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祖母・昭子
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:祖母・昭子
投稿者: 雄一
女の人の、男子として妙に気持ちをそそられそうな甘い化粧のような匂いを、
僕は鼻孔に感じ、同時に薄くすべすべとした布地の感触を通して、人肌の温み
を頬肉の表皮に感じさせられて、茫漠とした気持ちで薄目を開けた。
 すぐ間近に人のような気配を感じ、顔を少し動かせて目を大きく開けると、
畳に寝転んでいる僕の身体に、誰かが覆い被さってきているようだった。
 開けた目の真ん前に、薄い水色のすべすべとした布地が揺れていて、その布
地の中の人肌の温みが、感じのいい化粧の匂いを含ませて、僕の顔のあたりの
空気をほんのりと包み込んできているのだ。
 少し慌て気味に顔を上げた時、僕の鼻先と頬に水色の薄い布地の中の柔らか
い肉が触れてきたのがわかった。
 居間の畳の上に僕は身体を横たえて、うたた寝よりももう少し深い眠りの中
に落ちていたのだ。
 そこへ風呂から上がってパジャマ着替えた祖母が来て、寝入っている僕にタ
オルケットを掛けてくれていたのだ。
 寝がえりか何かでタオルケットがずれたのを、祖母がまた掛け直してくれる
のに身体を僕に寄せてきた時に、僕が目を覚ましたのだった。
 「風邪ひくわよ、こんなとこで寝ちゃ」
 身体を少し離して、祖母がかたちのいい唇から白い歯を覗かせて微笑んでき
た。
 「あっ、ごめん。婆ちゃんにおやすみの挨拶しようと思っ てたら、つい寝込
んじゃった」
 「そんな気を使わなくていいのに」
 「あ、それとね、婆ちゃんにいい忘れてたことあって」
 「何、いい忘れててことって?」
 「あのね、僕の発見なんだけど…演歌の歌手でね、三味線抱えて歌う人で、
その人の顔が婆ちゃんにそっくりなんだよ。名前はたしか…長山、何とかってい
う人。スタイルも婆ちゃんと一緒で小さくて奇麗な人。何日か前にテレビに出て
たんで母さんにもいったら、驚いてた。」
 「そうなの。婆ちゃん喜ばなくちゃいけないわね」
 「ああ、そういえば、婆ちゃんの娘の母さんもチョイ似てるね。でも婆ちゃん
はほんとに瓜二つだよ」
 「はいはい、もういいから早く寝なさい」
 「うん、おやすみ」
 他愛のない話を祖母とし終えて、寝室の布団に身体を横たえると、現実の状況
がすぐに僕の頭にもたがってきた。
 竹野という男のことだった。
 当然に、僕はまだ竹野本人には会ってはいなくて、知っていることといったら、
年齢が祖母よりも二十二も年下の四十二歳で、例の高明寺のお守り役として働い
ていて、坊主頭であることと、性格的には自分の書いた下品で下劣としか思えな
いような拙文をわざわざ祖母にメールに書き写させて、それを読ませたりとか、
相当な偏執狂のような面があったりという変人的な人物のようである。
 祖母のスマホのメール情報では、過去に離婚歴があり、この村へは四年ほど前
に流れ着いたとのことだが、それまでの住まいとか仕事歴はわかっていないよう
だ。
 祖母との性の関係もそうだが、推測するまでもなく、所謂SM嗜好者であるのは
間違いないようだ。
 性の問題は、たかだか十六歳でしかない、著しく若輩の僕が偉そうにいうべき
ことでないことはわかっているので、どうこうと意見はいわないが、SM嗜好その
ものについては、僕自身は侮蔑や軽蔑の対象外だと胸の奥では密かに思っている。
 恥ずかしいことだが、思春期真っ盛りの一年ほど前のある時期、僕は女性の生
理について、唐突に歪んだ好奇心を持つようになり、自宅の便所の汚物入れにあ
った自分の母親が捨てた汚物を手に取り、テッシュに包まれたものを開いて、赤
い血や黄色い沁みを見て、訳もなく興奮したことがある。
 人はさまざまなのだと僕は思う。
 つつましく穏やかで清廉な僕の祖母を、恥ずかしく凌辱し虐げる竹野という人
物には、憎悪や嫌悪や憤怒といった感情が、何故かあまり湧いてきていないこと
に内心で少し驚いているというのが、僕の正直な気持ちで、肉親である祖母には
申し訳ないのだが、性行為に伴うSM嗜好への興味の思いのほうが強いのかも知れ
ないと恥ずかしながら思っているのだ。

 
 「明日の夜ね、婆ちゃん、また寄り合いがあるの。雄ちゃん、留守番お願いね」
 祖母の口から待望(?)の言葉が出たのは、それから三日後のことだった…。


 
 
2023/01/27 22:12:19(7WqPo0xO)
167
投稿者: (無名)
性描写が格段の良くなっていて驚きました^^腕あげましたね。^^
とても読み応えのある作品に、今後が楽しみです。

23/03/24 01:57 (QNUUsIcO)
168
投稿者: (無名)
