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ある超常の愛の記録
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:超能力・超常現象等体験告白
ルール: 私は超能力者、そんな私の空想H体験告白
  
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1:ある超常の愛の記録
投稿者: ◆AU/OjWxByc
私事を語るにあたって単刀直入に申し上げるが、私は地球という惑星に住む人間という種族ではない。一応、生命体といえばそう言えるが、今の人間という生き物には理解が及ばない存在だ。そういった存在は私以外にもたくさん存在する。

私の性別は地球の男女で言えば女になる。

私、というか私の種族の場合は地球でいう精霊、妖精、妖怪と呼ばれる存在に該当する。力の力量によっては神と呼ばれる上位の存在もいる。

私自身の場合は自慢ではないが、上位の存在である神に相当する。といっても万能と言うわけではない。

私にはいろんな呼び名があるが、どれも定まったものではない。それに対してはとくに気にしていない。

何かの物語ならば最後は愛する者に本当の名前を呼ばれて微笑むのがお約束だが、私の場合は愛する者が知っている私の呼び名だけで十分だ。
決まった名などあったりなかったりするのだから。

すでに言ってしまったが、超常の存在である私にも愛する者がいる、それはひとりの人間の男だ。いつ、どこで、どの時代、どの世界の出来事かはわからないが、その男はただの人間から私達に近い存在となった。その男との思い出も数多く存在する。

ついでに言えばその男にも名前が複数ある、いや私と何度も会うたびに名前が変わると言った方が正しいか。
ここでいう「何度」とは一人の人間が一生のうちに何度も同じ者に会うという意味ではない。
何度生まれ変わっても会うという意味なのだ。

その男はもちろん、私自身も転生の度に性格も人格も変わる。良いこともあれば悪いこともある。だけど変わらないものだってある。まさに転生の旅だ。

私自身の超常の力は難しい説明も必要とするが、難しく言えば集合的無意識の世界、簡単に言えば私が思い描く夢の世界の創造だ。
夢と言っても寝て見る夢ではない。私自身や私の愛する男、その周りに存在する家族や友人などが形成する世界の創造である。

まれに私と同等の力を持つ招かれざる客もやってくるが、それはそれで私が愛する男のスパイスとして利用しているからある程度、大目に見ている。これは超常の私と幸か不幸かそんな女に愛され続ける男が紡ぐ物語だ。
2021/10/17 16:27:18(59dOTj9v)
22
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
偽の初級インベスに黒いギャオス。後者の方は翼長約15m、体長は約8mから10mが数匹いるのみだ。私でもなんとか対処できそうだ。

もちろん、今のところはだ。私は右手に異界の果実の意匠を持つ魔法の槍・ヘルズケインを出現させて飛びかかった。

長槍ということもあって、振り回すだけで下部の石突、槍の穂先が初級インベスによく当たる。無論、ブンブンとやみくもに振り回しているわけではない。突いた衝撃で動きが鈍れば弱ったところを穂先で突き刺す。私はその手順を何度か繰り返した。

初級インベスを倒し終えると左手にある錠前を持った。タンポポを模した錠前だが、果実の鎧を出現させるわけではない。

解錠すると空中に浮かぶバイクのような形態になる。その名もダンデライナー。私はそれに跨るとハンドルを握り、ギャオスがいる空へと向かった。

このダンデライナーにはエネルギーの光弾を発射する大きな銃口を持つ他、前方にあるタンポポのレリーフからは巨大な物体を焼き払う事も可能なビームを放つ事もできる。巨大な怪物相手にはまさにうってつけだ。

早速、私に向かってきた8m級の個体が来た。狙い定めると光弾を連射型にして放った。一瞬でハチの巣になるギャオスは直後に爆発した。

どうやら皮膚の強度、防御力はそんなに高くないようだ。次に10m級が追ってきた。スピードを上げて旋回すると光弾を食らわせてやった。

しかし、向こうもやられてばかりではない。先に述べたように彼らには超音波メスという武器があった。

3匹ぐらい倒すと今度は赤黒いギャオスが私の前に現れた。しかも翼長約15m級だ。私は光弾ではなくビームを使おうとした瞬間、後ろから超音波メスによる攻撃を受けた。振り向くと10m級がいた。赤黒い個体は囮だったのだ。不気味な外見に加えて知能も高いのか。

