2009/07/18 00:31:48
(sI5WxFZK)
こんばんは。恭子と申します。
半月ほど前、出張で『ある地方』に行ってきました。
そこでの私の体験を書いてみます。
私は、ある会社の秘書室に勤務している、いわゆるOLです。
仕事がら、出張自体は珍しいことではありません。
私も年に何度かは、上司に随行するような形で出張に行く機会があります。
ただ今回は、いろいろと部内の事情もあって、私ひとりきりで出張すること
になりました。
いろいろと差し支えることがありますので、もちろん出張先の場所や業務の
内容に関することについては、一切書くことができません。
ひとつだけ言えるのは、私にとって初めての『ひとりきりでの地方出張』だ
ったということだけです。
宿泊を伴う出張に際しては、会社の旅費規程で定められた『宿泊費』に収ま
る範囲内で、あらかじめ宿泊先を探して押さえることになります。
このあたりの手配は、日頃からもう手慣れたものです。
こういうとき、通常はビジネスホテルを予約します。
でも、今回私はそうしませんでした。
あえて温泉旅館を探したのです。
べつに深い考えがあったわけではありません。
今回、私が訪れることになったこの地方は温泉で有名な地域です。
(仕事を終えたあと、夜ゆっくりと温泉につかれたら最高だなぁ)
そう思っただけのことでした。
こういった点は、『ひとりきり出張』の気楽なところです。
出張は『木曜日~金曜日』の1泊でした。
でも事実上、仕事自体は木曜日の夜で終わりです。
金曜日は、宿泊先をチェックアウトしたら東京に帰って来るだけでした。
しかも出社せずに、直接帰宅していいという許可を得てあります。
ネットで温泉旅館を調べます。
予算が限られていますので、当然ながら、それほどいいところには泊まれま
せん。
夕食も付けられそうにありません。
でも構いませんでした。
もともと外食してから宿に行くつもりでしたし、とりあえず温泉に入れれば
それで満足だったからです。
小さそうな旅館でしたが、安いところをみつけて1泊で予約しました。
前書きばっかり長くなってごめんなさい。
このあとも、記憶を頼りになるべく細かく書いていくつもりです。
そのときに感じたことや思ったことも正直に記していきます。
そのために、最初からここでもうお断りしておきます。
私は、自分の外見の容姿に多少なりの自信を持っています。
もちろん、日常生活において、こんなことを自分で口に出すことは絶対にあ
りません。
でも、客観的に『清楚な雰囲気の顔立ち』と、24歳になった今でも『細身
をキープできているスタイル』、その両方にかなり恵まれていると、心の中
では思っています。
そんなひとりよがりな自信を持っている私が、自分の心情を『正直』に書い
ていくつもりです。
読んでくださる方が『共感できない』『高飛車でいやな女だ』とお思いにな
る部分も、きっとたくさんあるはずです。
不愉快に思われるところも多いかもしれませんが、あらかじめお許しいただ
きたいです。
出張当日、仕事はなんとかひとりで無事にこなすことができました。
ここに内容を書くわけにいきませんので、ちょっと残念なのですが・・・
それなりに成果も得ることができて、充実感がありました。
『責任を果たした』という解放感に満たされながら、ひとり夕食をとりまし
た。
あとは、宿に行って楽しみにしていた温泉につかるだけです。
仕事の緊張感から放たれて、リラックスした気分でした。
宿は、だいたい思っていたとおりの感じでした。
建物は古くて、お世辞にも立派とは言えません。
でも清潔感がありますし、フロント(?)の接客態度も爽やかさを感じさせ
るものでした。
私が宿に着いたとき、フロントには2人の人がいました。
ベテランの男性と、『研修生』の札を胸につけた若い女の子のコンビです。
いかにも10代という感じの幼さが顔に出ています。
彼女のその幼い雰囲気に、
『こういった仕事を目指している学生さんの体験実習か何かかな?』という
印象を持ちました。
この日は、一日中はっきりしない天気だったのですが、入ってきた私の姿を
目にしたとたんに濡れた傘を預かってくれたり、何かと気を利かせてくれま
す。
ベテラン男性が隣で見守る中、緊張した顔ながら爽やかで丁寧な接客でし
た。
部屋に通され、ひととおりの説明を受けました。
部屋でひとりになった私は、さっそく浴衣に着替えました。
いくつかの候補の中で、この宿を選んだ理由は・・・
内湯の温泉だけでなく、いちおう露天風呂もあるということでした。
仕事から解放された私は、もうすっかり旅行気分です。
自分へのご褒美のような気分で、お風呂に向かいます。
お風呂は2つあって、入口は隣り合っていました。
ここでは、仮に『U湯』と『D湯』と呼ぶことにします。
ひとつが『女湯』で、もうひとつが『男湯』です。
この『女湯&男湯』は、毎日交代で入れ替わるとのことでした。
今日は、『U湯』が『女湯』でした。
U湯の入口に入ります。
もともとcapacityの小さい旅館です。
しかも、平日ということもあって宿泊客はかなり少なそうです。
不謹慎ですが、
(大人といっしょに小学生ぐらいの男の子が入っていないかな。。。)