筆者も一生懸命書いてくれてるんだから、まず感謝すべきではないですか。上から目線であれ書けこれ書けって指示する権利は無いはずですよ。そんなに読みたいなら自分で書いてください。筆者様は他人の意見は参考にとどめ、自分の書きたいように書いてください。よろしくお願いします。
23/03/24 06:37 (hdWi78uG)
169
投稿者: 雄一
「雄ちゃん!」 
 三限目の授業が終わり、教室から廊下に出た時だった。
 背後からいきなり名前を呼ばれて振り返ると、案の定、隣のクラスの紀子だった。
 紀子は振り向いた僕のすぐ真後ろにいた。
 手を前に出したら届く距離だ。
 僕を名前で呼びつけた、紀子の声に驚いたのは僕だけではない。
 廊下に出ていた何人かの生徒の驚きの目が、僕のほうに集中していた。
 そんなことはおかまいなしに、紀子は女子にしては長身で細身の身体を、さらに僕に近づ
けてきて、
 「お昼休み、あなたお弁当だっけ?」
 と周囲も憚らず、さも親しげな声でいってきた。
 男子生徒の何人かの好奇な視線が、僕の目の端に入ったので、
 「購買のパンだよ」
 とぶっきらぼうにいって、その場を立ち去ろうとすると、
 「よかった。じゃ、私のお弁当食べて」
 と手に持っていた青色の小さなバッグを、僕の顔の前に差し出してきた。
 「何だよ、急に?」
 そういった後で、いらねえよとあっさりいえばよかったと、僕は思ったが遅かった。
 「私今からね、区立公園に行かなくちゃいけないの。今度出る高校総体の説明会が、今日の
お昼にあるってことすっかり忘れてて。それがお昼のお弁当付きなのよ。それであなたを思い
出したってわけ。ユーアンダースタン?」
 「バカ、俺は物貰いなんかじゃないよ」
 ほんとに馬鹿らしかったので、紀子に背を向け立ち去ろうとすると、廊下の向こうから、次
は国語教師の沢村俶子のお出ましだった。
 俶子は僕を見て微かに目を動揺させたが、すぐに後ろの紀子に目を移し、
 「あら、村山さん、どうしたの?」
 といって僕を通り越していった。
 紀子が拗ねて甘えたような声で、国語教師にくどくどと事情を説明しているのを、僕は迂闊
なことにその場で立ち止まって聞き入ってしまっていたのだった。
 紀子の話を聞き終わった国語教師は、僕のほうへ振り返り、
 「せっかくの好意を何故無にするのかしら?」
 と眼鏡の縁に手をやりながら、国語教師はのたまわってきた。
 近くで廊下に出ていた生徒の、大半の目がこっちを見ていたので、
 「はい、わかりました。いただきます」
 とまたぶっきらぼうにいって、紀子の手から青いバッグを取り上げるように掴み、そのまま廊
下の奥に走り去った。
 僕の昼飯は購買のパンになり、紀子の弁当の中身は、廊下の端のダストシュート行きになった。
 紀子は学校内で自分がどんな位置にいるのか、まるで分っていないようだった。
 細身で女子にしては長身で、健康的な薄い小麦色の肌をしていて、目鼻立ちがくっきりとして
いる美人顔の紀子だったが、自身はそのことにまるで気づいていないというか、意識もしていな
いようだった。
 陸上部に所属していて、春の陸上競技会か何かで、短距離の百メートルの学校記録を大幅に更
新したとかで一躍の有名人になり、容姿のよさも後押しして、学校の男子生徒の間での秘密裏の
美人アンケート調査で、いきなり二位に選ばれたりしているのも、当の本人はまるで知らないで
いるのだ。
 そんな彼女と、僕みたいな何の特技もなく、帰宅部一筋の人間が高校入学早々に、どうして交
際することになったのは、ふとした出来事がきっかけだった。
 五月の大型連休のある日、本屋へ行くのに乗ったバスの中で、運動着姿の女子高生が酒に酔っ
た中年男性に、しつこく絡まれている場面に、たまたま僕は遭遇してしまったのだ。
 昼間のことでバスの乗客は数人ほどで、男は僕の他に老人が一人で、その他は女性だけだった。
 酔っぱらいの男性はカーキ色の作業服姿で、僕より背が少し低かったが、体格はがっしりとし
ていて力もありそうに見えた。
 男は相当に酩酊しているようで、ふらついた足取りで女子高生の傍から、なかなか離れようと
せず、女子高生も怯え困り果てた顔で、周囲に目をやっていたのだが、ついには肩に手をかけた
り、身体に手をのばしてきたりしてたので、無意識のうちに僕は、酔っぱらいの男の前に立ち、
止めるように声を出していった。
 男は若造の僕の顔を見て、怒りを露わにしていきなり殴りかかってきたが、酒の酔いで足が動
かず、拳は空を切り、床に自分から倒れ込んでしまった。
 それからすぐに、バスはどこかの停留所に止まったのをしおに、僕は横で真っ青な顔をして立ち
竦んでいた、女子高生の手首を掴み、その場所から降ろし、
 「大丈夫?」
 とだけの一言を残して、その場を離れていった。
 その後、何日かして学校の靴脱ぎ場のところで、僕はいきなり一人の女子生徒に声をかけられた。
 足を止め振り向くと、あのバスで酔っぱらいに絡まれていた女子高生風の女の子だった。
 「あっ」
 と二人は揃って声を挙げ、驚きの表情になった。
