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春
◆NqRlWkOMMM
寒い寒い冬。
僕は来年13歳。 榊春って名前。 さかきしゅんって読む。 なかなか読みにくい名前だ・・・。 漢字二文字だけど気に入っている。 冬休み前に学校に行かなきゃいけない。 朝起きたら歯を磨いて朝ごはんを作る。 僕は料理が大好き。 トントンと料理を作る。 「あら、春ちゃんおはよ」 「お母さん、おはよ」 お母さんは27歳。 榊悠美、15歳で僕を産んだ。 そしてお姉ちゃんもいる。僕の一つ上。 お母さんがコーヒーを一口飲んでため息をついた。 「悪いね、春ちゃん・・」 「ううん、いいよ。お母さん疲れてるもんね」 お母さんは夜のお仕事をしている。 お酒のお酌をしたり楽しく話をしたり。 綺麗だから一番人気らしい「春ちゃん来年中学生だね」「あ、うん・・」 「彼女作りなよっ!」 「えっ・・・ん・・うん」 お母さんが頭を撫でてくれた。 料理が得意だから女の子には人気だけど。 彼女なんて・・・。 お母さんはまた寝室に戻った。 コーヒー飲んでまた寝るなんて凄いなって思う。 足音がして振り返る。 お姉ちゃんが起きてきた。ムスッとしている。 「おはよ、凛姉ちゃん」 「はぁ・・ったく・・」 お姉ちゃんは榊凛。 僕と同じで漢字二文字。 黒くて長い髪をブラシでといでいる。 「春、はやくご飯」 「あ、うん・・・」 僕はお姉ちゃんが怖い。 叩かれたり殴られたりするし酷い事も言われる。 お母さんには言えない。 凛姉ちゃんもお母さんの前では仲良くしているように見せる。 怒らせないようにオムレツとトーストをテーブルにのせる。 「まずそ」 「ごめんなさい・・」 そう言いながらパンにかぶりついている。 僕は自分の部屋に行こうとした。 「どこ行くの?座ってなよ」「学校の準備しなきゃ・・」「あんたが遅刻しようがしらない・・座ってろ」 「うん・・・」 怖い・・・。 お姉ちゃんは学校ではとっても人気だ。 可愛くて頭も良くて。 でも・・家では違う。 僕をいじめる・・。 学校の用意をしてランドセルに必要な物を入れる。 鏡を見て髪型を整える。 睫毛が長い・・・。 また切らなきゃな。 学校まで走って行く。 「遅刻しちゃう・・・」 僕は男の子の友達がいない・・。 あんまりゲームとかの話題についていけない。 いつも休み時間は料理の本を見ている。 学校についてから下駄箱に靴を入れる。 一番上だからなかなか届かない。 僕はまだまだ小さい。 牛乳が苦手だからかな・・身長が低い。 しかも女の子みたいな外見だから・・・。 男なのに女の子に間違われる。 クラスについて自分の机に座る。 ギリギリセーフ。 ランドセルから料理の本を取り出す。 今日は終業式。 教科書もいらない。 美味しそうな料理がたくさん。 将来の夢は料理職人。 どこかで弟子入りしたいなと思ってる。 話かけてくれるのは女の子ばかり。 だいたい料理の事。 僕に彼女なんてできるのかな。 朝礼が終わった後体育館に向かう。 校長先生が冬休みの注意を言ってからすぐに終わった 寒い廊下を歩く。 もうこの学校ともお別れか・・・。 教室に戻って宿題を貰う。僕はまぁまぁ頭がいい方だ・・・。 ランドセルに宿題をしまう「冬休みは寒くなりますし風邪に注意しましょう」 先生が体調管理の事を言っている。 卵酒かエッグノッグが好きだ。 ・・・未成年だからアルコールはかなり弱めの物を使うけど。 砂糖とお酒とホットミルクを混ぜて生姜の絞り汁をいれる。 火を止めて卵の黄身をいれてゆっくりかき混ぜる。 甘くて美味しいし体も暖まる。 僕の作り方はそんな感じ。 帰宅時間になる。 まだ午前中。 家に帰る前に寄り道をする 山道を登っていけばお墓がある。 お父さんのお墓。 お父さんは30歳の時亡くなった。 お母さんとは歳の差の結婚で大分苦労したみたい。 僕は顔を良く覚えている。優しくてかっこよかった。お父さんのお墓は豪華だ。お金持ちだったからかな。今も生活に不自由はない。「お父さん・・来年は中学生になるよ」 途中で買ったお花を供えるコーヒーも一緒に。 「僕・・友達たくさん作るよ・・見ててね!」 手を合わせて目をつむる。きっと見ててくれる。 ゆっくりと立ち上がって階段を降りる。 マフラーと手袋をしてるけど寒い。 お墓のから家に向かう。 もうお昼だ。 お姉ちゃんが待ってる・・ 「ただいま」 「遅い・・はやくご飯作ってよ」 「うん・・分かった」 今日はうどんにしよう。 生椎茸で出汁を取る。 料理酒を少々入れる。 少し味を見て塩と味醂を少々。 油揚げと牛蒡を入れる。 油揚げはそのまま入れる。味がコッテリ目になる。 牛蒡はささがきにする。 しばらく染みるまで待ってからうどんを入れる。 グツグツ煮込んでからどんぶりに盛り付ける。 テーブルに持っていく。 