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1:祖母・昭子
投稿者:
雄一
女の人の、男子として妙に気持ちをそそられそうな甘い化粧のような匂いを、
僕は鼻孔に感じ、同時に薄くすべすべとした布地の感触を通して、人肌の温み を頬肉の表皮に感じさせられて、茫漠とした気持ちで薄目を開けた。 すぐ間近に人のような気配を感じ、顔を少し動かせて目を大きく開けると、 畳に寝転んでいる僕の身体に、誰かが覆い被さってきているようだった。 開けた目の真ん前に、薄い水色のすべすべとした布地が揺れていて、その布 地の中の人肌の温みが、感じのいい化粧の匂いを含ませて、僕の顔のあたりの 空気をほんのりと包み込んできているのだ。 少し慌て気味に顔を上げた時、僕の鼻先と頬に水色の薄い布地の中の柔らか い肉が触れてきたのがわかった。 居間の畳の上に僕は身体を横たえて、うたた寝よりももう少し深い眠りの中 に落ちていたのだ。 そこへ風呂から上がってパジャマ着替えた祖母が来て、寝入っている僕にタ オルケットを掛けてくれていたのだ。 寝がえりか何かでタオルケットがずれたのを、祖母がまた掛け直してくれる のに身体を僕に寄せてきた時に、僕が目を覚ましたのだった。 「風邪ひくわよ、こんなとこで寝ちゃ」 身体を少し離して、祖母がかたちのいい唇から白い歯を覗かせて微笑んでき た。 「あっ、ごめん。婆ちゃんにおやすみの挨拶しようと思っ てたら、つい寝込 んじゃった」 「そんな気を使わなくていいのに」 「あ、それとね、婆ちゃんにいい忘れてたことあって」 「何、いい忘れててことって?」 「あのね、僕の発見なんだけど…演歌の歌手でね、三味線抱えて歌う人で、 その人の顔が婆ちゃんにそっくりなんだよ。名前はたしか…長山、何とかってい う人。スタイルも婆ちゃんと一緒で小さくて奇麗な人。何日か前にテレビに出て たんで母さんにもいったら、驚いてた。」 「そうなの。婆ちゃん喜ばなくちゃいけないわね」 「ああ、そういえば、婆ちゃんの娘の母さんもチョイ似てるね。でも婆ちゃん はほんとに瓜二つだよ」 「はいはい、もういいから早く寝なさい」 「うん、おやすみ」 他愛のない話を祖母とし終えて、寝室の布団に身体を横たえると、現実の状況 がすぐに僕の頭にもたがってきた。 竹野という男のことだった。 当然に、僕はまだ竹野本人には会ってはいなくて、知っていることといったら、 年齢が祖母よりも二十二も年下の四十二歳で、例の高明寺のお守り役として働い ていて、坊主頭であることと、性格的には自分の書いた下品で下劣としか思えな いような拙文をわざわざ祖母にメールに書き写させて、それを読ませたりとか、 相当な偏執狂のような面があったりという変人的な人物のようである。 祖母のスマホのメール情報では、過去に離婚歴があり、この村へは四年ほど前 に流れ着いたとのことだが、それまでの住まいとか仕事歴はわかっていないよう だ。 祖母との性の関係もそうだが、推測するまでもなく、所謂SM嗜好者であるのは 間違いないようだ。 性の問題は、たかだか十六歳でしかない、著しく若輩の僕が偉そうにいうべき ことでないことはわかっているので、どうこうと意見はいわないが、SM嗜好その ものについては、僕自身は侮蔑や軽蔑の対象外だと胸の奥では密かに思っている。 恥ずかしいことだが、思春期真っ盛りの一年ほど前のある時期、僕は女性の生 理について、唐突に歪んだ好奇心を持つようになり、自宅の便所の汚物入れにあ った自分の母親が捨てた汚物を手に取り、テッシュに包まれたものを開いて、赤 い血や黄色い沁みを見て、訳もなく興奮したことがある。 人はさまざまなのだと僕は思う。 つつましく穏やかで清廉な僕の祖母を、恥ずかしく凌辱し虐げる竹野という人 物には、憎悪や嫌悪や憤怒といった感情が、何故かあまり湧いてきていないこと に内心で少し驚いているというのが、僕の正直な気持ちで、肉親である祖母には 申し訳ないのだが、性行為に伴うSM嗜好への興味の思いのほうが強いのかも知れ ないと恥ずかしながら思っているのだ。 「明日の夜ね、婆ちゃん、また寄り合いがあるの。雄ちゃん、留守番お願いね」 祖母の口から待望(?)の言葉が出たのは、それから三日後のことだった…。
