2026/06/29 07:52:49
(SlKMD/0s)
「こちらが奥様をお預かりするにあたっての契約書になります。」
場所はとあるホテルの一室。
数か月前からやり取りを重ねた男とその妻・瑠璃子との初顔合わせの日だった。
男からメッセージを受け取ってからの月日は、そのまま妻を説得していた期間ということになる。
それだけ女の気持ちもマイナスな物から始まっていたのだろう。
少し時間がかかったとはいえ、結果的に首を縦に振ったのは夫の熱意に対して諦めなのか。
踏ん切りがつかなかった気持ちがようやく落ち着き、受け入れたのかは定かではない。
しかし1日2日程度で行動できる思慮の浅さとは違う本格的な覚悟、のようなものを感じ、さすがに預かりに慣れた男も少し興奮の色がにじみ出ていた。
フォーマルな場と同様に、還暦間近の年齢でありながらきっちりと少し暗めなスーツを着こなす様相。
それでいて逞しさを感じさせる腕の太さ、手の大きさ、指の長さ。
とても目の前の男と同じ性別には思えないほどの雄がにじみ出ていると言っても過言ではないだろう。
契約書、と端的な表現でのみの表紙を開けば、
シンプルな書式で、ほとんどが記述による返答が必要な内容のモノが続く。
■預かり対象の詳細なプロフィール(妻)
( )
参考:身長、体重、スリーサイズ
性格、性癖、セックス頻度及び自慰頻度、性感帯等。
■希望預かり期間(夫)
( )
参考:2週間~1年
■費用(夫)
預かり週×2万円
■NG環境、行為(夫)
( )
参考:中出し行為、衆人の目に触れる行為等
■預かりに期待すること(夫)
( )
参考:自由記述
プロフィールと行為に関する問には広くスペースを設けていた。
それだけ詳細に記載しろ、という事なのだろうか。
何より、性癖や自慰頻度までの詳細なプロフィールを、夫はもちろん初対面の男の前で
妻自ら記載しなければいけないのはそれだけでかなりの羞恥プレイ。
どれだけ詳細な記載になるかどうかが、それだけ覚悟の度合いを示しているということになるだろうか。
「この契約書が全て、となります。
ここに書かれている事が前提にお預かり…もとい、調教が進みます。
望まない事は絶対に起こりませんが、同時に望んだ行為以上のモノも行いません。
慎重になって頂く必要はありますが、それ以上に記載に漏れがないようにご注意くださいね。」
薄く笑みを浮かべる男。
紳士的な言葉選び、振る舞い。
しかしそれ以上にどこか、怖さを少し感じさせる雰囲気は終始漏れているような。