私は次の瞬間、ダンデライナーを元の錠前に戻すと立派な屋敷を持つ神社がある庭に落ちた。
21/12/13 16:02 (C4rbgXGX)
23
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
神社の庭に落ちた私は立ち上がろうとした瞬間、男に声をかけられた。

「おい!大丈夫か!?」

短いボブカットで黒髪の青年だった。顔はそこそこイケメンで服装はどういうわけか巫女服で失礼だが、気色悪い。

しかし、次に発した言葉で私は驚愕した。

「君はシルフィーか?」

なぜその名を知っているのか? 彼とは初対面で名乗ってもいない。

「この姿では信じられないが、これを見ればどうだ?」

男はそういうと赤い錠前を取り出し、私に見せた。MESSIAHと記載されたザクロの錠前・・・

間違いない。私の愛する元人間にして超常の存在となった男だ。

男は私と再会するまでのいきさつを語り出した。

白い空間での戦いの後、男は神社で青年の姿になっていたそうだ。青年はそこそこ名のある神社の跡継ぎで世界を再構築した副産物か、男と青年は身体のみならず人格(魂)も融合してしまったそうだ。

初めは戸惑ったそうだが、いつか私と会える日を待っていたのだ。

「お前とまた会えた事は何よりも嬉しいが、今は片づけることがあるな」

男はバックルを取り出すと巫女服の腰に取り付けた。銀色のベルトが腰に巻き付く。もちろん、戦極ドライバーだが、私が使用する物とは少々異なる。左手側にロックシードを装填できる六角形の穴がもうひとつあった。
それは創世の力のパーツだった。さらにもうひとつ錠前を取り出す。それは血のような赤いオレンジの錠前だ。

『ザクロォ!』『ブラッドオレンジ!』 二つの合成音が響く。

二つの錠前をドライバーにセットする。

『『ロックオン!』』という声が重なる。男は小さい刀でザクロの錠前を斬った。それと連動してブラッドオレンジの錠前も展開し、ふたつの果実の断面が露わとなる。

赤と銀の装甲が男を包む。

『ブラッドザクロアームズ!狂い咲きサクリファイス!ブラッドオレンジアームズ!邪ノ道オンステージ!』

黒を基調に西洋の騎士のようなチェーンメイル型のアンダースーツ、前腕部と太ももには赤い模様がある銀色の装甲、ウサギ状に飾り切りしたリンゴのようなデザインの鎧は全体的に赤く、胸部と右肩にあるが、左肩のものだけ黒い蔦とブラッドオレンジを思わせるカラーリングで日本の鎧武者を形状になっている。

両肩の鎧の下には赤いボロ布があり、腰にもあるそれは赤いボロボロのマントになっている。

顔は前も後ろも赤く、口元には赤い包帯のような物が覆われ、目のバイザーも赤い。額は王様の王冠のような形状でこちらも赤い。

武装もブラッドオレンジの果肉を思わせる巨大な刀身を持つ刀である。名称はブラッド大橙丸。
しかし、これはこの戦士のメインの武器ではない。

救世主の名を持つ黒い魔弓。それこそがこの戦士の真のアイテム。名称はセイヴァーアロー。もともとは創世の力で男が自ら生み出した模造品だが、オリジナルである創世の赤い弓には決して負けない。

赤い肉と血液を思わせる色を持つ鮮血の赤き救世主、仮面の戦士セイヴァー。彼は再び私の前に現れた。

遠い昔、別次元の世界では偽りの救世主だったが、この世界では本物になれるか。
そんな不安はとりあえずとして、私は再び変身し、セイヴァーと共に向かった。
21/12/13 16:59 (C4rbgXGX)
24
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
セイヴァーはダンデライナーを取り出して跨ると、さっそくギャオスに向かう。最初は光弾で攻撃したが、すぐに戦い方を変えた。

