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祖母・昭子
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:祖母・昭子
投稿者: 雄一
女の人の、男子として妙に気持ちをそそられそうな甘い化粧のような匂いを、
僕は鼻孔に感じ、同時に薄くすべすべとした布地の感触を通して、人肌の温み
を頬肉の表皮に感じさせられて、茫漠とした気持ちで薄目を開けた。
 すぐ間近に人のような気配を感じ、顔を少し動かせて目を大きく開けると、
畳に寝転んでいる僕の身体に、誰かが覆い被さってきているようだった。
 開けた目の真ん前に、薄い水色のすべすべとした布地が揺れていて、その布
地の中の人肌の温みが、感じのいい化粧の匂いを含ませて、僕の顔のあたりの
空気をほんのりと包み込んできているのだ。
 少し慌て気味に顔を上げた時、僕の鼻先と頬に水色の薄い布地の中の柔らか
い肉が触れてきたのがわかった。
 居間の畳の上に僕は身体を横たえて、うたた寝よりももう少し深い眠りの中
に落ちていたのだ。
 そこへ風呂から上がってパジャマ着替えた祖母が来て、寝入っている僕にタ
オルケットを掛けてくれていたのだ。
 寝がえりか何かでタオルケットがずれたのを、祖母がまた掛け直してくれる
のに身体を僕に寄せてきた時に、僕が目を覚ましたのだった。
 「風邪ひくわよ、こんなとこで寝ちゃ」
 身体を少し離して、祖母がかたちのいい唇から白い歯を覗かせて微笑んでき
た。
 「あっ、ごめん。婆ちゃんにおやすみの挨拶しようと思っ てたら、つい寝込
んじゃった」
 「そんな気を使わなくていいのに」
 「あ、それとね、婆ちゃんにいい忘れてたことあって」
 「何、いい忘れててことって?」
 「あのね、僕の発見なんだけど…演歌の歌手でね、三味線抱えて歌う人で、
その人の顔が婆ちゃんにそっくりなんだよ。名前はたしか…長山、何とかってい
う人。スタイルも婆ちゃんと一緒で小さくて奇麗な人。何日か前にテレビに出て
たんで母さんにもいったら、驚いてた。」
 「そうなの。婆ちゃん喜ばなくちゃいけないわね」
 「ああ、そういえば、婆ちゃんの娘の母さんもチョイ似てるね。でも婆ちゃん
はほんとに瓜二つだよ」
 「はいはい、もういいから早く寝なさい」
 「うん、おやすみ」
 他愛のない話を祖母とし終えて、寝室の布団に身体を横たえると、現実の状況
がすぐに僕の頭にもたがってきた。
 竹野という男のことだった。
 当然に、僕はまだ竹野本人には会ってはいなくて、知っていることといったら、
年齢が祖母よりも二十二も年下の四十二歳で、例の高明寺のお守り役として働い
ていて、坊主頭であることと、性格的には自分の書いた下品で下劣としか思えな
いような拙文をわざわざ祖母にメールに書き写させて、それを読ませたりとか、
相当な偏執狂のような面があったりという変人的な人物のようである。
 祖母のスマホのメール情報では、過去に離婚歴があり、この村へは四年ほど前
に流れ着いたとのことだが、それまでの住まいとか仕事歴はわかっていないよう
だ。
 祖母との性の関係もそうだが、推測するまでもなく、所謂SM嗜好者であるのは
間違いないようだ。
 性の問題は、たかだか十六歳でしかない、著しく若輩の僕が偉そうにいうべき
ことでないことはわかっているので、どうこうと意見はいわないが、SM嗜好その
ものについては、僕自身は侮蔑や軽蔑の対象外だと胸の奥では密かに思っている。
 恥ずかしいことだが、思春期真っ盛りの一年ほど前のある時期、僕は女性の生
理について、唐突に歪んだ好奇心を持つようになり、自宅の便所の汚物入れにあ
った自分の母親が捨てた汚物を手に取り、テッシュに包まれたものを開いて、赤
い血や黄色い沁みを見て、訳もなく興奮したことがある。
 人はさまざまなのだと僕は思う。
 つつましく穏やかで清廉な僕の祖母を、恥ずかしく凌辱し虐げる竹野という人
物には、憎悪や嫌悪や憤怒といった感情が、何故かあまり湧いてきていないこと
に内心で少し驚いているというのが、僕の正直な気持ちで、肉親である祖母には
申し訳ないのだが、性行為に伴うSM嗜好への興味の思いのほうが強いのかも知れ
ないと恥ずかしながら思っているのだ。

 
 「明日の夜ね、婆ちゃん、また寄り合いがあるの。雄ちゃん、留守番お願いね」
 祖母の口から待望(?)の言葉が出たのは、それから三日後のことだった…。


 
 
2023/01/27 22:12:19(7WqPo0xO)
182
投稿者: (無名)
たまらないです!!