 同じ高校の生徒同士だったことで、改めて自己紹介をし合って、それから何とはない空気のまま
交際らしきものが始まったのだった。
 そして半年ほど経ったある時、僕は紀子が三年生の男子生徒、当時の生徒会長と親しげに肩を並
べて歩いているところ見てしまった。
 それは一回だけでなく二、三回ほどあり、一つは学校の図書室の出入り口で、室を出る僕と二人
が連れ立って入ってくるのと、真正面での対峙だった。
 紀子もさすがにその時は、バツの悪そうな顔をして、僕から視線を避けたが、それから間もなく
二人の関係がおかしくなり、大人の恋のようなはっきりとした別れの言葉もなく、自然消滅のよう
な形でピリオドを打っていたのだ。 
 二年の二学期になり、何がきっかけだったのか実のところ、僕にもよくわかっていないのだが、
紀子との対峙の機会が急に増え、彼女の思いも寄らない、一方的な奥多摩訪問になってしまってい
るのだ。
 学校内での弁当事件があった翌日、国語教師の俶子からメールが入った。
 彼女からのメール自体は、これまでも二日に一回程度の割合できていて、会いたいとか、抱いて
欲しいとかいうのと、自身のくだらないぼやきだったりで、そのどれもを僕は無視して、返信はほ
とんどしていなかったのだが、今回のは、
 (私に再婚の話が出た。相手は中堅商社の二十七歳の営業係長。私より八つも年下。私より十九
も年下の雄一さん、相談に乗って)
 という、少しばかり気を引かれるような文面だったので、今夜、八時に行く、と簡潔に返信して
やった。
 父が遠方への五日ほどの出張中とかで、母親との二人きりのあまり会話のない夕食を済ませた後、
今日の宿題のことで、今から友達のところへ行ってくるというと、ダイニングに立っていた母親か
ら、そう、と短い声が帰ってきた。
 元々が放任主義のような家庭で、親も子もお互いにあまり干渉し合わない家族だったが、何故か
母親の台所からの、気のない返答の声の暗さが気になって、
 「何かあった?」
 と僕は問い返していた。
 奥多摩の祖母よりは背は高いが、顔の作りや肌の白さは、実の親子だけあってそっくりな面差し
をしている。
 そういえばこの二、三日の、そうだ、父親が仕事の出張でいなくなってから、たまに見る母親の
顔が妙に沈み込んでいるようだった。
 夫婦の間に何か亀裂でも?と冗談っぽく思ったが、あっさりとその思いを放り投げ、僕は家の玄
関を出た。
 八時きっかりに、俶子のマンションのチャイムボタンを押すと、真っ赤なVネックのセーターと黒
のタイトスカートという、まるでフラメンコダンサーみたいな派手な出で立ちをした、眼鏡の国語教
師が目の前に立っていた。
 僕のほうは相変わらずの、ジーンズにTシャツとスタジャンという平凡な若者姿だ。
 今、思い出したが、このスタジャンは紀子と交際している時に、二人でペアルックで買ったもので、
さらに紀子が奥多摩に、突然押しかけてきた時に着ていたことまで思い出しながら、玄関口で僕に飛
びついてきた俶子と唇を重ね合っていた。
 リビングのテーブルには、値段の高そうなケーキと、雑多なクッキー類が皿に盛られていて、俶子
がコーヒーポットからカップに、湯気の立つコーヒーを嬉しそうな顔で注いでくれた。
 「昨日は学校で、ごめんなさいね」
 テーブルに向かい合って、熱いコーヒーを二、三度ほど啜った後、俶子が申し訳なさそうな顔をし
て、昨日の廊下での弁当事件に差し出がましく、口を開いたことを詫びてきた。
 「皆が見てる前で、女二人に俺一人がとっちめられた、サマにならない構図だったからな」
 突き放すように僕がいうと、
 「事情がよくわからないまま、出しゃばってごめんなさい。でも…」
 「でも何だよ?」
 「学校内で、あんな風にあなたと言葉を交わせるなんて、一度もなかったんだもの」
 「高校教師のバツイチ叔母さんが、しょったこというんじゃないよ。お陰でこっちは面前の前で、
とんだ三枚目だ。…で、何、そんなバツイチ叔母さんを、嫁に迎えたいっていう物好き野郎がいるん
だって?」
 そういって俶子の、学校にいる時よりも、少し濃いめの化粧をしている、眼鏡の顔を見てやると、
頬と尖り気味の顎の辺りを、恥ずかしげに朱に染めていた。
 「PTAの副会長さんの紹介で、この前初めて会ったんだけど…」
 俶子のくだらない見合い話など聞きたくなかったので、僕は自分から先に椅子から立ち上がり、
 「ベッドへ行こ」
 と短い言葉で促した。
 少し物足りなさそうな俶子の表情だったが、この室の中の化粧や香水が入り混じったような匂いが
微妙に若い僕の下半身を刺激し出してきていたので、自分だけ先に彼女の寝室のドアに向かった。
 ベッドに俶子を押し倒し、真っ赤なセーターを乱暴に捲り上げてやると、白い肌に黒のブラジャー
が浮き出るように見えた。
 僕はそのまま俶子の身体に覆い被さり、いつもより濃く塗ったのが明白な唇を、上から押さえつけ
るように塞ぎにいった。