ダンデライナーに立ち上がると左手にセイヴァーアロー、右手にブラッド大橙丸を持った。それに襲いかかる2体のギャオス。

しかし、セイヴァーは冷静だった。両手に持つ武器に赤いエネルギーを纏わせると三日月状のエネルギー刃にして2体のギャオスを真っ二つにした。

ザクロとブラッドオレンジの断面を思わせる三日月状の刃はギャオスを斬ったあと、爆発して瞬く間に灰にした。

私もシルフィーの姿でダンデライナーに乗りながらセイヴァーの援護を行う。数体のギャオスがまだいるのだ。

そこにさきほど私を神社に落ちた赤黒い15mの翼を持つ大型ギャオスがやってきた。

「私に任せろ」 セイヴァーはそういうとそのギャオスを誘導した。

セイヴァーはブラッド大橙丸を赤い光の粒子にするとセイヴァーアローを構えた。形状はアーチェリーの弓だが、放つ矢はエネルギーの矢だ。

セイヴァーが放った無数の赤い矢がギャオスをイラつかせるが、それが男の狙いだった。ダンデライナーに乗ったセイヴァーは一気に突っ込んでいく。

ドライバーの小さい刀・カッティングブレードを一回倒す。

『ザクロスカッシュ!ブラッドオレンジスカッシュ!』の音声と共に二つの赤いエネルギーをセイヴァーアローの刀身部に纏わせる。

セイヴァーアローは巨大な刃となる。

「はあぁぁぁ!!」という叫びと共にセイヴァーは黒い魔弓で直接、ギャオスを寸断した。直後に大爆発を起こす。

私も残った個体すべてを片付けた。ひとまず、私達は勝利を収めたのだ。
21/12/13 17:24 (C4rbgXGX)
25
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
モンスター達を狩りつくしてしばらくした後、私は街の代表ももちろん、国に対してモンスターの存在、それに対抗する力がある事を説明した。

当然、別次元の世界がある事や軍事兵器にもなってしまう果実の力の事は多少なりとぼかした。しかし、私と男が再構築した影響か、国が争う理由である貧困などがなく、それどころかそういった国は軒並み消滅していた。無論、だから良いというわけではなかったが、軍事利用の恐れがないことに私はホっとした。

さらに世界の人口がかなり少ないことも判明した。しかし、だからといって世界が困っていることもなかった。

それでも私は複雑な気持ちと妙な違和感が拭えなかった。ずいぶん都合が良すぎるな・・・この世界は。

それから数日後、モンスター達はまた現れた。だがそれに対して私達は無策ではなかった。

私と男は希少金属ことレアメタルを国に集めるだけ集められるよう要請した。レアメタルは戦極ドライバーを造るのに必要な原料なのだ。

異界の果実ヘルヘイムの実は私と男の厳重な管理下で栽培された。私と男の特殊能力で品種改良を施し、いざとなった時の食糧になるただの果実に変えた。

戦極ドライバーを装着して果実をもぎ取った場合はロックシードに変わるが、良からぬことに使おうとした場合は私と男の意思で自爆する細工も秘密裏に仕掛けた。このことを知るのはごく一部の者に限った。おかげで抑止力にもなっている。

私と男は自身の記憶にある果実の戦士達の記憶とデータを基に、汎用性に特化したもののみ再現、製造することにした。

ひとつはマツボックリの足軽のごとき兵士・黒影トルーパー。量産型戦極ドライバーによって緊急の際は誰でも変身が可能。

ひとつはタンポポの空中バイク・ダンデライナー。空中戦にはこれが一番活躍できる。

ひとつはチューリップと機械のバッタの肢を持つチューリップホッパー。強力なキック力を持つ他、電磁波や衝撃波も放つ事ができる。

ひとつは約3mの身長を持つ巨人型ロボ・スイカアームズ。戦闘形態のヨロイモード、防御形態の大玉モード、飛行形態のジャイロモードになれるなど汎用性にもっとも優れた果実の鎧だ。装着する鎧と言うより、操縦する鋼の西瓜の巨人と言ったほうが正しい。
21/12/13 19:17 (C4rbgXGX)
26
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
もうひとつは・・・と言いたいが、厳密には13種類もあるロックシードの説明をしよう。