話の展開がどうなっていくのかわからないですが、息子が暴れております。
いつも最高の作品をありがとうございます!!
続きを楽しみにしております(槌^槌o^槌)v
23/03/29 16:43 (Mafc1apN)
183
投稿者: 雄一
紀子と紀子の叔母さんを連れての奥多摩行きは、僕にとってはあまりいい成果とはいえ
なかった。
 喜んだのは祖母も入れての、女三人だけだった。
 祖母と紀子の叔母さんは、駅で何年振りかの対面をした時、長い時間、抱き合ったまま
動かなかった。
 人目もない片田舎の駅だったからまだよかったが、叔母さんのほうは涙をぽろぽろと零
しての感動の対面だったようで、祖母の家に入っても、二人はまるで恋人同士のように付
かず離れずで、寝る室も一緒だった。
 僕と紀子は別々の室だったが、
 二日目の夜遅く、多分一時を過ぎていたと思うが、紀子が僕の室にこっそりと入ってき
たのには少し驚かされた。
 何か擦れるような音がしたので、薄目を開けると、布団の真横で正座して僕を見降ろし
てきていた。
 「な、何だよ、お前」
 もう少しで大きな声を出してしまいそうになるくらいに、僕はびっくりした目で彼女を
下から睨みつけた。
 紀子は長袖のTシャツにジャージ姿で、いつもは束ねている髪を、肩の下くらいまで長く
垂らしていた。
 「何か眠れなくて…中、入っていい?」
 「バ、バカ。いいわけねえだろ」
 「寒い」
 「室に帰れ」
 「嫌だ」
 押し問答になるのはまずいと思い、仕方なく掛け布団を開けてやる。
 嬉しそうに無邪気な顔をして、細い身体を僕の横に滑り込ませてきた。
 「いい、変なことしないでね」
 「バカ、自分から入ってきておいて、よくいうよ」
 「温かいけど、少し男臭い」
 「当たり前だ。俺は男だ」
 「雄ちゃんの匂いは嫌いじゃないよ」  
 「お前も女臭い」
 紀子の髪の毛のシャンプーのような匂いが、僕の鼻をついていた。
 「今日のお昼ね、あなたがお婆さんに頼まれて、砥石で鎌か何かを研いでたじゃない」
 「ああ、後で余計切れなくなったって、叱られたけど」
 「あの時にあなたの、その頼りなさそうな背中を見てた、お婆さんの目、素敵だった。雄
ちゃんのお婆さん、ほんとに奇麗。うちの叔母も奇麗だけど、何か奇麗さが違うのよね」
 時折、どきりとしたことをいい出すのが、紀子の癖だったが、僕のほうも少しよろめ
いた気持ちになった。
 「ね、お休みのキスは?」
 そういって紀子は自分の手の指を、おでこの辺りに差して目を閉じた。
 僕は静かに顔を近づけて、唇を紀子の唇に少し強く当ててやった。
 「卑怯者」
 といって、紀子は驚いた目を僕に向けてきた。
 それから暫くの間、腕を前に組みながら、目を閉じていた紀子が、
 「本当のキスって、お口の中に舌を入れたりするって、そうなの?」
 急に目を開けてきて、妙に真顔で聞いてきた。
 「何だ、お前。そんなことも知らねえのか?」
 小馬鹿にしたような声でいってやると、
 「雄ちゃん、誰とそんなことしたの?」
 「お、俺はしてねえよ。ちょっとした本の知識だよ」
 「嘘…」
 「何で俺が嘘を」
 「この前、得意げにいってたの、あれは嘘じゃない」
 「また、ヤキモチかい?」
 「本当のキス、最初にさせてあげるの、私、雄ちゃんだって決めてるんだからね。もう戻
る。お休み」
 早口でそういって、紀子はそそくさと布団から出て、室からも出ていった。
 翌日の朝食の時、紀子は叔母さんから、
 「あなた、目が赤いけど眠れなかったの?」
 とさりげなくいわれ、もごもごと何か、訳のわからないような言い訳をしていた。
 紀子の叔母さんが、若い頃世話になったという、祖母の夫の墓参りをしたいというので、四
人で尼僧の綾子のいる高明寺へ出かけた。
 尼僧の綾子とは墓参りの後、本堂の前で会った。
 祖母がそつのない挨拶をして、紀子と叔母さんを尼僧に紹介していた。
 その時、紀子は僕の横に立っていて、無意識にだろうが、僕の片腕を掴んでいて、それを目
の端に入れたのだろうか、