「お姉ちゃん、お待たせ」 「うどんか・・まずそ」 お姉ちゃんは一口食べてからどんぶりを流し台の所に捨てた。 「糞まずい・・」 「あ・・ごめん」 「もういい・・」 お姉ちゃんは部屋に戻っていった。 僕はいつかお姉ちゃんを笑わせるくらい美味しい料理を作りたい。 流し台に捨てられたうどんを片付ける。 目が霞む。 涙が流れる。 美味しいって言ってほしいのに・・・。 余ったうどんはお母さんにあげよう・・。 お母さんはまだ寝てる。 宿題をして時間を潰す。 もう終わっちゃいそう。 「春ちゃん、おかえり」 「もう仕事?」 「うん、いい子にしててね」「あ、お母さん・・うどん作ったんだ」 「おおっ、どれどれ」 うどんを暖めてどんぶりに盛り付ける。 お母さんは一口食べて微笑んだ。 「春ちゃんは料理上手いね!本当に美味しいよ」 「うん、良かった」 お母さんは全部食べてくれた。 「さて、行ってくるわ。戸締まりちゃんとしてね」 「うん、いってらっしゃい」お母さんは元気良く仕事に向かった。 僕はお母さんもお姉ちゃんも好きだ。 だから・・笑ってて欲しい
2011/02/12 00:12:11(BhPlqiGf)
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春
◆KEJbDUVQ9A
いよいよ入学式。
視線が集まる・・・。 緊張しちゃう・・・。 制服を着てみた。 「ほぇ・・・」 なかなか似合う・・かも。ネクタイの色はブルーだ。さて・・お披露目しなきゃ 居間に向かう。 これだけでも緊張する。 襖をそーっと開ける。 「おはよ・・ございます」 利奈さんと将さんが僕を見た。 「おおっ!」 拍手してくれた。 美空ちゃんはどこかな? 座って朝御飯を見る。 いつもより豪華だ。 「美空ちゃんが赤飯作ってくれたよ」 「ほぇ・・美味しそう」 本当なら家族に祝ってもらう物なのにな・・。 まぁいい・・僕はここに来て良かったと思ってるし。「春、おはよ」 「美空ちゃん・・おは・?えっ!?」 「久しぶりに着るなぁ・・」美空ちゃんが制服を着てる・・・可愛い・・。 僕の隣にちょこんと座った「私も春のお手伝い変わりにもう一回編入するよ」 「制服・・可愛い・・」 「えへ、ありがとう。春も可愛いよ」 「むぅ・・・カッコいいって言ってよ!」 朝御飯を食べてから学校に向かう。 利奈さんと途中まで一緒に登校する。 「美空ちゃんはやっぱり可愛いね・・」 「利奈は少し大人になったね」 「あはっ、マジで?」 利奈さんは嬉しそうだ。 けど僕には二人共18歳には見えない・・・。 二人共幼い感じだ。 特に美空ちゃん・・・。 利奈さんと途中で別れて中学校まで歩く。 「友達・・・できるといいなぁ・・」 「私は友達じゃないの?」 「違うよ・・美空ちゃんは好きな・・・ひ・・と・・・わぁっ!ごめんっ!!」 「ははっ、春は本当に面白いなぁ」 「み、美空ちゃんは友達1号だかんね!?」 「ただの・・友達?」 美空ちゃんが首を傾げて僕を見る。 か、可愛い・・・。 僕は直視できずに下を向いた。 「み、美空ちゃん・・あんまりドキドキさせないでよ・・」 「くすっ・・・可愛いなぁ」そんな会話をしているうちに学校についた。 下駄箱に靴を入れて教室に入る。 座席の番号と名前が書いてある。 「えっと・・ここか」 一番はじっこだ。 「じゃあ私は隣ね」 「えっ!?」 「春の右腕になるって言ったじゃん。許可は貰ってるよ」 「ほぇ・・そか」 凄くホッとした。 美空ちゃんが隣にいるし大丈夫そうだ。 「やぁ、可愛いコちゃん!!」「ゆ、結実?」 「一緒なクラスだったね!ってか教室はここしかないけどね・・・」 「そうなの?」 「今年の入学で入る生徒は20人だってさ。一クラスの人数より少ないよ」 「へぇ・・・」 結実は僕の前の席に座った「でさ・・隣の超絶美少女はなんなの?」 「えと・・・」 美空ちゃんが結実をじっと見た。 結実は顔を赤くしてそっぽを向いた。 「美空です・・よろしくね、結実くん」 「よ、よろしく・・」 やっぱり美空ちゃんの外見は遠慮されちゃうんだろうな・・。 「春、良かったね」 「うん?」 「友達二号だよ」 「あ、そっか!」 結実は咳払いをして僕にコソコソ話しかけてきた。 「春さんと呼ばせてもらおう」 「・・・なんで?」 「お前の彼女・・・だよな?」 「ち、ちがっ!!」 「違うのか・・じゃあ俺にもチャンスあるかな?」 「し、知らないっ!」 美空ちゃんは僕と結実のやり取りを見てクスッと笑った。 クラスに生徒が入ってくる・・・。 本当に少ないんだな・・。先生がやってきた。 「入学おめでとう!担任の草野です」 男の先生だ。 スポーツ系の先生かな? 「君たちはわが校最後の生徒となります。どうか楽しい学校生活を送ってください・・・最後に・・」 草野先生は美空ちゃんを見た。 生徒の視線が集まる。 