2023/01/27 22:12:19(7WqPo0xO)
投稿者:
(無名)
自分も枝葉を広げすぎかな?と思います。
久しぶりの大樹たらん作品だけに・・・ 吉野氏の奥さんの話などはもう少し掘り下げて欲しかったかな とか 外野の意見です。ご自分の書きたい物を書いてください。
23/03/23 00:55
(WnbUfBYT)
投稿者:
雄一
その夜、祖母が帰ってきたのは、九時半過ぎだった。
少し小さめの旅行用バッグを、両手で吊り下げるようにして、息を荒くしながら玄関口に 入ってきた祖母は黒の喪服姿のままで、上がり框に腰を下ろすと、 「車でね、稲川さんの気遣いで、隣村の葬儀会場から大きな車で送ってきてもらったの」 と息せき切ったような口調で話した。 冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターをコップに注いで、祖母に持っていってやると、美 味しそうに喉を鳴らして、半分以上を飲み干した。 僕の目は祖母の喪服姿に夢中になっていた。 多少疲れの見える色白の顔の、赤く引いた口紅がその喪服姿のせいか、ひどく妖艶に見え、 水を飲む時に小さく鳴らした喉の辺りにも、熟れた女性らしい艶めかしさが漂っているようで、 若い僕の不埒不遜な下半身に、微妙な刺激を与えてきていた。 「誰か見えてたの?」 僕のそんな思いを一気に掻き消すような、祖母の呟きの声に、 「え…?」 と頓狂な声を挙げて祖母の顔を見ると、祖母の片方の手の指が、下の三和土を指示していた。 僕の靴以外の三つほどの履物が、奇麗に並び添えられていて、 「どなたかが見えて奇麗に揃えてくれていったみたいね」 祖母の静かな口ぶりだったが、僕には充分以上の威圧感になった。 「あ、あの、今日の昼間、お、同じ高校の同学年の女子高生が来てて…そ、それで、昼ご飯 や、あの、洗濯までしてってくれて。ゆ、夕方の列車で帰ったんだけど」 「洗濯まで?…どういうお友達なの?」 上がり框に座り込んだ祖母の前で、予期せぬ災難の襲来に、狼狽えを露わにして、身を竦め ていた僕に、さらなる危険な質問が飛んできた。 祖母の喪服の妖艶さがどうこうというのが、僕の頭から一気に雲散霧消してしまって。 「あ、そ、その子とは、一年の時、ちょっとだけ付き合ってて。い、今は何もないんだけど」 国会で不祥事を追及されている議員ような、苦しい答弁を僕は強いられた。 「ここで会うって、何か約束してたの?」 「い、いや、たまたまその子と電話で喋ってて、それで妙な行き掛りで、彼女がここへ」 「あなたが普通の男子高校生だとわかったから、私、少し安心したわ」 祖母の詰問がそこで急に止んだ。 それでまた戸惑う僕を視するかのように、祖母は上がり框から立ち、台所に足を向けていた。 台所内をふむふむといった顔で見廻してから、居間のほうに歩いていき、僕は気づいていなか った、室の隅にきちんと畳まれて置いてあった洗濯物に手を添えて、 「躾のいいお嬢さんのようだわね。安心したわ」 安堵したような表情を顔に浮かべて、祖母は居間の座卓の前に喪服姿の身を下ろした。 高校の同学年の紀子が、ここに来てたということが露見し、僕自身が狼狽えてしまったことも あり、喪服姿の祖母への卑猥な野心が急に萎んでしまった僕だが、その祖母から今も漂い流れて くる情欲をそそるような匂いは、やはり心地がよかった。 