ふと、そんなことを思いました。
そうだったら『子供とはいえ、異性にヌードを見られることになるかもしれ
ない』と、少しだけどきどきしたのです。
普通の大人なら、たとえ女湯に子供が入っていたとしても、そんなふうに意
識することなどないでしょう。
でも、私は『自分の裸を、異性の視線に射られてしまうこと』に対して、ど
うしても過剰に意識してしまいます。
・・・たとえ相手が小学生であってもです。
私の経験上(?)、小学生ぐらいの男の子だったら、もうそれなりにけっこ
うエッチな目で女性の裸を見てくるものです。
そういう視線でヌードを見られてしまうことは、私にとって『羞恥体験』で
あると同時に『どきどきの体験』でもあるのです。
脱衣所で全裸になって、内湯への戸を開けました。
中に入ります。
内湯は、『まぁそうだろうな』と思えるぐらいの、この旅館の規模にふさわ
しいサイズのものでした。
全体的に古ぼけたような『昭和』の印象(?)ですが、清掃はきちんと行き
届いています。
おばあちゃんがひとりだけ湯船につかっていました。
内湯を通り抜けて、露天風呂を見に行きます。
こちらには、誰もいませんでした。
私の淡い期待(?)は、あっというまに消え去りましたが、それを特に残念
に思うわけでもありません。
さっきはふと、あんなことを思ったものの、もともと下心があったわけでは
ないからです。
あくまでも、仕事後に温泉に入ることそのものが目的でした。
出張先で仕事を終えた後、温泉でゆったり疲れを癒す・・・
私は、昔からそんなイメージに憧れを持っていたような気がします。
露天は、決して広いとは言えません。
でも、かえってこじんまりとしていて『いい感じ』です。
入浴客がたくさんいたらがっかりするところだったかもしれませんが、その
心配はまったくありませんでした。
このときも、霧雨(?)程度に雨が降っていました。
そのせいで、季節の割には寒さを感じる気温です。
梅雨寒とでもいうのでしょうか。
かえってそれが、お湯につかる気持ち良さを感じさせてくれます。
温泉気分にひたりました。
内湯と、露天風呂を行ったり来たり・・・
のんびりしました。
お湯に詳しいわけではないのですが、泉質は良さそうに思いました。
肌が『すべすべ』する感じがあります。
私はけっこう熱いお風呂が好きなので、お湯の温度が高めなのも満足でし
た。
(ふつうにビジネスホテルに泊まっていたら、こうはいかなかったな
ぁ・・・)
お湯につかりながら、気持ちよく『ぼーっ』とできました。
露天風呂のスペースはあまり広くありません。
5m×5mぐらいのものでしょうか。
スペースの中央に『4~5人が入るのがやっと』ぐらいのサイズの湯船があ
るだけです。
この露天スペースに隣接して、別に5m×10mぐらいのスペースが広がっ
ています。
趣は、ちょっとした『庭』ふうです。
と言ってもたいしたことありませんが・・・
たぶんテーマは『竹林』か何かなのでしょう。
それっぽい感じです。
入浴客は、この庭を見たり、夜空を眺めたりしながら露天のお湯につかると
いう趣向のようです。
ということは、もうひとつの『D湯』はまた違う趣きなのかもしれません。
だから日替わりで男女が入れ替わるということなのでしょう。
どこかから、おじさんたちの声が聞こえてきます。
隣の男湯は、それなりに混み合っているようです。
ちょっとだけ気持ちが『むずむず』してきます。
今さらここで詳しく書きはしませんが、私は以前に、当時住んでいたコーポ
で『隣人に部屋を覗かれてしまう』という経験をしたことがあります。
それ以来、『覗き』とか『覗かれる』とかいうようなことに、どうしても神
経が過敏になってしまっているところがあります。
(こうしている今も、じつは男湯からこっそり覗かれてたりして)
自意識過剰なのは自分でもわかっていますが、ついそんなふうに想像してし
まうのです。
このお風呂・・・
きちんと清潔感は保たれていますが、建物や設備自体の『ボロっちさ』は否
めません。
その気になって探せば、反対側の露天を覗けるような隙間だって見つかるか
もしれないという感じがあります。
お風呂を『覗く』というのがどんな感じなのか、ちょっと興味がありまし
た。
お湯から上がって、とりあえず内湯に行ってみます。
あのおばあちゃんは、もういませんでした。
いま女湯は、私ひとりの貸し切り状態です。
再び露天に取って返します。
人工的に装飾された『竹林』、その庭の部分に足を踏み入れます。
本来は立ち入るべきスペースではありません。
敷きつめられた砂利の上を裸足で4~5m進みました。
サイドの壁に近づいてよく見てみると、かなり古そうな板塀(?)です。
建てられてから何十年も経っていそうです。
引き寄せられるように、板と板との接合部分を確認してみます。
古すぎて木材自体が歪んでいるのか、あちこちに細い隙間があります。
近づいて目を寄せてみました。
(あっ・・・)
見えました。
男湯が。
あまりのあっけなさに、信じられない気分です。
中年のおじさんの姿が見えた瞬間、向こうから見つかってしまうような気が
して、ぱっと目を離してしまいました。