「美空ちゃんは榊くんのお手伝いさんで来ています。一度わが校を卒業した生徒です・・勉強など分からない事があったら聞いてみてもいいかな?」 「・・いいとも」 美空ちゃんは親指を立てたみんなが笑った。 「と・・いうわけで体育館に向かいますので廊下に整列しましょう」 席を立とうとした。 「つっ!」 また激痛・・。 うずくまる。 「春っ!」 美空ちゃんがすぐに腕をさすってくれた。 「春さん?大丈夫?」 結実も心配してくれてる。くそっ・・ズキズキする。何で・・・こんなに痛いのか分からない。 治ったはずなのに・・。 「・・・演技じゃない?」 ふと聞こえた・・・。 そういうふうに見られちゃうのか・・・。 「ふざけるな・・春は本当に痛いんだ!」 美空ちゃん・・・。 みんなが黙る。 何とか立ち上がって息を整える。 結実が背中をさすってくれる。 「痛いの・・飛んでったらいいのにな・・」 「あは・・大丈夫だよ・・っ・・はぁ・・」 廊下に並んで体育館に向かう。 美空ちゃんはすぐ近くにいる。 たぶん寒かったから・・。傷が痛くなったんだ。 体育館には在校生がいた。入学式が始まる。 校長先生の言葉を聞いてからお祝いの言葉。 すぐに終わった。 なんかたくさんの視線を感じた。 見られてる気がした・・。 クラスに戻って今後の予定を聞いた。 腕を擦る。 この痛みはいきなりやってくる。 なんでだろう・・。 今日は予定を聞いたら終わりだった。 ホッと一息つく。 休み時間のチャイムがなる「春さん、帰る?」 「うーん・・分かんない・・ってかその呼び方やめてよ」 「ええっ、やだ・・」 結実はいじわるだな。 けどいいやつみたい。 廊下に上級生が集まってきた。 新人歓迎? 「ねぇ、そこの可愛い子」 「こっち向いてよ!」 美空ちゃんか・・。 やっぱり可愛いしな。 美空ちゃんは軽くあしらうように微笑んで手を振る。でも女子生徒の数の方が多いな。 なんで? 「そこの黒い艶々の髪の男の子ーっ」 「可愛いっ!」 誰・・・。 「春さんじゃね?」 「え?僕?」 「このクラスで艶々キューティクルは春さんだけだろ?」 「あ、あは・・」 手を振ってみる。 前の学校では私服だったから女の子に間違われてばっかだったけど。 制服で男の子って分かるからかな。 「春、良かったね」 「うーん・・」 「嫌なの?」 「悪くないかも」 「ははっ!」 初日は緊張したけどなんとか終わった。 結実も一緒に下校する事になった。 「春さんケータイは?」 「持ってないよ・・・」 「へぇ・・・買ってもらいなよ、アドレス教えっこしよ」 「お母さん・・・ここにはいないから・・」 「ごめん・・・」 結実は少し気まずそうだ。美空ちゃんがポケットから携帯を取り出した。 「私のアドレス教えとくから」 「えっ!?いいの?」 「私は春のそばにいるから連絡があれば私が春に伝えるよ」 「うし、じゃあ交換!」 赤外線ですぐに交換できたみたい。 「携帯って便利・・」 「春は何も知らないのね」 「うん・・」 「今度買ってみる?」 「使えるかな?」 「私が教えるよ、大丈夫!」美空ちゃんにたくさん感謝しないと・・・。 美味しい料理を作ってお返しをしたいたなって思った 家に帰ると少し疲れた感じ・・・。 寝転がる。 「腕は大丈夫?」 「うん・・へーき・・」 「そっか、無理しないでね」「美空ちゃん・・・」 「うん?何?」 起き上がって美空ちゃんに近づく。 「本当にありがとう・・」 「あ・・う、うんっ・・」 美空ちゃんの顔が少し赤くなった気がする。 美空ちゃんは背を向けた。「お昼・・食べる?」 「うん、僕も手伝うよ」 「一緒に作るの?」 「うん、一緒に・・」 携帯が鳴った。 美空ちゃんの携帯だ。 結実かな? 美空ちゃん携帯の画面を見てすぐに消した。 「出なくていいの?」 「いい・・むかつく奴からだった」 美空ちゃん・・怒ってる。「美空ちゃん、料理・・何作る?」 「聞かないんだね・・」 「聞いていい事と悪い事は分かってるつもり・・誰にだって触れられたくない所はあるでしょ?」 美空ちゃんは振り返った。少し驚いたような表情だ。「好きな時代劇で言ってたよ・・知らない事は知らなくてもいい・・全てを知らなくても人を愛する事はできるって」 「春・・・いい言葉だね」 「僕もそう思うよ」 「・・・さて、お腹空いたねっ!」 美空ちゃんが笑顔に戻ってホッとした。 僕の気持ちをいつかちゃんと伝えられたらいいなぁ。でも今は・・友達。 もう少し我慢しなきゃ。
11/02/18 11:15
(CTt3Qd1r)
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春
◆KEJbDUVQ9A
授業中も必死に黒板を見ながら覚える。