「お風呂沸さなきゃね」 そういって祖母は居間から自分の室へ入っていき、いつもの見慣れたシャツとパンツ姿に着替 え浴室へ湯を出しにいった。 祖母への、何か未練がましいような思いを抱きながら、僕は風呂上がりの身体を布団に横たえ、 ふと今日が葬儀だった吉野氏を思い出し、持ってきているノートパソコンを顔の前に置き、喪に 服するという意味でもなかったが、彼の遺品になってしまったUSBメモリーのフォルダを開き、あ るところに焦点を絞り、画面を何回もスクロールさせた。 パソコン画面の隅で時刻を見ると、もう十一時を過ぎていた。 無念にも他界した吉野氏と、祖母の出会いの経緯を僕は探したのだ。 それはサブタイトルで、(思慕の人)となっている章にあった。 (思慕の人) その人と出会ったきっかけというのは、正直なところ、あまり胸を張っていえることではなか った。 また、こうして文字にして書き残すことも、大いに気の引けるところだが、断じて悪意からの ものではないということを、ぜひ理解していただきたい。 私の気心の許せる知人で、古村君という四十代の男がいる。 精密機械製造の開発研究に私が没頭しきっていた頃、同業種で別の会社にいた古村君は、私の 一途一徹な探求心に感服したといって、勤めていた会社を辞めて、私の会社に半ば強引に入って きた変わり者だったのだが、何故か気心が妙に通じ合って、仕事は無論だが、プライベートでの 交流の深まりが強くなり、私が退職してから現在までも付き合いは長く続いている。 結婚は一度もしていないのだが、それはたまたまいい伴侶に巡り合えないだけと笑い飛ばし、 現に私が妻を亡くして、それまでの仕事一途だった生活から、急反転して色欲の世界に溺れ込ん だ時も、同じように私に合わせてくれ、独身という気軽さもあってか、何人かの女性とも身体の 関係を持ったりしている男だ。 その彼がある時、私に一つの色欲に関する情報を持ってきた。 年齢は六十代で、人前で縄で縛られると激しく燃え上る、奇麗な女がいるというのだ。 こういう情報は特殊なルートみたいなものがあって、当たり外れが多いのが通例で、私も最初 は眉唾的に思っていて、その紹介者の名前が、以前にあまり愉快でない目に遭わされている竹野 というのを聞いて猶更に嫌気が差したのだが、もう一人の仲介者への義理もあるのでどうしても 同行してくれと頼まれて、車に二時間以上も乗せられて、奥多摩の片田舎まで連れてこられてし まったのだ。 夜だったのでよくわからなかったが、私は古びた寺の横にある一軒家に案内された。 玄関口に出迎えに出てきたのは、あの竹野だった。 面白くない顔で私は家の中に上がり、奥の六畳間に通された。 座卓の上には二人分の酒席が用意されていて、この家の主と思われる竹野のつまらない口上を 聞かされた後、間仕切りになっている襖戸が、竹野の手で開けられた。 隣室は八畳間になっていて、中央に布団の上下が敷かれていた。 八畳間の障子戸が開き、薄い桜色の襦袢姿の小柄な女性が、畳に足を擦らせて静かに室に入っ てきた。 女性の襦袢の胸の辺りに、赤い縄が幾重にも巻かれていて、手は後ろ手にされている。 女性の後ろに縄尻を持った、縮のシャツとステテコ姿の竹野が、時代劇の罪人を捉えた目明し のような目で立っていた。 小柄でか細い感じの体型をしている女性の、色白の小さな顔を見た時、唐突に私の胸が激しく 波打った。 そのことには私自身が驚いたのだが、電気が走るというのはこのことなのかと思いながら、私 はもう一度女性の顔を凝視した。 色白の肌効果のせいか、眉も濃く見え、長めの睫毛のその下の切れ長の澄み切った目が印象的 で、つんと尖った鼻の下のかたちのいい唇が赤い口紅に映え、その輪郭をはっきりとさせていた。 髪は目立たない程度の薄い栗毛色をしていて、ほんわりとしたボア風で、顎も首も細さが際立 って見えた。 私の目と心は、その女性だけに集中していた。 