ようこそゲストさん。
ナンネットIDにログインしていません。
ID: PASS:
IDを保存 
ナンネットIDは完全無料のサービスです。ナンネットIDを取得するとナンネットの様々なサービスをご利用いただけます。
新規登録はこちら
ID・パスワードの再発行はこちら
夏の記憶
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:シナリオ 官能小説
ルール: エロラノベ。会話メインで進む投稿小説
  
投稿の削除 パスワード:
1:夏の記憶
投稿者: 街絋
8月。
琥珀は一人、「緑翠荘」に宿を取った。

高校時代の友人の結婚式。周りは皆日帰りか、新婦の用意したホテルの部屋に泊まる中、琥珀が敢えて一人、この老舗旅館を選んだのには訳があった。


箱根の山深く、ひっそりと、でも悠然と構えるこの旅館に足を踏み入れると、あの夏、17歳の夏の日の狂おしい記憶が、甦ってくる。




 
2011/07/25 01:03:57(edC.5up3)
17
投稿者: 街絋
琥珀と城太郎は小さな池のほとりを歩いていた。


ちょっと外を歩こうか。



城太郎にそう言われて、二人は離れの部屋を出た。



躰の奥がまだズキズキと痛が、城太郎に手を引かれて歩くのは、幸せだった。

夜風が心地いい。


藍色をした空は、夜明けが近いことを告げていた。


夏の虫が鳴いている。
蜩が早朝にも鳴くのだと、琥珀は初めて知った。






「父さんと死んだ母さん、本当に仲が良かったんだ。俺は本当に、両親が大好きだった。」



唐突に、城太郎が言う。
振り向かないから、どんな表情をしているのかわからない。




「母さんが死んで、父さんは変わった。おかしくなった。

教授なんだけどさ、父さん。


研究室の学生を次々愛人にして。


ほとんど、俺と年も変わらないような女と不倫してる。」



琥珀は何も言えない。

言わない代わりに、繋いだ手を強く握り返した。


「それでも、俺は父さんを嫌いになれなくて、笑って欲しいから、こんなことしてる。


今の母さんが、やな奴だったら良かったんだ。


だったら、こんなに苦しくなかったんだ。


ほんとにいい人なんだ。
すごい、俺のことも考えてくれて、よくしてくれて」



「…城太郎くん」



城太郎は泣いているようだった。
琥珀はそっと、城太郎を抱き締める。




「死のうと思ったんだ。昨日、一人で。

そしたら、君が来た。
あんな真夜中に。
すごく驚いたんだ。
待っていたから。ずっと待っていたから。




迎えに来てくれたんだよね?―――母さん」



「えっ…?」



何を言っているのだろう?

聞き返す間もなく、城太郎の大きな両手が琥珀の首筋に当てられて、そして力が込められる。



「やめて…っ城太郎く…っやめてっ」





城太郎は涙で濡れた瞳をきつく閉じて、全身の力を両手にかけた。




琥珀の、意識が、遠退いてゆく。


11/07/30 10:25 (IIYuYaNR)
≪ 前 1 2 3 4
コメントを投稿
投稿前に利用規定をお読みください。
名前
メール
本文
スレッドを上げない
画像認証

上に表示されている文字を半角英数字で入力してください。
 
官能小説 掲示板
官能小説 月間人気
官能小説 最近の人気
動画掲示板
画像で見せたい女
その他の新着投稿
人気の話題・ネタ
ナンネット人気カテゴリ
information

ご支援ありがとうございます。ナンネットはプレミアム会員様のご支援に支えられております。

Copyright © ナンネット All Rights Reserved.