 「ガールフレンドの方?」
 と口元に笑みを浮かべながら聞いてきたが、切れ長の目の瞳は笑ってはいないように、僕に
は見えた。
 そんなこんなで四人の奥多摩行きは、つつがなく終わり、午後の三時過ぎには都内に戻れて
いた。
 叔母さんの住む駅で三人は電車を降り、駅前のショートケーキが美味しいという、コーヒー
ショップでケーキとコーヒーを叔母さんにご馳走になった。
 紀子がトイレに立った時、叔母さんが僕に、
 「ちょっと若過ぎるといえば若過ぎるけど、あなたという人が、私には何となくわかったよ
うな気がする。…ほら、村の駅前で私たちの前で、どこかの野良犬が急に吠えてきたじゃない。
あの時、あなたがその犬をひと睨みしたら、犬がすごすごと逃げてったでしょ。…そういう面が
あなたにはあるのよ。私は嫌いじゃないし、紀子の恋人としても合格よ」
 と声を潜めながらいってきた。
 聞いた時、僕にはよく意味のがわからなかったのだが、紀子が戻ってきたので、その場はそれ
で終わり、叔母さんは会計を済ませて先に店を出ていった。
 「叔母さん、何かいってた?」
 勘の鋭い女だと思いながら、
 「俺は紀子の恋人として合格だってさ」
 と本当のことをいってやると、
 「あの叔母さん、私よりもっと鋭い勘持ってるからね」
 「そうか。じゃ紀子を俺の恋人にしてやる」
 「ふんだ。あ、あなたね、俺っていうの、いつもいうけど、似合わないよ」
 紀子と別れて一人になった時、叔母さんのいった言葉を、僕はもう一回思い返したが、やっぱ
りよくわからなかったが、それから数日後に答えが出た…。



                               続く
  
 
 
23/03/29 22:16 (zWmSj7nP)
184
投稿者: 雄一
(祖母・昭子  番外編 2)

 翌日の朝、少し神経質な面もある幸雄は、栄子より早く目を覚ました。
 栄子の家の六畳の客間だった。
 日の出前なのか、窓の外がまだ薄暗い感じで、枕元に置いたスマホのボタンを押すと、五時
十二分と出た。
 幸雄の真横にはパジャマ用なのか、黄色のTシャツを着た栄子が、鼾に近いような寝息を立て
て眠りこけていた。
 幸雄は昨夜の記憶を思い起こしていた。
 居間で、深酒でほとんど酔い潰れていた栄子の身体を、幸雄は最初、恐る恐るの気持ちで抱
いた。
 衣服を脱がし、ショーツ一枚にしたところ辺りで、酩酊の中にいた栄子が、事態に気づき意
識を戻して、最初に取った行動は、自分の顔のすぐ上にいた、幸雄の首に両腕を廻してきたこ
とだった。
 その時はまだ小心な気持ちもあった幸雄は、栄子に拒まれ撥ねつけられた時の、謝罪の言葉
まで用意していたのだが、酩酊状態だったとはいえ、栄子の思わぬ反応に、彼は胸の中で安堵
し、そこから意を強くして、闇雲な勢いで栄子の剥き出しの身体をつらぬき、燃え上った迸り
を彼女の胎内に飛散させたのだった。
 「こんなこと、夫はあんなだし、もう二ヶ月以上もしてなかったの」
 カーペットからむっくりと起き上がった栄子は、酒で赤らんでいた顔をさらに赤くして、言
い訳めいたようなことをいって、幸雄の顔を窺い見てきた。
 「よ、よかったよ、僕も。素敵だった。」
 まだ酒の酔いの残る身体を、重たげに起こして、栄子はその後座卓の上の食器類をそそくさ
と片し、客間に僕を案内した。
 室にはもう布団が敷かれていた。
 「わ、私もここで寝ていい?」
 襖戸に手を置きながら、栄子がしおらしげな声でいってきた。
 幸雄が首を頷かせると、栄子は口元に嬉しそうな笑みを浮かべて、
 「仕事の時以外には、人と話すこともなくて…あなたになら何でも話せそう」
 そういって一度室を出ていった。
 下着のシャツとブリーフだけになって、布団に仰向けになっていると、間もなくすると襖戸
が開いて、黄色のTシャツとショーツ姿の栄子が、それほど太っているというほどでもない身体
を窄めるようにして、幸雄の横に入ってきた。
 室の照明は、天井からの小さな灯りだけだった。