竹野が私と古村君のほうに目を向けて、 「只今より、この女と不肖、この私との拙い白黒ショーの開演とさせていただきますので、ど うぞごゆっくりとご鑑賞ください」 と大仰な挨拶言葉をいって、布団の上に立ち竦んでいた女性に近づき、細い顎をいきなり手で 捉え込んで、唇を塞ぎにいった。 縄で後ろ手に括られている女性に抗う術はなく、竹野にされるがままだった。 私の前に座っていた古村君も、竹野は兎も角も、女性の美しさというか艶やかさには、少し目 を見張ったようで、何度か私のほうへ目を向けてきていた。 私は竹野と襦袢の女性との絡みを見つめる目を、何度も瞬かせていた。 貪り吸うように舌を晒し、顔を左右に動かせている竹野の唇の責めを、女性のほうは何一つ抗 いも見せず、甘んじて受けているという感じが、この時の私の全身と気持ちまでもひどく興奮さ せていた。 そこで私は自分の身体の、ある部分の反応に驚いていた。 妻を亡くして暫くした後、何が原因かわからなかったが、私は勃起不全の症状に陥っていた。 そういう趣向の本や女性の恥ずかしい画像を見ても、また実際に女性の身体に接しても、ずっ と私の下半身は何の反応も示さなかったのだ。 勃起不全解消のための薬剤も色々試したが、効果は皆無で、自分なりにはそれは六十を過ぎた 年齢による衰えと、半ば諦め状況にいた自分の下半身が、竹野とその女性の唇と唇の激しい絡み 合いを見て、突如として蘇ろうとしてきていることに、私は愕然とした驚きを感じたのだった。 敷かれた布団の上で激しく絡み合っていた竹野と女性の顔が離れた。 竹野が何も声を出していないのに、女性は自分から足の膝を曲げて、布団に正座した。 女性のその動きに合わせるように、竹野は自分の穿いていたステテコをブリーフと一緒に脱ぎ 下ろした。 俯いている女性の鼻先に、剥き出しになった竹野の、下腹部の半勃起状態のものの先端が触れ ていた。 女性の顔が、また誰にいわれるまでもなく上を向いた。 鼻先にある竹野の浅黒い色をした半勃起のものに、女性は自らの意思でもあるかのように、自 分の唇を添えていき、歯を開いて口の中に含み入れていった。 切れ長の目が固く閉じられていた。 それでも小さくて白い顔に、嫌悪の表情は見られない。 その図は、飼育されている動物のように従順に見えた。 目は閉じながら、男のものを口の中に含み入れ、どこかが微かに陶酔している気配が窺い見え てる感じが、何故か私の下腹部の一点に集中してきていた。 竹野のものがようやく女性の口から離れた。 竹野の意思でのようだった。 女性の口の端から、唾液のようなものが細長く垂れ出ていた。 竹野に肩を突かれ、よろけるように女性の小柄な身体が、布団に倒れた。 布団に横たわった女性の足が、隣の六畳間にいる、私と古村君に向けられていた。 その女性の腹部辺りに竹野が跨り、腰を浮かせながら見えないところで何かをしていた。 襦袢の上から巻き付けられていた縄を解いていたのだ。 竹野がまた動き、女性の足元近くで胡坐をかいて座った。 休むことなく竹野は、女性の襦袢の裾を左右に大きく捲り拡げてきた。 女性の白い素足が露わになった。 息を呑むような白さの足の付け根の奥の漆黒までが、離れた位置にいる私にも古村君にも茫洋 と見えた。 竹野の手はさらに動き、女性の両足を掴みとり左右に大きくおし拡げてきた。 奥のほうで、女性が小さく呻いたような声が聞こえた。 その声にはかまうことなく、竹野が下卑たような声で、 「もっと近くで見ませんか?」 と私と古村君を誘ってきた。 竹野という男は、私は元より好きではなかったが、相手の女性のほうの妖艶な魅力に圧倒され ていた私はすぐに前のめりになって、間仕切りの敷居を這うように跨いでいた。 彼女の肌に触れてみたいという気持ちになってい 古村君も私に追随していた。 女性の剥き出された細くて白い足と、傍に寄った私との間隔は数十センチくらいだった。 