 むむっ、と短い声を漏らした俶子だったが、抗っての声でないことはわかっていた。
 口の中で俶子の濡れた舌が、すぐに僕の下に絡みついてきた。
 片手を俶子の首に巻き付けながら、もう一方の手で僕はジーンズのボタンを器用に外し、トランク
スと一緒に足首まで摺り下ろしていた。
 続いて俶子のタイトスカートの裾を、生地が裂けるほどの力でたくし上げた。
 その手をいきなり彼女の股間の、ショーツの上に強く押し当てた。
 ショーツと僕の手の間にパンティストッキングの薄い感触があったが、それも僕は無視して、指二
本を彼女の股間の中心に、刺し込むように押しつけた。
 僕のからあの舌で呻くような声を発しながら、俶子は全身を激しく揺すらせていた。
 この女といるとどうしてか、自分の隠れた嗜虐の思いが自然に湧き上がってくるのが、僕自身にも
不思議に思えた。
 唇を離した僕の唇は、俶子の顎から首筋を伝って、耳朶まで這い廻り、ホックをしたままのブラジ
ャーを片手でたくし上げ、現れ出た乳房の柔らかな膨らみに到達していた。
 「あっ…ゆ、雄一さん。そ、そんなに…い、急がないで…わ、私」
 朱色だった俶子の眼鏡の顔の色が、さらに赤みを帯びて上気してきているのが、僕の目の端に見え
た。
 「うるさい!お前がどうこういうなっ」
 俶子のショーツの上に置いていた手を、僕は強引にさらにその中へ潜り込ませた。
 驚いた俶子の、ほとんど向き出しの下半身が大きく震えたが、潜り込ませた僕の手の先に、予想通
りの結果の証しが付きまとって出た。
 夥しい滴りが僕の指を濡れそぼらせていたのだ。
 「何だ、これ?」
 蔑むような声で僕がいうと、
 「あ、あなたが…き、来た時から…ああっ」
 「ふん、相変らずのスベタぶりだな。高校教師が呆れるよ」
 「そ、そんな風に…い、いわないで」
 「お前の見合い相手に見せてやりたいよ」
 「い、意地悪」
 剥き出された乳首に舌を這わせてやると、それまではまだ柔らかな感触だった小さな粒が、今は小
石のように固くし凝っていた。
 「自分の今の状況いってみな」
 「ああっ、そ、そんな」
 「嫌ならやめてすぐ帰る」
 「い、いや!…か、帰らないで」
 「じゃ、俺に実況報告してくれよ」
 「は、はい…わ、私、国語教師の、沢村俶子は…す、好きな雄一さんに、だ、抱かれています」
 「ふん、それで?」
 「い、今…ゆ、雄一さんの手で…わ、私のお、おマンコを、さ、触ってもらって…ああ、います」
 「お前のここ、どうなってる?」
 「ああ、は、恥ずかしい…私のお、おマンコ…ぐ、ぐしょぐしょに濡れています」
 「で、これから、お前はどうしてほしい?」
 「い、一杯、雄一さんに、だ、抱いてもらって…」
 「それで終わりかよ?」
 「も、もっと滅茶苦茶に…ああっ」
 僕はその通りにしてやった。
 俶子を四つん這いにして、僕の白濁の迸りは彼女の白い背中に飛散させた。
 四つん這いにして俶子をつらぬいている時、ふいにだが、彼女の臀部の丸出しの尻穴が、妙に僕の
目に留まった。
 僕が固く屹立した僕のものを、俶子の胎内に突き刺すたびに、幾つもの細い皴に包まれた尻の穴が
ひくひくと、小さな生物のように蠢くのに気づいたのだ。
 アナルセックスというのがあるというのは、十六の僕でも知ってはいた。
 夏休み以来の僕の、大人に比べればそう多くもない女性体験の中で、一度も思い浮かばなかった発
想だった。
 祖母との時も、尼僧姉妹との時も、それから思いがけない恩恵に預かったっ近所の五十代の叔母さ
んの時も、僕の頭には一度もその発想は湧き出なかった。
 当然に僕には未知の世界だったが、やることは同じような感じに見えた僕は、ベッドに俯せになっ
ている俶子の耳元に顔を近づけ、
 「俶子の尻に入れたい」
 と普通の声でいった。
 僕との激しい行為の後の余韻に浸っていた、俶子のまだ汗の残った顔がむくと起き上がり、僕の顔
を凝視してきた。
 「ほ、ほんとに?」
 「俶子の尻穴見てたら、そんな気に…」
 「あ、あなたが…そういうなら」 
 「お、お前、経験は?」
 「な、なくもないけど…で、でも…あれ、刺激が」
 「そんなにいいの?」
 「いい、とかじゃなくて、何か変になっちゃう。本当に犯されているっていうか…」
 俶子の背中の白濁の飛散を僕が拭いてやると、彼女はベッドから起き上がり、ダイニングに何かを
取りに行った。
 戻ってくると手には、僕がいつも飲んでいるミネラルウォーターのペットボトルと、もう一方の手
にマヨネーズの容器を持っていた。
 そのことを僕が尋ねる前に、
 「ほんとは専用のローションがあるみたいだけど、そんなのないから。前にされた時、それをお尻
に塗られたわ」
 と俶子は顔を少し赤らめながら、僕に説明した。
 その後、俶子は再婚の話やら、見合い相手の話やらを、くどくどと僕に向けてしてきたが、僕の耳
には話の半分以上は入ってはいなかった。
 素っ裸でベッドに仰向けになった僕の股間のものに、俶子は口での丹念な愛撫を繰り返してくれた
