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背徳感は蜜の味
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:痴漢 官能小説   
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1:背徳感は蜜の味
投稿者: (無名)
こめかみに当てていた指を下ろして、ひとつ溜息をつく。

時計に目をやると定時が迫っていることに気付いて、きりの良いところで仕事を終えるとパソコンの画面を閉じた。

視線を前にやると部下たちがそろそろ帰り支度を密かに整えていて、こちらを伺う雰囲気が漂い始めていた。

中村遥香は内心で苦笑し、大袈裟に溜息をついて見せてから腕を伸ばしてみせた。
これで部下たちも仕事の手をおもむろに止めて、時計を見ると定時を10分ほど過ぎてから次々と席を立ちはじめる。

上司の遥香が率先して仕事を切り上げないと部下たちが帰りづらいなんて、嫌な風潮を作り上げたのは歴代の前任者立ちである。

会社も今の時代にそぐわないと危機感を抱いて重い腰を上げ、今のポストに初めて女性の遥香を置いたのだ。

女性にして38歳、実力と柔軟性に富んだ遥香は上司として言わば事実上の実験台である。
これで良い前例を築けなければそれ見たことかと、頭の古い爺様たちを喜ばせるだけなので、自分を推してくれた遥香の元上司に恥をかかせまいと日々頑張っている。

彼は今役員にその名を連ね、会社の古い体制を変えようとしてくれている。
遥香は新人の頃に上司だった彼に育てられ、可愛がられたものだった。
その恩に報いる為に茨の道を行き、踏ん張らなければならない。

近視用の眼鏡を外して椅子から立ち上がり、オフィスから出る。
上司の自分が率先して帰る姿を見せないと、部下たちも帰れないから。

こんな役目をするのは自分で最後にしなければならないと、遥香は心に決めている。
エレベーターの扉が閉まると盛大に溜息をつき、後の壁に寄りかかった。

凛として近寄りがたい雰囲気を漂わせてはいるが、遥香にも結婚を意識した相手がかつてはいた。

仕事とプライベートのどちらを重要視するかなんて、今なら迷わず後者を選ぶはずなのに、若かった遥香は仕事を選んでしまった。

目陰の至りとはいえ、キャリアウーマンに憧れて入社したキャリアを無駄にはしたくなかったのだ。
今では同期入社した女性たちは遥香を除いていなくなり、同期の同僚たちには陰で鉄の女と揶揄されていることを知っている。

それは女だてらに仕事の能力が高いだけではなく、同期の自分たちの誰にも靡かない遥香を皮肉った醜い焼き餅である。

それほど遥香は誰が見ても、美しい女性だった。
自宅に変えればコンビニの弁当をビールで流し込む虚しい夕食、楽しいことなんて何もない。

そろそろ生理が近いからか、胸が張ってきている。
この時期になると体がざわついて、仕事の集中力が散漫になりかねない。
熱いシャワーを浴びて体の泡を流していると、指が乳首に触れただけで鈍い感覚が起きる。

敏感な体質が恨めしくて、さっさと体の泡を洗い流していく。
不意に下半身のそこを何気なく触れると、無視し難い感覚を覚えた。

遥香は無言で指を這わせて、敏感な部分をのの字に動かしていた………。

バスタオルで体の水気を拭き取り、化粧水を肌に馴染ませる。
裸のままベッドに横たわり、ベッド脇の引き出しから男性の形をした黒い物体を取り出す。

先に指で敏感なところを可愛がり、指を下にずらして静かに挿入する。
これが愛しい人の物だったら………。

堪りかねて疑似男性器を手に持って入口にあてがうと、眉間に深い皺を刻みながらゆっくりと沈めていく。

浅く深く加減をつけて、動かしていく。
やがてやって来る、その瞬間を目指して……。

ずいずいと分け入り膣壁を擦られる快感にそれを両手で必死に動かし、ふわふわと腰がベッドから浮き上がる。

誰も聞くことのない卑猥な水音が出し入れされるそこから鳴り響き、ベッドに肩を沈み込ませながら背中まで浮き上がりはじめる。

そして数回ほど腰が激しく上下してベッドに降ろされると、体を丸めて横向きでびくびくと痙攣する体を自ら抱き締める……。

虚しくて甘い官能の波が引いていくまで、数分が経過してから体から疑似男性器を引き抜いた。

透明な糸を伸ばしながら黒光りするそれを眺め、綾香は寂しさを覚えていた………。





翌朝、いつもの習慣で熱いシャワーを済ませて、清潔な下着を身に着ける。
メイクをして髪の毛を後ろで一纏めにすると全身が見える鏡の前でストッキング、ブラウス、上下スカートスーツを身に着けてチェックを済ませる。

