イメプレ

＜おはようございます。鈴は明日までです。恭平さんは？＞

「うん、恭が連れて行きたくなったらでいいよ」

貴方が先延ばしにするにはなにか理由があるのか、
やっとそのことに思い至り、静かに頷く。


「えっと･･･これ？」

渡された自分の新しいスマホをおっかなびっくり触る。
鈴香にしては優秀に電源が入る。


「恭とライン出来るようにして？あとね、可愛い背景がいいっ！」

自分のスマホを貴方に差し出すと、
甘えた様にぎゅっと腕に抱き着く。

親しく、連絡を取りたいのは貴方ぐらい。
連絡が出来て、背景が可愛ければ鈴香にしてみれば事足りる。

《明日までお休みなんだ。早いね。恭は６日まで休みだからゆっくりだよ。》

『仕事がある程度流れて目鼻が付いたら行こうか？』

そんな風に話している間にスマホが立ち上がって。

『まず待ち受けは何にしよっか？キャラクターだったらサンリオかディズニーかな？鈴は何が良い？一緒に決めようね。』

鈴香からスマホを受け取ると目の前でゆっくり、鈴香に分かるようにスマホを操作する。

『そうそう、LINEをするには電話帳に登録も済ませないとね。１番目に俺かな？次に鈴のお父さん、あと家の親父とお袋かな？』

＜休むか悩んだけど･･･休むと二度とお仕事行けない気がしたんだもん笑＞

「んー普通のうさぎさんはだめ？」

貴方にぴったりくっついてこてんと小首を傾げる。


「うん！そうする。恭の電話帳の一番はだれ？」

貴方にたくさんの友達がいることは知っている。
嫉妬というより純粋に尋ねる。


「あっ･･･連絡先教えてください」

思いついたように顔を輝かせる鈴香。
何事かと思う貴方の膝の上によじ登り、対面状態で座ると貴方の首に腕を回して
まるで抱いてと誘惑している様な艶っぽい表情でおねだり。

《確かに長く休むと仕事に行くのが嫌になるから正解かも。》

『やっぱりウサギさんかぁ、だったらこんなので良いかな？』

セバスチャンに似た雰囲気のウサギの画像を見付けて待受にした。続けてって思ったら鈴香から電話帳の事を聞かれて。

『既に１番上には鈴の番号を登録してあるよ。確かに電話帳にはいっぱいあるけど、ほとんどが仕事関係、鈴が心配する番号は残念ながらないよ。』

って話していれば横にいた筈の鈴香が膝の上に乗って対面で首に手を回して、雰囲気は電話番号を聞くと言うより甘える様子。

『鈴ったら、甘えん坊なんだからなぁ。番号はどこに記憶すれば良いのかなぁ。』

一言言ってからそのまま唇を重ねた。

＜鈴ならもはや日付を忘れそうな気すらする笑＞

「んっ」

可愛い待ち受けにしてもらえてご機変な中、
そのまま合わせた唇。

「確かに！」

この状態だと記録するものがないことに気づき、
少し名残惜しそうにしながらも唇を離す。

「じゃあここに入れて？
鈴のにも恭を一番に入れてね。絶対っ！」

スマホを差し出して今度こそ真っ当なお願いをする。

「そしたらパパに電話しよ？」

そんなお願いをしながらも、これからする自分の家、
貴方の家への電話に内心ドキドキしていた。

帰って来るように言われれば帰らないとならないかもしれない。
貴方のいたいのは間違いないが、それは双方の親が許さないかもしれない。