竹野に断りもいわず、私は無意識のような気持で、女性の白い脹脛に手を指し伸ばしていた。 想像通りの肌理の細かい肌質で、感触も滑るように滑らかだった。 女性の艶やかな肌を感じた後、ふと顔を上げて前を見ると、竹野の仕業に違いなかったが、彼 女の襦袢の襟が、元のかたちがほとんどないほど乱れきっていて、両方の乳房があらわになって いるのに、私は驚きの目を余儀なくされた 華奢な身体に、少し不釣り合いなくらいの膨らみがあることにも、私は驚かされ、目を見張っ た。 女性の顔に目を向けると、白い顔を横向きにして、自分の手の指を唇だけで噛みながら、私た ちの視姦に堪えているように見えた。 この後、私と古村君の二人は、八畳間の布団を挟むように座り込み、竹野が無抵抗のままの女 性を、責める体位を忙しく変えたりして、長い時間をかけつらぬいた。 その竹野の責めの一つ一つに、女性のほうは、女として激しい反応を見せ、喘ぎや悶えの声も 間断なく出し続け、私たちの好奇な視線の中で、絶頂の渦の中に深く埋没していったのだった。 竹野とこの女性の関係がどういう関係なのかが、私にはよくわからなかったが、明らかに女性 は竹野の責め立てに女として反応し、女として喘ぎ悶えている。 この日、初めて会った女性なのに、この時の私の胸の中に去来していたのは、奇妙な嫉妬感の ような感情だった。 私の感覚では、二人の気持ちが通じ合っているとは思えないのだ。 竹野という男に、私はいい印象は持ってはいない。 その個人的な感情は抜きにしても、私には二人の関係に通常性がないというか、不釣り合いな 印象しか持てなかったのだが、いずれにしてもその女性に会えたことは、大袈裟にいえば、私の これからの人生に、きっと何かのかたちで関わってくる予感めいたものを私は感じた。 いや、自分のほうから能動的に動かねばならないと、車の助手席で私は声に出さずそう思った。 私が今唯一信頼できる盟友の古村君に、今夜の女性の素性を調べてもらうよう依頼して、深夜 の自宅の前で私は車を降りた…。 ここまで読み終えた時だった。 僕の寝室の入り口の襖戸の向こうで、小さな物音がしたような気がした。 戸の向こうに誰か人のいる気配だった…。 続く 、 、
23/03/23 08:31
(M4ZnSr6x)
投稿者:
雄一
「雄一さん…」
との向こう側からの声は、間違いなく祖母の声だった。 もう少し前の、あの突然ここにやってきて、悪意のない痕跡を残していき、そのことで 僕を諫言した時の声質とは、まるで違う響きの声だ。 「もう、寝たの?」 もう一度聞いてきた、その微かにハスキーな声は、祖母の声に違いはなかったが、僕の 祖母としての声ではなかった。 「起きてる。…入れよ」 そういった僕の声音も、少し変わっていたかも知れない。 戸が静かに開いて、スタンドだけの薄明るい灯りの向こう側に、白地に紺の花柄模様の 寝巻姿の祖母の、肩の細い小さな身体が膝を折って傅いているのが見えた。 室に畳に足を踏み入れ、丁寧にまた膝を曲げて、僕に背中を見せ、祖母は襖戸を閉めた。 戸の前から祖母は、暫く動いてはこなかった。 祖母の身体よりも先に、化粧のそれではない芳醇な女の匂いが、僕の鼻先に心地よく漂 い流れてきた。 「眠れなくて…」 主語のない言葉をまた一言いってから、祖母は楚々と身体を起こして、僕の布団の横に 正座してきた。 「入れよ」 掛け布団を片手で上げながら、僕がいってやると、祖母はまるで若い小娘のような、純 朴なはにかみの表情を見せながら、嬉しさを隠そうともせず、僕の横に、寝巻の裾を少し 気にしながら潜り込んできた。 スタンドが近くになり、明るいところで見ると、祖母のかたちのいい唇に口紅が赤く引 かれているのがわかった。 僕の目がそこに集中したことに気づいたのか、祖母の白く小さな顔がほんのりと朱に染 まっていた。 「どうして寝れない?」 