パンとコーナーだけの簡単な朝食を採って、玄関を出る。
嫌味なほど爽やかな朝日を浴びて、駅に着く頃には仕事モードの顔になっていた。

ホームに並ぶと今日はいつもより混んでいるような気がして、朝からうんざりする。

これがこれからの受難を暗示しているとは、この時は遥香には思いもしなかった………。


 
2025/04/19 18:20:53(PVfJ0iba)
37
投稿者: (無名)
肩で息をする有朱がだらしなく脚を開き、性器を未防備に晒す姿を眺める武。
彼の目には愛液に張り付く恥毛、アワビのように開いた小陰唇、時おりヒクヒクと収縮する肛門が一戦を交えた後の、淫靡な女の姿がその名残りを漂わせて映っていた。

我に返ると今更ながらとんでもないことをしてしまったことに、狼狽える自分がいた。
気怠げに身を起こした有朱が、採精カップに収められた精液を確認して蓋を閉じた。
少し考える間を置いてから武に何日ぶりの射精だったかを確認すると、顔を曇らせる。
濃ければ良いと言うものでもなく、常に生産させる精子は新しいものほど元気があるのだと教えられる。
つまりはより妊娠の確率を上げるなら、より新鮮な精子が必要らしいのだ。

この精液でも可能だけれど、どうされますか……?

この彼女の問いに彼は考えることもなく、2回目の採精を希望した。
彼女は彼にただ一言、こう言った。

この後も仕事なの、なるべく早く終わらせてくださいね………。

そういうと彼女は後の壁に手を掛けて、手前に引くと壁が倒れてきてベッドが現れた。
こんな仕掛けがあるなんて、まったく気付かなかった。

有朱は自らナース服を脱ぎ捨てるとベッドに座り、さあ早くと武を促した。
彼もまた身に着けている残りの服をすべて脱ぎ捨てて有朱をゆっくり押し倒し、再び彼女の温もりの中へと挿入した。

滑りの良い柔らかな粘膜が熱を持った分身を包み込み、押し進むごとに複雑さを見せる壁が亀頭を撫で上げていく。
ザラザラとした無数の細かい粒々がまるで歓迎するように向かい打ち、波打つような膣壁が簡単には進ませまいと、どうにかこうにか上下左右に広がっていく。

やがて丸い形をしたツルリとした塊が現れ、終点となる。
中心にわずかな裂け目があり、そこからも透明な涎を垂らして亀頭を出迎えて抱擁を果たす。
その際になんとも言えない感覚が身体の内側から衝撃波のように広がり出て、有朱の顎が持ち上がる。

振り子のように繰り返されるピストン運動が、絶え間のない快感を生み出していく。
打ち下ろされる熱い杭が有朱の乳房を上下に揺らし、激しい息遣いと共に卑猥な水音が2人の営みを囃し立てていく。


ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……
ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……


あぁ…まだかかりそうですか……?
あっあっあっんっ…んっ…あっあっ早く……
早く……まだですか?……あぁ…あぁ〜んっ…んっ……


1度放出してしまってはそう簡単に次の射精感は訪れてはくれず、ひたすらその時を引き寄せるべく包みけるしかない。
この看護師の必死な叫びに応えて早く出してしまいたいけれど、思い通りに射精出来るなら苦労はしない。

がむしゃらに突けば苦痛を与えるだけになり、考えて加減をしながら突けば、彼女に快感を与えることになる。


ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……
ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……


気分を変えて気持ちを盛り上げるために乳首を口に含み、舌でネチネチと押し倒す。
片手を下に這わせ、クリトリスを優しく撫で回しながら子宮口を突いていく。
3点攻めに最高潮へと押し上げられて有朱は激しく悶え、これまでになく膣壁が収縮する。
ゴールが向こうから近づいてくる気配が漂い、引き寄せるようにペニスを浅く深く強弱をつけながら打ち込んでいく……。
有朱が感じれば、それだけ射精感が近づいてくる………そうなるはずだった。