 「ごめんなさい、こんな格好で」
 しおらしい声でいいながら、栄子は顔を幸雄に近づけてきた。
 幸雄の全身が小さく震えた。
 布団の中で栄子の手が、いきなり幸雄のブリーフの上に載ってきたのだ。
 栄子の顔は、幸雄の唇を求めているようだった。
 手はブリーフの上で、妖しげに蠢き出していた。
 積極性のあまりない性格的な問題もあって、女性経験はそれほどない幸雄の、下腹部の反応は
自分自身も驚くくらいに早かった。
 自然な流れで幸雄は唇を、栄子の口紅を塗り直してきたような唇に重ねていった。
 アルコールの匂いに混じって、歯磨き粉のようなミントな匂いが、幸雄の口の中を覆った。
 「あなたのお母さんに叱られるかも…」
 唇が離れるとすぐに、栄子が申し訳なさそうにいった。
 「どうして?」
 「だって、こんなに歳の離れた叔母さんなんかと」
 「僕は若い頃からずっと、年上の人にしか興味を持てないできた。それは今も変わってない」
 「いいの、嫌になったらいつでもいって。」
 「いきなりそんなこといわないで」
 「ご、ごめんなさい」
 そういって、栄子が自分の身体を下にずらしていった。
 掛け布団が、幸雄の下腹部の辺りで、大きく盛り上がっていた。
 幸雄のブリーフの片方が足首から抜き取られていて、幸雄は自身のものが何かに咥えられたの
を感じた。
 幸雄のものは、栄子の口の中で見る間に怒張していた。
 「え、栄子のを…僕も」
 身体の下から襲い来る愉悦と戦いながら、幸雄は布団の中の栄子に向けていった。
 栄子の身体はすぐに動き、幸雄の顔の真上に、薄暗い灯りに照らされた、彼女の丸く膨らんだ
臀部が見えた。
 臀部の下の妖しく避けた肉襞と、さらにその下の漆黒が塊りのように、小さな灯りでも鮮明に
見えた。
 幸雄は栄子の、白くて柔らかい尻肉を掴み取るようにして、顔を上げ、露わに見えている、欲
情的なその肉襞に押し付けていった。
 くぐもったような声が、布団の中から聞き漏れてきた。
 さらに幸雄の欲情をそそらせる、女性にしか出せない匂いが、幸雄の鼻孔を強く刺激してきた。
 どちらのほうからとでもなく、唾液が小さな波のようになって、ぴちゃぴちゃと跳ねる音が繰
り返し続いた。
 掛け布団はいつの間にか横に撥ね除けられていた。
 幸雄の下腹部から顔を上げた栄子は、自分の身体の向きを変え、彼の下腹に腰を浮かし気味に
して跨り座っていた。
 天井に向けて屹立し、唾液に濡れそぼっている幸雄のものを、栄子は自分の手で誘うようにし
て、漆黒の下に添え当てていった。
 栄子の身体が、幸雄のものを呑み込むように、ゆっくりと沈み込んだ。
 「あうっ…」
 顔を上にのけ反らせて、栄子は悶えた。
 栄子は自らの意思で、幸雄の腹の上で腰を上下させていた。
 「こ、こんな叔母さんだけど…」
 栄子は唇を震わせながら、
 「き、嫌いにならないでね…ああっ」
 と喘ぎ喘ぎに言葉を続けた。
 栄子の乳房の膨らみは豊かで、彼女が身体を上下するたびに大きく揺れ動いた。
 栄子の丸みを帯びた柔らかな乳房に、下のほうから幸雄の両手が伸びてきていた。
 「き、嫌いになんかなるもんか」
 幸雄はそういって、乳房を揉みしだいている手に力を込めた。
 「え、えいこ。…き、君を無茶苦茶にしたい」
 これまでの幸雄なら、出そうにない言葉が出ていた。
 野川の頭の中に、ふいに日光の、あのログハウスでの体験が浮かび出てきていた。
 男に虐げられ、悶える女性の顔が浮かんだ。
 栄子の姉の尼僧で、幸雄の恩師の裸身だった。
 下から栄子の、すでに汗の滲み出ている顔を見上げながら、幸雄の心の中の目は、あのログハ
ウスで複数の人間の、好奇な目に晒され、それでも艶やかな愉悦の表情を浮かばせていた、恩師
の顔を浮かび上がらせていた。
 その思いをどうにかして打ち消そうとして、幸雄は自分からも腰を動かせ、突き刺す動作に力
を込めた。
 栄子の声の昂まりが、一際大きくなった。
 急に浮かび出たログハウスの尼僧の、いや自分の恩師の顔を思い出したせいもあってか、下か