1番目はマツボックリ。黒影トルーパーの変身に使われる主なもので松ぼっくりのような鎧と長槍の影松を与える。戦士に向かない者も使える。

2番目はクルミ。胡桃のような鎧と胡桃と握り拳を模したクルミボンバーという手甲を装着させる。手甲はロボットのようなナックルグローブで高いパンチ力で打撃を与える他、防御にも使える。また巨大な見た目に反して装着者は身軽に動ける。

3番目はドングリ。ドングリのような鎧とドングリの意匠を持つ小型のハンマー・ドンカチを武器に与える。振り回す度にエネルギーをチャージし、ただ殴るだけでなく、必殺技を放つ際は衝撃波も発生させる。またこのアームズの素手での戦いも強力でそのパワーはクルミアームズのパンチ力をも凌ぐ。ただし、これはクルミボンバーによる必殺技を使用していない場合のみに限る。

4番目はメロン。メロンのような鎧とメロンディフェンダーというメロンの意匠を持つ大型の盾を与える。電磁シールドによる高い防御力を持つが、左右にはメロンの果肉を三日月状にした刃と尖った先端部が下部にある。必殺技を使用したエネルギー刃による攻撃はもちろん、巨大なブーメランとしても使える。

5番目はパイン。パイナップルを模した鎧とパインアイアンという鎖鉄球を与える。鎖鉄球と言っても頑丈なワイヤーで繋がっており、表皮の凹凸や葉の部分も強力な武器となり、相手にえぐいダメージを与える。またアームズ自体は相手の打撃の無効化、体当たりで敵を傷つける。

6番目はイチゴ。イチゴを模した鎧とイチゴクナイというクナイを与える。投げる武器としてはもちろん、相手に着弾した場合は爆発する。アームズは防御力が一番低い代わりにスピードと隠密行動に特化している。

7番目はオレンジ。オレンジを模した鎧と大橙丸という太刀を与える。蜜柑の果肉を模した刀身で敵を切り刻む。試練の勝者が基本形態と基本の武器にしていたのもこれだ。

8番目はバナナ。バナナを模した鎧とバナスピアーという太く巨大な槍を与える。皮が槌かれた白いバナナの果肉を模した刀身を持ち、刺突攻撃だけでなく大きさから防御にも使える。伸縮自在で試練の敗者が基本形態の基本装備として使用していた。

9番目はブドウ。ブドウを模した鎧とブドウ龍砲という銃を与える。ガトリングのような銃口に紫の巨峰を模した銃身を持ち、持ち手を変えればトンファーとしても使える。単発、連射の射撃はもちろん、必殺技を使用した際には紫の龍が出現する。

10番目はスイカ。これはさきほど述べたスイカアームズでこちらの武器はスイカ双刃刀という巨大な薙刀だ。

11番目はマンゴー。マンゴーを模した鎧とマンゴパニッシャーというメイスを与える。角切りした果肉を模した棍棒には規則的に並んだ大小の刃がついている他、上部には尖った先端があり、槍の穂先のようになっている。

12番目はドリアン。ドリアンを模した鎧とドリノコというノコギリ状の剣を二つ与える。ノコギリと無数のトゲを持ち、柄を合体させて薙刀にする事も可能など多彩な攻撃が可能。さらに必殺技で敵に投げつけ、無数のトゲを小型ミサイルにして発射する事も可能。当然、アームズ自体も防御どころか敵の迂闊な攻撃を許さない。スイカアームズを除けば全アームズの中で最も接近戦の攻撃力が高い。

13番目はキウイ。キウイを模した鎧とキウイ撃輪という中国の乾坤圏を模した武器を与える。キウイの断面を模しており、巨大な刃による接近戦はもちろん、ブーメランとしても使え、広い面積を持つ表面は盾としても機能する。
21/12/13 22:45 (C4rbgXGX)
27
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
以上に述べたロックシードの内、マツボックリ以外のものは量産を制限し、黒影トルーパーを率いる各部隊の隊長のみが使用することを許した。スイカアームズにいたっては自己修復能力もあり、ある程度の数だけ量産した。また長時間の運用には限度があり、それを過ぎるとエネルギーのチャージまで使用できないという制限も与えた。