けれども現実は理想の通りにいくとは限らない。
有朱は浮かせた頭を枕に叩きつけ、右に左に激しく顔を倒して顎を何度も持ち上げる。


ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……
ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……
ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……


愚直なまでに抜き差しを繰り返し、指の腹を敏感な蕾に触れさせ滑らせる。
有朱の背中がベッドから浮き上がり、突き出た胸が武の顔に付着する。


ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……
ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……
ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……


空気が混ざって白濁した愛液が陰茎に纏わりついて、性器に付着しては離れる陰嚢が糸を引く。
甘〜い喘ぎ声が鬼気迫ったものへと変化して、女に生まれたことの喜びと後悔が同時に迫りくる。

常軌を逸した快感が有朱を狂わせ、受け止め切れない官能の渦に飲み込まれていく………。
そして、何も分からなくなった………。

寸でのところでやっと引き抜いたペニスを、用意してくれていた容器に突っ込み射精する………危ないところだった。

横たわる有朱を見ているうちに、もう2度とこんなセックスをするチャンスはないのだと虚しさに襲われる。
連続してしたことはないけれど、今なら出来る。
完全に萎えてもいないペニスを見下ろして、武は有朱のそこに挿入を果たした。

彼女を抱き起こて抱きしめると、それだけで幸せな気分になる。
躍起になって妊娠を望むだけの妻と、迎える夜は虚しかった。
セックスは愛を確かめ合うコミュニケーションのはずで、妊娠はその後についてくるご褒美………。
この数年間は、そんなセックスとは無縁だった。

この看護師との間に愛はないけれど、愛の次に得られる純粋な興奮を味わえる。
ひしひしと感じる背徳感がスパイスとなって、膣の中で硬度を取り戻していくペニスが完全体となった。
不意に有朱の腕が彼の首に巻き付き、腰が動き出す………。

生まれて初めて味わった快感は、恐怖を伴い身体の自由を制限してきた。
死ぬかと思うほどの快感は過ぎ去って見れば、欲しくて堪らない媚薬となって、もう一度味わいたくて身体を動かさざるを得なかった。
仕事を逸脱した行為だとはいえ、もう止めようがない。

あんな味を覚えさせられて、望まない女は多くはないのだから………。


子宮口に接触するペニスを感じ、擦り付けるように腰を前後する。
切なくて、堪らなくて、必死に腰を振る。
あの甘い感覚の片鱗を感じられ、彼を押し倒して腰を打ち下ろす。

ピチャンッピチャンッピチャンッピチャンッ……
ピチャンッピチャンッピチャンッピチャンッ……
ピチャンッピチャンッピチャンッピチャンッ……


お尻と太腿の裏が打ち付けられて肌を打つ生々しい音が鳴り響き、膣口が陰茎を吐き出して、今度は逃しまいと飲み込んでいく……。
白衣の天使を脱ぎ捨てた有朱が色情魔と化して、快感を貪り食っていく……。

何かが見えてきた。
ゆっくり、ゆっくり近づいてきた。

あと少し、もう少し………。

極限状態の有朱の視界は、スローモーションのようにゆっくりと流れていた。

自分の呼吸音しか聞こえず、何も感じなくなって重力すらも感じず身体がフワフワとする。

不意に目にする光景の速度が上がり、何が何だか理解し難い狂おしさに包まれた。

髪の毛を振り乱し、乳房を揺らし、自分の下にいる彼にお尻を叩きつけていた。

いきなり高い場所から足を踏み外したかのような感覚を覚え、信じられないほどの快感に包まれて記憶が途切れる。

そして………武の身体の上で感電したかのようにその身を踊らせ、有朱は崩れ落ちた……。


散々耐えていた武が身を起こし、有朱をうつ伏せにすると腰だけを起こし、貫いた。
喘ぎというよりは唸り声を上げる有朱は、尚も続く快感にシーツを握りしめ、奇声を上げた。
泣きたくなるほど良くて、狂いたくても現実からは逃れられず、それでも腕を伸ばした。

