「そう、、、」
陽子は、俊雄にはマゾの素質があり、それが自分に向けられていると確信する。
陽子を直視できずにうつむいている俊雄の横に、そっと歩み寄る。
肩に手を添え、耳元に顔を近づけて、囁くように言った。
「じゃあ、私についてくる?」
甘い香水の香りがふっと鼻先をかすめ、その匂いごと、言葉が身体の奥に入り込んでくる。
考えるより先に、口が動いた。
「は、はい、、、」
返事をした瞬間、俊雄の緊張はピークに達した。
断るという選択肢が、最初から自分の中になかったことに気づいて、余計に顔が熱くなる。
陽子は、肩に乗せた手から俊雄の身体の温もりを感じ取っていた。
「いいわ。じゃあ、鎌田くんの“すべて”を見せて」
陽子の言っていることが、すぐには理解できなかった。
「えっ、ぼ、僕のすべて……って」
「ふふふ、すべてよ。立って、服を脱いで」
そこでようやく、陽子の言葉の意味が腹の底まで落ちてきた。
「こ、ここで、ですか?」
いつもは皆が会議をしているこの部屋で、服を脱ぐなんて考えたこともない。
フロアには、まだ働いている人の気配がある。
もし誰かが入ってきたら、、、そんな最悪の想像が、頭をかすめた。
「どうしたの? やめる?」
陽子は、余裕綽々で戸惑う俊雄を見下ろす。
(ここで止めればそれまでだわ。私の見込みが間違ってたって事よ。)
陽子は、無理強いをするつもりは無かった。
でも、陽子がここまで余裕でいられるのは、陽子の直感に狂いはないという確信があったからだ。
しばらく陽子は黙って俊雄を眺めていた。
すると、ゆっくりと俊雄が立ち上がった。
「柊木さん、、ぼ、僕の、す、全てを、、見てください。」
俊雄は、精一杯勇気を振り絞って言葉を吐き出した。
陽子は、まだ無言のまま見つめているが、その視線は痛い程俊雄に突き刺さっている。
俊雄は、ネクタイをゆるめて首から抜き取ると、ゆっくりとワイシャツのボタンを外していった。
上半身があらわになる。思っていたよりも肩や胸板に筋肉がついていて、陽子は一瞬、目を見開いた。
(思ったより、ちゃんと男の身体ね)
次に俊雄はベルトに手をかけ、ズボンを一気にずり下ろす。
トランクス姿になった彼に、陽子の視線は自然と下へと落ちた。
(あら……もう勃ってる)
俊雄は、気まずそうに陽子の顔をうかがう。
「どうしたの? まだ残ってるけど」
穏やかな口調なのに、その言葉には逆らいがたい圧があった。
「は、はい、、、」
俊雄は、トランクスのゴムに指をかける。
迷いながらもずり下ろし、足首から抜き取ると、全裸になった。
恥ずかしさのあまり、顔を上げることができない。
股間を両手で必死に隠したまま、うつむき続けるしかなかった。
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