布団の上で、お互いが横向きで顔と顔を見合わせていて、その間は三十センチの定規ほ どもない。 「うーん、やっぱり人を見送るって…幾つになってもね」 「吉野さんか…」 向き合っていた祖母の目が、一瞬だけ逸れて違うところに向いた。 「お、俺もね、今、吉野さんの書き残したものを読んでた」 「そういえば、あなたからあの、何とかメモリーの中味のこと、まだ詳しく聞いてない。 何が書かれているの?」 祖母の視線は、また僕に戻っている。 「半分は昭子のことばかりだよ。妬けるくらい」 「は、恥ずかしいこと書いてない?」 「その恥ずかしいとこ読んでたら、昭子が来た」 「まあ…」 ほんのりとした朱色だった祖母の顔が、さらにその色を濃くして、細い首筋や見えてい る耳朶にまで派生していた。 「私、こんな歳なのに恥ずかしいことばかり。吉野さんと一緒に死ねばよかった」 「昭子、俺が一度でも、それで昭子が嫌いになったとか、軽蔑したことをいったか?」 祖母は、大人に諭されている小娘のような目をしていた。 「まだ若過ぎる俺がいっても似合わないけど、性分なんだと思うよ。いいか悪いかじゃ ないと、俺は思う」 そんな偉そうな御託をいった僕は、いきなり祖母の顔に顔を近づけていき、赤い紅の引 かれた唇を塞ぎにいった。 祖母の寝巻の両手が、まるで僕のその動作を待っていたように、僕の首に巻き付いてき た。 口の中で祖母の舌のほうが先に動いて、僕の舌を捉えにきた。 顔と顔だけではなく、胸と胸までが密着した。 これまでの経験の賜物かどうかわからなかったが、僕の片手は器用に動き、祖母の寝巻 の細帯を解いていて、寝巻の襟も苦にすることなくはだけられていた。 長く重ね合った唇がどちらからともなく離れ、僕の唇は休む間もなく祖母の首筋から、 乳房に向けて這い下りていった。 手と舌の両刀遣いで、僕は祖母のまだ若い娘のように、かたちを丸くしっかり残している 乳房への愛撫に、僕は励んだ。 豆粒ほどもない、桜色の小さな乳首だったが、反応は素早く、僕の舌の愛撫に敏感に応え、 その証しを硬度で僕の舌に伝播してきていた。 「ああ…ゆ、雄一さん…き、気持ちいいわ」 吉野氏の記述にもあったが、それが癖なのか、祖母は手の指を唇だけで噛むようにして、 襲ってきている愉悦に堪えていた。 祖母の乳首への愛撫は右側が最初だった。 頃合いを見て僕の舌は、唐突に左側に移行した。 「ああっ!…だ、だめっ…そこ」 僕と深く重なり合っていた祖母の小さな身体が、電流を走らせたかのように激しく波打 って震えた。 そこは祖母の身体の最大の弱点だった。 左側の膨らみに手を添えても、祖母の反応は同じで、リピートするかのように同じよう な喘ぎの声を漏らした。 多分顔のほうもそうなのだろうが、祖母の細い首筋や乳房の丸く膨らんでいる肌に、生 温かい湿り気のようなものが滲み出してきていた。 左側の乳房の膨らみの始まりの地点にある、小さな黒子に僕が舌を這わした時も、祖母 はそれに気づいたかのように、身体を揺らし声を挙げて強く反応した。 襲いきている官能の愉悦に、全身での反応を示した祖母の寝巻は、片側の肩に辛うじて かかっているだけで、ほとんど原型を残さずに、祖母の身体から離れていた。 掛け布団を払い除けて、僕は自分の身体を祖母の身体の下のほうに移し、血管の青筋が 見えるほどに白い、祖母の両足を割り拡げて、僕はその間に顔と身体を置いた。 顔を上げて祖母の顔を下から覗き見ると、また手の指を唇で噛んでいた。 祖母の剥き出された足の付け根が、僕の顔のすぐ下にあった。 以前にあの吉野氏から剃毛を受けたという、祖母のその部分は、毛というほどの長さは まだほとんどない状態で見えたが、その下の肉の淫猥な裂け目は僕の目にもはっきりと見 えた。 右手の人差し指を、肉のその裂け目の真ん中辺りに、添えるように置いてみると、 「あっ…!」 と僕の頭の上のほうから、短い声がふいに挙がった。 