それから数年が経ち、私や男、トルーパー部隊たちは場数を重ね、死にも狂いで戦い続けた。

幸いな事に今のところ、死傷者がいなかった。試行錯誤も重ね、スイカアームズの攻撃力だけでなく、隊員が使用するビークルの強化も加え、モンスター達を巻き添えに自爆する機能も与えた。危なくなれば爆弾を仕掛けて逃げる。それを絶対のルールとした。

さらにモンスターの研究も重ねた。私は超常の存在としての力を使い、モンスターが現れる世界の出どころを辿った。

何度かモンスターに遭遇すると、私と男は出入り口である骨のファスナーことゲートの向こう側に行くことに成功した。

以後、異形のファスナーの名は次元と時空の裂け目、亀裂の意を込めてクラックとする。

驚いたことに地球と何ら変わらない世界だった。だがそう思ったのは最初の内だけだった。そこには人間はおろか、動物もいなかった。変わりにあらゆる姿をした無数のモンスターが跋扈していた。

私と男は慎重にその世界を調査した。その世界の地球のビルや家に人々が生活していた痕跡がまったく見られなかったのだ。

まるで鏡の世界が反転せず、現実世界と何ら変わらない風景になった。そんな印象を私と男に与えた。

私と男はもとの世界に帰還すると、その世界の名前を考えた。偽のかくりよ、虚像の世界。結果としてどちらも採用された。

虚像のカクリヨ。それがあの世界の名称となった。カクリヨとは文字にすると幽世、隠世になり、いわゆるあの世、黄泉の国だ。

しかし、私と男にはあの世界が到底、あの世とは思えなかったのだ。よって鏡の虚像のごとき、偽のカクリヨ。

虚像のカクリヨについては数十年の調査が必要となるだろう。同時に私はずっと疑問に思っていた事を男に相談した。

私と男が今いるこの世界の少なすぎる人口についてだ。それに対し、男は苦い顔で辛い考察を私に話した。

あの白い空間でこの世界を何とか再構築したが、助けられた人間はごく一部のみで、あとは消滅してしまったのでは?・・・と。

そう言われてしまうと私は何も言えなかった。神と言っても過言ではない力を持つ私たち。その傲慢さがこうして返ってきたようにも感じられた。私も男も自身の力に自惚れていたという事実を否定できない。

あの時は無我夢中であった。再構築する前の世界のことなど何も把握していない。その世界に住んでいた人間のことさえも。

そんな事を考えていた私を察したのか、今は自分達にできることだけを考えようと男は言ってきた。

私は決意を改めてうなずいた。
21/12/14 15:09 (FUq2K43b)
28
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
モンスター達の名前も新たに考えた。彼らの名はオヌマ。オヌはおぬ、陰(おぬ)のことでこの言葉が鬼(おに)になったという説がある。
マは悪魔の魔という意味だ。この世ならざる者達にこれ以上、ふさわしい名はないだろう。

また私が新たに行った調査でわかった事だが、オヌマ達からは人間の負の感情、マイナスエネルギーとも言うべき力があることを私は突きとめた。
人間の負の心。奴らがそれに引き寄せられるということは人間の煩悩を餌としていると見て間違いなかった。

ならば最初の襲撃はいったい? やはりこれについては再度、検証する必要がある。合点がいくまで何度でも。

初級インベスの姿をしたタイプは戦闘員オヌマ。もちろん、初級インベスという名称も採用した。

ギャオスと呼んだタイプはワイバーンオヌマ。これもギャオスという名称と採用している。

一方、私と男は国や街の支援もあって拠点している屋敷の改築も行った。もちろん、暮らすためのものではない。

私と男、黒影トルーパーの隊員たちがオヌマと戦うには奴らの穢れを清める必要があった。隊員たちの場合はロックシードを通じて浄化できるが、私と男は特別だった。私は男にいわゆる定期的なガス抜き、オヌマの煩悩の穢れを浄化する儀式が必要だった。これをしなければロックシードを通じて隊員たちの浄化ができないのだ。

そして、その儀式の行為は・・・聖なる行為と称した性交が一番適していることが判明した。これについては男も恥ずかし気に了承してくれた。
無論、この儀式は一部の者のみが知る事に限った。表向きはオヌマに知られない事としたが、実際にはあまりにも恥ずかしすぎるからだ。

