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義母・亜紀子   それから…
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:近親相姦 官能小説   
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1:義母・亜紀子   それから…
投稿者: コウジ
(義家族との体験―義母・亜紀子より続く)

 翌日、新潟駅から上りの上越新幹線に乗ったのは、まだ雪の降る午後
四時過ぎでした。
 座席に腰を深く降ろした僕が最初にしたのは、肩までを使って長く大
きな溜め息をついたことでした。
 この旅の本来の目的だった、大学時代の友人の病気見舞いを終えて、
駅に向かうタクシーに乗り込んだ時、すぐに携帯が鳴りました。
 つい今しがた見舞ったばかりの、友人の浅野からでした。
 「浩ちゃん、今日は遠いところわざわざ来てくれて、ほんとにありが
とうな」
 明るい声でしたが、病人らしい弱々しさがどこかに感じられました。
 「何だい、さっきもお礼いってもらったばかりじゃん。どうしたの?」
 「うん、今日はほんとに嬉しかったよ。浩ちゃんの顔見れて…」
 「ああ、僕も祐ちゃんの少し痩せてたけど、明るい声聞けて安心した
よ」
 この後に、沈黙の間が何秒かありました。
 「どうした?祐ちゃん…」
 「うん、ごめん。…浩ちゃんの声聞いたら胸詰まっちゃって。…俺ね…
実は癌なんだよ」
 「えっ?何だって?」
 「腸閉塞もなんだけど…ほんとは膵臓癌なんだ。それもステージ4に近
いステージ3。…こちらの遅い桜が見れるかどうか…」
 「な、何だよ、急に。どうしている時にいってくれなかったの?」
 「浩ちゃんの明るい顔久しぶりに見れて、何だかいいそびれてしまって
ごめん。…あ、浩ちゃん、ごめん。母ちゃん戻って来たから、もう切るな。
ありがとう…」
 そういって携帯は相手側から一方的に切断されました。
 タクシーももう駅に着いたので、僕は慌てて降り、こちらから何度もか
け直したのですが、一度も繋がることはありませんでした。
 僕はもう一度病院に戻ろうかとも思ったのですが、友人の浅野のわざわ
ざ携帯での告白の気持ちを思うと、足は後ろには向きませんでした。
 そういうことがあっての、座席での僕の深い溜め息でした。
 新幹線は舞い降る雪の中を、ほとんど音も立てないまま疾駆していまし
た。
 何か全身に得体の知れない重さと、やるせなさだけが残ったような長い
旅だった気がしていました。
 温泉旅館で加奈子と二人で朝を迎え、彼女の運転する車で大粒の雪の降
る中を、昨日、彼女に迎えに来てもらった信越線の水原駅まで送ってもら
いました。
 その途中のコンビニの駐車場に加奈子は車を止め、
 「お願い、三十分でいいから、もう少し一緒にいさせて…」
 と赤い手袋をした両手を顔の前で合わせて、可愛げに懇願されたので、
 「いいよ、僕ももう少し加奈子の顔を見ていたいから」
 と笑顔でいって片目を瞑ってやると、
 「嬉しいっ」
 と彼女は運転席から身を乗り出すようにして、僕の肩に抱きついてき
ました。
 朝方には降っていなかった雪が、また深々と降り出してきていました。
 加奈子は車を降りて、コンビニで温かいコーヒーを買ってきてくれま
した。
 「昨日いわなかったけど、私…二日ほど前から阿賀野市内のビジネス
ホテルに泊まっているの」
 可愛い唇を窄めて熱いコーヒーに息を吹きかけながら、加奈子が呟く
ようにいってきたので、
 「どうして?」
 と理由を聞くと、
 「お祖母ちゃんがね、お金出してくれて、もうここにはすまなくてい
いって…」
 と彼女は応え、
 「都会に行くまで、ホテル住まいしてたらいいって…加奈子に辛い
思いをさせたのだから、こんなものではすまないけど、ぜひそうしろ
って、泣きながらお金渡してくれたの」
 そう言葉を続けました。
 大粒の雪が見る間に、車のフロントガラスに積もり出していました。
 「いいお祖母ちゃんだね…きっと優しくて綺麗な人なんだろうな」
 「旅館で仲居をしてた若い頃には、結構有名な美人だったらしくて、
何度か芸者さんになればって誘われたらしいわ…」
 「会ってみたかったね…」
 「浩二さん、年上の人が好きみたいだから…あ、ごめんなさい」
 加奈子が何を指していっているのかは、すぐにわかりましたが、
 「そうだね…年上の人好きだけど…でも、若い加奈子も今は好きだよ」
 と僕は冗談めいた言葉を返して、また片目を瞑ってみせました。
 まだ何ヶ月か前の、病院のベッドで義母と抱き合っているところを、看
護師だった加奈子に見られたのが、随分と昔のことのような気がしていま