ノートは美空ちゃんが書いてくれている。 元々頭は悪くない。 けど頑張る。 「はい、今日はここまで。8ページを予習しときましょう」 チャイムが鳴って休み時間になった。 「はふ・・覚えれた」 「・・まじ?春さん一発で暗記かよ」 「全部言えるよ」 「俺も頑張らないと・・」 結実も結構頭いいらしい。全国模試で30位ぐらいだって自慢してたな。 「ノート書けたよ」 「ありがと・・・わぁ!」 丁寧に詳しく書いてある。黒板より詳しい事も書いてあるな・・。 「少し付け加えしたよ」 「美空ちゃん凄いなぁ・・」「ははっ、大袈裟だよ」 授業がいくつか終わってお昼休みになった。 今日はお昼を食べたら下校してもいい。 「春さん部活は何にする?」「ぶかつ・・?」 「ばっきゃろ・・中学生になったらまずは部活だろ!」「へぇ・・」 結実はおにぎりにかぶりついた。 おっきなおにぎりだな。 「どんな部活があるのかな?結実は何にするの?」 「俺はモテる部活がいい」 結実はニヤリと笑った。 「へぇ・・・でも結実は何もしなくてもモテそうじゃん」 「春さん・・お前を親友と呼ばせてもらう」 なんか格上げされた。 どうせ今日はお昼で学校が終わるから部活見学でもするかな。 美空ちゃんは静かにサンドイッチを食べている。 「美空ちゃんはどうする?」「私?春が部活するんなら同じ所にする」 「そっか、じゃあ見学しに行こうよ」 「うん、いいよ」 美空ちゃんと一緒にいられる時間が増えて嬉しいな。もっと色んな事をしてみたいな・・。 お昼が終わってから掃除をする。 今日の掃除当番は僕だ。 左手で箒を使ってサッサと掃く。 美空ちゃんは廊下で待ってくれている。 結実は用事があるらしく帰ってしまった。 真面目に見えるけどかなりゲーム好きらしい。 家に帰って通販で頼んだゲームを受け取らないといけないらしい。 人って見掛けによらないもんだな・・。 「ふぅ・・こんなもんかな・・」 箒と塵取りを片付けた。 廊下に出て水飲み場で手を洗う。 「えと・・ハンカチ」 「はい、使って」 「あ、ありがと」 クラスの女の子だ。 名前は何て言ったかな・・「榊くんは掃除をきちんとして偉いね」 「あ、うん・・えっと」 「あは、山田鈴美です」 僕より少し背が高い。 髪の毛は肩くらいまで。 精悍な顔つきだ。 涼しい雰囲気のカッコいい女の子だ。 「春、見学行こ」 美空ちゃんが少しムッとして言った。 「あ、うん・・ありがとう山田さん」 「うん、じゃあね」 手を振って別れた。 「ごめんね、待たせて」 「・・・うん」 「美空ちゃん、怒った?」 「うん?・・・」 美空ちゃんは少しムッとしている。 待たせすぎたかな? 「ううん、怒ってないよ」 そう言って携帯を閉じた。ケンカしてる人とメールしてたのかな? その人と仲直りできるといいな。 「私は・・好きなのかな?」 美空ちゃんが微かに囁いた「美空ちゃん?何か言った?」 「あ、あ・・なんでもないよ!ほら、行こ!」 美空ちゃんが少し顔を赤くしたのが見えた。 やっぱり怒ったのかな? 怒ると頭に血が昇るって言うし・・。 今度からは待たせないようにしよう。 グラウンドにはサッカー部とか野球部がいる。 腕の事を考えるとスポーツ系は避けたほうがいいな。「春はスポーツは苦手だしやめときなよ」 「うん・・」 僕は体力もないし体も弱いからな・・。 校内に戻って部活を見て回る。 料理研究部は無いみたいだ・・・。 「残念だね・・」 「春、そうでもないよ」 「えっ?」 「部活を作ればいい」 美空ちゃんがクスッと笑って言った。 「なるほど・・けどどうすればいいの?」 「部員は四名必要なんだ・・だから結実も入れるとしたら三人かな」 「結実は入るかな・・?」 「メールしてみるよ」 美空ちゃんが携帯を操作している。 しばらくして美空ちゃんが微笑んだ。 「喜んで入るってさ!」 「そっか、じゃああと一人だね」 部活の事を相談しながら見学は終わってしまった。 学校を全部まわって職員室についた。 「先生に相談してみる?」 美空ちゃんが僕を見た。 目が合ってドキッとした。「あ、う、うん・・」 「春は私を見るとそんなにドキドキする?」 「うん・・」 「ふーん・・そっか」 美空ちゃんとかなり喋るようになったけどなかなか慣れないな。 職員室に入る。 さっきの女の子がいた。 「山田さん?」 「あ、榊くんと美空ちゃん」こっちを見て軽く敬礼みたいなポーズをした。 「どしたの?」 山田さんは困った顔をした「いや・・剣道部が無くてさ・・困ってる」 「へぇ・・剣道?」 「親が警察でね、昔から習ってたんだけど・・去年廃部になったんだってさ」 イメージどうりカッコいいなこの人・・。 山田さんは頭をポリポリかいた。 「困ったな・・どうしよう・・他に入りたい部活無いんだよね」 「じゃあ僕たちの部活に入る?」 「ん?なに?」 「料理研究部を作ろうと思うんだけど・・どう?」 「へぇ・・料理・・」 山田さんは少し考えているらしい。 