ら責め立てている幸雄のほうに、限界の告知が迫ってきているようだった。
 そのことを意識した瞬間に、幸雄の全身は急激な高波に襲われたかのように、絶頂の極みに到
達してしまっていた。
 栄子が後始末を終え、布団に入ってきた時、
 「ご、ごめん」
 と幸雄は素直に詫びの言葉をいった。
 「ううん、ちっとも」
 年の功の差で、栄子は落ち着いた声で返して、萎れた表情の幸雄の頬を撫でつけてきた。
 それから一頻り、栄子は自分のこれからの、娘を抱えての身の振り方を話したあと、意外な方
向に話を持っていった。
 「…で、娘を擁護施設に暫く預けて、明後日には私一人で、奥多摩のお姉ちゃんとこへ、避難
するんだけどね、ほんというとあまり気が進まないのよ。お姉ちゃんとは小さな頃から、あまり
仲はよくなかったの」
 そう話し出して間もなく、
 「お姉ちゃん、今逃げ廻っている私の亭主と肉体関係あってね。…最初はいきなり襲われて犯
されたらしいんだけど、その後も関係が続いたようなんだけど、お姉ちゃんから私への説明は何
もなくて、私がそのことを聞かされたのは、亭主の口からだったの。私の亭主はね、女の人を虐
めて犯すっていう変な趣味あってね。私との時でも、私を縄で縛りつけたり、ベルトで叩いてき
たりしてたの。お姉ちゃんもそうで、亭主がね、私を縛り付けながら、お前の姉貴はこうされる
と悦ぶ女だった。無理矢理犯すと悦んでたが、妹のお前はさっぱりだな、なんて貶されたりして
…それに、顔やスタイルも姉は私と違って、何もしなくても目立つほうだったから…私は劣等感
の塊りみたいな人間なのかも…」
 と自嘲的な溜息を何度も吐きながら、遠くを見るような目で長々と喋った。
 幸雄のほうは黙ったまま聞いているだけだった。
 そんな女性の魅力に惹かれて、二十年も生きてきている、自分を非難されているような栄子の
いいぶりもあって、幸雄から返す言葉が見つからなかったのだ。
 栄子のいうことのどこかに、幸雄自身も理解できそうな面もなくはないように思えたが、それ
で尼僧の綾子、または恩師への二十年に渡る、幸雄の思慕の思いは、揺らいだり萎むことはなか
った。
 自分の本来の目的の女性は、間違いなく綾子だ。
 勇気と積極性が早くからある自分なら、もっと早い時期に、白黒の決着はつけられていたはず
だし、今でも直接的に本人に、二十年間の切なる思いを告げるのは可能なことなのに、敢えて幸
雄は回りくどい手法で、妹を最初に篭絡させ、綾子との関連を持たせようとしている、自分を自
分自身でも愚かだと思っている。
 人からどのような誹りを受けようとも、いいも悪いも、これがしかし野川幸雄の人生になるの
だと思いながら、幸雄は布団の中の栄子の手をいとおしむように握り締めた…。




                                 続く
23/03/30 14:26 (kdq0yENY)
185
投稿者: 雄一
奥多摩行きから三日が過ぎた日の午後、通学電車を降りて駅の外に出た時、スマホが鳴
ったので見ると、番号が直接出ていて、未登録の人からだというのがわかった。
 ある推測をして、少しうるさい駅の雑踏で出ると、推測の通りの人からだった。
 「もしもし…」
 相手のその声を聞いて、
 「はい、雄一です」
 と僕は名前を名乗って出た。
 「私からだとわかってた?」
 歌が上手そうなイントネーションのはっきりした声で、つい最近に聞いた覚えがあった。
 「その節はお世話になりました」
 「あら、それはこちらがいわなければいけない台詞よ」
 「いえ、旅行費用も全部持ってもらいましたから」
 「何千円の話よ」
 「学生には大金です」
 そう応えてから、駅前の雑踏なので、もう少ししてから電話します、といって僕は電話
を切り、いつもの区立図書館の公園まで来てかけ直した。
 相手はあの口煩い紀子の叔母さんで、名前は鶴田益美という人だ。
 待ってもらって、折り返し電話をした割には、用件は簡潔だった。
 明日か明後日のどちらかで、自宅まで来てもらえないか?