肉の裂け目に添えた指先に、圧す力を少し加えると、指の先端がその裂け目の中に微か に沈んだ。 沈ませた指先に、生温かい滴りのようなものを感じて、僕はもう一度祖母の顔に目を向 けた。 唇で手の指を噛んだままの祖母の顔が、声を堪えるように、枕の上で大きくのけ反るの が見えた。 「感じているのか、昭子?」 肉の裂け目に沈ませた指を小さく動かせながら、僕は祖母の顔に向けて尋ねた。 最初は細い顎だけを幾度も頷かせていた祖母だったが、僕の指の動きが止まないのに屈 したのか、 「と…とても…い、いい」 と唇を震わせ気味にいった後は、堰が切れたように、喘ぎか悶えかわからない、余韻が 妖しく残る声を間断なく漏らし続けてきた。 祖母のその部分からの滴りは、一時のものではなくて、祖母の身体の内側から止まるこ と溢れ出ているようで、僕の手全体に夥しい濡れを齎せてきていた。 当然に若い僕のものは早くから屹立を開始していて、臨戦態勢は整い過ぎるほどになっ ていたので、祖母が切なげな声で、 「お、お願い…も、もう入れて」 と哀訴してきた時には、僕の固く屹立したものの先端は、しっかりと照準を定めた位置 にあった。 僕のものを押し返そうとする少しの抑止力と、包み殺そうとする柔らかな圧迫感の中を、 僕のものは動きを緩めた人間ドリルになって、祖母の胎内に侵入した。 「ああっ…!」 まるで歌でも歌っているようなくらいに、祖母は口から白い歯を見せて、襲ってきた快 感に堪え忍ぶように歪めた顔を、枕の上で大きくのけ反らせていた。 祖母の胎内に侵入した、僕の屹立したものの先端が何かに突き当たったような感触があ った。 それが何で、女性の身体のどこの部分なのか、僕にはわからない。 自分のものが祖母の胎内の、何か決められた金型に嵌ったような感覚があったが、それ に拘ることなく、僕は自分の腰を本能的な動きで、上下になるのか、前後になるのかわか らないままゆっくりと律動させた。 「ああっ…う、動かないで!」 祖母の口がそういった。 美しい顔だと僕は思った。 その顔をもう一度見たいと思って、僕の腰はさらに動いた。 「ああっ…だ、だめ!…う、動いたら」 「動いたら?」 祖母に尋ねながら、腰の律動は止めずにいた。 「わ、私…死、死んじゃう!」 「これだけで?」 「い、いいの。こ、これだけで…」 「先はまだ長いよ」 祖母の身体や気持ちは無視して、僕は腰の律動に徐々に力を込めていった。 祖母の白い額に汗の筋が何本か見えた。 その汗に祖母の前髪が濡れて、額にへばりつくようになっていた。 僕の腰が早く強く動くたびに、祖母は嗚咽のような声を間欠的に漏らし続けていた。 寸止めとか何か、アダルトビデオの知識で、そんなテクニックがあったような気がする が、それに関係なく、僕は唐突に祖母の胎内に侵入していた自分のものを抜き、最早、青 息吐息状態で仰向けになっている祖母の身体を起こし、布団の上に四つん這いにした。 身体の部分部分に弛みがあったり、肉感から張りが消えていたりするのが、年齢を重ね た女性の止む追えない特徴だが、僕の股間の前に突き出している、祖母の臀部の尻肉はま だ、若い娘のように白く、熟女特有の垂れ皴もなかった。 祖母の胎内から発出した愛液にまみれた自分の屹立を、僕はゆっくりと舌動作で槍で米 俵突き刺すように、祖母の臀部の下に突き刺していった。 祖母のそこの部分は、まるで僕の槍の到来を待っていたかのように、柔らかく包み入れ てくれた。 「ああっ…」 布団に伏せていた祖母の顔が、犬が遠吠えする時のように上がり、妖しげな余韻の残る 嗚咽の声を高く挙げた。 若い僕の体力は時間の長さにも屈することはなかった。 逆に少なくとも僕よりは経験に長けた祖母のほうが、繰り返し繰り返し襲い来る快楽と 悦楽の、僕からの波状攻撃に、陥落の一歩手前くらいまで追い詰められているようだった。 