渾身の力で腕を立て、打ち付けられる衝撃に身体を揺らしながら唸った。


ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……
ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……
ヌッチャッヌッチャッヌッチャッヌッチャッ……


乳房を揺らしながら震える手を伸ばし、何かに縋りたくて指が空を切る。
力なく降ろした手をベッドについて、身体を支える。

何かがまた、近づいてきた。
あの甘く狂おしい、快感が近づいてくる。

有朱の開いた口元から唾液が流れ出て、一筋の光となって落ちていく………。


武が振り絞った声を上げ、加速していた腰の躍動がピタリと止まった。

有朱の頭が跳ね上がり、身体が硬直する。
生暖かいものが広がる感覚と共に、あの快感に包まれていく………。


ガクガクと顎を痙攣させる有朱の口から涎が流れ落ち、糸を引いてシーツに消えていった……。





数日後、採精室のドアを開ける有朱がいた。

ウンザリした顔の誰かの夫が暗い目を有朱に向けて、力なく苦笑する。

調子はどうかと聞いても、誰もが同じような言葉を返してくる。

ちょっと、難しいと………。

椅子ごと彼をこちらに向かせ、彼の膝を跨いでその上に座る。

狼狽える彼の股間が瞬く間に硬くなり、有朱はその中からペニスを開放する。

抵抗しようと思えば出来るのに、彼は有朱のされるがままになっていた。


有朱は腰を浮かせ、ゆっくりと沈めていく……。


奥に到達した頃、その背中を撓らせ頭が跳ね上がる………。


そして、腰が動き出した………。
25/05/17 00:27 (oGY5ho1v)
38
投稿者: (無名)
車窓の外を立ち並ぶ中層の建物が、次から次へと流れていく。
やがて線路沿いの戸建て住宅へと変わり、所々に樹木が現れる。
このところの朝晩が冷え込むようになって、葉が色付きはじめて色鮮やかになっている。
10月も半ばを過ぎたこの時期は、日中が暖かくて着る物も少しだけ苦労する。

佐藤朋美はこの冬で42歳になる。
30歳になるぎりぎり手前で結婚をし、誰もが羨む実業家と豪華な暮らしを送っていた。
けれどもその暮らしは外から見るほど幸せではなくて、釣った獲物には餌を与えないタイプだった夫は妻に対する興味は半年も過ぎれば失せていた。

仕事に趣味に忙しく、家にいても会話らしいものはないのだった。
人に悩みを打ち明けても贅沢だとか、喧嘩や虐待があるわけでもないのに何をいうのかと冷ややかな目を向けられ、理解を示す者はほんの僅か。
このまま歳を重ねていくのかと悩む日々を送るくらいならと、夫の元から去る決心をした。

自分の我儘だから慰謝料や財産分与は放棄して、裸一貫で飛び出したのは4年前のこと。
結婚生活はほぼ9年で幕を閉じ、今は金属製の外階段のある安アパートで暮らしている。
勤め先は惜しまれながら後にしたデパートの婦人服売り場、そこを受け持つ上司の口利きで出戻ることが出来た。

穏やかな性格の朋美は見た目も美しく、10年近く経った今もスタイルの良さも変わらなかった。
人当たりの良さはそのまま販売成績に繋がって、寿退社をする際は引き止められたくらいだったのだ。
家に入ることを強く希望する夫に配慮して、泣く泣く職場を去らなければならなかったことを思えば、今も変わらぬ上司の人柄に感謝している。

出戻りながらそのキャリアは優遇され、稼ぎ頭として上司のお気に入りだった朋美は彼により語り継がれていた。
婦人服売り場ではほとんど伝説の販売員と化していた朋美は後輩の指導を任されるまでになって、その成果は販売成績に如実に反映されている。




あぁ秋だなぁ………紅葉する街路樹を見て、朋美はしみじみとそう感じていた。
来週からは完全に秋冬物に衣替えをするつもりの朋美はまだ薄着のままで、春秋物の薄手のコートを着て玄関を出た。
その日1日の勤務を終えて職場を後に、いつものように駅から電車に乗る。
満員電車とまではいかないまでも、帰宅時間はそれなりに混み合っているのもいつものこと。