が、尻穴の話を聞いた頃から、十六の若者の僕のものは、すでに半勃起状態にまで回復していた。
 加えて俶子の口での丹念な献身もあって、僕の屹立は天井に向けて真っ直ぐにいきり立っていた。
 準備体操の気持ちで、俶子の身体をベッドに仰向けにして、普段のところに普通に入れると、彼女
のその中は潤いを保持したままで、柔らかな圧迫で僕のものを迎え入れた。
 「ああ、あなたとなら…何度してもいい」
 いつの間にか俶子は化粧もし直したみたいで、唇の赤がひどく際立って見えた。
 下腹部に伝わる、俶子の胎内からの心地よい感触を楽しみながら、僕は腰を律動させていたが、自
分なりの頃合いで、彼女から離れ、態勢を変えた。
 四つん這いになった俶子の背後に膝立ちし、手に持っていたマヨネーズの容器の蓋を開け、細い線
状で出てきた柔らかな粘液体を、手の指先に落として、それを臀部の尻穴に塗り込めていった。
 マヨネーズの冷たさのせいか、俶子の白い臀部が左右に小さく揺れ動いた。
 小さく蠢いているような尻穴に、自分のものの先端を当てがい、腰を前に動かした。
 「ああっ…は、入ってくる!」
 俶子の声が少し大きく聞こえてきた。
 強い圧迫感が最初からあった。
 メリメリと木の皮を引き裂くような、いや、それとも違う、何か大きなドリルで岩盤を砕き掘って
いくような感覚で、刺し込んだものの先端より、根本側のほうに強い圧迫感がいつまでもあった。
 妙な征服感のような気持が、僕の頭に浮かんだ。
 俶子の声も、漏らすという感じではなく、吐き出すような感じで、喘ぎや悶えよりも嗚咽のそれに
近かった。
 「ああっ…わ、私、お、犯されてる!…犯されてるわ」
 僕が腰を動かせるたびに、俶子は同じ言葉を何度も繰り返していた。
 最初にちらりと頭に浮かべた征服感という感情が、はっきりとした気持ちになって、僕自身の理性
も何もかもを凌駕してきているのが、漠然とだったがわかるような気がした。
 「ああっ…ゆ、雄一さん、好き!…だ、大好きだから、もっと…もっと突いて!」
 嗚咽をも超えそうなくらいの、激しい断末魔のような声を間断なく挙げ続けながら、俶子はベッド
に顔を突っ伏したり、首を幾度となくうち振ったりして、最後には本当の断末魔の雄叫びを放って、
意識をどこかに失くしたようだった。
 その俶子の激しく果てしない声の乱れの連続が、僕自身の昂まりをさらに倍加させてきていて、相
乗効果のように僕を興奮の坩堝に引き込んでいき、彼女が意識を途絶えさせるのと、ほとんど同時に
僕も声を呻かせて果て終わったのだった。
 俶子もそうだったが、僕も無我の境地の中にいて寝込んでしまっていたようだ。 
 虚ろに開けた目で、ベッドの横の置時計を見ると、十一時を過ぎていた。
 僕がのっそりとベッドから起き上がると、俶子も目を覚まし、僕と同じように時計に目を向けた。
 「もう遅いから泊まっていく?」
 乱れきったベッドのシーツを手で直しながら、俶子は僕の顔を窺い見てきたが、
 「明日、学校だぜ」
 と僕がにべもなくいうと、
 「だって、お風呂も入ってないし」
 ともう一度食い下がってきた。
 「先生が生徒にズルやすみしろというのかよ」
 玄関口で僕を見送ろうとする俶子が、
 「私、お見合いは義理でするけど、再婚はしないからね」
 とこちらが聞いてもいないことをいい出した。
 それには応えず、ドアノブに手をかけると、
 「今日で、もっとあなたが大好きになったから」
 そういって僕に抱きついてきて、唇を重ねてきた。
 九月も末になると、夜の風はさすがに頬にひんやりとする。
 明後日の土曜日が、紀子との約束の日だったが、あのバカ、まだ時間をいってきていない…。





                               続く
 
23/03/24 15:28 (6.Dblaad)
170
投稿者: (無名)
アナルSEXはゴムした方がいいかもです。
23/03/24 23:43 (YMVfuoZR)
171
投稿者: 雄一
「この前のお弁当、どうだった?」
 こいつには自分本位なところがある。
 陸上の短距離の花形選手で、スタイル抜群で美人顔ともてはやされているようだが、カ
レシがいながら他の男に目移りをしたりする、尻軽女みたいなところがあったりするのを
誰も知らないのだ。
 スマホを耳に当て、紀子と喋りながら、僕はそんなことを思っていた。
 「もしもし、雄ちゃん、聞いてるの?」
 かしましい女だと思いながら、
 「あ、ああ、美味しかったよ」
 と僕は明るい作り声で応えた。
 若い舞台俳優に狂っているとかいう、紀子の叔母さんとの明日の面談の時間を確認する
だけの電話が、こいつの一方的な喋りで、横道に逸れてばかりだった。
 帰宅部一筋の僕は、まだ陽も西日になり出したばかりというのに、もう自宅近くの区立
図書館横の芝生のある公園にいた。