気持ちを落ちつけて、もう1度、そっと目をくっつけます。
覗けます。・・・覗けてしまいます。
あっちの露天が。
太った中年のおじさんが見えます。
実際の距離は7~8mぐらいありそうです。
でも、感覚的にはすぐ目の前にいるように感じてしまいます。
本当に男湯を『覗いてしまっている』という衝撃と、醜いぐらいに太った中
年男性の裸があまりにも生々しいせいです。
後ろを振り返りました。
背後の内湯から誰かが露天に出て来たら大変です。
庭に足を踏み入れている、こんなところを見られたら怪しすぎます。
あらためて板塀の状態を確認しました。
どの板も、木材の接続部分ごとに、大なり小なり隙間はあるようです。
ただし、竹が邪魔して顔を近づけられないようなところもあります。
さっきは焦っていて気が付きませんでした。
ひとつ右横の板の継ぎ目が、わりと広い隙間をつくっています。
目をくっつけました。
私なりに、かなりショッキングでした。
さっきよりもさらに断然見えます。
すぐそこの大きな岩がちょっと邪魔ですが・・・
おじさんや、おじいさん・・・
視野の中だけで4~5人います。
覗いておきながら勝手な言い草ですが・・・
見たくもないおじさんたちのあそこまでまる見えで、目のやり場に困りま
す。
隙間の幅がほんの数ミリ広いだけで、こんなにも視野がひらけるとは驚きで
す。
私からはちょっと見下ろすような感じでした。
先入観で、U湯とD湯は左右対称で、対のようになっているものだとばかり
思い込んでいました。
でも実際にはかなり違うようです。
U湯の露天スペースが『横の長方形』っぽいのに対して、D湯の露天スペー
スは『縦の長方形っぽい』イメージです。
あっちのD湯は、『岩』をモチーフにした造りのようです。
おじさんたちは、私に見られていることなんて気づいてもいません。
(もし、逆の立場だったら・・・)
ついつい想像してしまいます。
すぐに体が冷えてしまいました。
夜の空気と、霧のような雨に体温を奪われていました。
湯船に戻りました。
熱いお湯につかって、体を温めます。
男湯を覗いてしまいました。
目にした光景を思い浮かべます。
なぜか、あちらの露天のほうが若干低い位置にあるようです。
高さの関係で、あちら側の『D湯』から、こっちの『U湯』の露天スペース
は覗けなさそうです。
仮にもし覗かれたとしても、向きから言ってこちらの竹庭の部分しか見るこ
とができないはずです。
覗かれる心配はなくなってちょっと安心しましたが・・・
それよりも、率直に『こっちからはこんなに簡単に覗けちゃっていいの?』
という感じです。
私の勝手なイメージで、覗きなんて『変質者の一線を越えた行為』のはずな
のですが、それがいとも簡単にできてしまえるここの露天に驚きです。
そんなことを考えながら、今度は安心して(?)ゆったりとお湯につかって
いました。
どうしても、さっきの衝撃的な光景が頭から離れません。
ここのお風呂は『1日ごとに男女が入れ替わる』とありました。
こちらの『U湯』が男湯のときもあるということです。
マナーを守って普通に利用しているぶんには、入浴客があの板塀の隙間の存
在に気づくことはありません。
でも、意図的に『なんとかして女湯を覗いてやろう』と狙っている男性だっ
たら・・・
すぐに見つけてしまいそうです。
庭に踏み込んで、ほんの4~5m砂利の上を歩けば、そこに隙間だらけの板
塀があるのですから。
宿泊したのが今日でなかったら、私も知らないうちに入浴姿を覗かれてしま
うことがあったのかもしれません。
1日ずれただけで、逆の立場になっていたかもしれない・・・
あまりリアリティはありませんが、そんな想像をしてなんとなく『楽しん
で』いました。
実際にはたぶん、そんな可能性はほとんどゼロです。
悪意を持ってわざわざ女湯を覗こうとする人でもいない限り、ありえないこ
とだからです。
翌朝、チェックアウト前にフロントで確認してみました。
もう1泊、延泊できるかどうかを聞いてみたのです。
皆さんに誤解されるのは本意ではありませんのできちんと書いておきます
が、わざとお風呂で覗かれるためとか、そういった『下心』があってのこと
ではありません。
私もこういうサイトに投稿している以上は、露出狂(?)みたいに思われて
いても仕方ありません。
でも、本当の私はすごく真面目で几帳面な人間です。
まじめすぎる自分の性格に自己嫌悪することがあるぐらいです。
普段は、決して露出的なことを意識しながら生活しているわけではないので
す。
実際、一晩たってお風呂のあの板塀のことなんてすっかり忘れていました。
どうせ、翌日は土曜日で仕事も休みでした。
今日帰っても、明日帰ってもたいして違いはありません。
私は、この地方に来たのは今回が初めてでした。
出張先での開放的な感覚もあって、『ちょっと観光でもしてみようかな』と
いうような気分になっていたのです。
フロントの返事は『OK』でした。
それはそうでしょう。
平日ということもあり、他のお客さんもあまり見かけないような状況ですか
ら。
とりあえず、観光のつもりで町に出ました。
場所を特定されたくないので、詳しいことはここには書きません。
