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天然

投稿者:ゆうな
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2012/01/13 21:15:32 (vpniWxZB)
迎えにきた車に乗り込むと祐二は肉マンが入った袋を差し出す。

「さっき、旨そうだったから」
「ありがと」

肉マンを頬張っていると祐二の手が膝小僧に延びてきた。

「今日は生でいい?」

伺うように聞いてくる。

「ねぇ…祐二」
「ん?」
「私ってセフレなのかなぁ…?」

絞り出した声が自分でも驚くぐらい震えていた。

「なに?肉マンだからすねてんの?」
「いやそんなんじゃなくて…」
「………」

短い沈黙が途方もなく長く感じた。

「あ~お前ってやっぱ天然」
「なにが?」

よくわかんない感情になった私はキレ気味にこたえる。

祐二は黙って車を発進させた。

着いたのは地元で有名な小さなカフェ。

「うまいコーヒーでも飲むか」

祐二はそう言って車を降りる。

ウッドデッキの席は寒いですよと心配そうに店員さんが声をかけてくれたけど、祐二はその席でいいと言った。

温かいカフェラテを2つ頼んだ。

ウッドデッキに装飾された綺麗なライトを眺めていたら、祐二が口火をきった。

「大事な話しは一度しか言わない」
「うん…」

少し息を飲む。

「俺は、ゆうなと結婚前提だと思ってる」
「……」

一瞬、理解出来なかった。

「え?え?」
「一度だけって言ったけど」
「うん…じゃあ彼女?」
「そうなるんじゃない?」
「なんか曖昧…」
「うるせー」

呆気にとられた私を尻目に祐二は伝票を持って立ち上がる。

「寒いから出よう」

私は、追いかけながら財布を出した。

「待って、自分の分…」
「たまにはかっこつけさせろよ」

祐二は、振り返り少し笑いながらこたえた。

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35
投稿者:ゆうな
2012/01/28 21:59:57    (u/Hksi97)
祐二はこたえないで私の髪を洗う。

あぁ…そっか。
こんなとこが私のダメなとこか…

なんて反省してしまう。

シャワーで丁寧に流して終わり。

「ありがと」
「うん」
「のぼせてきたから出るかな…」
「そうだな」

あがると体まで拭いてくれる。

「あーしまった!」
「え?なに?」
「コンビニ寄るの忘れた」
「あっ…でも、あれじゃ仕方ないよ」
「そりゃそうだけどな」

ホテルの冷蔵庫を開けると『ほろよい』が入っていた。

「ほろよい飲みたい…」
「飲めば?」

『プシュ』

缶はいい音をたてた。

ゴクリと一口飲むと、甘いような渋いようなアルコールが喉元を過ぎる。

「か~うまいっっ」
「おやじかよ」

『ほろよい』を掴んでジタバタしてるのを冷やかな目で見てる祐二。

「いい事思いついた」
「うん?」

祐二は含み笑いで近寄ると私から『ほろよい』を取り上げた。
34
投稿者:ゆうな
2012/01/28 21:18:22    (u/Hksi97)
「髪洗ってやるよ」
「え~いいの?」
「うん」

私は湯船に浸かったまま髪だけを外に垂らした。

祐二は洗い場に出て私の髪を洗い出した。

「気持ちいい…」
「強さどう?」
「いいよ…上手だね…洗い慣れてるの?」

私は目を閉じたまま聞いた。
33
投稿者:ゆう ◆PIbE901ZCc
2012/01/27 17:27:05    (pe9Iv4hj)
ゆうなさん幸せいっぱいって感じですね日々の出来事をゆっくりで良いので書き込みお願いします。
32
投稿者:ゆうな
2012/01/25 23:40:31    (e7qjLl33)
ラベンダーの入浴剤を溶かすと、浴室いっぱいに香りが広がった。

お湯は、グルグルと回りながら色を変える。
そんなのをジッと見てると頭をポカッとこずかれた。

「なにボサッとして?」
「あ…綺麗だなと思って」
「寒いから入ろ」

一緒にバスタブに浸かるとお湯が溢れた。

「ふ~」

祐二は両手で顔を洗うと天井を見上げて目を閉じた。

排水口に流れるお湯を見てると祐二が口を開いた。

「俺さ…一人暮らしするわ」
「なんで?」
「実家だと色々制限されるし、ゆうなもその方がいいだろ?」
「うーん…」

私は少し考えてから自分の気持ちを伝えた。

「一人暮らしは、もう少し後でもいいよ」
「どうして?」
「祐二が出ていったら、おばさん一人になっちゃうじゃん…」
「別にいいだろ」
「よくないよ。おばさん膝悪いし、可哀想だよ」
「………お前ってさ」
「うん」
「ほんと天然」
「はぁ?」

