12時なり、

まずは、３人グループが

次次に出てくるが、サチエの姿は見当たらなかった。

時間は12時15分。

もう誰も出てこない！

くそーっ！折角きたのに！


休みなのか？弁当持参なのか？も解らずじまい。


そーだ！


電話して確認してみよう！

携帯を取り出す



いや、

取り出そうとするが


携帯がない！


会社に置き忘れてきたー！


銀行用の鞄を持たされたときに、
自分の鞄から取り出すのを忘れたみたいだー。

サチエが出てこない。
携帯も忘れ


イライラが収まらない！


ゼツは

公衆電話を探した！

公衆電話を見付けると、電話帳を広げ


○○事務機


よし！


電話をする！

ダイヤルして
呼び出し音が数回鳴ったあと


「ありがとうございます。○○事務機でございます」


もしもし、吉田と申しますが横山サチエ様は居られるでしょうか？


「横山でしたら、本日休みになっておりますが、どちらの吉田様でしょうか？」

申し遅れました。私、投資信託のファンドフリーと言う会社の者ですが、投資にご興味お持ちじゃないかと電話させて貰いました。


「営業電話ですか、一応伝えておきます」

よろしくお願いします。

と、


電話を切った。



株や投資やファンド、保険、



どこでどう調べてくるのか？

営業売り込みの電話はちょくちょく掛かってくるから、別に不信にも思われないだろう。


いわゆる迷惑電話だ。個人情報もプライバシーも、何もあったもんじゃない。



ゼツが

そんな事を言っても


説得力丸っきしである！


しかし、休みなのは確定した



落胆するゼツ！


近くの豚カツ屋で豚カツ定食を食べて帰るゼツであった。

本来、ゼツは弁当持参派である。

妻の弁当屋の惣菜の残りが弁当になることが多い。

だから

今日と言う日を、サチエと昼が食べれるかもと言う事を楽しみにしていたわけである。



休みの理由まで聞けなかったが、約束事を破られたような思いである。


明日は電車に乗ってくるだろうか？

思いを馳せるだけである。

翌日

ホームに向かう


そこにはマスク姿のサチエがいた。

風邪か


インフルだったら未だ休みだろうから

風邪だと判断した。


可愛い口元が見れないのが残念だが風邪で安心した。



次の日の金曜もマスクをしていた。


結局、今週は

嘘から出た誠。


娘を迎えに行く羽目になり、


サチエの情報は

月曜に英会話教室に行き

8時過ぎの電車で帰ってくると言うこと。


マンション予定地に建設反対の横断幕。


それだけである。

土曜の朝


がさごそと衣装ケースの中身を確認する



あったあったー


　
それはグレーの作業服上下である。


もうひとつは地味なベージュのジャンパー


4年ほど昔に引っ越しの時に


わざわざ汚れても良いように買った服である。


それを着て


向かう先は？

向かう先は


マンション建設予定地である


朝から雨が降る中

作業着姿でしょ傘をさして向かう。


普段着であの予定地に入ることは、余計に人目について怪しまれるかもと！

言う考えから

作業着なら工事関係者風で自然で怪しまれないだろうと言う考えからである。


横断幕の切れ目から入って行く。


中に入ると四方を金網のフェンスでかこまれている。

中から横断幕の方に目をやると、
横断幕の下40センチぐらいが見通せる。

人が歩けば膝ぐらい見える高さである。



材木やら鋼管等の資材が置かれ、その少し先にプレハブがある。

ゼツの足でプレハブまで12歩



一番奥のフェンスの金網は破れて大人一人がすり抜けるぐらいである。

その先は野っぱらで、先には川である。

その野っぱらを右に行けば住宅と住宅の間の路地に出て、通りにでる。

時間にして2分ほどで、右手に個人商店が見えるから、抜け道の近道である。



土曜の朝から

雨の中を傘をさして確認しにきたわけである。

土曜はマンション建設予定地だけを確認して帰って来た。

中からしゃがめば、横断幕の下から行ききする人の足が見える。

金網沿いに雑草も生えて、通りからは中が良く見渡せなかったが、


中からは足が見える事で充分である。


奥には金網が破れ、なんとかすり抜けて外に出れる。

住宅と住宅の間の路地を通る形になるが個人商店の少し先に出る。


自宅で作業着を脱ぎながら、思い返していた。

潜在欲、

誰もが持っているだろう。


あれが欲しい。これも欲しい。あーしたい、こーしたい。こーなりたい。あーなりたい。
なんでも望みが叶うならば、、、、、、、



だが夢のようなこと、特に危ない橋を渡るような犯罪まがいの事になると、現実に引き戻され、多くの人は心の中、頭の中だけで考え空想、妄想するだけである。


その空想が具現化され始めると空想がリアリティーを増し空想でなくなって行く。



今のゼツは



超危険である！

最初、名前も解らなかった頃は、印象的な唇から「リップ」と名付けていた。


その横山サチエは、

栗色のストレートのロングヘアーに切りっとした目許。眉毛。

愛くるしいふくよかな唇。

細身で有りながらムッチリとしたヒップライン。

引き締まった足首から張りのある脹ら脛、

そのスラッとした脚線美


すべてがパーフェクト！

芸能人に例えるなら


北川景子を更に美しく可愛くしたような女性である！


こんな田舎町でなく都会なら、

芸能プロダクションから直ぐにスカウトがくるだろう！



あの綺麗な顔を

恐怖におののく顔に


涙目で命乞いする顔を

それとも、

悶え苦しむ顔を



すべてを



俺の脳裏に焼き付けてやりたい！

永久に俺の記憶の中に

頭の中に


手の感触に


唇の感触に

耳に


股間に


俺の五感に記憶する！




ゼツは


もう


止まらない

一体全体、ゼツをそこまで狩りだたせるものは？なんなんだろうか？

　
張り込みの刑事、私立探偵、シャーロック・ホームズ、とストーカーまがいの自分を美化する辺りから、おかしくなったのか？


銀行に行く日に風邪で休まれたことにより、

楽しみにしていたサチエとの昼食がなくなったことに怒りを覚えたのか？


約束事を破られた！すっぽかされた！俺が来るのを知ってわざとに休んだ！

そう言う気持ちからの怒りか？


ストーカー気質なのか？


理由、原因はともあれ



ゼツはヤバイ！