そこそこ見どころはあって、それなりに楽しむことができました。
夕食をすませてから宿に戻ります。
今夜のフロントは、昨夜とは違う人の組み合わせでした。
ベテランな感じの女性と、若い男の子との2人組です。
外出から戻ってきただけですので、鍵を受け取るだけのやりとりです。
女性がちょうど電話に出ていたこともあり、男の子のほうが対応してくれま
した。
やはり体験実習か何かの学生さんなのでしょうか・・・
昨夜の女の子と同様に、この男の子も『研修生』と胸につけていました。
『坊主頭だったのを伸ばし始めた』そんな感じの髪型で、初々しさが溢れて
います。
(がんばってね)
心の中でなんとなく、応援したくなってしまいます。
鍵を渡してくれた彼に、
「どうもありがとう」
にこっとしてみせると、嬉しそうに微笑みを浮かべてくれました。
とりあえず、部屋でくつろぎました。
食事は外でとってきましたので、何もすることもありません。
お風呂に入って寝るだけです。
この頃になって思い出しました。
そういえば今夜はD湯が女湯になっているはずです。
(あの隙間から覗かれちゃったりして・・・)
まぁ可能性はゼロではないでしょう。
でもそんな確率はかなり低いはずです。
今の私には、純粋に『寝る前に、ゆっくり温泉につかろう』という気持ちが
あるだけです。
実際のところ、私はこの旅館の『お湯』を気にいっていました。
(そろそろ行こうかな)
準備をします。
部屋から浴場まで行くには2通りのルート(?)があります。
私は浴衣姿でフロントの前を通りたくなかったので、もうひとつのルートで
向かいました。
ずっと廊下を歩いた後、最後に階段を下って浴場入口のすぐ脇に出ることに
なります。
この階段を下りきる直前に、大きな笑い声が聞こえてきました。
「おっぱいが××××・・・」
下品な会話が耳に飛び込んできて、思わず足を止めます。
あと3~4段下って、右に曲がったすぐそこのところが浴場入口です。
入口の前は、廊下がちょっと広くなった感じの待合所(というかスペース)
になっています。
声はそこから聞こえてきました。
私は本能的(?)に、角を曲がらないでその場に留まっていました。
そっと聞き耳を立てます。
「子供を2,3人産んだ体だな」とか、
「岩がジャマで見えなかったですよ」とか、言い合っているのが聞こえま
す。
後頭部を殴られたかのように、クラクラするような気分でした。
どう考えたって、女湯を覗いていた感想としか思えない会話です。
(こんなことってあるのかな)
昨夜のことを思い出しながら、なんだか不思議な巡りあわせのようなものを
感じます。
昨日、男湯を覗き見たときのあの光景が、頭の中でflashbackします。
足が前へ進みません。
耳をそばだてて、聞こえてくる声に集中します。
「右のおばちゃんのほうが(どうのこうの)・・・」
「おなかの肉が(どうのこうの)・・・」
「自分ばっかりずるいですよー」
終始『わはははー』という笑い声とともに、覗いた感想を言い合っていま
す。
決して大声で話すような会話の内容ではないはずなのに・・・お酒に酔って
でもいるのでしょうか。
その先を少し行けばフロントがあります。
『もしそちらに聞こえてしまったら』というような分別さえつかないのでし
ょうか。
「・・・(聞き取れません)・・・おっぱいが・・・」
「・・・けつが・・・(聞き取れません)・・・」
やたらと『おっぱい』と『けつ』という言葉ばかりが耳につきます。
(誰かが覗かれてたんだ・・・)
私の胸の中に、黒い雲が湧きあがります。
足が前へ進んでいました。
階段を下りきって右に曲がります。
待合スペースに置かれた、向かい合わせのソファ(?)が目に飛び込んでき
ます。
そこに3人いました。
私が姿を現したとたんに、会話が途絶えています。
男性3人が同時に私を見ていました。
やはりお風呂上がりの人たちです。
突然現れた私をじっと見ています。
私は、その視線に気がつかないふりをしていました。
3人のことなど、チラチラッと見ただけで、完全無視します。
そうやって様子を窺っていました。
やっぱり3人とも、相当お酒に酔っているようです。
私がチラッと見ただけの間にも、お互いに目で合図を送り合っています。
『おいっ・・・』、『わかってる・・・』というような感じです。
その仕草があからさまで、私にみえみえなのです。
顔の赤さ、だらしない姿・・・
どう見ても酔っぱらいでした。
私は昨日からこの旅館にいます。
でも、他の宿泊客の中に、1度も若い人を見かけることはありませんでした。
そういった意味では、私は『若い女性である』というだけでも異色の存在の
はずです。
浴衣姿の私が、酔っぱらったおじさんたちの目を引かないはずがありませ
ん。
私は『つん』とすましたまま、彼らの前を通ってソファの脇に行きました。
そこには『おいしい水(?)』みたいなのが自由に飲める機械が置いてある
のです。
紙コップをホルダー(?)から引き抜いて、水を注ぎます。
立ったまま水を飲みました。
3人とも50代ぐらいの感じです。
酔っぱらい独特の『ねっとりした視線』を向けてきています。
さっきの会話・・・、さっきの合図・・・
(私を覗こうとしてる?)