した。
 「私、亜紀子先生に、前にこちらへ帰ったってメールしたんです…」
 「ああ、そうみたいだね。聞いてるよ」
 「まぁ…先生、私たちのこと知ってるのかしら?」
 「うん、前に一度、僕から少しだけ話したことあるけど…ここへ来る時
にもね、やんわりとだけど釘刺されてるんだ、ほんとは」
 「まぁ、どうしましょう?」
 「まぁ、余計な心配させるのもあれだから、僕もだけど…君も黙ってた
ほうがいいんじゃない?」
 「そうね…そうします。でも…」
 「でも何?」
 「ごめんなさいね。もし浩二さんとまだ続いているんだったら…私、亜
紀子先生に少し嫉妬しちゃう」
 「そんなじゃないさ…」
 雪ですっかり視界のなくなったフロントガラスに目を向けて、僕は加奈
子に切ない嘘をつきました。
 「ごめんなさい、何度も。そうだ、私、明後日くらいにはもうこの新潟
を出ますから…」
 「ああ、そう。住むところなんかは決めたの?」
 「ネットで探しました。…ご心配なく。浩二さんのお家から随分と離れ
てますから。…だって近いと私までが毎日苦しくなりそうだから…」
 加奈子はいつもの快活な声でそういって、僕に無理におどけたような顔
を向けてきていきました。
 それから昨日、加奈子に迎えに来てもらった水原駅で、今日は加奈子と
の別れの時を迎えたのです。
 加奈子は車を降りて、改札口まで見送りに来てくれました。
 別れ際に加奈子が差し出してきた手袋を脱いだ手を握り返してやると、
 「向こうで会える日を、ずっと待ってます。…私、負けませんから」
 …といって強い視線を僕に向けてきました。
 新潟までのローカル電車の中で、加奈子が別れ際にいった言葉を思い出し、
僕は何かやるせない物思いに耽っていました。
 彼女は多分、これからの苦難にも負けないといったのだと思いますが、僕
に投げつけてきた強い視線には、また違う意味合いがあったのかもと、僕は
妙な邪推に囚われていました。
 もしかしたら、加奈子は僕と義母の関係を指して、自分の意思を告げたの
かもという思いでした。
 加奈子がまた同じ街に戻ってくると聞いた昨晩にも、僕の心の中に過ぎっ
た不穏な予兆らしきものが、もうこうして早速に具現化してきていることを
感じていました。
 加奈子のほうに僕という、保身にばかり走る身勝手な男を見限るという思
考は欠片もないのは明白でした。
 だとすれば僕のほうから、多少の強引さを持ってでも彼女を見切るしかな
いのでしたが、ここでもまた自分の優柔不断さが表に出てきて、何の決断も
できないでいるのが実情です。
 しかも僕自身の今が、なさぬ関係を断ち切れないでいるどころか、逆に日が
経つにつれ、離れがたい思慕が増幅するばかりの状況に陥ってしまっています。
 肝心要の部分から逃避していて、都合のいい打開策など思い浮かぶはずはあ
りませんでした。
 詰まるところは、全てが中途半端なままの流れにまかせるしかないのか?
 これまでの自分の生き方は、どちらかというと何事においても慎重居士で安
全に穏やかに生きるというのが、僕なりの処世観でした。
 非常識で危険なことは、当然のように関わりのないように避けて通ってきて
いました。
 しかし現実の今の自分は、明らかに一触即発的な危険な境遇に、自らの意思
ではどうすることもできずに、この身を浸らせてしまっています。
 何事にも慎重なはずだった僕でしたが、義母、加奈子、妻の由美を含めると、
三人の女性に僕一人が糸を縺れさせるように絡み、その場凌ぎ的に虚構に近い
愛を振り撒いている…そんな風に思えるのでした。
 列車はすでにトンネルだらけの地域に入ったようで、暗くなった窓に顔を向
けると、自分でもわかるくらいに萎れた覇気のない顔が映って見えました。
 ふと、僕の頭の中に、中島みゆきの「糸」の歌詞フレーズが浮かんできてい
ました。
 縦の糸はあなた、横の糸は私…。
 今の自分の周りには、紡ぐのが難しい斜めの糸が何本か錯綜しているのは明
白でした。
 この北国への旅も、加奈子のこちらでの新たな再起を確認して、安堵して彼
女の幸せを願えたらという、都合のいい魂胆みたいなものを僕は心の中であわ
よくばと期待していたのです。
 そんな僕の身勝手な淡い期待は、加奈子の祖母と叔父の、三人の血族の間の
爛れた肉欲関係を聞かされて、脆くも雲散霧消し僕はただ驚愕の境地に引きず
り込まれただけでした。
 加奈子の叔父と祖母がどういう性格の人物なのか知る由もないことですが、
雪国のおそらくは過疎に近い田舎で、七十四歳の母と五十を過ぎた息子が、不
条理な肉欲関係を続けている情景の生々しさは、過度に卑猥な妄想力を働かせ
過ぎた僕自身の愚かさもあるのかも知れませんが、心に受けた衝撃は決して小
さくはないものでした。