「ふむん・・料理か・・」 「僕、時代劇とか好きだから和食中心でいきたいと思ってるんだ」 「ほぉ・・君も時代劇好きなのか・・よしっ、やる!」やった!決まった。 「美空ちゃん、良かったね」「う、うん・・」 さっそく先生に相談した。家庭科室を使ってもいいとの事。 部費は月に2万円程度らしい。 話が上手く進んで嬉しかった。 「じゃあ楽しみにしとくよ」「うん、またね!」 山田さんと別れて家に向かう。 美空ちゃんは少し口数が少なくなった。 「美空ちゃん、最初はどんな料理作る?」 「うーん・・鮟鱇鍋」 「へぇ・・鮟鱇は高いよ?」美空ちゃんは立ち止まった「ねぇ、春・・・」 「何?」 「あの女の子にはドキドキしなかったの?」 「う、うん・・女の子とは良く喋る方だしそんなにはドキドキしないかな・・」美空ちゃんどうしたんだろ・・・? 「そっか・・春がドキドキするのは私だけか・・」 微笑んだ。 可愛くて・・・ちゃんと好きって言いたい。 けど言い出せない。 ただ好きなんじゃない。 自分でも分かってる。 「春、鮟鱇鍋は無しね!もっと安くて美味しい物作ろうよ」 「う、うん・・」 付き合いたい・・・。 告白して彼女になって欲しい。 今・・凄く凄く・・好きになってる。 いつか言いたいな・・。 でも美空ちゃんには好きな人がいる・・。 けど諦めたくない。 頑張って・・僕も・・。 「春、頑張ってね」 「えっ!?・・何を?」 美空ちゃんはクスッと笑って答えてくれなかった。 頑張って・・僕を好きになってもらおう。 「買い食いしよっか?」 「美空ちゃんはすぐにお腹すくね」 「ははっ、頭いいからかな」すぐには近づけないけど。ゆっくり・・近づいて。 いつかは手を繋いで歩ければ・・。 幸せだな・・・。
11/02/18 16:13
(CTt3Qd1r)
投稿者:
すれ主
◆KEJbDUVQ9A
春の美空に対する気持ちはサザンオールスターズのTSUNAMIのような感じかなぁ・・。
聞いててピタッと合うような感じです。 また頑張ります。
11/02/19 01:03
(0uUwkgkG)
投稿者:
春
◆KEJbDUVQ9A
朝だ・・もうだいぶ暖かいなぁ。
昨日買った携帯電話で時間を見る。 まだ時間があるしもう少し寝よう。 携帯って便利だな。 メールとかの使い方を美空ちゃんに教えてもらった。インターネットに繋げられるなんて凄くビックリした・・・。 家にあるパソコンにはインターネットの線がないと繋がらないのに携帯は線がなくても繋がる。 凄い・・・。 陽の光に当ててみる。 キラッと輝く黒いボディー・・・。 「カッコいい・・・」 ニヤニヤしちゃう・・。 なんかストラップも付けれちゃうらしい。 最新式のは凄いな。 携帯を枕元に置いて布団に潜り込む。 「ん・・・固い・・」 朝・・だしな・・。 僕は朝から固くなっちゃう事はたまにしかない。 「久しぶりに・・しよっかな」 パンツの中に手を入れる。熱くて固い・・。 ゆっくり擦る。 「はぁ・・はぁ・・」 皮をめくるとヒリッとするので剥かないまま擦る。 「ん、はぁ・・きもちぃ・・・・・んっ」 美空ちゃんの事考えちゃう・・・。 いやらしいのは良くないのに・・。 どんどん気持ち良くなる。「はぁ・・はぁ・・」 なかなか最後にならない。いつもはもうちょっと早いのに。 朝御飯の時間になっちゃうよ・・・。 「はぁ・・はぁ・・くっ・・あっ・・」 ゴシゴシと強く擦る。 出そう・・。 コンコン。 「ひっ!?」 襖を軽くノックされた。 「春、入るよ」 「ま、ままっ、待って!」 まだ固いのに・・。 布団の中だから大丈夫かな・・。 美空ちゃんが入ってきた。「春、おはよ・・」 「おはよ・・ございます」 布団をぎゅっと掴んで体育座りで何とか隠す。 「ふーん・・春もやっぱり男の子だね」 「な、なにが!?」 「いいよ、待ってるからちゃんと・・しなよ」 美空ちゃんと目が合った。プイッとそっぽを向いた。「ち、違うよ!美空ちゃん、誤解だってば!」 「いいよ・・続き・・して」美空ちゃんは襖を閉めた。正直もする気になれない。嫌われた・・・絶対そうだ・・。 息を整えて襖を開ける。 美空ちゃんが待っていた。「ちゃんとしたの?」 「何の事?美空ちゃんは勘違いしてるんだよ」 「ふーん・・・」 「ぼ、僕はしないよ・・美空ちゃんを想像してエッチな事・・っ!!?」 心臓が凍りつくような感じ終わった・・。 最悪のタイミングで口がすべった。 美空ちゃんは僕をじっと見ている。 「っつ!違う!?そうじゃないの、あの、ごめんっ!ごめん、違うんだよ」 なんだよ、朝から修羅場じゃん・・。 「へぇ・・そっか・・そうなんだ・・春は私の事・・そんな風に・・」 美空ちゃん下を向いて居間に向かって行った。 あぁ・・こんな事で僕の恋は終わりなの? 僕は気まずくてどうしようもない気持ちになった。 女の子ってエッチな事嫌いなんだよね・・不潔とかいやらしいのは・・。 