(私の裸を見ようとしてる?)
私が一方的に勘違いしているだけかもしれません。
それでも、私の胸の中に湧きあがった黒雲は、ますます濃く渦巻いてきてい
ます。
私は冷静でした。
冴えきった頭と相反するように、『いけない欲求』が湧きあがってきます。
私の心の底で久しく眠っていた、アンモラルな欲求です。
お風呂を覗かれてしまう憐れな女・・・
もしそれが私だったら・・・
(私は何も悪くない)
(悪いのは覗く側の男の人たち)
私は、あくまでもかわいそうな被害者の立場・・・
何も知らずにお風呂に入るだけ・・・
自分自身を『悲劇のヒロイン』に貶めるようとイメージしていました。
ねっとりした視線で私を見る、男の人たち・・・
この人たちに、下着すら身につけない姿を見られてしまうとしたら・・・
どれだけ屈辱的なことか・・・
きっと耐えられないような恥ずかしさに襲われるはずです。
その『恥ずかしさに身を焦がす』ことへの欲求が一気に高まってきます。
この瞬間のことを、今でもはっきりと思い出すことができます。
『普段の常識的な私』から、『いけないことをしようとする私』へと、まさ
に気持ちのスイッチが切り替わった瞬間だったように思います。
裸の自分が覗かれてしまっている場面を想像していました。
高飛車な感情が、自分の気持ちを煽っていました。
(これからこんないい女がお風呂に入ろうとしてるわよ)
(隙間から覗いたら、見えちゃうのよ)
水を飲み終えて、紙コップを捨てます。
浴場入口へと歩きました。
『おすまし顔』のままソファの前を通ります。
『U湯』と『D湯』の入口は隣り合っています。
『U湯(男湯)入口』にはネイビー、『D湯(女湯)入口』にはピンクを基
調としたノレンがかかっていました。
入る前に目を走らせてチェックしました。
男湯のノレンの下、スリッパ置き場には、ひとつもスリッパがありませんで
した。
ゆっくりと『D湯入口』のノレンをくぐります。
私がその場で足を止めて耳をすませると、
「パタパタ・・・」
「パタパタパタ・・・」
慌ただしいスリッパの足音に続いて、『がらっ』という音が外から聞こえて
きました。
いま入ってきたばかりの女湯のノレンを、また戻るようにくぐります。
・・・待合スペースの3人の姿が消えています。
(すごい展開・・・)
自分でも驚いていました。
そしてこの『急展開』を自ら演出して、演技を楽しんでいる自分がいまし
た。
あの3人が、再び男湯に戻ったのは間違いありません。
あれほどの酔っぱらった3人だったら、ふざけて女湯を覗いていたとしても
不思議ではありません。
きっとあの3人は、板塀の隙間の存在を知っているのです。
それはそうでしょう。
現に、この私が簡単に見つけたぐらいなのですから。
お風呂上がりのはずの3人がまたU湯に戻った目的は1つしか考えられませ
ん。
この私のヌードを覗こうとしています。
私はそんな彼らを都合よく利用して、羞恥心を味わうつもりでした。
あらためて女湯のノレンをくぐります。
廊下から死角になるよう左側にサッシの引き戸があります。
足元にはすでに3組のスリッパが置いてありました。
私もスリッパを脱いで上がり、戸を引きます。
脱衣所に入りました。
40代ぐらいの女性が2人、お風呂から上がってきていて体を拭いていま
す。
さっきのおじさんたちが覗いていたのは、おそらくこの2人なのでしょう。
私は冷静でした。
考えをめぐらせます。
あの会話の内容・・・
ふと、理解しました。
きっとあの3人は、入浴を終えたこの2人の女性たちが出てくるのをソファ
で待ち伏せていたのです。
自分たちが覗いた相手を、もういちど眺めるために。
・・・そう確信しました。
浴衣の中は下着だけですから、あっと間に全裸になります。
なぜか、まったくと言っていいほど緊張感はありませんでした。
それよりも、ここまでの自分の行動力に、自分自身で感心していました。
あるはずないと思っていたシチュエーションが、現実のことになるなん
て・・・
自分の部屋を出たときには考えてもいなかったのに、とんとん拍子でこのシ
チュエーションを迎えています。
躊躇なく判断し、演技できている自分自身が不思議です。
自分自身の行動そのものが、なんだか他人ごとのようで、あまり現実感があ
りません。
内湯への戸を開けて、中に入ります。
浴場には誰もいませんでした。
