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ご主人様はお局様

カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1: ご主人様はお局様
投稿者: ToShi ◆LMYCCkDF7k
主な登場人物
鎌田俊雄(45) 総務部部長
柊木陽子(48) 総務部総務課
白井慶子(48) 総務部秘書課

プロローグ 再会
この春、鎌田俊雄は地方支社の支社長から、本社総務部長として戻ってきた。
新卒で五年本社勤務をしたあと地方へ転勤し、営業で結果を出し続け、支社長にまで昇進した。家も建て、社内結婚もした。
単身赴任の辞令が出たとき、妻は笑って送り出してくれたが、少しだけ申し訳なさが胸に残った。

初日の業務をどうにか終え、机の上を片づけながら、俊雄は本社フロアをぐるりと見渡した。
出張で何度も来ていた場所だが、自分の席を与えられるのは久しぶりで、妙な緊張があった。

総務部には、社内でも有名な二人の女性社員がいる。
総務課の柊木陽子と、秘書課の白井慶子。どちらも四十八歳の独身で、社内では「お局様」と囁かれている。
俊雄にとっては、特に柊木陽子が懐かしい存在だった。
本社で新人研修を受けていた頃、彼の教育係を務めていたのが、ほかならぬ彼女だった。

気づけば、周囲の社員は次々と帰り支度を始めていた。
挨拶の声が遠のき、フロアの明かりが一列ずつ落ちていく。
残っているのは、自分のほかに数人だけだ。
そのとき、背後から聞き覚えのある声がした。

「鎌田くん、久しぶり」

振り向くと、通路に柊木陽子が立っていた。
あの頃より年を重ねているはずなのに、第一印象は不思議と変わらない。

「あっ、柊木さん。ご無沙汰してます」

昼間は部長と部下という距離を意識していたはずなのに、二人きりに近い空気になると、体が勝手に新人時代の感覚を思い出す。

「地方でのご活躍、本社にもちゃんと聞こえてきてたわよ」

陽子は、昔と変わらぬ調子で言う。
部長に向けるものとは思えない、どこか年長者の余裕をにじませながら。

「いえ、そんな、、、まだまだです」

「また鎌田くんとお仕事ができて、私、嬉しいわ」

「わ、私もです。まさか、柊木さんと同じ部署になるなんて、、、」

口ではそう言いながら、胸の奥には懐かしさと、うまく言葉にできないざわめきが広がっていく。
陽子は、ふと周囲のフロアを見回した。
残っている社員たちの位置と距離を、さりげなく確かめるように。

「結婚もされたのよね」

何気ない雑談の延長のような口調で、ふいに話題を変える。

「は、はい。一応、、、」

「奥さまは、、、」

そこで一拍だけ、言葉が宙に浮いた。
陽子の視線が、まっすぐ俊雄の顔をとらえる。

「奥さまは、あのこと、ご存じなの?」

「えっ、あ、あのことって、、、?」

唐突な一言に、喉の奥がひゅっと冷たくなる。
口ではとぼけてみせながらも、脳裏には、忘れかけていた光景が鮮やかによみがえりつつあった。
まだ本社で、新人研修を受けていた頃の話だ。
 
2026/07/26 14:38:43(iuNmacKm)
37
投稿者: (無名)
続きありがとうございます
ついに慶子様にバレましたね
次の展開が楽しみです(^^)
26/08/23 06:11 (YIZC2UFx)
38
投稿者: ToShi ◆LMYCCkDF7k
ID:noside2019
第七章
会議室を出たあとも、慶子はすぐには足を止められなかった。
廊下を歩く靴音だけが妙に大きく聞こえる。けれど、自分が今どこをどう歩いているのか、半分も意識できていなかった。
俊雄が認めた。
見間違いではなかったと、自分の口ではっきり言った。
見間違いであってほしかった。
本当にそうだったのだとしても、せめて何か事情があってほしかった。
そうすれば、自分が見ていた部長の姿まで一緒に崩れずに済む気がしていた。
けれど返ってきたのは、言い逃れではなく肯定だった。
普通ではないことだと分かっている。
自分が変態の露出狂だって事も。
そんな人が自分の周りにいるなんて想像もした事なかった。
人気の少ない廊下の途中で、思わず足が止まる。

「露出狂って……」

声に出してみても、答えにはならない。
異動してきてからの上司で、知っているのは仕事中の顔がほとんどだ。
それでも、ちゃんとしている人だと思っていた。厳しくても筋は通すし、隙を見せない人だと。
だからこそ、確認してしまった事実の重さに、気持ちが追いつかない。

「慶子」

後ろから声がして、振り向く。
少し離れたところに陽子が立っていた。会議室を出たあと、追ってきたのだろう。

「ちょっといい?」

いつもの延長みたいな言い方に、慶子は小さくうなずいた。

「……うん」

陽子はそれ以上何も言わず、廊下の端の休憩スペースへ視線を向ける。今日は誰もいない席に誘った。
向かい合って座っても、慶子はしばらく口を開けなかった。
手元に目を落としたまま、何から言えばいいのか分からない。

