僕は、公務員の父の家庭に育ち、妻は、大企業の管理職の父の家庭に育った一般人で、会社の同期であった。

ところが、お互いの祖父が同じ年に他界して莫大な遺産が入ったのである。
祖父達はいわゆる一等地で暮らしていた。僕の祖父はY駅から徒歩5分、義祖父は芸能人も住む都心に近いリゾート地だった。
父達は、丁度定年退職したばかりで、退職金も公務員と大企業の管理職だからそれなりに有った。更に遺産が急に入ったから、退職の自分のご褒美にお互い仲良しだったから夫婦4人で海外旅行に行った。

ところが、飛行機が墜落し、遺産や退職金、更に保険金まで僕達一人っ子の夫婦に転がり込み超富裕層に成ってしまったのである。

料理が終わったヘルパーのYは、寝室の掃除をしている。
この部屋にはペットボトルやジャンクフードの食い散らかしたゴミや沢山のティッシュが散乱していた。
（毎度の事だけど、Kさん達は性欲の限界は無いのかしら？うわー、ティッシュにザーメンが沢山。どんだけ出すのよ。）

「あなたってケチ。お金沢山あるのに外食しないよね。」
「ケチじゃないよ。デリバリー取るだろ。あれって外食より高いんだよ。」
「そうだわ。じゃあなんで？」
「服を着るが面倒くさいだけ。僕達富裕層でも、裸で外出たら駄目だろ。」
「バカ！変態。」
と、妻が言ったら、二人は大爆笑したのである。

国会議員や官僚は、ほとんどが富裕層である。消費税など税金をバンバン上げたから、格差社会に成った。
金利政策は、累進にしたから
資産のある富裕層は利息が沢山入るから更に格差が広がった。

7億の遺産が入った僕達はめちゃくちゃラッキーだったのである。

「済まない。汚してしまったから清掃の人に渡してくれ。」
と、グリーンアテンダントにチップを渡して僕達は電車を降りた。

久しぶりに外出した。
妻が、
「あなた。もうすぐ結婚記念日よ。たまには旅行に連れてってよ。」
と、言ったので、
「いいよ。ホテルなら裸でいられるし、新幹線なら個室もあるからな。」
と、僕が言ったら、彼女は、
「バカ！変態。」
と、言ったので、二人は大爆笑したのである。

グリーンアテンダントは、チップの封筒見て驚いた。自分の、ひと月の給料より多かったのである。

「アテンダントさんがチップ貰ったの判るわ。こりゃヒデェ。」
と、清掃スタッフはため息をついていた。
アテンダントは、チップを独り占めにしようとしたが、あまりにも部屋が酷いので、彼にも渡したのである。

僕達は、セックスをして散らしたのは当たり前だが、トイレに行くのが面倒で飲み物の空き容器に小便までしたのである。
「オイオイ、トイレくらい行けよ。全く奴らは俺達貧困層を人間だと思ってないな。チクショー。何だよ弁当食べてないのかよ。ウワー。」
彼が、重たい弁当のフタを開けたら、大量のウンコが入っていたのである。

「いやー。今日はついてるな。あんな上客乗せたなんて。しばらく旨い飯が食べれるぞ。」
タクシーの運転手は、弁当を食べながら独り言を言っていたのである。

高級ホテルには、源泉掛け流しの露天風呂はないので、タクシーの運転手に、大量のチップと駅で一番高い弁当を買って渡して山奥の露天風呂に行った。
タクシーは、僕達が出てくるまで、駐車場で待たしていた。

この露天風呂は、更衣室は、別だが風呂は混浴である。
また、こんな山奥の平日の昼間に富裕層なんていないから、僕はタオルで前も隠さず、妻は湯浴みなんて着なかった。

妻が、
「あなた！勃ってる。」
と、指を指して言ったので、
「流石にタクシーの中じゃ出来ないから、もう溜まっちゃたよ。」
僕が言うと、妻が、
「バカ！変態。」
と言ったので、二人は大爆笑しながら、湯船に入ったのである。