朋美は習慣化した行動として吊り革を握りながら、車窓の外へと無意識に視線を向ける。
時おり光の加減で窓には自分の後ろに立つ人の姿が反射して、どんな人物かがよく分かる。
職業柄か朋美は売り場を訪れたお客様が、どんなタイプかを分析する癖がついてしまっていた。
いくらトレンドを説明しようがお客様を褒め称えようが、買う気になってくれなければ無駄に終わってしまう。

お客様が何を求めているか、仕草や表情、会話を交わす中で見極める必要がある。
販売員のこちらの意見を笑顔で押し付けるのでは逃げられるだけで、これは多くの販売員が経験している。
こちらがお客様に合わせて寄り添い、お客様が望んだ時に提案をしてみる。
その反応を見て対応をすれば、冷やかしで買う気もなかったお客様が帰りは品物を手にする後ろ姿を見ることができる………。

そんな癖がこうして自分の後ろに立つ男性に対しても、つい向けてしまう。
20代後半〜30代前半といった感じだろうか。
きちんと髪型をセットしてネクタイを締め、どこかに務める昔で言うところの企業戦士らしい。
穏やかな顔つきが性格が滲み出て、その爽やかな風貌は多くの女性を惹きつけてきたのかもしれない。

結婚する前は歳下などは興味はなかったけれど、元夫のお陰で価値観は変わってしまった。
お金があれば幸せになれるなんて、幻想なのだ。
豪華な食事に舌鼓を打つよりも、行きつけのお肉屋さんで購入してきたコロッケを、愛する人と食べるほうが何倍も幸せだと今は思える。
そう、それが後ろに立つ彼のような男性なら、どんなに良いか………。
最もこんな歳上の自分のようなオバサンなんか、後ろの彼はお呼びではないのだろうけど………。


そんな気持ちを抱く朋美の後ろにいる彼は、ある感情を持っていた。
恋心と言うにはまだ早く、憧れの段階だろうか。
4姉弟の末っ子として育った彼は長女とは一回りも年齢が離れていて、すぐ上の3女でも3つ離れている。
特に長女には可愛がられ、お嫁に出ていく際には本気で奪い返そうと思ったほどだった。
シスターコンプレックス………。
今でも古い心の傷となって、残っている。

血を分けた兄弟でなければどんなに良かったか、今でもそう思う………。
数々の女性特に肌を重ねてきたけれど、心の隙間を埋めてくれる相手には出会えてはいない。
それが神様の悪戯なのだろうか、今目の前にいる女性に胸がときめいていた。

恐らく若くても30代後半、40歳くらいか……。
誰かの奥さんになっていても何の不思議もなくて、運良く独身だとしても自分のような歳下では相手にされないだろうと気持ちが暗くなる。
姉のように母性的で美しく、正月に家族総出で帰省してきた姉と同じような甘い体臭がする。

奪いたい、奪ってしまいたい…………。

普段は冷静沈着な男が心から興奮し、自分を抑えられなくなっていた。
目の前の女性がコートを着ているように、36歳になったばかりの友村研二もまたコートで身に包み、パーバリーのページュが良く似合っている。
コートの前はボタンを締めずに開いたままなので、朋美に一歩近づいて密着しても周囲に気付かる心配はない。

考えるでもなく研二は無意識に足を前に一歩踏み出して、下半身を密着させていた。
女性の着ているコートの素材はあまりに柔らかくて薄く、見た目以上にお尻の柔らかさが伝わってくる。
目を閉じてじぃ~っとしていると女性の体温すらも伝わってきて、思わず股間が熱くなる……。

もう、後戻りをするつもりはなかった………。





どうしよう…………。

朋美がお尻の違和感に、ひとり困惑していた。
電車の揺れで偶然接触したといった次元ではなくて、明らかに密着され続けている。
脂ぎった顔の暑苦しいオヤジならば振り向いて、その汚い顔を張り飛ばしてやれるのに……。
よりにもよって爽やかな甘いマスクをした、あの彼だなんて予想外である。

それ以前に痴漢の被害に遭うなんて、ここ10年以上は経験がない。
せいぜいが降りる間際に偶然を装ってお尻を撫でられる、その程度である。
どんな物好きかと思ったけれど、相手は決まって朋美の嫌いな脂ぎった顔のオヤジなのだ。
なのにどうして彼のように若い男性がこんな年齢の私なのだと、理解が追いつかない……。