涙をこらえて僕も居間に向かう。 ここでくじけちゃダメだ。諦めたくない。 美空ちゃんの隣に座る。 少し距離を開けた。 「あら、春くんおはよ」 「利奈さん、おはよ」 普段通りに・・。 大丈夫・・仲直りすればいいんだ。 朝御飯を食べてから部屋に戻って制服を着る。 「ふぅ・・落ち込んでたら嫌われちゃう・・仲直りしよう」 と言いつつなにもできないまま登校した。 いつものように席についた美空ちゃん・・どうしよう・・喋れなかった。 「春さん、美空ちゃんおはよう」 「結実、おはよ」 美空ちゃんは普通に挨拶した。 「春さん?」 「おは・・よ」 「元気ないなぁ・・どしたの?」 「ううん・・元気いっぱいだよ」 小さくガッツポーズをしてみた。 「嘘だぁ・・」 「本当だもん・・」 授業中は美空ちゃんはノートを書いてくれている。 本当に助かる。 学校に携帯を持ってくる時はマナーモードにしておく方が先生に見つからないと教えられた。 もうすぐでお昼休みか。 楽しみだな・・。 美空ちゃんが小さな手紙をひょいっと机に置いた。 「・・えっ?」 「開いて・・」 美空ちゃんはまた黒板の方を向いた。 紙を開いてみた。 朝はどんな事想像したの?怒ってないから教えて欲しいな(。・w・。) って書いてある・・。 ・・・・・。 何・・・? 書ける訳ない・・。 「榊くん、この問題分かるかな?」 「書けません!」 「えっ?」 「・・・あっ・・書きます」みんなに笑われた。 恥ずかしい・・・。 黒板でチョークを握る。 左手でなんとか書いた。 「はい、いいですね」 ホッとして席に戻ろうとした。 美空ちゃんと目が合った。美空ちゃんはクスッと笑った。 どうやら怒ってないみたいだな・・。 良かった・・。 席に戻るとまた手紙があった。 美空ちゃんは開けてとジェスチャーした。 開いた。 春のエッチな声・・結構聞こえてたよ(’∀’●) ・・・・・。 言葉にならない・・。 お昼休みに三人でご飯を食べる。 今日も小さな弁当箱におにぎりとおかずが入っている 僕はこのサイズでお腹いっぱいだ。 「春さん少食だね」 「うん・・結実はたくさん食べるよね」 「まぁね・・」 結実はそう言って大きなおにぎりにかぶりついた。 「あの、お昼一緒に食べてもいいかな?」 山田さんだ。 お弁当を持っている。 「あ、うん!いいよ」 「助かった・・一人じゃつまんなくてね」 山田さんは椅子に座った。結実はほへーっと山田さんを見ている。 山田さんは結実の視線に気付いたみたいだ 「ん?なに?」 「カッコいいね」 「そうかな?」 山田さんは首を傾げた。 料理研究部が集合した。 だんだんと僕にも友達ができていく。 嬉しいなぁ・・・。 放課後に家庭科室に行ってみた。 まだ顧問の先生が決まってないので部活はできない。結実と山田さんも来た。 美空ちゃんは道具を見ている。 「ひろーい・・ねっ?」 「春さん嬉しそうだね」 「嬉しいよ・・」 こんな広い所で料理できるんだ・・。 たくさん人があつまればいいなぁ・・。 四人で椅子に座って今のうちに決めとく事を話し合う 美空ちゃんが部活ノートを作ってくれた。 「えーと・・じゃあ部長を決めよう!」 「春さんに決定だろ」 「僕・・?じゃあ・・僕がやります」 正直嬉しいな・・。 料理長になった気分。 その分、部の責任は僕が預かるんだ。 きっちりしないと。 美空ちゃんは副部長になった。 トントンと話が進んでいよいよ最初に何を作るか決める事になった。 「春だしね・・何にしよっか?」 「春さんが作る春の料理か・・」 「結実・・ギャグ?」 「質問しないでくれ・・」 山田さんが手を上げた。 「先に春らしい食材を上げていけばいいんじゃないかな?」 「うん、そうだね」 色々あるけどなぁ・・。 みんなで思い付く物を言ってみる・・部費も考えつつ・・。 あまり高い物は買えないから・・。 「筍ご飯がいいかな、作り方もそんなに難しくはないよ」 美空ちゃんが言った。 春らしい料理だしいいかもな。 「うん、賛成!」 僕は賛成した。 みんなも賛成になった。 初回は筍ご飯に決定した。「さて、今日の活動はこれまでです。おつかれさま」部長の号令で解散になる。山田さんと結実は先に帰った。 僕と美空ちゃんはもう少し残ってから帰る。 「だんだん部活らしくなってきたね」 「うん、春は部長だから頑張らなきゃね」 「うん・・でも包丁握れないけどね・・」 少し沈んでしまう。 部長なのにな・・。 「私が手伝うよ・・だから副部長になったんだよ」 「美空ちゃん・・」 「一緒に頑張ればいいよ」 「うんっ・・」 美空ちゃんがノートを書き終えた。 「さて・・帰ろっか」 「うん、美空ちゃんありがとね」 「春はいつも・・ありがとうって言ってくれるね」 「うん、本当に感謝してるから・・美空ちゃんありがとう」 「うん・・どういたしまして」 少し微笑んだ。 ドキッとして顔を見る事ができない。 