2013/11/16 12:59:06
(9NSUxVGB)
念入りに妻を味わい、五感に記憶した。
妻は傍で余韻にまどろんでいた。乱れた着衣が何かを想像させ刺激的だった。
私の誘いに拒んだ事はない。じゃあ...他の男は...明日は...、不安と期待が頭によぎった。
シャワーを浴びて寝室に。
普段ならそのまま眠り込んだだろう。だが眠れない。予想もしていた。
悶々としつつも目を瞑っていた。シャワーし髪を乾かし終えた妻が寝室に入ってきた。
私が眠っていると思い込んでたようだ。そのまま寝室に繋がるクローゼットに入った。
扉は締められ、ごそごそと音がした。
「これから支度か...」私は気付かれないよう頭から布団を被った。
朝になった。私は仕事。朝食後、そのクローゼットに着替えに向かった。
妻が選んだと思われる服が手前に掛かっていた。ビンテージ加工のデニムジャケットと茶系ストライプのショートパンツ。
見覚えがあった。ZARDのCDのジャケ写か何か、真似たコーディネートに胸が騒いだ。
出かける時間。玄関先。「夜はちゃんと食べてね。」見送る妻が声をかけた。
「俺は気にしなくていいし、楽しんでこいよ。...あっ、あの服着てくの?...一瞬余計な事を言ってしまったと思った。
「あっ、見た?そうそう。友達久しぶりだしね、若く見せたいかなって(笑)」普通にスルーされてほっとした。
妻の平静さに比べ、私の方が狼狽えていた。隠すように素っ気なく家を出た。
※
思い出した。最初の携帯mova502i.を買ったのはこの年の始め。
初のカラー液晶とかで最新機種だったがカメラなんて付いてなかった。メールも文字入力に苦労した。
妻も欲しいと言ったが、PCでさえも使いは始めたばかり、まだ与えてはいなかった。
※
気持ちがざわつく。気分が高揚したと思えば、すぐに滅入り、重くなる。
昼。居たたまれず、「状況が知りたい」とTokorotenの携帯にメールを送った。
10分、15分、返事が来ない。休憩が終わった。
それから2時間、やっと返信が届いた。
「期待以上でヤル気↑↑ また送ります^^」何とも期待外れの内容で溜息が出tた。舌打ちもした。
不思議な事に何処か腹が座った。「リアル速報はして貰えそうにないな...。もうお任せの立場だな...。」と感じ、冷静になれた。
夜。若い部下を連れ飲みに行った。
若く、純で初心な恋愛話を聞かされると、いつも自分の屈折しているかもしれない性癖を考えさせられ自問自答する。
だが、出てくる答えはいつも同じ。「こういう愛もあるんだよな...。わかる奴にはわかるんだ...。」
飲んだ流れでサウナに、一晩過ごした。
結局、Tokorotenからは電話もメールもなかった。勿論、妻からも。
朝5時、早く目が覚め、思い立ったようにTokorotenに電話した。
6、7回のコール。
彼からは「良い結果」という言葉。
「もっと詳しく」と言っても「良い結果は良い結果。楽しみにしてて下さい。」としか言わない。
「妻は?」と訊いても「楽しくやってますよ。」とだけ。
露骨に焦らされている感じがし、怒りもこみ上げたが、今日もある事だし...と堪えた。
敢えて冗談を交わし、今夜21時に(Tokorotenの店に)マスターテープを取りに行くと約束した。
電話を切りそのまま出社。午後に直帰外回りの用事を作り、手際よく終わるよう準備した。
「妻が戻った家に早く帰るより、テープをもらうのが先だ...。」
昨日とは別な感じで気持ちがざわついた。
(続きはまた)