さて改めて私と男の名前も明かそう。といってもこの世界における仮の名でしかないが、それでも私達にとっては大切な名前でいつかは本名になるかもしれない。

私は夜戸ハル。以後、夜戸家の初代当主ハルとする。男は後を継ぐはずだった梶浦神社という名前も改めて狗道一朗太。以後、狗道家の初代当主とする。私は狗道家を支える分家として活動し、超常の力の一端である分身と複製と転生の術を持って娘、孫の代にかかってもオヌマと戦うことをここに誓った。一朗太も私の覚悟に初めは難色を示したが、彼も覚悟を改めて受け入れてくれた。

さらに一朗太にも分身、複製、転生の術を持っていた。彼もまた息子、孫の代にかかっても戦う覚悟を決めた。一朗太には許嫁がおり、近々結婚する気だ。彼女の方は私達の事情に理解を示しており、一朗太が二人の女性を愛する事も了承してくれた。

当然、私が夫とする男はひとりしかいない。一朗太だ。表向きの正妻は許嫁だが、裏では私だった。
一応言っておくが、私達は近親相姦をするつもりはない。しかし、私達にしかできないことなのだ。

私と一郎太と普通の人間の寿命で死ぬよう肉体を設計した。そして死んで私の娘、彼の息子に孫が生まれた場合、記憶の継承と共に魂も孫と一体化するようにした。非常に残酷で何とも汚らわしい行為だが、それでも・・・
21/12/14 16:20 (FUq2K43b)
29
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
生身の肉体を持ち、超常の存在の力を行使するには限度があった。オヌマ達との初戦も私と一朗太は白い空間で戦っていた時より弱体化していたことがわかったのだ。おそらく魔蛇との戦いによる消耗もあったのだろう。

ザクロとブラッドオレンジの錠前、創世の力を取り付けた戦極ドライバーを使用するには全盛期の力の覚醒が必要だった。

無論、異界の果実の錠前の力を使う私も同様だ。

私と一郎太は創世の力を使うベルトを新たに作ることを決めた。赤いカラーリングに果物を搾るジューサーとストロー、上品なコップのような意匠を持つ創世のベルト・ゲネシスドライバー。レアメタルを原料に私と一朗太の疑似的な黄金の果実の力によってそれは作り出された。もちろん、このベルトも天才科学者の発明品で一朗太がかつて違う姿と名前を持っていた頃に生み出したザクロの錠前とセイヴァーアローのオリジナルもこのゲネシスドライバーが基なのだ。

基本装備は創世の赤い弓矢・ソニックアロー。ゲネシスドライバーと共通する意匠を持ち、アーチェリー型の武器だ。
エネルギーの矢で敵を射抜き、接近戦では弓本体にあるアークリムという刃で敵を切り裂く。

さらにそれだけではないロックシードを装填できる部分があり、属性の異なる能力も行使できる。

変身に使用するロックシードも特殊で炭酸水ごとき新世代の果実、エナジーロックシードを使うのだ。

このエナジーロックシードも私と一朗太、その子孫以外の使用を認めなかった。

パワーに優れたレモンエナジー、超高速能力を与えるチェリーエナジー、超感覚能力を与えるピーチエナジー、電磁バリアなど防御力を高めるメロンエナジー、そしてすべての能力を超越したドラゴンフルーツエナジー。

とくにドラゴンフルーツエナジーは高出力に加えてパワーが有り余るため、私と一朗太による細心の注意を払った調整が施された。
この龍の果実の名を持つ錠前は試作品が暴走して怪人化、完成品とも言える物は超絶科学力を持つ知的生命体によって生み出され、私と一朗太は後者をベースに作り直した。

私の娘と一朗太の息子がベルトの使用者として未熟な場合、もしくは孫と一緒に戦う際はこのベルトと錠前を使う事を託した。

そして、おそらく孫の代で複雑怪奇に揉めることは間違いない。それでもこの世界を託せるのは私と一朗太、信頼できる仲間のみなのだ。もちろん、私達の汚らわしい行いを許さなくていい。それでも・・・助けてほしい。いかなる方法でも。