 さらにそこに姪であり孫娘になる加奈子が、図らずも複雑に絡んでしまった
ことは、僕の驚愕を一層増幅させたのはいうまでもないことでした。
 そんな醜悪非道な環境の中で、加奈子の幸せを願うこと自体があり得ない話
で、彼とは女が一度は逃げ延びた北国の街を出ることは、至極当然の結論なの
でした。
 深い傷心の加奈子に、もっと違う場所に行けば?とは、さすがに保身的な僕
にもいえない台詞でした。
 加奈子が同じ街に戻ったら、また大きな波風がきっと立つだろうと、という
予感以上のものを、僕は心密かに感じていました。
 やはりこの旅で加奈子に会った時、僕ははしたない欲情に負けることなく、
もっと毅然とした態度をとるべきなのでした。
 例え加奈子に深い恨みを買うことになるとしても、はっきりと別離の宣言を
自分はするべきだったという悔恨だけが残っていました。
 そういうことからして、自分が今置かれている立場の危うさを、僕はつくづ
くと思い知り、痛感させられていました。
 そして病に伏す友からの、あまりに悲劇的過ぎる衝撃の告白。
 車窓の外の景色を真っ白に染めている雪とは真逆に、どす黒く澱み荒んだ自
分自身。
 何とも重きに過ぎた旅の終わりに、僕の脳裏に浮かんだのは、妻の由美では
なく、義母の亜紀子の顔でした。
 矢も盾も堪らぬ思いで、僕は携帯を手に取っていました。
 帰宅の時間を由美と義母の二人に、同じ文言でメールした後、義母にだけ引
き続いて、
 (亜紀子、疲れた旅だった)
 と追伸的に書き足し送信しました。
 ほどなくして由美からは、
 (了解、お疲れ様。私は明日がバレーの練習試合があるのと、今夜も同僚と
の食事会で、あなたのお迎えできないけど、ゆっくり休んでて)
 という絵文字を駆使した返信があり、少し遅れて義母からも返信がありまし
た。
 (何かあったの?)
 たったそれだけの短い文言でしたが、僕には義母の案ずるような愁いのある
顔が、携帯の小さな画面にありありと映り出ているように見えました。
 僕の左手の親指は、また即座に目まぐるしく動いていました。
 (見舞いに行った友人がね、重度の癌なんだって…。病室にいる時にいわず
に、僕が駅に向かった時に携帯でいきなり告げてきたんだよ。僕は戻れなかっ
た…)
 加奈子とのことは、さすがに書くことはできませんでした。
 (あなたの同級生ならまだお若いのに、お気の毒ね…)
 (病院に戻れなかったのは、何か、のんべんだらりと生きている自分が恥ず
かしかったからかも知れない)
 (恥ずかしいのは私。あなたを苦しめている…)
 (早く帰って亜紀子を思い切り抱きたい!)
 その文言をうった後、義母からのメールが途絶えました。
 いつの間にか車窓の外の景色が一変していて、真っ白な雪景色がどこかから
消え、薄暮の市街地の光景が長く続いていました。
 新幹線を下車する少し前、唐突に義母からのメールが届きました。
 (あなたを苦しめているのは…やっぱり私。でも離れられない。ごめんなさ
い…)
 あれほど重きに過ぎた旅に落胆していた僕の心に、いきなり閃光のような明
るい光を注ぐ義母からのメール文でした。
 何となく陰鬱な気持ちでいた今の僕が一番欲しかった、義母からの言葉でし
た。
 寒い雪国で冷やされた僕の身体の中の血液が、一気にほの温かく和んできて
いました。
 (間もなく新幹線下車予定。明日は日曜日)
 (お気をつけて…)
 新幹線を下車し私鉄を乗り継いで、終点駅からタクシーで家に辿り着いたの
は、あたりがすっかり暗くなった七時前でした。
 玄関のチャイムボタンを押すと、中のほうで小さな足音が聞こえ、ドアが開
いて小柄な眼鏡姿の義母が、白い歯を見せて立っていてくれました。
 「おかえりなさい…」
 襟の大きな白いタートルネックのセーターに濃いグレーのカーディガンを羽
織り、厚い布地の色の濃い長いスカート姿に、僕はただいまをいうのも忘れ、
少しの間うっとりと見とれたように玄関口に立ち竦みました。
 「寒かったでしょ?」
 理知的な赤い唇と、綺麗な歯並びの中から出た義母の何気のない言葉にも、
僕の心はひどく感動していたのです。
 「あ、ああ…ただいま」
 ようやく我に返ったように、慌てた素振りで言葉を返した僕を義母は少し不
思議そうな顔をして見ながら、
 「由美から連絡いってるでしょ?二人だけのお鍋よ」
 とそういってダイニングのほうに戻っていきました。
 暖房の効いた明るいダイニングに入ると、玄関では感じなかった何か懐かし
い愛着のある匂いが、食卓の上で湯気を立てている鍋の匂いと相俟って僕の鼻
腔を心地よく擽りました。
 「ビールか何か飲む?」
 と冷蔵庫の前に立つ義母が声をかけてきました。
 「あ、ああ…うん」
