【GSBがエリカ達に壊滅させられる4ヶ月前…。GSBの幹部、レン・アサヒナは失踪したスパイ達の手がかりを追う為、先日総務へと配属されたばかりのエリカ・シジョウと香港へと向かう事に…】

しかし、まさかプライベートジェットで行く事になるとはな…。
それだけサクライ社長も今回の件を重く見て警戒してるって事か…。

シジョウ君も大変だっただろ？
ここに来てまだ1ヶ月程で慣れていないのにすぐにプライベートジェットの手配だなんて…。

【そう会話しながら搭乗口より機内に乗り込むレンとエリカ。中に入るとCAが笑みを浮かべて会釈する。荷物を預けると座席につく2人。流石プライベートジェットだけあって、機内の設備はファーストクラス並みで巨大なスクリーン、シャワー室やラウンジまで完備してある。2人は座席に着きシートベルトをすると機内アナウンスが流れ、飛行機が離陸する】

香港までは4時間か…。
少し時間があるな…。

「大変だなんて、そんな。
エリカ、嬉しいんです。少しでも皆様のお力になれて。
サクライ社長に喜んでもらえるような収穫が、香港で見つかると良いのですが…」

長い髪をアップに纏めた、タイトミニのスカートスーツ姿。
エリカは離陸すると乗務員の控室に入り、ワインボトルとグラスを2つ、トレイに乗せて戻ってくる。

「最近例の件で働き詰めで、休まれてないでしょう？
せめて香港までは、ゆっくりされてくださいね。
これまで失踪している社員はすべて、任務中や、支社の職員達ですもの。
まだ本社や、幹部までは把握できていないはず。
大丈夫ですよ。今回も必ず、最後は我々GSBの勝利で収束するに決まってますから…♪」

レンの傍らに跪き、トプトプとグラスにワインを注ぐ。
もう片方のグラスにも注ぎ込むと、カチンと乾杯し、安心させるような微笑みを浮かべ、優雅にワインを味わう。

そう言って貰えると助かるよ。サクライ社長もシジョウ君の仕事振りにはきっと満足しているはずだ。
あぁ…。失踪した社員の手掛かりが何か見つかればいいんだが…。

【エリカがワインを注いでいる間も窓の方を時折チラチラと見るレン。外に怪しい者がいないか、注視しているのだろう。】

あぁ…そうだな。流石に上空までは向こうも来れないから少しリラックスさせてもらうよ。

(確かにここまで失踪したのは支社の人間ばかり…。だが本当に安心して良いのだろうか？向こうは既にこちらの幹部や本社の情報を入手しているのでは？)

【そう思いを巡らせている内にワインが注ぎ終わる。グラスを手に持ち乾杯するとワインに口をつける。二口程飲んだ後、身体に異変を感じ…】

っっ……。

(何だ？熱か？身体が急に熱くなってきた気が…。最近忙しかったから体調を崩したのか？)

【エリカに余計な心配をさせまいと平然を装うレン。暫くするとCAがヒールをカツカツと鳴らしながらレンの元へ歩み寄り、機内サービスの案内をし始める】