それが私が死んでも守ると決めた世界と人間達への変わらぬ願いだ。
21/12/14 19:18 (FUq2K43b)
30
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
それが祖母の記憶だった。私は夜戸ハル。祖母の同じ名を持つ女だ。

オヌマの出現から数十年。現在では骨のクラックが生じる兆候を事前に捉えるCセンサーなるものが開発され、夜戸家と狗道家が迅速に対応している。

あちらの世界に通じて錠前にできる乗り物のロックビークルも改良が進められ、サクラハリケーンというオフロードバイク型のタイプも作られた。

あちらの世界、虚像のカクリヨの調査はあまり進んでいなかった。わかっている事は巨大なオヌマがかなりいる事とあの世界がどの宇宙の次元にあるのか不明という事だけだ。

幸いなことに戦闘要員、民間人ともに死傷者がいまだにいない事が救いだった。ロックビークルが放つクラック強制封印ビームによって最大でも1ヶ月の封印できるようにもなった。この数十年、そこまで行くのにみんな必死だった。

もちろん、封印できるようになったからといってそれにあぐらをかかず、鍛錬も怠らなかった。少しでも開く兆候があれば即座に駆けつけるという万全の体制を整えていた。クラックが発生する場所はこの日本で私達が住む街が一番近いこともわかってきた。私たちの町は首都圏に近いところにもあり、細心の注意が必要された。加えて日本以外の国も警戒してCセンサーの設置を義務付けた。当然、戦極ドライバーとロックシードの所持も義務付けたが今のところ、オヌマと戦ったことはない。ただし、その国に駐在する戦闘要員はオヌマと戦った事がある者達に限るなどぬかりはない。
21/12/14 21:17 (FUq2K43b)
31
投稿者: 蟹 ◆AU/OjWxByc
黒影トルーパーに変身するという職業も一般的になり、国からもかなりの報酬が貰えるため、家族を養う理由や自分を変えるという理由で真剣に取り組んでいる人がほとんどだ。決して税金泥棒と言われる筋合いのない誇れる職業になっているのも確かだ。

そんな部隊を生み出した私たちははじまりの二人としてもてはやされた事もあるが、私達は私達で別に利益を得ていた。

私達、夜戸家は狗道家の助けもあって製薬業と営んでいる。これも私の祖母がはじめた事で超常の力で生み出した異界の果実を人体に影響のない食物にしたことから製薬業は始まった。あらゆる製薬会社と協力して疲労回復、睡眠不足をなくして健康な体にすることを目指すなど多岐に渡り、あらゆる病に対して病弱な人も完治とは行かないが、ある程度、健康に近い肉体にする研究も行われている。おかげで私と母・夜戸サキは生活に困らない収入を常に得ている。本当に何から何までやった祖母には頭が上がらない。

そして狗道家は事実上、この街の支配者の立場にあり、多方面の企業にきく顔と国からの支援もあり、何不自由なかった。

しかし、支配者には支配者の責務があるという狗道一朗太の信条の下、オヌマに怯える街のみんなの心を癒す名目で銭湯を開業した。
もともと狗道家の神社付近には温泉が湧いていた。おかげで神社の近くに銭湯として有名だった。外観は懐かしさを感じる寂れた銭湯だ。
それがまた人々の心を癒すのだ。

そして、いきなり話は変わるが、私と母に父はいない。いや、厳密にはいないとされている。私と母は祖母の超常の能力で生み出された複製体になる。しかし、母も祖母も誰かを愛する事をやめなかった。何より夜戸家は狗道家と相性の良い血を絶やさない決まりもあった。

つまり、私の父は狗道家現当主・狗道太一、母の父は狗道家前当主・狗道一郎太になる。私の祖父は狗道一郎太になるのだ。

当然、完全なる近親相姦になるが、DNA鑑定を持ってしても私達の親子関係は暴けず、あくま親戚関係でしか暴けないようになっている。
これは間違いなく祖母の計らいだ。自身の肉体を改造してでも多少の世間体から私達を守るために。

そして同時にこれは狗道家の男を愛してもいいという証明でもあった。


21/12/14 22:53 (FUq2K43b)
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