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1:夏の記憶
投稿者:
街絋
8月。
琥珀は一人、「緑翠荘」に宿を取った。 高校時代の友人の結婚式。周りは皆日帰りか、新婦の用意したホテルの部屋に泊まる中、琥珀が敢えて一人、この老舗旅館を選んだのには訳があった。 箱根の山深く、ひっそりと、でも悠然と構えるこの旅館に足を踏み入れると、あの夏、17歳の夏の日の狂おしい記憶が、甦ってくる。
2011/07/25 01:03:57(edC.5up3)
投稿者:
街絋
夕御飯はとても豪華だったけれど、どれも味がしなかった。
結局あの場所にとどまることは出来ずに、捕まれた手を振りほどいて出てきてしまった。 家族旅行中の15歳の琥珀には、それしかできなかった。 夕食も温泉も上の空。 布団に入って夜はどんどんふけて行くけれど、琥珀は全く眠れなかった。 城太郎君は夕御飯、あの広い部屋で一人で食べてるんだ… 夜もずっと、一人で… 捕まれた腕の感触がまだ残っている。 城太郎君に会いたい。 明日は朝早くここを出るから、きっともう会えない。 携帯番号もアドレスも知らない。 もう二度と会えない、それは嫌だ。 衝動に駆られて、琥珀は静かに布団から起き上がる。 家族が寝息を立てているのを確認して、気づかれないように部屋を出る。 着替えてる暇はない、パジャマのままで向かう。 夏の虫が歌う渡り廊下は、満月に幻想的に照らされていた。 離れの城太郎の部屋の前まで来て、琥珀は冷静になる。 こんな時間にやって来て、いったいどうするというのか。 だいたい、普通はもう寝ている時間。 部屋の灯りも消えているし、起きている気配もない。 諦めよう。 琥珀はそう思った。 でも、せっかく来たんだから、ノックだけ。 コンコン 小さく二回ノックして、琥珀は回れ右して部屋に戻ろうと歩き始めた。 ガチャ 後ろでドアの開く音がする。 「城太郎くん」 ドアを開けた城太郎は、何も言わずに琥珀を見つめる。 その表情は、驚きと何かがまざったような、複雑な顔だった。 「あの、ごめんなさい。こんな時間に。まさか起きてると思わなくて、ノックとか…じゃなくてっ」 琥珀は急に恥ずかしくなって混乱した。 ただ会いたい衝動で来てしまったけれど、どうしたらいいの? 城太郎は何も言わない。 何も言わずに琥珀の手を掴むと、乱暴に部屋の中へ引き入れた。 「い、痛っ んっ?んんッー」 強引に唇を奪われる。 掴まれた腕が痛い。 唇を割って無理やり舌が侵入してくる。 「はっ、じょおたろくんっ んムッ じょ たろーくんッ 待って、やだあっ」 必死に抵抗して、城太郎をはねのけた。 静寂の中に二人の荒い息づかいが響いた。 「…ごめん…」 ようやく冷静になった城太郎が、うつむいたままつぶやいた。 「帰って。 俺なら何もしないって思った? 俺だって男だよ。何もしない保証なんてできねぇよ。」 琥珀は何も、答えられない。 自分はここに、何しに来たんだろう。 「帰って。早く。」 城太郎に会いたいからここに来た。 これで終わりは、嫌だ。
11/07/26 01:37
(C/sVruQF)
投稿者:
街絋
背を向けた城太郎に、そっと近づく。
その背中に抱きつきたいという欲望に、正直に従う。 肩から手を回して、耳元に、唇を寄せる。 「城太郎君、私 城太郎のものになりたい。 さっきはごめんね…私、びっくりしちゃって… は、初めてだから」 背中に琥珀の体温を感じて、耳元で囁かれて、城太郎は、もう、止まれなかった。 「優しくできるかわからないよ。俺…っ」 小さな躰に城太郎が覆い被さる。 切ない瞳に見つめられて、琥珀の心臓がギュッと締め付けられる。 乱れた浴衣の首筋から甘い匂いがして、頭がくらくらした。 キス さっきとは違う、気遣うような優しいキス。 ゆっくりと濡れた舌が入ってきて、琥珀は戸惑うことなく自分の舌を絡めた。 気持ちいい。 自分の中に足りなかった何かが、ぴったりとはまるようなそんな感覚。 時折唇を離して、見つめ合う。そしてまた、キス。 琥珀は城太郎の肩に腕を回して、頭を引き寄せる。 もっと、と懇願する。 「ふ…ンッ…んん… ! ひゃっ!」 城太郎の熱い手がパジャマの裾から侵入し、琥珀の小ぶりな胸に触れた。 乳首を摘ままれ、転がされる。 「はっ あ、ああっ!んむっ ふっ…ふぁっ」 漏れる息づかいもディープキスに塞がれて、うまく呼吸ができない。 躰中がしびれていく。 一度城太郎は躰を起こし、帯をほどいて浴衣を脱ぎ捨てる。 素肌と素肌が重なる、擦れる。 その熱がたまらない。 荒い息づかいで、城太郎の舌が唇から首筋に移り、だんだん下へと下がってゆく。 手は琥珀の手首をしっかりと押さえている。 (そんなに押さえつけなくても、逃げたりしないのに) そう思ったけれど、捕らえられているのも心地良かった。 舌は乳首を捕らえて、絶妙な舌使いで責め立てる。 時々、城太郎が上目遣いで見上げてくるのが、たまらない。 「じょーたろうくんっ…キスしてっ」 躰を密着させて、またキス。 擦れ合う素肌で、全身が性感帯になったようだ。 躰の中心が、トロトロになっていくのが自分でもわかった。
11/07/26 11:06
(C/sVruQF)
投稿者:
ハル
続き期待します
11/07/26 14:39
(6mq34j.l)
投稿者:
街絋
ハルさん;読んでくれてありがとうございます(T-T)挫折しそうでしたがもうちょっと頑張ってみます(>_<)
11/07/27 07:22
(pT2aOo2A)
いいよ
最っ高続きが楽しみ
11/07/27 20:20
(wYYbNwGa)
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