建物の中にいるうちは、まだ覗かれることもありません。
髪を洗い、体を洗いました。
きっと3人して、『いまかいまか』と待っていることでしょう。
この私が露天に出ていくのを・・・
私が真っ裸で彼らの前に姿を現すのを・・・
でも、なんとなく私自身は内心のテンションが上がってきません。
どきどき感がないのです。
あのおじさんたちは酒の勢いで女湯覗きをしているだけ・・・
覗ければたぶん誰でもいいはず・・・
妙に気持ちが冷めていて、あまり興奮しませんでした。
体を洗い終えた私は露天へと向かいます。
ガラス扉を押し開けて建物から出ました。
外気の冷たさが全身を包みます。
覗いているでしょうか・・・、きっと覗いているはずです。
この私のオールヌードを。
スリムな私の全身を。
でも、私の気持ちは平静でした。
演技するまでもなく自然体でいられました。
本当だったら『緊張で胸がどきどきして、脚ががくがくして』となるはずの
状況です。
それなのに、プレッシャーがまったくありませんでした。
『覗かれているだろう』ことを頭では理解しています。
でも、それをなんとなく受け流している・・・
そんな不思議な思考状態で、湯船のお湯につかりました。
私以外には、小太りの中年女性がひとり、もともと露天にいました。
今は私と向かい合うようにお湯につかっています。
この人は、『いま男湯から覗いている酔っぱらいがいる』ことなんて知りま
せん。
かわいそうな気もしますが、私がそれを教えてあげるわけにもいきませ
ん・・・
お湯につかりながら、周りを観察します。
湯船そのものは木製ですが、このD湯は、やはり『岩風呂』ふうなイメージ
で設計されていました。
U湯に比べると、露天スペースは少し広い感じです。
そのぶん鑑賞用(?)の『庭』部分がほとんどありませんでした。
隣のU湯の建物の横壁が見えます。
昨日の記憶をたどって、板塀の向こう側のU湯の造りをイメージします。
(あのあたりに露天があって・・・)
(あのあたりからが竹の庭で・・・)
湯船から周りを見渡す私の斜め右に、大きな岩があります。
あれこそ、U湯から覗いてみたときに視界の邪魔になっていた岩に違いあり
ません。
その向こうは、簡単な岩山(?)のようになっていて、その途中から板塀が
立っています。
例の隙間だらけの板塀です。
おじさんたちの覗き穴です。
あの板と板の接合部分、そしてまた隣の接合部分・・・
(あのあたりから見てるはず・・・)
板塀は岩山にガードされていて、D湯側からは途中までしか近づくことがで
きません。
ですから、こちらからは『隙間』があるなんて絶対にわかりません。
お湯につかっている私までの距離は5mぐらいのものです。
そんなに遠くはない距離です。
あの塀の裏側にはきっとおじさんたちが張りついていることでしょう。
そして覗いているはずです。
肩までお湯につかっている私のことを・・・
ただ、私としては覗かれているという実感はまったくありません。
こちら側にいる限り、実感するだけのものが何もないのです。
『たぶん覗かれているはず』と勝手に想像するしかありません。
ですから、あの隙間の存在を知っている私でさえ、『覗かれている』という
現実感を得ることはありませんでした。
けっこう熱めのお湯です。
もうひとりの女性は、さっきから『少しお湯につかっては、湯船のふちに腰
かけ、またしばらくしてからお湯につかる・・・』というのを繰り返してい
ます。
私も、お湯の中から立ち上がりました。
そのまま湯船のふちに腰かけます。
お湯にほてった体に、外気の冷たさを心地よく感じます。
(おっぱいがまる見えなんだろうなぁ)
ぼんやりとそう思います。
(見られちゃってるのかなぁ。。。)
きゃしゃな自分の胸を愛おしく感じます。
(このおっぱいを見ながら、あの裏側で喜んでるんだろうなぁ。。。)
3人でどんなことを囁き合いながら、私のヌードを覗いているのでしょう
か・・・
本当だったら、恥ずかしさに身が縮こまってもおかしくない場面のはずなの
に、やはり、どこか他人ごとのような感覚です。
そのうち、もうひとりの女性が湯船から出ました。
ゆっくりと内湯の方へと戻っていきます。
取り残されたように、露天は私ひとりになりました。
『何かしておくなら今しかない』という気がします。
見られているという実感はほとんどありません。
でも、あの塀の裏には男性が3人もいるはずなのです。