 紀子のほうは部活で、まだグラウンドでバカみたいに走り回っていて、一時の休憩時間
中の電話での会話だった。
 「あれ、私の手作りだったのよ。何が美味しかった?」
 まだ続けるのかよ、と閉口しながら、
 「あ、ああ、た、卵焼きが一番美味しかった」
 と僕が応えると、紀子は一瞬黙りこくったが、
 「あ、ストレッチ始まるから切るね。明日の時間はお昼の一時だから、十一時半に駅前
のガストで待ち合わせということで、じゃ」
 そういって電話は一方的に切れた。
 自分勝手な奴だ、一回どこかでお灸を饐えてやらないと、と思いながら家に帰ると、こ
の時間にはまだ仕事をしているはずの、母親が在宅していた。
 何かあった?と聞く前に、切れ長の目元と通った鼻筋が、奥多摩の祖母とそっくりな母
親のほうから、職場の職員の父親が亡くなって、今からお通夜の手伝いに行くので、夕飯
はレトルトカレーで済ませて、との御託だった。
 父親は長期出張で、帰宅は明後日の日曜との追加御託もあった。
 奥多摩にはこの頃頻繁に出かけている僕だが、元来は出不精の質である。
 室での引き籠りは慣れていて、読書と音楽で時間は結構潰せる。
 何がきっかけだったのか自分でもわからないのだが、最近は歴史小説に嵌り、山岡荘八
の「徳川家康」に挑んでいるのだが、全二十六巻の半分で今は長く停滞している。
 というのも、それに代わる新たな読み物を、あの奥多摩でひょんな行き掛りから、USBメ
モリーというかたちで手に入れたのだ。
 最近に他界した、一人の初老の人が書き残した、私小説風の読み物だ。
 まだ半分も制覇していない僕だが、どうにかこれを乗り越えないと、「徳川家康」に進
めないと自分勝手に決め込んでいる。
 勉強机に座って、勉強はせずに、ノートパソコンを僕は開けた。
 吉野とタイトルされたフォルダをクリックして、画面に出たサブタイトルを探し求めて、
スクロールを繰り返す。
 (妻・友美)という初めて見るタイトルがあったので、僕はオンボタンを押した。

  (妻・友美)

 私が結婚したのは、三十四歳の時だった。
 工業高校を出てから、母の知人の紹介で近くの、小さな精密機械工場に私は就職した。
 これという大望もなく、ただ一定の給料を貰えるありがたさだけで、そこに勤め出した
私だが、精密機械整備製造の何たるかを、私に教授してくれた大恩人に巡り合い、忽ちに
して私は精密機械の虜になった。
 その大恩人との交流は、別の項で詳しく書き記すつもりなので、ここでは割愛するが、
それからの私の生活ぶりは、一にも仕事、二にも仕事の一筋で、当時の社会情勢の流れや
政治経済の何たるかも、まるで関知しない仕事一徹人間に変貌してしまっていた。
 そのことの良否は、六十を過ぎた今でもわからないでいる。
 そんな私だから、世間一般の常識というものにも疎くなるのは自明の理で、恥ずかしい
話だが、三十半ば近くまで、もっと正確にいうと結婚するまで、私は童貞のまま過ごして
きたのだ。
 実際は会社の同僚たちとの交友の場で、そういう機会も何度かあったのは事実だったが、
元来が人付き合いがあまり上手でない私に、女性との交友や語らいは、土台、無理な話だ
った。
 幼馴染で、今は別の遊侠の世界で暴れまくっている、稲川という男も、そんな私を案じ
て、何度かそういう機会の場を拵えてくれたのだが、いずれも不毛な結果になっていたの
だった。
 そうして三十四歳の時、ある人の紹介で私は見合いをすることになった。
 見合い自体はそれまでにも、三度か四度は経験していたが、そのどれもが成就に至って
いなかったので、私自身も、その見合いにの話にはそれほどの期待はしていなかった。
 しかし紹介者から、見合い相手の写真と経歴書を渡された時、何が原因だったのか今も
わからないでいるのだが、私の心を打つ何かのインスピレーションのようなものを感じた
のだ。
 相手の顔写真を見た時に、そのインスピレーションは最大値になった。
 髪をアップにしての着物姿で、どこでも見る見合い写真で、美人は美人だったが、女性
体験の一度もない、私の感性を強く揺るがしたのは、彼女の目の光というか輝きだった。
 濃い眉毛の下の、切れ長の目の瞳の輝きに、何故か私は心を奪われたのだった。
 経歴を見ると、私よりも五歳年上で、一度の離婚を経験しているとあったが、そのこと
への不満や不足や抵抗は全く感じなかった。
 その見合いの紹介者は私の会社の役員の人で、場所はどこかの料亭の座敷だったように
覚えている。
 私のほうが先に着いていて、相手の女性のほうは途中で交通事故現場に遭遇してしまい、
三十分ほど到着が遅れるとのことだった。
 幸先の悪い見合いだったが、私は最初の自分のインスピレーションを確認したいという
思いもあって、ひたすらその人の到着を待ち、そして対面してすぐに自分の感性に間違い
がなかったことを確信した。
 それでも見合い当日の私は、二人だけで料亭の広い庭園を歩いた時、自分のことや相手
への思いやりの言葉の、何一つも話せずにいた。
