受けとったUSBメモリーをスマホにさすと、思ったとおり動画が入っていた。見知らぬ人間、しかも下着泥棒から受けとったものを、そのままスマホにさすなど不用心極まりないが、俺はこの男を信じていいように思っていた。
変態もしくは変質者には、たぶん2つのタイプがいる。
1つは自己愛タイプで、生まれ持った資質と生まれ育った経緯によって、抑圧と解放の入り口と出口が、どこまでも自分自身へと向かう回路になっている。そのため本質的には相手のことを意に介さない。「誰でもいい」と言ってもいいかもしれず、ほとんどの人間がこちらに属する。
いっぽう、もう1つの他者愛タイプの場合、抑圧と解放の経路は他者へと向かう。この種類の人間は「この人だから」といったところがあり、ごく稀にしかいない。そして、この下着泥棒はこちらのタイプではないのか。
そんなふうに俺が思うようになったのは、やはり俺も変態だったことを知ったことによる。
香澄は、俺なんかにはもったいないくらいに綺麗な女だった。柔らかな頬と清楚に彩られた唇、長いまつ毛、思慮深そうに濡れる瞳、スラリと伸びた手脚、慎ましくも美しい稜線を描く乳房と乳首、折れそうな腰回りから誘うような肉づきをもつ尻を見ながら、だからこそ何度も思わされてきた。
もしも香澄が、こんなに綺麗な女が、他の男に汚されてしまったら。
しかし、その相手は「誰でもいい」わけではない。やはり俺と同じように「この人だから」という思いがあってほしい。相手が香澄だからこそ、自らの抑圧を解放しようとする人間。そんな期待を胸に、俺は動画を再生した。
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