3月の話です。
毎年3月は本決算関連の仕事が爆発
する時期なのですが、今年もご多分に
漏れることなく忙しい月でした。
そんな中、派遣契約社員のミユキさん
の大活躍のおかげで、無事に乗り切る
ことができました。
ミユキさんは今年40歳になる既婚女性
で、おとなしい控えめな方でしたが、
経理の知識と経験は抜群で、とても優
秀な派遣さんでした。残念ながら、条
件の関係で3月末で契約終了となりま
した。
契約終了の1週間前のことでした。
最大の山場であった取締役一同へのレ
ビューが終わり、重圧から解放された
私はミユキさんと浮かれて話をして
いました。
「本当にミユキさんのおかげで、今年
のレビューはスムーズでしたよ」
「ミユキさんの経理の腕は抜群です」
「来期も一緒に働きたかったなあ」
世辞ではなく、本心から出た称賛でした。
ミユキさんは私よりも5、6つ年上ですが
照れに照れて謙遜をしていました。そし
て、私のマネージャー業務を誉め返して
くれました。
「指示が明確で、すごくやり易かった
です」
「他の事業部との折衝もウマイし」
「私、派遣でいろんな会社に行きました
が、ここでの仕事が一番楽しかったです」
お互いに仕事の功績を称えあう会話は、
照れクサイものですが、やはり嬉しい
ものです。そしていつもより饒舌にな
っているミユキさんは、とても魅力的
でした。
私は何も考えずに、ふと「戦力を失う
こともあるけど、単純にミユキさんと
仕事ができなくなることが寂しいです
よ」と発言していました。
「寂しい、ですよ」とミユキさん。
変な沈黙。そしてミユキさんは笑顔で
「だから、飲みに行かない?」