 世間一般でいう青春も、精密機械の開発研究にすべて捧げてきて、女性への興味や憧憬
も抱くことなく生きてきた男に、いきなり女性に対し思慕の思いを伝えろというのが無理
な話だった。
 こちら側の意向は、ぜひ妻として向けたいと伝えてあったが、相手からの返答までに一
週間を要し、今思うとこの時、私は恋の思いというものを実感し、体験させられたのだと
思う。
 一週間後、相手から了承の返答がきた時の感動は、何十年も経った今でもはっきりと覚
えている。
 そうして私たちは結婚し、二人だけの、当時は借家だったが、一軒家に住むことになっ
たのだが、その前の新婚旅行の時、私は彼女に、自分は三十四歳の今日まで、女性の経験
がないことを正直に告白した。
 その時の彼女の返答は、
 「私は逆にあなたが初めての男性ではありません。損も得もなしに、これでおあいこに
しませんか?」
 という、五歳年上の心の広さに満ちたもので、どれだけ自分の心が救われたかと、今でも
感謝の気持ちしかないと思っている。
 それからの十数年、私の勤務する会社は順調に成長し、ある時点で精密機械のある部品の
開発で、特許取得にも成功し、会社の規模も予想以上に大きくなり、いつの間にか、ただの
仕事人間でしかなかった私も、役員待遇の身分にまで出世していた。
 私たち夫婦に子供がいなかったのは、妻の年齢の高さもあって、止む追えないことだった
が、家庭生活も夫婦生活も何も問題なく過ごせてきていた、はずだった。
 だが実際は、そうではなかったのだ。
 子供に恵まれなかったことを除いて、普通の夫婦としては何も深刻な問題はないと、そう
思い、そう信じてきたのは、私一人だけだったと思い知らされたのは、結婚をして十数年も
経ってからのことだった。
 五歳年上の妻は、仕事一途なだけの私のために愚痴一つこぼさず、献身的に尽くしてくれ
ていたと、私は純粋に信じていたのだ。
 妻の友美には、私の知らない裏の顔があったのだ。
 私が妻の友美との結婚を決めたのは、彼女の顔を見た時の自分の感性を信じてのことだっ
たのは間違いのない事実だ。
 相手が五歳年上で、再婚者であるということも、すべて承知の上のことだった。
 妻の友美の経歴で、わかっていた主な点はそれだけで、それ以上の掘り下げは、私はして
はいなかった。
 だが、そこに妻の私の知らなかった裏面の妻の裏の性格の根源は潜んでいたのだった。
 いつだったか、会社の取引先の社長からの接待に、私は気が進まない思いで、あの秘密の
白黒ショーなるものの会場に連れられて、愛する妻の驚愕の一面を覗き見てしまった。
 それも妻が最初の結婚時に、自分のお腹を痛めて生んだ子供を相手にしての、いわば近親
相姦そのものの形態で、十数人の好奇な目の集中する中で、男と女になっての狂態を演じ、
しかもその演者の女の夫たる、自分自身が否応もなく凝視してしまうという、ありうべから
ざる事態に、図らずも私は遭遇してしまったのだった。
 それからの私の生活は、表向きは何事もなかったように、普通に推移していった、という
より、自分の真の思いをひた隠し、普段通りの言葉を使い、普段通りの行動をして、当たり
前の日時を過ごすかたちになった。
 妻に対しても同じで、自分からは彼女を問い詰めるとか、厳しく問い正すことは一度とし
てしなかった。
 これがしかし、私にとっては何よりも辛くて苦しいことだったのは、いうまでもないこと
だったが、事が発覚した当時は、今日はいおう、明日には問い質そうと思い悩んだのも本当
のことだ。
 いいそびれの日が何一も何日も続き、ついには自分から機会を逸してしまった私が次にし
たのは、妻の友美の最初の結婚時の生活形態の調査だった。
 無論、素人の私一人の足で十何年以上も前の、個人の履歴調査などできるはずもなく、多
少は名前を知られるようになった、会社の名前を利用して、信用できる調査会社に依頼して、
結果報告を待った。
 有名人ならともかく、無名の一個人の旧い過去の調査など、それほどの成果は出てこない
だろうと多寡を括っていた私だったが、今のこの時代は、名もない個人の情報でも見事なく
らいに収集されることに驚嘆しながら、何ページかの報告結果を読み込んだ。
 概略を書くと、概ねは以下の通りだが、私の驚きと受けた衝撃は、何にも例えようのない
くらいに大きかった。
 島野友美は、金物店を営む父和男、母きく夫婦の長女として生まれる。
 一人っ子として大切に育てられ、四年生の大学に入学するが、二年生の時父親が脳梗塞で
倒れ、間もなく他界し、主を失くした金物店は忽ち衰退し、その少し前に店舗の大改造をし
ていて、その負債が、母きくと娘の友美の肩にかかってきたが、少ない親類縁者からの手助
けもなく、店は廃業の憂き目に遭い、友美も大学を退学し、働きに出るが、家族にのしかか
る負債はいつまでも、母娘二人の肩から下りることはなかった。
 三年後、母きくの元へ、思わぬ縁談話が持ち込まれた。