恥ずかしくて後ろを向いた「うーん・・今日も買い食いしよっか?」 うーんと伸びをしながら照れ隠しで言ってみた。 「今日はどこに行く?たい焼きはたくさん食べたから・・喫茶店・・ん・・?」背中・・柔らかい感触。 「み、美空ちゃん・・?」 背中に抱きつかれてる。 心臓が壊れそう。 「ねぇ・・まだ聞いてない」「な、なにを?」 「朝・・どんな事想像したの?」 「え、えっと・・」 ドキドキ・・。 凄い・・。 「美空ちゃんと・・チューしたり・・手を繋いだりしてる所」 「ぶっ、ははっ・・全然エッチじゃないね」 美空ちゃんは・・そっと離れた。 すごくドキドキするけど・・もっと抱きついていて欲しかった。 後ろを向けない。 僕はきっと顔が真っ赤になっている。 けど・・美空ちゃんの顔を見たくて・・振り返る。 「見ないでっ!」 またちょんっと背中に柔らかい感触。 「しばらく振り返っちゃダメ・・」 「うん・・」 「このまま・・買い食い行こ・・」 「うんっ・・!」 美空ちゃんはどんな顔をしてたのかな? 見てみたかった。 背中を押されて歩く。 「今日は喫茶店に行こう」 美空ちゃんは背中を押しながら言った。 「うん・・行こう」 喫茶店なら向かい合って座らないとな・・。 楽しみ・・・。 きっと美空ちゃんの顔は笑ってる。 パフェを頬張りながら。 僕を見て笑ってくれる。
11/02/19 12:46
(0uUwkgkG)
投稿者:
春
◆KEJbDUVQ9A
土曜日なので居間でテレビを見ながら携帯をポチポチする。
まだ使い方がイマイチだ。「春くんどう?携帯使いこなせる?」 利奈さんが隣に座って聞いてきた。 「うーん・・まだ微妙です・・メールはこうかな?」利奈さんの携帯にメールを送ってみた。 着信音が鳴る。 「うんうん、届いたよ」 「ふむん・・」 やり方は全部美空ちゃんに教わった。 美空ちゃんの携帯にも送ってみるかな。 携帯を操作する。 「美空ちゃんに送るの?」 「うん・・えっと・・・」 ポチポチ・・・。 初メールです。 よろしくね。 送信っと・・。 そういえば美空ちゃんはどこかな? しばらくして返信が来た。 メールを開く。 上出来だね。 これから出掛けよっか? 外にいるから待ってるね。( '∇^*)^☆ ふむん・・この顔みたいなのはどうやるんだ? まぁいいや。 「美空ちゃんと出掛けますね」 「うん、夕方までには帰ってくるんだよ」 「あ、はい・・」 利奈さんはいっつも優しいなぁ・・・。 「利奈さんはお姉ちゃんみたいですね・・」 「うん?お姉ちゃんだよ」 「あ、あは・・そうですよね。もうお姉ちゃんみたいなもんですよね」 利奈さんが一瞬悲しそうな表情になった。 「まぁ・・ね・・うん」 「利奈さん?」 「何でもないよ、行ってらっしゃい」 「はいっ!」 自分の部屋に行ってから小さなカバンをかつぐ。 お出掛け用のやつ。 結構おしゃれなやつだ。 赤っぽいで革製の斜めかけカバン。 小物が入ってる。 お財布を確認して外に向かう。 美空ちゃんが待っていた。「お待たせ!」 「やっ、待ったよ」 美空ちゃんは待たせると怒るから気を付けないとな。美空ちゃんの私服は凄く可愛いな。 神社を出て山の方に向かう「何しに行くの?」 「農協のスーパーでちょっとね」 「ふーん・・」 たけのことか買うのかな?二人で歩く。 ここらへんはまだ来た事ないな。 大きな木造の家がある。 美空ちゃんはそこで立ち止まった。 「どうしたの?」 「ここは前に住んでた家なの・・」 「そうなんだ・・」 表札は無い。 今は誰もいないみたいだ。「ちょっと・・入っていいかな?」 「うん・・」 美空ちゃんについて行く。大きな庭がある。 なんで誰も住んでないのかな? 「知り合いに譲ったんだけどね・・住めなくなって手放したの」 「へぇ・・こんな豪華な家を手放したんだ・・」 玄関を開けた。 美空ちゃんは鍵を持っていたらしい。 玄関で美空ちゃんは立ち止まる。 「・・・ただいま・・」 そう囁いた。 靴を脱いであがる。 所々ほこりだらけだ。 広い家だな。 居間には何もない。 美空ちゃんはちょこんと座った。 なんだか悲しそうな顔。 「ここで・・たくさんの事を知ったんだ・・」 「そっか・・」 「私の好きな人ってね・・お兄ちゃんなの・・双子のお兄ちゃんなの・・」 「・・・・」 そうなんだ・・・。 つまり・・・。 「近親相姦ってやつ・・・気持ち悪いでしょ?」 「ううん・・僕も少しそういう経験ある」 美空ちゃんは振り返って僕を見た。 少し驚いた顔。 「ほんの少しの間・・お姉ちゃんとしちゃったの・・好きって言われて嬉しくてお姉ちゃんの言うことをなんでも聞いた・・けど・・裏切られた」 「春・・・」 「でも裏切られてここに来たから美空ちゃんに会えた・・友達もできた・・もういいんだ・・大丈夫だよ」そうやってプラスに考えないとおかしくなりそう。 狂ってしまいそう。 