 まるで他人の家に来ているような戸惑いぶりで、僕はまた頓珍漢な返答をし
ていました。
 「どうしたの?おかしい…」
 ビール瓶を手にした義母が、本当に可笑しそうな笑顔を見せて近づいてきて
いました。
 「今日は由美もいないから、隣りに座っていい?」
 色白の顔をかすかに朱に染めながら、義母は少し気恥ずかしげにいってきま
した。
 「あ、ああ…そうして。亜紀子の側で美味しくビール飲みたい」
 僕はどうにか平静を戻してダウンジャケットを脱ぎ、椅子に座り込みました。
 いつもは由美が座る椅子に義母は少し恥らいながら座り、僕に冷えたビール
を注いでくれました。
 あまり飲めない義母でしたが、私も少しだけ、とはにかむようにいったので
ビールを注いでやり、取り敢えず僕の無事の帰還をということで、笑顔で乾杯
をしました。
 「お友達、お気の毒ね。癌って…?」
 「うん、膵臓癌っていってたけど…」
 「お若いのにね…ご結婚は?」
 「まだしてなかった…」
 コップ半分だけのビールで義母の顔は朱色から、熟した柿色のように赤く染
まっていました。
 鍋は僕の好きな味噌鍋でした。
 「昨日のテレビでは新潟のほうはひどい大雪だっていってたけど、大丈夫だ
ったの?」
 「うん、雪はすごかったよ。でも街歩いてる人たちは、こちらが騒ぐほど気
にしてない感じだったね」
 「そう、私は身体小さくて細いから、寒いところは骨身に凍みるから住めな
いわ。この前の日光でも寒かったもの」
 「雪は多かったけど、寒さはそうでもなかったなぁ」
 そんな他愛のない会話が続いた途中でした。
 僕がうっかり手を滑らせ、持っていたレンゲを床に落としてしまい、それを
拾おうとした僕と、一緒に動いた義母の身体が同時に前屈みになって、肩と肩
がぶつかり、そのはずみで彼女が身体のバランスを崩したので、僕が手で支え
ようと抱き止めたのです。
 片方は義母の腕を、そしてもう一方は彼女の胸に当たっていました。
 思わず二人は顔を見合わせ、義母のほうから離れようとしたのを僕が腕を掴
んだまま離そうとはしませんでした。
 義母の胸に添え当てた手もそのままにして、僕は義母の顔に視線を向けまし
た。
 義母の乳房の小さな膨らみの感触が、僕の手に服地を通して柔らかく伝わっ
てきていました。
 見合わせた義母の眼鏡の奥の切れ長の目が、激しく泳ぎ戸惑っているのがわ
かりました。
 そのまま義母のか細い身体を引き寄せるようにして、椅子に座った自分の太
腿の上に載せると、改めて両腕で彼女を強く抱き締めました。
 「お、お鍋があるから、危ないわ…」
 そういって義母は、まるで小さな子供がむずかるように肩を揺らせてきまし
たが、それほどに強い拒否反応ではありませんでした。
 「亜紀子…キスしたい」
 僕の顔のすぐ下に、恥ずかしげに怯えた表情の義母の小さな顔があり、僕が
そういうと、
 「何か向こうであったの?」
 と鋭い問いかけをしてきたのでした。
 「何もないさ。…どうしてそんなこと聞く?」
 「メールでも疲れたって…」
 「新潟は新幹線では近くなってるけど、やっぱり空気も何もかもが違う。降
っていた雪のせいだけじゃなく、とても遠いところへ来たと思った…」
 「お友達のご不幸以外にも、あなたに何かあったのかしらって…」
 「亜紀子が夢の中でも、とても遠かったよ」
 「夢、見てくれたの?」
 「どうかな?…キスしたい」
 そういった後、僕は義母の顔に顔を近づけていきました。
 唇と唇が触れ合う寸前に、義母が小さく吐いた息の匂いが僕の鼻腔をまた心
地よく刺激してきました。
 閉じられた唇の中で、義母の歯の奥に潜んでいた小さな舌を、僕の舌が素早
く捉えました。
 しばらくすると義母の腕が、僕の首筋に巻きついてきていました。
 椅子に座ったままでの、僕と義母の抱擁は長く続きました。
 義母の舌を飽きることなく弄びながら、僕は頭の中であらゆる思考を錯綜さ
せていました。
 このまま義母を彼女の寝室まで連れ込んで行こうかとか、居間のソファの上
でとかの不埒な思考が走り巡っていました。
 しかし、好事魔多しという言葉がここで適切なのかどうかはわかりませんが、
僕の携帯のメール着信音が唐突に鳴り響いたのです。
 それも妻の由美専用の着メロでした。
 慌てて開くと、同僚との食事会が早く済みそうなので、後一時間ほどで帰宅
するという連絡でした。
 少しの間を置いて、義母の携帯にも由美からの同じ内容のメールが届きまし
た。
 「やっぱり今日はこんな一日だったんだな…」
 と僕は独り言のように小さく呟いた後、
 「僕たちの楽しみは明日だね?」
 と義母のほうに目を向けていって、苦笑いを浮かべました。
 そう遠くない内にこの街へ戻るといっていた加奈子との、微妙に中途半端な
別離があり、友人からの悲し過ぎる告白を聞かされたりで、かてて加えて待ち