 明後日ならと応えると、自宅といってもこの前紀子と訊ねたマンソンでなくて、田園調
布の本宅へとのことで、住所地番だけ一方的に読み上げて、詳しくはそちらで調べてくれ
とのことだった。
 条件は僕一人だけでとのことで、姪の紀子だけは絶対に連れてくるなとのお達しだった。
 その日、久しぶりの家族三人の夕食だった。
 父親も母親も、珍しく早く帰ってきていて、何かまだぎこちない感じはあったが、楽しげ
に笑いながらの食事で、少し拍子抜けした顔で自室へ入ると、一番話したくない奴からの電
話が入った。
 「雄ちゃん、お夕飯何食べた?」
 「何だっていいだろ。で、何だい?」
 「一昨日、叔母さんから電話あって、あなたのね、番号教えろって」
 「それで?」
 「電話あった?
 「ないよ」
 「ほんとに?」
 「ないって」
 「あ、口尖らせてる」
 「悪いな、親父呼んでるからまたな」
 こいつとの長電話は絶対にやばいと思って、僕のほうから一方的に切ってやった。
 二日後、土曜日の朝で、普段なら昼近くまで寝ている僕だったが、珍しく八時前に起きてリ
ビングに下りていくと、母親が驚いた顔をして僕を見てきた。
 約束の田園調布には、僕は一度もいったことがないので、母親に交通の便や地理的なことを
聞こうと思ったが、またややこしく詮索されると困ると思ったので、スマホの地図アプリに頼
ることにした。
 益美さんとの約束は二時だった。
 時間があり過ぎるので、ノートパソコンの電源を入れたが、僕のプライベートライブラリー
の、どのフォルダを開くかで少し悩んだが、今日の益美さんとの面談内容を推測して、長文は
気になったが、尼僧の綾子のフォルダを開いた。
 スクロールを何回かして文章の短そうなのを探した。

    七月に十八日

 十日前の、陽が山影に沈もうとしていた薄暮の頃、寺に二人連れの男性の来客があった。
 私が本堂の前を歩いていた時、唐突に背後から声をかけられ振り返ると、登山着姿でどちら
も三十代前後の年齢に見える二人が、恐縮したような顔をして立っていた。
 そのうちの一人が手に名刺を持って私に近づいてきて、
 「突然すみません。私たちはこういう者でして」
 と丁寧な口調でいって、一枚の名刺を差し出してきた。
 名前の聞いたことのある、私立大学の国文科の講師という肩書の書かれた名刺だった。 
 この村の奥にそびえる山の、頂上にある、やはり平家伝説に纏わる祠の写真を撮りに来て、
その山の麓に一軒だけある旅館に予約していたのだが、そこが水道管の予期せぬ故障で、水が
全く使えなくなって、急遽休業することになったとかで、寝るところがないので、本堂でも庫
裏でもいいので、一晩泊めてもらえないか、との依頼だった。
 もう一人も同じ大学で、やはり国文科の講師をしているとのことだった。
 二人ともに、如何にも勉学者らしい温和な顔立ちをしていた。
 寺のお守り役が私用で出かけていて、帰るのが明日で、私一人だけだったので、少し躊躇は
したのだが、仏門に仕える身で無碍な扱いもできず、庫裏の別室の八畳間をと了解をしたのだ
った。
 食事は駅前の雑貨屋で、カップラーメンと菓子パンで済ませてきたというので、庫裏の八畳
間に二人を案内した。
 今にして思うと、気遣いはそこまでだけにしておけばよかったと、悔恨するばかりなのだが、
後悔先に立たずで、私は思わぬ恥辱を受ける羽目に陥ってしまったのだった。
 八時を少し過ぎた頃、私は熱く沸したお茶をポットに入れ、貰い物であった和菓子を数個皿
に載せて庫裏を向かった。
 庫裏の別室の八畳間までは、渡り廊下を通っていけた。
 その室の入り口の戸の二、三メートルほどに近づいた時、室の中のほうから人の呻くような
声が、突然、私の耳に聞こえてきた。
 苦しげな、余韻の長く残る呻き声で、私は手に持っていた盆を慌てて床板に置いて、急いで