この私・・・、この私ひとりに注目した男の人たちが・・・
さっきのおじさんたちの会話の内容を思い出します。
覗いた女性の体のことを好き勝手に言っていました。
今もあの塀の裏で、私のことを覗きながら『ひそひそ』言い合っているのか
もしれません。
勝手にイメージを膨らませていました。
覗いているはずの男の人たちとは、さっき顔を合わせているのです。
私の外見・・・、仕草・・・
3人の目には、私は『つんと澄ました女』として映っていたはずです。
きっと楽しいことでしょう。
そんな女の子の裸を、仲間どうしで覗き見るのは。
今この瞬間も、3人して私の体を観察しているのかもしれません。
気持ちを盛り上げようと、無理やりそんなふうに考えながらも、どういうわ
けか羞恥心がまったく湧いてきません。
無感情な私が、自分ひとりだけで湯船のふちに腰かけていました。
・・・そして、いつのまにか頭の中で漠然とイメージしていました。
私がお風呂から上がったとき、あの3人はソファで私を待ち構えているは
ず・・・
女湯から出たら、またあそこで水を飲もうと思いました。
今度は、彼らと向かい合わせになっている、ソファの反対側に座って・・・
きっとさっきとは比べ物にならないぐらいに、じろじろ顔を見られるはずで
す。
自分たちが覗き見た女が、目の前に座っているのですから。
3人とも、今の私のこのヌード姿を重ね合わせながら、浴衣姿の私を観察す
るはずです。
私は彼らのそんな視線を浴びながら、『つん』とお澄ましを続けてみせるの
です。
裸を見られたことなど、何も知らない女の子を演じたまま・・・
顔を見られながら『綺麗な女だな』って思われたい。
『こんな綺麗な子のヌードを覗き見たんだ』って思われたい。
そして、何も知らないように装っている私の目の前で『ニヤニヤ』してほし
い・・・
内心その恥ずかしさに耐えながら、平静を装う私・・・
『かわいそうな女の子』になりたがっている自分がいました。
恥ずかしくも全裸を見られた私が、3人の前で平然とくつろぐのです。
漠然としたイメージが、頭の中で少しずつシュミレーションへと変化してい
きます。
いまいち現実感のない頭のままで、
(このままでいられない)
そう思いました。
今、露天には私ひとりしかいないのです。
相変わらず、覗かれているという実感は、これっぽっちもありません。
そのぶん、ほとんど恥ずかしさも感じていません。
今ならどんな大胆なことでも平気でできそうな気分です。
へんな話、ここでどれだけ『みっともない行為』をしておくか・・・
それによって、待合スペースでの恥ずかしさが何倍にもなるはずです。
何をすればいいのか、とっさにアイデアが浮かびません。
(どうしよう)
焦りを感じました。
どうせ、偶然同じ宿に泊まっていただけの男の人たちです。
今日を最後に2度と顔を合わせることもない相手です。
どうせなら『普段の私がやるはずもないようなこと』をやっておかなければ
損するような気がします。
(あのへんから見てるはず。。。)
遠くを見るような視線で、板塀を眺めます。
そして、あの『大きな岩』が目に入りました。
1mぐらいの高さがある岩です。
あっちから覗いているおじさんたちの前で、ついたてのように、ちょっと邪
魔になっているはずの岩です。
湯船に腰かけたまま、建物のほうを振り返ります。
さっきの中年女性が戻ってくる気配はありません。
ガラス扉ごしに見る限り、内湯にはもう誰もいないようです。
露天スペースだけでなく内湯も含めて、いま女風呂には私だけしかいないと
いうことです。
(どうしよう。。。)
迷ったのは一瞬だけでした。
「ザバっ」
湯船から出て立ちました。
季節外れの空気の冷たさに全身が『ぶるっ』ってなります。
3人のおじさんたちの目線が、オールヌードの私に集中しているはずです。
ちょっと大げさなぐらいに、まわりを『きょろきょろ』してみせました。
落ち着きのない素振りを演じます。
あの3人も私の不審な様子に、塀の向こうで『おや?』と思っていることで
しょう。
またも建物のほうを振り返ります。
じっと内湯へのガラス扉のほうをみつめます。
人の気配を窺うかのように演じていました。
もちろん、本当は誰もいないのは承知のうえです。
こうしている間も、立ちつくしたままの私の全身は、彼らの視線に晒されて
いるはずです。
(見てる?)
(見てるの?)