望んだ義母との抱擁にも水を差され、何ともほろ苦いやりきれなさの残る一日
だったような気がしました。
 「お風呂入れてくるわね…」
 少し乱れかかっていた身なりを整えるようにしながら、義母はダイニングを
出て行きました。
 何か本当に憤懣やる方のない、僕の一日が過ぎようとしていました…。

   続く


(筆者付記)
旅情編を終わらせ、完結編に向けての、もう一山二山の難題が、浩二と義母の
間に生じますので、それから…というサブを補足してもう少し頑張らせていた
だきますので、よろしくお願いします。
何分病み上がりの身であり、時に遅筆する場合もあるかも知れませんが、どう
かご容赦願います。
これからもたくさんの方の、ご批評ご指摘にも十分に傾聴していきたいと考え
ていますので、またご意見なりご感想もお願いいたします。
         筆者   浩二
 
 
2015/11/17 01:13:28(atUuUJ8o)
12
削除済
2015/11/27 05:31:31(*****)
13
投稿者: kkk
お待ちしていました、おからだ大事にしてくださいね。
2度も読み返し状況を想像しながら楽しませて頂きました。
亜紀子さんの心情も判って、更に愛おしく思える様子が伝わってきます。
読んでいる方も、彼女の会話等から年配者の可愛さから、女性としての愛おしさを感じます。
女性は性格の可愛さが良いですね、中々そういう女性には巡り合えないけれど。

亜紀子さんの日記の置くき場所が気になりますね。
15/11/27 16:42 (BM6mi9Eg)
14
投稿者: コウジ
義母の帰宅は予告通りで正午前でした。
 尤もらしい深刻そうな御託を並べて、三人の女性たちとの行く末を
あれこれと思い悩む割りには、根が自堕落で楽天的な性分なのか、僕
は義母の心地よい残り香の漂う布団の中で、いつの間にか微睡んでし
まっていたようでした。
 「浩二さん…」
 まだ夢見心地の僕の耳許あたりで優しく呼びかける義母の声に起こ
されるまで、彼女の帰宅の気配すら知らずにいました。
 義母はすでに僕の寝ている布団の真横に座っていて、細い銀縁の眼
鏡の奥の切れ長の目に、子を見る母のような優しげな情感を漂わせ、
仄明るい笑みを浮かべて、僕を覗き込んできていました。
 「大丈夫?…疲れてるの?」
 白い歯を見せて優しく気遣うような声で聞いてくる義母の顔との距
離の近さに、僕は少しばかり狼狽えながら、
 「あ、あぁ、おかえり…」
 と言葉を返すのがやっとでした。
 「旅行の疲れがまだとれてないのかしら?」
 何気ない義母の気遣いの言葉でしたが、僕はまた少し動揺してしま
い、
 「い、いや…亜紀子の布団、寝心地よかったんでつい…」
 とまるで弁明口調のように応えていました。
 新潟で加奈子と会っていたことを伏せているという、脛に傷持つ身
には、少し面映い義母の問いかけでした。
 「お昼はおうどんにするけど、いい?」
 そういって義母は立ち上がり襖戸のほうに歩きかけてから、
 「ダイニングは寒いから、出来たらここに持ってきてあげるわね。
だからもう少し休んでて」
 と優しい言葉を補足して、室を出て行きました。
 義母の心底からの優しい心配りと気遣いには、いつもながら胸を打
たれるばかりでしたが、逆にそうされればされるほど、何故か僕の心
の奥底のほうから、この優しく美しい義母を虐め辱めたいという嗜虐
的な発想が、時として唐突に湧き上がってくる時があります。
 今の僕の気持ちがそうでした。
 濃いグレーのスーツを清楚に着こなした義母が、去っていく後姿を
漫然と見送った時、僕の心の中に不意にというか、そんな淫靡な思い
が浮かんだのです。
 僕の新潟行きとかもあって、義母との間近な接触は久しぶりのこと
です。
 その新潟では義母にはいえないことですが、加奈子との少しばかり
ほろ苦い夜を過ごしてしまい、男として微妙な鬱屈のようなものを残
して帰ったという思いが、僕のほうにはありました。
 温泉宿の家族風呂で激しく絡み合った、加奈子の若く瑞々しい肢体
が、ふと僕の頭の中を過ぎりました。
 そして今、義母が帰宅するまでに読み耽った、彼女と僕との行為を
生々しく綴った日記。
 布団に沁みた義母の艶かしい女の残り香。
 そういえば妻の由美とも、何故かこの一週間ほどは身体を交えてい
ない。
 それらの思いが全て集約されるかのように、脈々とした血流となっ
て、今、僕の身体の下腹部のあたりを激しく淫靡にざわめかせてきて
いました。
 何か形容し難い妖しい熱を帯びた風が、身体の中から吹き上げてき
ているような感覚に僕はなっていました。
 間もなくそんな僕の淫欲な好餌となることなど知る由もなく、義母