 市内で不動産業を営む島野という、四十五歳の男性で、紹介者の話で母娘が重く抱えてい
る約二千万ほどの負債の処理も一切、無にしてくれるとのことだった。
 娘の友美が当時勤めていた会社を仕事で訪問した時に、一目惚れしたとのことだった。
 以降の経緯は省くが、結果的に友美はその話を受諾し、島野と結婚して、一年後に男の子
を出産したのだが、結婚当初から夫の女遊びが激しく、家庭生活そのものは、あまり恵まれ
たものではなかったとの記述になっていた。
 跡継ぎになる子供ができてからの、夫の放蕩ぶりは以前にも増して激しくなり、月の内半
分以上は家に
帰らなくなり、妻の友美も何度も直談判して改心を求めたのだが、逆に夫のほうから唐突且
つ一方的に離婚を切り出されたのだ。
 つけて加えて子供の養育権まで剥奪され、友美は追い出されるようにして家を出た。
 結婚時の多額の負債処理の件で、離婚裁判に持ち込むまでの強い気持になれなかったのだ。
 それから悲嘆の日が二十年近くも続き、そこへ私のほうからの持ち込まれたということのよ
うだった。
 友美の本当の労苦は、ある意味においては、私と再婚してから以降のことだったのかも知れ
なかった。
 勿論、私の知らなかったことだが、自分がお腹を痛めて生んだ子供はもう成人していて、こ
の二十年前後の間に、その子の人生は大きく、それも悪い方向に変遷していた。
 二十歳を過ぎた頃、不動産業を手掛けていた父親が若い頃の不摂生が祟り、急性の肝臓癌で
亡くなり、若輩のまま社長業を継いだのだが、海千山千の欲に絡んだ人間たちの群がる不動産
業界の荒波に一気に槌み込まれ、忽ちにして資産のすべてを失い、加えて幾人かの人間に騙さ
れたりして、若いその身に多額の債務を抱えさせられたのだ。
 友美の一人息子の名前は洋一といって、細身の体型で、母親似の色白で整った顔立ちをして
いて、性格も父親のような強引さもない、温和な気性の青年らしかった。
 親の後を継いで一年も経たない間に、男子にしては少し頼りなさげなその肩に、重過ぎる債
務を抱えて最後に駆け込んだのが、母の友美であり、そして私の妻だったのだ。
 ここで、ここで友美が私に相談していてくれれば、少なくとも何らかの前向きな解決策を出
せていたはずだった。
 だが、友美はそうはしなかった。
 何も知らない夫に、大きな負担はかけられないと思ったのだ。
 結果的に不幸は続いた。
 息子の洋一が、母に泣きついた時には、彼の債務は廻り回って、評判の良くない暴力団の手
に渡っていた。
 悪いことはまだあって、その暴力団の組長に、友美の息子は男でありながら惨いことに、犯
されていたのだ。
 その組長という男は両性愛者、今の時代的にいうと、ジェンダーだったのだ。
 そんな危険な男のところへ、友美は自分が捨てた子供のために、ただ人間の誠意だけを頼り
に女の独り身で出掛けて行ったのだ。
 結果は明白で、友美は美貌な顔立ちもあって、ミイラ取りがミイラ取りになってしまい、凌
辱の憂き目に遭い、そのまま暴力団の組長のいいなりの身に、実の息子ともどもに墜ちてしま
ったというのが、探偵社の推測的な結論報告になっていた。
 そしてその結果というのが、暴力団の奴隷となり、私が図らずも遭遇した、あの白黒ショー
だったということなのだった。
 その屈辱の報告書を読んで、私の気持ちは貝が殻を閉じるように閉鎖してしまい、どす黒い
鬱憤を抱え込んだままの、日々の生活になってしまっていた矢先の、妻の交通事故死だった。
 私は到頭、妻に自分が長く隠し持っていたものを、告げることのないまま、永遠の別離にな
ってしまったのだ。
 妻の交通事故死が、本当の事故だったのか、もしかしたら自殺だったのかという、ある意味
で悲しい疑念を抱けるのは、事故を調べた警察官ではなく、私一人だけだった。
 四十九日の抱擁が過ぎ、私はようやく妻の遺品の整理をする気持ちになり、衣服類は専門の
業者に任すことにして、寝室の彼女専用の整理箪笥から始めたのだが、小物入れの箱の隅に真
っ青な色の小さなUSBメモリーを見つけた。
 妻は五十の年代を迎えるか、迎えてからか、パソコン操作に強い興味を持ち出したようで、
わたしもそれはいいことだと推奨し、当時の最新のノートパソコンをプレゼントしたことがあ
った。
 そのUSBメモリーの、どこかの外国の離れ島の海の色みたいな青さが、その時の私の目に強く
沁みて、早速、自分のパソコンに差し込み画面を開くと、「あなたへ」とタイトルの書かれた
フォルダがあったので迷うことなくエンターボタンを押した。
 妻の友美の驚愕の告白が、そこには連綿と書かれていた…。



                               続く
の整理ダンスから

 
 

 
 

だった。
 
 
23/03/25 21:48 (WayvWRhP)
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