板戸を開けた。
 一瞬、目を疑うような光景が目に飛び込んできて、私は急冷凍された人間のように、その場
で固まってしまっていた。
 煌々とした灯りに照らされた布団の上で、夕刻に本堂の前で見た二人の男が、素っ裸で身体
を寄せ合っていたのだ。
 何をしているのかは、二人の態勢を見てすぐにわかった。
 一人の裸の男が布団に四つん這いになっていて、もう一人もやはり裸で、布団に伏している
男の背後で膝立ちをしていた。
 男性と男性の性交渉だった。
 女性同士があるように、男性と男性のそれがあるということは、私も耳にはしていたが、目
の当たりに目撃するのは初めてだった。
 咄嗟に自分は何をどうしたらいいのかわからないでいた。
 私の足も、身体のどこもかもが動かなくなっていて、声すらも何一つ上げれなくなっていた。
 どたどたという床板を踏む足音が、茫然自失状態になった私の耳に聞こえてきていた。
 自分の身体が、誰かに背後から抱きつかれ、そしてすぐに足元を掬われて、誰かに全身を抱きかか
えられ、室に敷かれた布団の上に運ばれたということが、どうにか朧にわかってきた。
 自分自身の驚愕と、あまりに手早い誰か、誰かというのは、この室に泊まりを請うた二人組の男に
違いはなかったのだが、その彼らの動きに、私の身体と心が付いていけていなかったのだった。
 裸の男たちが何か言葉を発しながら、布団に横たわらされた私の近くで、慌てふためくように動い
ていたのは、あろうことか、私の衣服を剥がしにきていたのだ。 
 私がどうにか普通の精神状態に戻り、相手の顔が見え、声を聞きとれるまでになった頃、信じ難い
驚天動地に私は見舞われていた。
 私の意識の大半が、壊滅状態になっていた間に、二人の男たちの手で、私が身に付けていた衣服の
ほとんどが剥ぎ取られてしまっていたのだ。
 法衣も長襦袢も、そして頭の袖頭巾も、すべて私の身体から脱がし取られていて、布団の周囲に散
乱していた。
 運の悪いことに、この時の私はショーツを身に付けてはいなかった。
 「このままやってしまおう」
 男の一人が相手に向かっていっている声が、私の耳に聞こえてきていた。
 少し体格のがっしりした男が、私の身体に唐突に覆い被さってきたかと思うと、自分の手に唾を二、
三度吐き、私の剥き出しにされた各部に、乱暴に塗り付けてきた。
 私は何故か、声が出なくなってしまっていた。
 自分では出そうと口を開けるのだが、喉から声がどうしても出てこないのだ。
 抗いは当然にしたが、私の足の間に入ったがっしりとした体格の男が、もう一人の背の高い男に、
 「手を抑えるんだ」
 と命令すると、いわれた男は、
 「はい」
 と返答して、私の両手首を掴み取ってきた。
 男の唾液にまみれさせられた私の下腹部に向けて、先端を突き立て、ゆっくりとした動作で身体
を前に突き進めてきたきた時、
 「ああっ…そ、そんな!…い、痛い!」
 と悲鳴か絶叫に近い声を、私は喉の奥から絞り出していた。
 その少し前、裸の男たち二人と揉み合っている時、私の目はがっしりとした体格の男のほうの、
下腹部を見て、そのものの異常な大きさや、異様な太さに、内心で喉を引き攣らせていたのだ。
 それは人間のものとはとても思えないくらいの巨大さで、驚き以前に恐怖と不気味な思いだけが、
私の目に飛び込んできていたのだ。
 恐怖感しか感じないそんなものが、自分のこの細身の身体の中に入るはずがないという思いが、
私の胎内の肉の何もかもを、引き裂き圧し潰すような、強烈な圧迫感となって私の全身を責め立て
てきていた。
 最初に感じたのは間違いななく激痛だけだった。
 それも男に突き刺された、その部分だけではない。
 全身を覆い尽くすような痛みだった。
 私は最初に挙げた悲鳴のような声だけで、後は喉の奥が詰まり、口から出そうとしても声にはな
らなかったのだ。