は食事の用意のために、ダイニングと寝室を甲斐甲斐しく何度も往復
してくれました。
 義母の机の上に、うどんと漬物の入った小鉢が置かれました。
 「着替えるから、後ろ見ないで食べてね…」
 頬と細い首のあたりを仄赤く染めながら、義母は気恥ずかしげに小
さな声でいって、椅子に座った僕の背後に廻っていました。
 温かい湯気の立つうどんを啜りながら、
 「着替えるって何に?」
 と僕は意地の悪い問いかけを、義母に投げつけました。
 「えっ?…」
 と訝しげに背後から応える義母に、
 「今から一緒に寝るんだから、裸になって布団に入ればいいじゃん」
 と僕はわざと乱暴な口調で言葉を返し、不意に椅子を後ろに廻しま
した。
 驚きの表情を露わにして、義母が洋箪笥の前で立ち竦んでいるのが
見えました。
 グレーのパンツを脱ぎ下ろして、スカートに穿き替えようとしてい
たところらしく、義母の下半身の黒のパンティストッキングと薄水色
のガードルが露わになっていました。
 「いやっ…見ないで…」
 そういって義母は慌てた素振りで、僕に背中を向けていました。
 「室、暖かくしておいたから、そこで全部脱いで見せて」
 この時の僕の心はもう半分以上、目には見えぬ淫欲の悪魔に取り憑
かれていました。
 「いや、そんな…恥ずかしいわ」
 顔を僕に背けたまま、義母は上着を脱いだセーターの細い両肩を強
く揺らせながら、少し怒ったような口調で拒んできました。
 「どうせ裸になって、僕に抱かれるんじゃないか…」
 「そ、そんな乱暴ないいかたする浩二さんって、嫌いっ」
 「亜紀子の綺麗な裸が見たい、というのが僕の本心だよ」
 「…でも、そういういいかた…」
 「言葉が悪かったら謝るよ。ごめん」
 僕はそこでしおらしくそういって、義母に素直に頭を下げた後、
 「亜紀子のことが好きだから…つい」
 と言葉を付け足して、身体の向きをまた机のほうに戻しました。
 僕がうどんを啜る音だけが聞こえる、微妙な沈黙の時が流れました。
 声を出すこともなく背中を窄めるようにして、うどんを食べること
だけに没頭していた僕の背後で、布地のようなものが擦れ合う
かすかな物音がしていました。
 僕の姑息で狡猾な魂胆の通り、義母が黙ったまま背後で衣服を脱い
でいるのが、沈黙の中の気配でわかりました。
 やがて椅子のすぐ真後ろの上布団がふわりと揺れ動き、義母が布団
の中に潜り込む気配を僕は察知しました。
 まるで子供が親の前で拗ねて甘えるような素振りを、僕は寸分違わ
ずに演じていたのです。
 一体、自分のどこにこれほどの狡猾さが潜んでいたのか、少し愕然
とさせられる思いが胸を過ぎりました。
 うどんを食べ終わって、僕は何気な振りをして布団のほうに目を向
けました。
 頭まですっぽりと上布団を被った、義母の小さな身体の膨らみが見
えました。
 そのまま僕も倒れ込むように身を落として、布団の中に潜り込みま
した。
 潜り込んだ布団の中で、小さな身体をさらに小さく窄めるようにし
て、全裸になった義母が身を横たえていました。
 剥き出しの肩に手をそっと添え当ててやると、義母の色白の裸身が
まるで小魚が跳ねるように、びくんと震え動くのがわかりました。
 「亜紀子…」
 次に続ける言葉が思い浮かばないまま、僕は義母の眼鏡を外した目
に焦点を合わせて彼女の名を呼びました。
 「私…あなたに怒られるのが、一番嫌なの…」
 澄んだ切れ長の目の端に、泣き出す前の子供のような哀しげな表情
を見せて、義母が僕の目を見返すようにしていってきました。
 「怒ってなんかいないよ」
 そういって手を添え当てていた義母のか細い肩を優しく揺すってや
ると、
 「…ほんとに怒ってない?」
 と目を少し見開くようにして問い返してきました。
 つい今しがた義母が、無理をいった僕に嫌いといった時、僕の
ほうが一瞬、怒ったような顔になったというのでした。
 「馬鹿だなぁ…そんなことぐらいで怒ったりなんかしないよ」
 慰めるようにそういって、義母の身体を優しく抱き締めてやる
と、
 「よかった…哀しくなるから、もう、あんな顔しないでね
…」
 と義母は本心から安堵したような顔をして、僕の首に両腕を強
く巻きつけてきました。
 どちらからともなく顔と顔が近づき、お互いが求め合うかのよ
うに唇と唇が強く重なっていました。
 それから一頻りの間、義母と僕は何かを確かめ合うように、布
団の中で激しく熱い抱擁を繰り返しました。
 義母のほうがこれまでにないくらいに、自分のほうから僕に強
くしがみついてきたり、重ねた口の中で僕の舌を追い求めるよう
に、自らの舌を差し出したり絡めてきたりしてきました。
 僕は僕で義母の全身に手を這わし、六十代という年齢を少しも
感じさせないくらいに、細やかな肌理で滑らかな肌を堪能し、小