「春、なんかごめん・・」 「いいよ・・」 「あと一つだけ・・行きたい部屋があるの」 美空ちゃんが立ち上がって廊下に向かう。 しばらく歩いて美空ちゃんが襖を開けた。 ベットがある。 きれいなベット。 なんで残ってるのかな? 美空ちゃんはそれに座ったシーツも何もない。 コトンと倒れた。 「美月・・・会いたいよ・・・・」 その姿はなんだか痛々しかった。 きっと凄く好きなんだろうな・・。 美空ちゃんの頬に涙が流れる。 「ご、ごめん・・大丈夫」 美空ちゃんは名残惜しそうにベットから離れた。 「好きなの?・・お兄ちゃんの事」 「うん・・・世界で一番好き・・」 僕は・・・。 叶わない恋をしてるんだな・・・。 美空ちゃんの顔を見て良く分かった。 本当に本当に大好きな人なんだなって。 家を出て山の近くまで向かう。 会話は無かった。 僕は好きになってはいけないのかな・・。 美空ちゃんの事・・。 「春・・はいっ」 美空ちゃんが飴玉をくれた綺麗な色の飴玉だ。 「ありがと・・」 一つ受け取って口に入れる甘くて美味しい。 自然と笑ってしまう。 「春の笑った顔・・見れた」「えっ?」 「もうすぐつくよ」 「うんっ・・」 飴玉を口の中で転がす。 美空ちゃんと並んで歩く。だいぶ歩いたな。 小さな建物だ。 色んな野菜がある。 山菜もあるな。 たけのことか必要な物を買った。 美空ちゃんがお店の人と話している。 「春、こっち」 「うん?」 お店の奥に案内された。 ここは・・・。 「えっと・・竹細工?」 「うん、そうだよ。竹のお皿を作ろうかなって思ってね」 「ほぇ・・」 竹を切ってお皿を作る。 と言ってもたいして難しくない。 切ってちょちょっと削るだけだ。 あんまり加工はしない。 お店の人に作り方を教えてもらった。 ナイフで少しずつ削る。 美空ちゃんは上手いな。 「これは結実と山田さんのやつね」 「うん・・綺麗だね」 「ははっ、これに筍ご飯入れようよ」 「うん、そだね」 美空ちゃんは無邪気に微笑んだ。 可愛いな・・・。 僕は・・ずっと友達のままかも。 付き合う事は・・できない・・・かも。 「・・イタッ!」 指先を切ってしまった。 かっこわるい・・・。 「春、大丈夫?」 「僕・・・かっこわるいね」血がどんどん流れる。 結構深かったみたい。 「あらら、今ばんそうこ持ってくるね」 お店の人が救急箱を取りに行った。 「春・・痛い?」 「へいき・・」 凄く痛い・・無理しちゃう強がっちゃう・・。 美空ちゃんが僕の手を掴んだ。 そして・・。 僕の指先をゆっくりくわえた。 ビクッと電撃が走った。 「み、美空ちゃん・・」 美空ちゃんは目をつむっている。 口のなかで僕の指先を少し舐めた。 ビクッと体が震える。 痛いんじゃない。 気持ちいい・・。 お店の人が戻ってきた。 美空ちゃんがばんそうこをつけてくれた。 「無理・・しないでね」 「う、うん・・」 美空ちゃんはクスッと笑った。 「でも春のそういう所・・可愛いな・・」 美空ちゃんが微笑んだ。 「あ・・・あははっ」 「春・・くすっ、ははっ!」何でか笑っちゃった。 お皿を作って紙ヤスリで滑らかにする。 なかなか力が入らない。 「春、これ付けて」 「うん?」 ウサギのシール? 「春と私のお皿にだけ貼っとくの・・ねっ?」 「うん、分かった」 ポチッと貼った。 二人で顔を見合わせた。 「できたっ!」 結構近い事に気付いてすぐにドキドキした。 「あは・・春のはいい出来だね」 「あ、うんっ・・ありがと」照れてしまう。 たぶん治らない。 お店を出て帰り道。 下り坂だから来たときより楽だ。 もう夕暮れ時。 夕日が街を赤く照らす。 「結実にメールしといた、たけのこ買ったよって」 「うん・・たけのこご飯以外にも何か作りたいよね」 美空ちゃんは腕を組んで言った。 「うーん、炒め物とか?」 「うん、いいね」 こうやって話してるとやっぱり好きだよ・・。 とっても・・とっても・。僕の想いは届くかな? 街の真ん中を通る川が見える。 夕日を浴びてキラキラと反射する。 それはとても綺麗。 ここからは街全体が見渡せる。 大林神社も見える。 学校もさっきの家も。 「傷・・・大丈夫?」 美空ちゃんが僕の指を見た・・心配そうな顔。 「うん、美空ちゃんが舐めてくれ・・た・・から」 思い出すだけで顔が赤くなってしまう。 あんなドキドキしたのは初めてだ。 「ははっ・・良かった」 二人で街を眺める。 新しい場所はとってもいい場所だ・・。 ここに来て良かったって思う。 美空ちゃんの銀色の髪が風に揺れる。 天使と言う言葉がぴったりだ・・。 僕は・・あきらめない。 叶わないかもしれない。 けど・・・この人が好きだから。 とってもとっても・・大好きだから・・。
11/02/19 22:05
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