「お、お願い…も、もう、ここで…逝かせて」 そんな祖母の哀願の声に委細かまわず、 「昭子の顔が見たい」 僕はそういって、あるところでまた祖母の身体を動かせた。 「ああ…わ、私…こ、これが一番恥ずかしい」 祖母が自分の顔の置き場がないように、忙しなげに目を至るところに動かせながら狼狽 えていた。 布団の上で僕は胡坐をかいて座っている。 祖母の小さな身体が僕に正面を向いて、跨り座っていた。 当然に二人の顔と顔は接近し、裸同士の胸と胸は密着する。 互いの吐く息や吸う息の音も聞こえる。 何よりも目と目が否応なしに合ってしまうのだ。 密着は身体の下もそうだった。 足を開いて僕に跨り座ってきている、祖母の下腹部の無防備な箇所に、まだ猛々しく屹 立している僕の者が突き刺さった状態なのだ。 「これで昭子の顔がよく見える」 そういって僕は祖母の両脇を挟むように掴み取って、身体を上下に揺すると、祖母は下 からくる衝撃に顔を切なげに歪める。 その顔を見られまいと、激しく上半身を揺り動かす。 するとまた下からの刺激が、上半身に伝わってくるという、祖母にとっては悪循環の繰 り返しになるのだった。 執拗さと熟練さには少しばかり欠けるが、若さ頼みの長く丹念な僕の責めに、祖母はも う落城寸前だった。 葬儀やら僕の間抜けな行いへの心配やらで、祖母の気心も相当に疲れているだろうと思 い、僕はそのまま身体を前に倒していき、下腹部を繋げたまま、布団の上で最初の時の体 型に戻った。 祖母の小さな身体を上から包み込むようにして、僕は最後の力を振り絞ってつらぬき続 けた。 「ああ…や、やっぱり…あ、あなたが…い、一番いいっ!」 祖母は泣きそうな声でそういって、僕の背中に小さな爪を立てて、愉悦と享楽の渦の中 に深く埋没していった。 無論、僕も追随した。 あくる日の朝、一緒に添い寝して寝たはずの祖母は、もう起きていて、台所のほうから 味噌汁の匂いが、寝ぼけ眼の僕の鼻先にまで漂ってきていた。 顔を洗いに出る前に、枕元に置いたスマホに目を通すと、女難の相か何かみたいに、女 の名前ばかりの着信とメールが五、六件届いていた。 メールの最初の一人は母親からで、今日が臨時休校になったとのあっさりとした報せ。 後は高校同学年の村山紀子と、国語教師の沢村俶子の二人で、俶子のほうは会いたいと か、寂しいとかの泣き言ばかりだったが、紀子からのメールは、 (例の叔母さんが会ってくれるって。来週の土曜の午後。時間は未定) というものだった。 紀子からのメールがもう一件あった。 (返信できないことしてるの?キスさせてあげたのに、バカ) 僕は昼過ぎの列車に乗って奥多摩を出た。 駅のホームで、また祖母に泣かれた…。 続く (筆者後記) 数々のご提言やらご諫言、ありがとうございます。 また励ましのお言葉も心に染み入っています。 自分なりにもう少し頑張ってみようと思ってますので、 ご意見なりございましたら、ぜひ書き記してください。
23/03/23 16:19
(M4ZnSr6x)
投稿者:
(無名)
昭子への挿入の描写凄く良かったです。次の昭子とのSEXでは何回も逝かせる快楽地獄に落として欲しいですね。次回は同級生の叔母さんがターゲットでしようか?新たな熟女をどのように堕とすのかも楽しみです。
23/03/24 00:02
(hdWi78uG)
亡くなった吉野氏には失礼ですが、吉野氏の事故死した奥さんと息子とが近親相姦に至った経緯と親子でSMショーに出演することになった経緯を、もう少し詳しく書いてください。この奥さんは、前夫にアナルを犯されたのか?それとも、不倫相手に犯されたのか?おそらく、不倫相手にアナル調教されたはずです。
23/03/24 01:08
(U9mdQEbx)
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