ぶりのお椀のように丸く可愛く盛り上がった乳房を長く揉みしだ
き、柔らかな膨らみの頂点にある小さな蕾に幾度も舌を這わした
り、歯で軽く甘噛みしたりと丹念な愛撫を繰り返し続けました。
 僕は意図して義母の上半身への愛撫だけに専念しました。
 丹念な愛撫を繰り返しながら、僕も着ていたものを全部脱ぎ捨
てていました。
 肌と肌が直接触れ合い刺激が強まったせいもあってか、義母の
喘ぐ声が瞬く間に大きくなってきていました。
 「ああっ…浩二さん…好きっ」
 乳房を丹念に揉みしだいている時に、義母が切なげに喘いだ声
です。
 乳首を甘噛みした時には、
 「ああっ…いいっ…へ、変になるっ」
 と細い顎を突き上げるようにして、僕が少し驚くくらいに高い
声を上げて身悶えを繰り返しました。
 「ああっ…わ、私…もう」
 「もう、どうした?亜紀子」
 「へ、変になりそう…ああ」
 「どこが変になるの?」
 「ぜ、全部が…」
 義母の小さな膨らみの乳房を舌で弄びながら、彼女の背骨に指
先を当て上下になぞるように這わしてやっている時の、二人のや
り取りです。
 「ね…ねぇ、こ、浩二さん」
 「ん?…亜紀子、どうした?」
 飽くことなく義母の上半身だけの愛撫に没頭していた僕の耳許
に、汗を滲ませた顔を近づけてきた彼女が、何かを訴えるように
目を潤ませて小さな声でいってきました。
 「も、もう…浩二さんがほしいっ」
 「うん?僕の何がほしいの?」
 「ああ…意地悪な浩二さん」
 「はっきりいってくれないと…」
 「こ、浩二さんの…こ、これ」
 そういって義母の手が、僕の下腹部に唐突に伸びてきました。
 僕のものは当然に固く勃起していて、それをいきなり義母は掴み
取ってきたのです。
 「今、亜紀子が握ったの、何?」
 「お願い…ああ、早くほしいっ」
 「いったらしてやる…前にも亜紀子、いってるよ」
 「ああ…で、でも…恥ずかしい」
 「いってごらん、亜紀子」
 義母の首筋のあたりに舌を這わしていた僕は、彼女の耳朶に口を
近づけ囁くようにいうと、
 「こ、浩二さんの…ち、ちんぼ…ああっ」
 「どこにほしいの?」
 僕はさらに意地悪く義母を追い詰めました。
 「ああっ…わ、私の…お…おまんこに」
 いいながら義母は僕の背中に爪を立ててきていました。
 「ここだね?亜紀子のおまんこ…」
 そう耳許に囁くようにいって、義母の下腹部に手を伸ばしてやる
と、ざらりとした茂みの奥は、もう指先にすぐにわかるほど激しく
濡れそぼっていました。
 義母のその部分を柔らかくなぞっただけで、僕の指先に温みのあ
る乳液のようなねっとりとした湿りを与えてきていました。
 そして僕は、清廉で清楚なはずの義母が、恥ずかしさもかなぐり
捨てて求めてきているものを、姿勢を変えてゆっくりと彼女の体内
深くに沈み込ませていったのです。
 「ああっ…こ、浩二さんっ…いいっ」
 昔の表現でいうと、義母はまるで娼婦のようなはしたない喘ぎの
声を上げて、全身に女としての悦びを晒して、愛する男のものをし
っかりと受け入れたのでした。
 僕のほうも何日ぶりかに感じる、義母のその部分の心地の良過ぎ
る狭窄感に、思わず深い感嘆の声を洩らしたくらいに、気持ちを一
気に昂めてしまっていました。
 大袈裟な表現ではなく、腰の律動をゆっくりとさせていないと、
自分で自分が制御できなくなるくらいの昂揚感が、僕に強く襲いか
かってきているような感じでした。
 それでもどうにか僕に抑制力が働き、義母の両足を二の腕あたり
で抱え込むようにしながら、次第に律動を早めていくことができま
した。
 「ああっ…こ、浩二さんっ…いいっ…いいわ」
 義母のほうもすでにめくるめくような境地に陥っているのか、何
度も同じ官能の言葉を発し、汗の滲み出た顔を左右に激しくうち震
わせていました。
 そうして僕はあるところで、唐突に義母の体内から僕自身を引き
抜きました。
 すると義母は上品な顔に忽ち不平の表情を露わにし、無意識の内
に僕の腕や肩を、自らの手で叩いてきたりしました。
 僕は身体を動かせ、義母の顔の前に、屹立したままの自分のもの
を差し出すと、彼女はまるで夢遊病者のように躊躇うことなく、そ
れを自分の口の中に誘うように含み入れたのです。
 愛し合う者同士だからこそする、それは通常の行為だということ
は、僕だけでなく、おそらく義母も同じ思いのはずだという確信め
いたものが僕の心の中にありました。
 僕のものへの義母の口での愛撫は丹念で、愛おしさの充分に込め
られたものだというのは、されている側の僕にもしっかりと伝わっ
てきていました。
 この義母と僕はこれからも離れることなどできない、と僕は道理
も理屈もなく、本心からそう思っていました。
 三十もの年齢差も、義理の母と婿という立場も関係なく、間違い