「きつかったよね」

その一言で、胸の奥に張っていたものが少しゆるむ。

「……うん」

「あんなの、すぐ整理できるほうが変だよ」

変に慰めすぎないところが、今はありがたかった。

「私さ……見間違いであってほしかった」

やっと出た声は、自分で思っていたより弱かった。

「ほんとにそうだったらどうしようっていうのもあったけど、でも、たぶんそれ以上に違っててほしかった」

陽子は何も挟まずに聞いている。
その沈黙が、かえって話しやすかった。

「確認したかったのに、実際に認められたら、思ってたよりきつかった」

指先を見つめたまま、慶子は続ける。

「私、部長のこと、そこまで知ってるわけじゃないの」
「異動してきてからの付き合いだし、仕事のときの顔しか見てなかったし」
「でも、その限られた中でも、ちゃんとしてる人だと思ってた」

少し苦く笑う。

「もっと隙のない人だと思ってた」

陽子は小さくうなずいた。

「うん。慶子が見てきた部長は、たぶんそうだったんだと思う」

否定されないだけで、自分の受けた衝撃が勝手なものではない気がした。
26/08/27 19:18 (A2UZoC/V)
39
投稿者: ToShi ◆LMYCCkDF7k
ID:noside2019
「だから余計に、何だったんだろうって」
「ああいうことをしてたのもそうだけど、平気な顔で仕事してたのが……」

言葉を探すように黙り込んだ慶子に、陽子が静かに言う。

「見えてたものが、一気に信用できなくなった?」

慶子ははっとしたように顔を上げた。

「……ああ、そうかも」

その言い方がいちばん近かった。

「全部知ってたわけじゃないし、もともとすごく近かったわけでもないのに、こんなふうに思うのも変なんだけど」
「でも、見ちゃった以上、前と同じ気持ちで接するのは無理かもしれない」

陽子は少しだけ目を伏せてから、やわらかく言った。

「変じゃないよ。見たものが強すぎたし、しかも本人が認めたんだから」

慶子はゆっくり息を吐く。
二人のあいだに短い沈黙が落ちた。
すっきりしたわけではない。
ただ、前と同じには戻れないことだけは、少しずつはっきりしてきていた。

「……たぶん私、しばらく普通に接するの無理だと思う」
「仕事の話はするし、しなきゃいけないことはちゃんとやるけど、前みたいに部長って見られるかって言われたら、ちょっと無理かもしれない」

小さく首を振る。

「なんかもう、同じ顔に見えない」

陽子は一度だけゆっくりうなずいた。

「それはそうだと思う」

否定も驚きもしない返しに、慶子は少しだけ救われた気がした。

「見たあとで、何もなかったみたいには戻れないよね」
「私、部長のことをそんなに知ってたわけじゃないのにね」
「それでも、勝手にちゃんとした人だと思ってたんだなって、今さら分かった」

乾いた笑いが漏れる。

「変に理想みたいなの持ってたのかも」

陽子はやわらかく首を振った。

「理想っていうより、見えてたものをそのまま信じてただけじゃない」
「慶子が悪いわけじゃないよ」

だからこそ、慶子は素直に聞けた。

「……うん」

少しためらってから、慶子は続ける。

「でも、今日のこと知ったあとだと、あの人の見え方、たぶん変わる」

責めるというより、自分の中で起きてしまった変化を確かめるような口調だった。

「前みたいに、ちゃんとしてて隙がない人っていう感じでは見られないし、見たくなかったもの見ちゃった感じが、ずっと残ると思う」

陽子は静かに返す。

「それでいいんじゃないかな」

慶子が顔を上げる。
26/08/27 19:20 (A2UZoC/V)
40
投稿者: ToShi ◆LMYCCkDF7k
ID:noside2019
「無理に前と同じように思おうとしなくていいってこと」
「見え方が変わったなら、変わったままでいいと思う」

その言葉は、不思議なくらい胸にすっと入ってきた。

「……そっか」

小さくつぶやいたあと、慶子は力の抜けた声で言う。

「……どうしたらいいんだろ」

陽子は少しだけ考えるように視線を落とした。

「とにかく、証拠はこっちが握ってるんだし、今すぐどうこうしなくていいんじゃない」
「部長も大人しくしてるでしょ」

慶子は小さく息を吐く。

「仕事は仕事でやればいいし、会社に報告するかどうかは、慶子が落ち着いてから考えればいいと思う」

今すぐ何かを決めなくていいと言ってもらえたことで、崩れたままの感覚に少しだけ居場所ができた気がした。

「ありがと」

その一言は、思っていたより素直に出た。
陽子は少しだけ笑う。

「今日はもう、あんまり一人で考えすぎないほうがいいよ」

「……考えないの無理かも」

慶子が苦く笑うと、陽子も小さく笑った。

「それはそうかもね」

ほんの少しだけ空気がやわらぐ。
けれど、根本の重さが消えたわけではない。俊雄のことを前と同じ目で見られないという感覚も、会議室で聞いた言葉の重みも、そのまま残っている。
ただ、その重さを今ここで全部抱え込まなくていいのだと思えただけでも、慶子には十分だった。
立ち上がる前、慶子は少しためらってから言う。

「……また、話聞いてもらってもいい?」

陽子は間を置かずにうなずいた。

「もちろん」

その返事に、慶子はようやく小さく笑った。
ほんの少し気持ちが軽くなったのは、答えが出たからではなく、話してもいい相手がいたからかもしれない。
そう思いながら席を立ったとき、慶子の中にはまだ消えないざらつきと一緒に、次に何かあったらまた陽子に話してしまいそうだという感覚が、静かに残っていた。

第七章 了
26/08/27 19:21 (A2UZoC/V)
41
投稿者: (無名)
ID:19191128
第7章ありがとうございます
これからの展開楽しみにしております
26/08/27 20:24 (6bRpA5KD)
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