(見られてるの?)
実感はありません。
いま覗かれているのかどうかなんて、実際のところ確信は持てません。
それでも演技を続けて、しきりにきょろきょろしてみせます。
次の瞬間、鑑賞用(?)の『庭』部分に足を踏み入れました。
少し内股気味のまま素早く、あのついたてのような『大岩』に歩み寄りま
す。
板塀への距離が一気に縮まりました。
岩の横側に回りこみました。
内湯の建物の中から、もしも誰かが露天に出てきた場合に、ちょうどついた
ての裏になる側です。
言い換えると・・・おじさんたちの視点に立てば、まったく逆です。
邪魔な岩の向こうにいた私が、『わざわざ目の前まで回りこんで来てくれ
た』状況です。
ちょっと高さはありますが、2m後ろには板塀があります。
隙間だらけの板塀が・・・
私は、そちらに背を向けたまま、体を丸めるようにしゃがみこみました。
まさか男の人たちに見下ろされているとも知らない不運な女を装って・・・
演技を続けていました。
とにかく、きょろきょろしてみせます。
私は、悪い女を演じていました。
『どうせ誰もいないから』と、岩陰でおしっこをすませてしまおうとする最
低な女です。
夜の空気の冷たさに、すぐにも出せそうです。
岩の背中に手をあてて、内湯のほうを眺めます。
おしっこが出てきました。
足元で、しずくが飛び散ります。
背後の板塀を意識しながらも、やっぱり見られているという実感はありませ
ん。
それよりも、『本当にいま誰かが露天に来ちゃったらまずい』という思いが
先に立って焦りました。
『早く出しきって元の場所に戻らなきゃ』という思いに駆られます。
とても冷静ではいられません。
『早く終わらせよう』と焦る気持ちと、『大胆なことをしている実感が欲し
い』という別の種類の焦りが、気持ちの中で混在していました。
たとえ『見られている』という感覚は得られなくても、自分自身で『いま大
胆に羽目を外しているんだ』という感覚だけは得ておきたいと思いました。
おじさんたちは、しゃがんでおしっこをしている私の後ろ姿を、少し高い位
置から見下ろしているはずです。
(焦っちゃだめ)
演技のしどころでした。
不意に、『まずいっ』という感じで腰をあげました。
誰もいないと知っていながら、あたかも『内湯に誰かがいる』かのように演
じます。
ガラス扉の向こう側を窺うようにしながら、ほぼ中腰のまま固まってみせま
す。
立ちあがっても、出はじめたおしっこはとまりません。
ほとんど、直に太ももにかかってしまっています。
内股のまま、足幅を広めに開いておしっこが太ももにかかるのを防ぎます。
おしっこの出口(?)が少しでも後ろ側を向くように、腰を『くいっ』と曲
げて反らしました。
(ちゃんと演技できてる?)
(不自然になってない?)
大岩の上部に手を置いて立ったまま、びくびくしながらおしっこを噴き出さ
せていました。
3人のおじさんたちは、私のことをどういう目で見ているでしょうか。
立ったままお尻を突き上げるような、私のこの大胆なポーズ・・・
そして立ったままおしっこをするという下品な行動・・・
でも、まったく恥ずかしさを感じることはありませんでした。
やっぱり『見られている』という実感が全然ないからです。
これだけの大胆な行為なのに、恐いぐらいに淡々とやってのけてしまってい
ました。
『内湯には誰もいない』と確認したはずですが、不安が募ります。
岩陰に来てから、さほど時間が経っているわけでもないのに、
(もう内湯に新しい人が入って来てるかもしれない・・・)
(誰も来ないで・・・)
背後の3人の存在よりも、内湯の様子のほうにばかり神経がいってしまいま
す。
他の入浴客に見咎められるわけにはいきませんでした。
(まだ誰も来ないで)
・・・祈るような気持ちです。
おしっこの勢いが弱くなってきます。
(はやく・・・、はやく。。。)
最後まで待てませんでした。
まだ、おしっこが自分の太ももに伝い落ちているのはわかっていましたが、
もう元の場所へ歩きだしていました。
完璧な演技を貫かなければなりません。
誰にもみつかることなくおしっこを出しきったことで緊張感から解放されま
したが、最後まで気を抜くことはありませんでした。
顔だけ『きょろきょろ』しながら、落ち着いた歩調で湯船のところに戻りま
す。
湯船の横に置いてあった『かけ湯』用の桶で、お湯をすくいます。
自分の下半身全体にかけました。
何度か繰り返して、太ももに流れたおしっこを洗い流します。
罪悪感が、心に重くのしかかります。
他の入浴客は立ち入らないはずの『庭』部分とはいえ、おしっこで汚してし
まったという後ろめたさを割り切ることができません。
最後にもういちど、桶にお湯をすくいました。
桶を持ったまま『庭』に踏み込み、再び1歩1歩おじさんたちのほ