2019/12/30 17:10:49
(DIyfbl.G)
昼過ぎて少ししてから母は帰ってきた。
変わらずいつも通りの態度。
もう母の中であの夜の事は終わった事、無かった事になってる。
それはだめだ。
リビングで俺は母の前に座った。
人生で一番緊張していた。
ちゃんと告白してあの夜の事を話そうとした。
どうしたの、そう聞く母の前で俺は言葉が出なかった。
なぜか泣いてしまった。
いきなり泣き出した俺に母は驚いていた。
俺の横に座って背中を撫でてくれた。
泣き止んで少し落ちついた頃、俺は話し始めた。
俺の話はめちゃくちゃだったと思う。
ただ伝えないといけないことだけは話せたと思う。
母の事が好きで好きで我慢できないという事。
彼女と付き合った理由と別れた理由。
ずっと母の事ばかり考えてるって事。
あの夜はただ性欲だけで動いた訳じゃないって事。
母を一人の女性として見てるって事。
また少し泣きながら俺は告白した。
母は優しく俺の背中を撫でながら聞いてくれた。
俺が話し終わった頃、母は答えてくれた。
俺が何かに悩んでいることは分かっていた。
それが何か自分が関係あるっていうことも。
さすがに恋愛感情とは思ってなかったけど。
彼女と別れた後、全然落ち込んでなかったのも不思議だった。
別に好きな人が出来たからだろうな、そう思っていた。
それが自分とはもちろん思ってないけど。
あの夜は実は最初にキスをした時から気付いてた。
俺が一緒に寝るって言った時から何か相談でもあるのかもって思った。
体に触れる事を受け入れた訳じゃない。
でも一緒に寝る事を断ると俺が傷つくと思って一緒に寝てくれた。
キスは驚いたけどどう反応したらいいか分からなかったから寝たふりをした。
直接胸に触れてきた時、もう駄目だと思って離れた。
翌日は俺の顔を見て何を言えばいいのか分からなかったから気分転換に行ってた。
何もなかった事にしよう、そう決めた。
今朝は緊張したけど何もなかったっていう事を俺が受け入れてくれたように見えた。
でも、今こうして向き合って勇気を出して気持ちを話してくれた事は嬉しい。
ただ母親と自分がお腹を痛めて産んだ子供の恋愛というのは正直分からない。
俺の事が大好きだし、俺に大好きって言われたことは本当に嬉しい。
でもどうしたらいいのかは分からない。
だから少し待って。
母の答えの後、俺は顔を上げた。
泣きすぎて変な顔だったと思う。
でも俺は横に座る母の顔を見てちゃんと告白した。
「本当に大好きです」
これだけは伝えたかった。
母の答えは100%の拒絶じゃなかった。
告白を嫌がられなかった。
俺の事を大好きだって言ってくれた。
嬉しい、めちゃくちゃ嬉しい。
そして少し待ってという言葉の意味。
母の中で俺を受け入れる可能性がゼロじゃないって事だよな。
母は今日、朝から実家の手伝いに行ってる。
答えを持って帰ってきてくれるだろうか。
母の帰りが待ち遠しい。