 大砲の長い砲筒のようなもので、私を刺しつらぬいてきている男の動きが、あるところでふいに
止まった。
 私の剥き出しの両足を、両手で抱え込んだまま、男は微動だにしなくなった。
 もう一人の男は、私の両手首を掴み取ったまま、私の顔の真上で、私に目もくれず、奇妙にうっ
とりとした眼差しで、前にいる男の顔を見つめていた。
 私は布団の上で、男二人から上からと下からの拘束を受け、何一つ身動きできない状態だった。
 煌々と灯りの点いた八畳間で、二人の裸の男と私の三人は、まるで静止画のように動かず時の
流れの中にいるだけだったが、最初に私のほうの気持ちのどこかに、ポッと小さな火が点いたよ
うな気がした。
 その火は柔らかな紙を燃やした時のように、忽ちにして炎になり私の全身を駆け巡ってきた。
 痛みと圧迫しかなかった私のその部分が、妖しい熱を持ち緩やかに弛緩してきていた。
 ふいに灯った火の根源が、そこだということを報らされたかのように、
 「あっ…ああっ」
 と私の口から官能の声が漏れ出た。
 私の身体の中を襲った炎の勢いは、私自身で制御できないままに、早く広く全身を覆ってきた。
 今日の夕刻にもらった、名刺一枚の素性しか知らない男に犯されているという事実が、私の気持
ちの中から、どこかに雲散霧消していきそうだった。
 男の腰が微動した。
 私は大きな悶えの声を挙げていた。
 その繰り返しが暫く続き、男が動くたびに、私は悶え喘ぐようになっていた。
 私をつらぬいてきている男の顔が、私の顔のすぐ真上に近づいてきていた。
 そして自分のほうから唇を開き、男の少し分厚い唇に寄せていき、歯と歯の間を開けていた。
 口の中で、私の舌が男の舌に絡みついていた。
 自分の身体から最初にあった痛みが消え、強烈にきつかった圧迫が快感に変じていた。
 私の手首を掴んでいた男に、私を突き刺している男が、目で何か促すと、私の手首の拘束は解か
れた。
 しかしもう私の身体と気持ちの中に、二人の男たちに抗う気持ちは、どこにもなくなっていた。
 それどころか、私を突き刺している男の腰の律動に、少し早さと強さが加えられてきて、猶更に
体熱を高めさせてきていて、唇が離れた時、私の口から出た言葉は、
 「ああっ…も、もうどうにでもして!」
 だった。
 それから……。


 そこまでで、僕は読むのを止め、パソコンから目を離した。
 時間潰しのつもりが、時間潰しにならなかった感じで、感慨は何もなかった。
 ちょっと尼僧の綾子のことが、嫌いになるような一章だった。
 パソコンアプリで地図検索を開き、鶴田益美の住所を入力した。
 田園調布駅から歩いて二、三十分くらいで、区立か何かの公園が見えるとの 益美からの簡単な
説明を聞いているだけだったが、大体が田園調布といったら高級住宅街で、下町のマッチ箱のよう
な小さな家屋が、雑然とひしめき合っているというのでもないから、どうにかなると思って、地図
アプリもあっさりと消した。
 母親に早めの昼飯を頼んであって、それを済ませて家の玄関を出てすぐに、メール着信があった。
 国語教師の沢村俶子の名前が出た。
 (この頃ご無沙汰ね。昨日、学校の廊下でも無視された。嫌い)
 今も無視してスマホをポケットに仕舞って、僕は駅への道を急いだ。
 その日の帰宅は、夜の九時になった…。




                               続く
 
 

23/03/31 14:27 (1mEP5dTd)
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投稿者: (無名)
6人目の熟女奴隷ゲットも近いかな。
23/03/31 23:35 (5vjF1P8J)
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