祐二はクスクス笑いながら私の顔にお湯をかける。

「やめてよー化粧落ちる!」
「泊まりだから落とせよ」
「ん~そうだけど…」
「俺、スッピンの方が好きだよ」
「え?なに?もう一回」
「ばーか」

祐二は照れながら、もう一度私の顔にお湯をかける。

「イタッ目に入った~」
「あ、ごめん」
「うそーん」
「バカゆうな!」

キャッキャッ遊んでいると祐二が言った。

「ガキの頃に戻ったみたいだな」
「…そうだね」
「おいで…」

祐二は優しい顔でキスをくれた。
31
投稿者:ゆうな
2012/01/25 23:13:51    (e7qjLl33)
下手な書き込みを読んで下さって感謝します(^人^)

マイペース更新ですが、よろしくお願いします。
30
投稿者:太一   yuta0123 Mail
2012/01/25 17:44:34    (2XfzyN3S)
もう何十回と読ませて頂いてます。今日ID取得して初投稿です(笑)続きとても楽しみにしてます。
29
投稿者:ゆう ◆PIbE901ZCc
2012/01/24 21:56:56    (DYXGFA.t)
ゆうなさん今回は初お泊まりになるのかな?目覚めたら隣に好きな人がいるのって良いですよねお泊まりの時の話も聞かせて下さいね
28
投稿者:ゆうな
2012/01/23 21:29:59    (Fm6xiNFJ)
「泊まり料金になります」

ホテルのフロントでそう言われて私は躊躇した。

「どうする?やめる?」

聞いたけど、祐二は前金を払った。

手首を掴まれ、黙ったままエレベータに乗ると扉が閉まりかける瞬間引き寄せて抱き締められた。

「チン」

手を繋いで降りてランプを頼りに部屋を探した。

部屋のドアを開けて前屈みでブーツを脱いでる間、お尻を撫で回す。

「もう…」

スリッパを履き中に入ると綺麗な部屋にテンションがあがる。

祐二もホッとしたのか穏やかな顔をしている。

「どうせ泊まりだからゆっくりしよ」

祐二がそう言うので私はお風呂の準備をした。

入浴剤が二種類…

「あなた~今日はどっちにする?」
「そうだな~」

私の新婚ごっこに付き合ってくれる祐二。

「じゃあ、こっち」

祐二が指差したのはラベンダーの入浴剤。

「安眠できるね」
「そうなのか?」
「ラベンダーは安眠効果があるんだよ」
「へーでも、安眠されたら困る」

本気が冗談かわからない祐二の顔を見て私は吹き出した。
27
2012/01/23 10:59:17    (EWNohykR)
じっくり読ませて頂きました! 新たな展開にドキドキしますね!新展開に期待してます(^O^)
26
投稿者:ゆうな
2012/01/23 00:34:07    (Fm6xiNFJ)
土曜の朝、知らないアドレスから一通のメール。

「元気か?」

アドレスは変わっていたけど、見覚えのあるそっけない書き方。

「誰ですか?」

暫くして着信。

「誰だと思う?」

そんな回りくどいのも相変わらず。

「たぶん…た、から始まる名前の人ですか?」

「正解、新しい人出来た?」

なんでそんな事聞くの。
忘れかけていた痛みが甦る。

「うん」

「そっか。ところで、遊びにおいでよ。温泉もあるし、片道なら旅費も出すから」

「…行けないと思う」

「どうして?彼氏がいるから?」

「うん」

「会いたいだけだよ。じゃ、俺から行くわ」

「本当に?」

「うん、行ったら会ってくれるよね?」

一瞬走る動揺。

「彼女は?」

「いないよ」

「恋しなよ」

「いいよ、めんどー」

「相変わらず淡白ね」

「(笑)」

少し頬が緩む。

祐二と上手くいってなかったらもしかして…

人生は全てタイミング。

「私の事はいいから仕事頑張んなよー」

少しだけ、あの人を思い出した朝でした。
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