なく自分は義母のことを愛している、ということを、彼女の口での
ひたすらで入念な愛撫を受けながら、僕はそう思っていたのです。
 そしてその思いを義母に思い知らせるかのように、僕は再び彼女
の体内深くに自身のもを深く突き刺し、また長く腰を律動させ、最
後には大きな咆哮を上げて、熱く燃え滾った迸りを放出させたので
した。
 僕の激しい迸りを受け、それまでも必死に官能の昂まりに堪え忍
んでいたに義母は声すらも出さず、すぐに意識を喪失させていまし
た。
 僕のほうの意識が遠のいたのは、それからもう少ししてからのこ
とでした…。


        続く
 
 
 
 
15/12/02 02:09 (qbxfdJHQ)
15
投稿者: kkk
彼女の濡れそぼった割れ目・・・拝見したいものですね(^^)
失礼ながら、年齢的に濡れにくくなっていると思いますが・・・調教の成果なんでしょうね~。
年齢を感じさせない恥じらいの会話が良いですね、想像してしまいます。
15/12/06 05:43 (lqJBgNaP)
16
投稿者: コウジ
義母の体内に、自分の身体の中に堆積していた液状のもの全てを
を放出しきった、心地のいい疲労感に包まれて、僕は深い惰眠の中
にいたようです。
 夢は起きがけの時に見るのを覚えているといいますが、僕も夢を
見ていました。
 場面はどういうわけでか、義母がよく通う集会所の駐車場で、停
めた車の中で、僕が誰かを待っていました。
 場所柄からいってその相手は多分、義母だと思っていたら違いま
した。
 見慣れた色のジャージーの上下姿の由美が、肩に大きなバッグを
背負って、僕のほうに向かって歩いてくるのが見えました。
 それがどういうシチュエーションなのかはわかりませんでしたが、
妻の由美は僕のほうに明るい笑顔で手を振って歩いてきていました。
 その由美の後方で、義母がこれまでに見たこともないような、怨
めしげな目をして、誰かと並んで立ち竦んでいました。
 義母の細い肩に手を添えるようにして、寂しそうな視線を向けて
いるのは、看護師の制服姿の加奈子でした。
 夢だからのことですが、状況がまるで呑み込めず、車の中で氷のよ
うに固まってしまっている僕の耳に、三人の女性が同時に、
 「浩二さん…」
 と呼びかけているのが聞こえました。
 僕の名を呼ぶ声は何度も続き、その内、輪唱のように其々の声が声
が個別に僕の耳に飛び込んできていました。
 何か良からぬことが勃発しそうな嫌な予兆に駆られ、僕は身体だけ
でなく、心臓まで凍りついた気持ちになっていました。
 三人の女性が僕の名を呼ぶ声はいつまでも続き、僕は重い息苦しさ
に襲われ、思わず目を開けると、彼女たち三人の声は、聞き覚えのあ
るメロディに変わっていました。
 義母の机に置いたままにしていた、僕の携帯の着信音でした。
 まだ虚ろな気持ちの半分は悪夢の中にいた僕は、布団から起き上が
り周囲を見渡した後、這うようにして携帯を手に取りました。
 その頭の隅で、僕との激しい抱擁で意識を失くしていたはずの義母
の姿が、布団にも室にも義母がいないことに気づきました。
 携帯の画面を開くと、発信者が非通知設定になっていました。
 あまり深く考えないまま、僕は着信ボタンを押して相手の声を待ち
ました。
 「…あの、もしもし?」
 と少し不安げな声で、相手のほうから問いかけてきました。
 女性の声でした。
 由美でも加奈子でもなく、勿論義母でもあるはずのない、誰なのか
すぐには思い浮かばない、記憶にない声でした。
 「もしもし…」
 僕が声を発して、自分から名をいって、どちら様で?と確認した時、
僕の頭で何かが閃きました。
 同時に悪夢のことはすっかり頭から消滅していました。
 「あ、あの…私、上本佐知子です。すみません、お休みの日に突然、
お電話差し上げて…」
 相手の名前を聞いて、僕はすぐに記憶を呼び起こしていました。
 閃いた相手の名前がそうでした…。
 

     続く

(筆者付記)
中途半端な短文で終わりましたことを、最初にお詫び申し上げます。
実際はこの後も長く書いたのですが、前にも一度あった、禁止ワー
ドとかに抵触してしまい、投稿ができなくなってしまっていました。
四人目の女性について書いたのですが、どれだけ書き直しても禁止ワ
ードに触れるので、中途半端ですが取り敢えずの投稿とさせていただ
きました。
再度、構成中ですので、もうしばらくのお時間をいただきたいと思い
ますので、どうかご容赦願います。

      筆者   浩二  
15/12/07 00:50 (l7nNrq3g)
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