2016/04/24 17:02:07
(by28eYvu)
私は、見届ける決心をするしかありませんでした。
男が言った「この前も…」という言葉には不に落ちない
部分もありましたが、今は見届けるしかない。 そう自分
言い聞かせました。 携帯からは、ゴソゴソという音と
嫁の切ない声が聞こえて来ました。 事は、これだけでは
終わりませんでした。 私の知らない未知な真実がまだ
ありました。 嫁を見ると、顔に何か巻かれている様に見えました
目隠しらしき物が着けられていました。「今日も、一人連れて来て
あげたよ。 準備するから待ってなよ。準備出来たら、向こうの
車に移動しようね。 呼びにきてあげるからね。」そう言って、
車から降りて行きました。 男が降りて行ったかと思うと、
エンジンを掛け、嫁が運動公園の駐車場から逃げる様に走り出して
行きました。 私は、何事が起ったのか頭の中が真っ白になりました。
私を残したまま、逃げて行った事は事実でした。 私も身動きが取れない
状態でした。 男が携帯を取り出し必死で電話を掛けていました。
多分、嫁にでしょう。 息を凝らしたまま携帯に耳を当てている限り
嫁とは、まだ通話状態でした。 車を走らす振動音は聞こえました。
男は、後部席のドアを開けました。 「今夜は、中止だな。 まさか
逃げ出すとは思わなかった。 向こうから連絡が来たし、100%
大丈夫だと思ったけど、油断したな。けど、また連絡するから」
そんな会話がハッキリと聞こえました。 後部座席に居たであろう
男の姿は確認できませんでした。 男は嫁を追いかける訳でもなく、余裕すら
感じさせられる程、落ち着いていました。 男の車も駐車場から出て行きました。
一旦、電話を切り嫁に電話を掛け直しました。 なかなか電話に出ませんでした。
私も歩いて運動公園を出るしかありませんでした。 電話を掛けたり、メールをしたり
嫁に呼びかけました。 自宅からだと車で30分ほどの場所ですが
歩くとかなりな時間がかかります。 それでも歩くしかありませんでした。
30分ほど嫁に連絡をしながら歩いたでしょうか。 嫁からメールが来ました。
「ごめんなさい」から始まっていました。 思い詰めている内容のメール
だったので、とにかく嫁に会う事。 会って話を聞く事を伝えました。
嫁から電話が入りました。「今、どこだ?」・「どかだか分からない」・「落ち着いて」
「……ごめんな…。」泣いていて、何を言っているのか分からない。 「近くに何がある?」
「海」・「海? 港なの? どこなの?」・「家の近くにある防波堤」 何となく予測がつきました
「○○通りを歩いているから。 ゆっくりでいいから来て。」・「うん」
私は、歩きながら前歩から車のライトが近づく度に嫁の運転している車なのか
立ち止まっては、確認した。歩いている間も、車での会話。
嫁が逃げ出した後、男が話していた事など、自分なりに整理した。
気付けばかなりの距離を歩いていた。 一台の車が私を通り越して行った。
振り向くとウインカーをたき路肩に嫁の運転する車が停車した。
運転を替り自宅に戻りました。