そのうちに硬くなってきた男性のシンボルがお尻に食い込んで、困惑が動揺へと変化する。
まだ結婚生活が続いていた頃、離婚する数年前から夫とはセックスレスになっていた。
その頃から数えてもう6年以上、男性からは遠ざかっている。
電車内である、肌を重ねないにしても心の準備が出来ていない。
そもそもそんなことを思うこと自体、どうかしている………。

頭では分かっているのに、心のざわめきは止められない。
コートの後ろのスリットから侵入してきた彼の手が、お尻からウエストへと這い上がる。
窪んだウエストから彼の手が盛り上がった腰骨を下へと移動して、2つの大地のような丘を手の平を置く。

ほとんど動かさず、その柔らかさを確かめるように時おり指先に力が込められる。
わずかに動いた手がまるで堪能しているかのようで、バックを掴む朋美の指に力が入る。
不意にその手が引き抜かれてしまう。
罪の意識に苛まれて中止したならば、それはそれで今ならまだ許せる気がする。
道徳的にも心情的にも、今なら自分の邪な気持ちを覚醒させなくて済むのだから………。

愚かな中年女の束の間の夢として、散ったことを今後は戒めとして生きていこう……。
そう思い直していたところだったのに、彼は気付いてしまった。
朋美の着ているコートはデザインなのか機能面を考えてなのか、肩甲骨のある位置のやや下から身体の横寄りの位置に、良く見ないと分かるはずはないファスナーが付いている。
気温が上がって蒸れた時にもこのファスナーを開ければ、通気性が良くなって湿気を逃がせるということなのだろう。

でも痴漢に利用されてしまえばそれは、本末転倒でしかない。
せっかく収まった気持ちが脇腹を這い上がってくる彼の手が、台無しにしてしまった。
薄手のニットの上を前にと移動して、肋を撫でるようにブラの下まで上下する。
幸いにコートの前はきちんと閉じているから座席に座る人の目には触れはしないけれど、あまり激しく動かされると気付かれるかもしれない。

顔だけは平静さを装いながら、ブラを包み込む彼の手にドキドキしながら前を向く。
ひとしきり触って気が済んだ訳もなく、いったん下がった彼の手がニットの下を潜って素肌に触れると、朋美の肌にぞわぞわっと鳥肌が立つ………。

ついにブラカップの下にずらし、飛び出た乳首に触れられる。
指の腹で優しく摘んで触れて、捏ねくり回されていく。
久しぶりの男性の手はあまりに優しくて、元夫のおざなりなものとは違ってはっきりとした意思を感じさせる。
相手を喜ばせ、感じさせたい………と。
こんな場所じゃなければどんなに良いか、痴漢を相手に場違いなことを思ってしまう……。

こんなにふしだらな女じゃないから………。
心の中で誰も聞いていない自己弁護をしてみても時間は流れ、片方づつブラジャーが上にづらされていく………。
あり得ない、こんなの絶対にあり得ない………。
服の中で露出した乳房を彼の両手が包み込み、揉みほぐされていく……。

フニフニと摘んで捏ねくり回される乳首が変化を遂げて、硬く張りのある勃起を果たす。
いい歳をして何をしているの……と、現実に戻って心の葛藤が始まる。
それでも隠れていた女の欲望に中和され、彼の手の温もりに淫らな気持ちになっていく……。


朋美は誰にも気付かれないように、ひとつ吐息を漏らす……。
コートの前の蠢きにどうか誰も気付かないで………と、そんな切ない気持ちに胸の鼓動が早くなる。

そんな朋美の前に座る乗客たちのある者はスマホに視線を落とし、ある者は小説の文字を追っている。またある者は自分の前に立つ乗客の腰から上に、視線を向ける意識を持っていなかった。


そんな彼ら彼女らは目の前で繰り広げられる淫らな光景に、誰一人気づく者はいなかった。

そんな彼らの前に立つ朋美はメイクの下の素顔を赤く染め、その目を潤ませていた………。



25/05/17 20:09 (oGY5ho1v)
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