んでていいよ｣と言った。｢晃…もっと力出せよ…内藤先輩位なら勝てるだろ？｣｢分かったよ…マコいつものパスね｣｢あいよっ｣と言って第３Ｑが始まった。｢内藤先輩…本気出しますよ｣と言うと｢生意気だな｣と言った。誠がゲームをコントロールし始めた。晃はギアを入れ替え一気にゴール下に入った。鋭いパスが晃に通る。先輩達は｢えっ!?｣と声を出した。あっという間の出来事だった。真田先輩が｢へぇ…あんなパス出せるし捕れるんだ｣と言ったのを晃は聞いた。｢先輩なら捕れるんじゃないですか？｣と言うと｢まあな｣と言った。晃達は攻め始めた。

徹が晃をフリーにする為スクリーンを掛ける。晃はそれを生かしてマークを置き去りにする。誠は晃に鋭いパス送る。晃は最後の仕上げをする。それがパターン１。パターン２は晃を１対１をさせるアイソレーション。前にも言ったが晃に利き手がない。両方同じ様に使える。簡単には止められない。パターン３は相手がゾーンＤＦを使って来る時だ。徹とゆう強力なリバウンダーがいる為、晃も誠も外から思い切って狙える。晃、誠、徹は信頼で結ばれていて、小学生の頃からそうやって今まで勝ち抜いて来た。３６－３４と１年チームが追い付いた。ここで先輩チームは選手交代した。ついにエースの真田先輩を入れて来た。真田先輩が入った事でポジションが変わった。沼田に武田、徹に土屋、晃に真田、松本に馬場、誠に内藤が付いた。先輩チームはアイソレーションを使って来た。晃対真田の１対１に全員が注目した。｢行くぞ｣｢お手柔らかに｣一瞬だった。晃は真田を見失った。晃は｢速ぇっ｣と言って笑った。

鮮やかにやられた。すぐにＴ・Ｏを執った。｢晃何してんだよ｣と徹が言った。｢見失った｣と晃が言うと誠が｢それ程か？｣と言った。２人は晃が鮮やかに抜かれた事を見た事がなかった。晃は少し興奮気味に｢一瞬で居なくなった｣と言い｢面白ぇ…｣と笑いながら言った。…去年の夏３人でＨ高の試合を見に行った。晃はその時、真田のプレーに衝撃を受け、それをきっかけにＨ高に行くと決めた。次の試合を１人で見に行くと真田は出場せずにＨ高は負けた。内藤にワケを聞くと｢練習中に捻挫をしたから｣と言った。…｢俺…Ｈ高に来て良かった｣と晃は言った。｢真田先輩はお前に任せるぞ？｣と誠が言うと｢おう｣と言った。晃は集中した。真田は晃の雰囲気を感じ取り(コイツ本気で来るな)と思った。(来たっ!!)真田は反応した。が、その瞬間晃はバックステップをして、シュートを打った。(コイツ…やるじゃねぇか…面白い)と真田は思った。２人の打ち合いになった。晃はかつてない程疲れていたが、それを忘れる程気持ちが高揚していた。

第４Ｑも晃と真田の一騎打ち状態だった。そこにいた全員がその一騎打ちを見たいと思って、２人にやらせていた感じだった。２人の実力は互角だった。上田や土屋はその勝負を見て(今年はもしかしたら全国に行けるかも)と思っていた。結局試合は６６－５８で先輩チームが勝った。試合後、晃は｢真田先輩…負けたのは悔しいけど、楽しかったです｣と言うと｢俺も楽しかった｣と言って｢これからよろしくな｣と手を出した。｢はい…よろしくお願いします｣と握手をした。…家に帰り食事の時に試合の事を話すと｢へぇ…そんなに凄い先輩がいるんだぁ｣と夕香。｢アキ兄嬉しいんだね｣と夕貴が言った。…練習はキツかった。それでも辞めたいと思わなかった。練習後、部室で上田が言った。｢来週の土曜日練習試合がある。相手はＳ高だ｣と言うと皆ざわついた。Ｓ高は去年の夏の大会で、県３位になった強豪だった。この県は２チームが全国に行ける。去年はＵ学、Ｓ大付属が行った。Ｕ学とＳ大は２強と呼ばれ、この数年この２強しか全国に行ってない。その下にＳ高やＴ大一高がいる。

家に帰り練習試合の事を言うと夕香は｢お弁当必要？｣と聞いた。晃は｢１０時開始だから大丈夫です｣と言った。｢アキ兄はスタメンなの？｣と夕貴が聞いた。｢前日に発表するって｣と言うと｢スタメンなれるといいね？｣と言った。…金曜日、軽く練習をしていよいよメンバーの発表。ベンチ入り出来るのは１８人中１５人で晃、誠、徹はNo.を貰った。晃は１４、誠は１５、徹は１８だった。徹は｢危なっギリギリ｣と言った。上田が言った。｢今回入れなかったメンバーも、入ったメンバーも今後の練習次第で入れ替えあるから、気合い入れろよ？｣｢はいっ｣｢じゃあ明日は９時に学校の校門に集合だから遅れるなよ？｣｢はいっ｣｢解散っ｣｢お疲れしたぁ｣外れたのは海野と原(２年)武藤(２年)だった。この原と武藤は海野と同じで、高校からバスケを始めた人だった。…家に帰り夕飯になった。おかずは現担ぎのつもりでカツ丼だった。晃はそれを平らげ、１０時には布団に入り就寝した。６時に起きて日課のジョギングをして、シャワーをして朝飯を食べる。コレが晃のルーティンだった。