行為が終わった後、けんとは満足げに息を整え、共有部屋へと戻ってきた。
しかし、周囲の視線はどこかよそよそしく、冷たいものに変わっていた。
「馬鹿馬鹿しい……」
けんとは小さく吐き捨てるように呟き、先ほどと同じように壁にもたれかかった。
【てんしちゃんだよ〜♪】
相変わらず明るく無邪気な声が、施設全体に響き渡る。
【とても残念ですが〜
けんとくん、今回も失敗です!蝶々3匹没収で…】
てんしの声が少し低く、くぐもったものに変わった。
【蝶々がみ〜んな居なくなったので……けんとくんには『退場』してもらいますね】
その言葉が告げられた瞬間、違和感を感じけんとは慌てて自分の首輪に手を当てた。
プシュ……
小さなガスが噴出する音が部屋に響いた。
けんとの顔色がみるみる青ざめ、目を見開く。
「あの女! 嘘言いやがったな! クソ! アイツ殺してやる!!」
けんとは床を転げ回りながら、息絶え絶えに怒号を上げた。
どうやら首輪を通して、何らかの強力な薬品が体内に注入されたらしい。
全身を激しく痙攣させ、口から白い泡を吹きながらのたうち回る。
全員がその様子を一部始終、見つめていた。
「えっ……本当に死ぬのか……」
一番動揺していたのは、後がなくなったたけしだった。
「こんなのフェアーじゃねえよ! なんだよこれ! ちゃんと説明しろよ!!」
最初の時と同じように声を荒げ、興奮状態で喚き散らすたけし。
しかし、てんしの声は明らかに冷たい調子に変わっていた。
【あれー言ったよね…暴れたりルールを破ったりしたら即殺しちゃうって…】
そういうやいなや、プシュ……
再び小さな噴出音が響いた直後、ドサッという重い音とともにたけしが床に崩れ落ちた。
けんと同じように口から泡を吹き、白目を剥いたままピクリとも動かなくなった。
【みんな〜、ちゃんとルールを守ってゲーム楽しんでね〜♪】
またいつもの無邪気で可愛らしい声に戻ったてんしの声が、騒然となった部屋に不気味に響き渡った。
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