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君に呪いをかけられて。
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:君に呪いをかけられて。
投稿者: はるまき
ファンタジー要素、ショタ要素出てきますので、苦手な方はスルーしてください。

*************


神さま仏さま、魔王さま閻魔さま…

えーと、えーと…

この際誰でも構いません。

私の気持ちを踏みにじったあの男を、思いきり痛い目にあわせてください!

どうか、どうかお願いします。


*********

「おーおー、今日もモテてるねぇ。あんたの元カレ」

「…あんなやつ、元カレでも何でもないよ。あんなの付き合った内に入んない!」

「まぁまぁ。確かにあの別れ方は腹立つけど、あんまり騒いでると『取り巻きたち』に睨まれるよ」

「うぐっ……うぅ~悔しいよぉ~~あの性悪男めぇぇ」

賑やかな社員食堂。

1番人気のテラス席を陣取って、楽しそうにランチタイムを過ごしているのは、私の「元カレ」である来島遼太(くるしま りょうた)と、美人で華やかな取り巻きの女性社員たちだ。

窓から離れた日の当たりにくい席で、肉うどんを食べている私の名前は、榊塔子(さかき とうこ)。

今年で25歳、可もなく不可も無くな容姿、仕事の出来も人並みの平凡なOLです。

そんな私が、部署内イチのモテ男、来島くんと付き合うなんてこと自体、今思えばおかしなことだったのだ。

彼とは3年前、新入社員の研修で出会った。

顔が良いだけでなく発言力もあり、リーダーシップも取れる。

私とは住む世界が違うなぁと思っていたが、こんな平凡女にも分け隔てなく優しく接してくれるので、私は簡単に恋に落ちてしまった。

偶然にも同じ部署に配属され、私は毎日がとても楽しくて充実していた。

しかし平凡な故に彼にアプローチする勇気もなく、私は「気の良い同期」として接することに徹していた。

そんな私たちに間違いが起こったのは、今年の3月末。

『俺さ、榊のこと…前から良いなぁって思ってて』

職場で花見をした後、片付けたごみ袋を抱えているところで来島くんから突然の告白を受けた。

驚いてぶちまけてしまったごみを、笑いながら拾ってくれた顔が今でも頭から離れない。

私に断る理由もなく、晴れて恋人同士になれたのに、付き合って2週間も経たない頃…

『ごめん、やっぱ付き合うの無しにしてもらって良い?なんか…いざ付き合ってみたら何か違うかなぁって…』

という訳の分からない理由でフラれてしまった。

付き合っている間、彼は1回家に来てくれたので私は精一杯の手料理を振る舞った。
その夜に初めてセックスして、夢のような時間を過ごした。
それなのに「何か違う」ってどういうこと!?

突然の別れを私は受け入れられず、悲壮感にうちひしがれていた時に追い討ちがかけられた。


『本当に付き合ってないのぉ?榊さんと一緒に帰ってるの見た人たくさんいるんだよ~』

『付き合ってないよ~こんなに可愛い子たちに囲まれてるのに、何でわざわざ榊さん選ぶの?』

『ぷっ…やっだ、遼太くんひどーい(笑)』

『本当のことじゃん(笑)俺、みんなと遊んでる方が楽しいもん~』

休憩ラウンジで楽しそうに取り巻きとしゃべっているところを偶然聞いてしまい、私は愕然とした。

あんなに素敵な人だと思っていたのに、私はからかわれていただけなんだ。

悔しくて悲しくて、私は一晩中泣いた…

「…ていうのにあの男は!
相変わらず女はべらせて!良いご身分よね!!
っとに…腹立つわぁぁぁ~」

「そんな嫌な人に見えないけど…人って分かんないもんだね」

よしよし、と同期のみなみちゃんが頭を撫でてくれる。

「…私、あれからあいつに怨念送ってんの」

「は?」

「ネットで毎晩『呪い』『仕返し』って検索してるから!
あいつの下半身が爛れて、使い物にならなくなってしまえって思ってるから~~!!」

「平凡な顔して考えることがエグいわぁ」


良いでしょ、これぐらい思っても。

私はそれ以上に傷つけられたんだから。

どうせ気休めでしかないけど、あいつが痛い目にあうように願うことで、私は正気を保っているのだ。

*********

翌日、彼はオフィスに来なかった。

「え~来島くんだけど、急な体調不良で今日は休みだから」

(ま、まさか本当に爛れた!?)

ちょっと寒気がしたものの、良い気味だと思い直した。

彼のいないオフィスで、目の前の仕事を淡々とこなし、定時まで働いてまっすぐ家に帰る。

こんな平凡な日々を過ごしていけば、私の傷もいつか癒えるはすだ。


「みなみちゃん、帰れる?」

「ごめーん、まだかかりそう。先帰ってて」

「分かった、お疲れさま」

有能なあいつが休んでいたため、今日はいつもより忙しかったのが何だか悔しい。 

ため息混じりでオフィスを出たところで「おい」と声をかけられた。

視線の先には、見たことのない小学生か中学生くらいの男の子が立っている。

そして思いきり私を睨んでいた。

(え、私?だ、誰この子…)

「おっせーよ!」

「あ、あの人違いかなぁ?」

「…ったくお前なぁ、何てことしてくれてんだよ!」

少年は私に向かってズイズイと向かってくる。

「っ!!?」

びっくりして私は思わず逃げてしまった。

「おい!待てよ!!」

(なになになに?あの子なに!?こ、こわ~何で見ず知らずの子どもにキレられてんのぉ!?)

何度も迂回しながら、後を付けられていないことを確認して家についた。

ほっと安堵したのも束の間。

「お前~~どこほっつき歩いてたんだよ!」

「ひいぃ!!」

さっきのキレる少年は、さっきよりもキレた顔で私の部屋の前に立っていた。

「け、け、け、警察~!」

「落ち着け!榊、話聞けって!」

「な、名前まで知って…えぇ~ストーカー!!?」

「んぁ~もぉぉ…俺だよ!来島!!お前の元カレの来島だって!」

少年は真剣な面持ちでそう叫んだ。

「………は?」

「だからぁ、来島なんだって。朝起きたらこんなことになってたんだよ!」

「あ、悪の組織に、何か毒物を…」

「名探偵の話じゃねぇんだよ!!」

落ち着け。落ち着け私。

この戯れ言少年はきっと来島くんの悪戯だ。

何らかの理由でこの子を使って、私に嫌がらせを…

「…あのね、その来島って人に頼まれたの?
悪いけど私とその人は何の関係もないから。
もう暗いんだから、早くおうちに帰りなさい」

「…やっぱ信じねぇよな」

「いくら頼まれたとは言え、知らない人の家まで来て騒ぐなんてダメなんだからね」

「ピンクのレース。真ん中にちっちゃいリボン」

「え?」

「半月前、俺とセックスした時に榊が着けてた下着の色!」

「……えぇ??」

「あと、へその右側にほくろ。くすぐったいから触らないでって笑って…」

「ちょっ、まっ!…え、えぇぇ!!?」

「まだ信じない?他にもあるよ。首筋には」

「わーー!わ、分かったから!ちょ…い、1回入って!」

有り得ない、そんな漫画みたいなことあるわけない、と混乱しながら、私は少年の手を引いて部屋のドアを閉めた。

「やっと信じたか」

ふんっと腕を組みながら、混乱している私を見る少年。

「く、く、来島…くん?えぇ~~」

神さま仏さま、魔王さま閻魔さま?

こ、これって私のせいなのでしょうか?


つづく
2018/05/21 21:08:39(thh7PhBH)
2
投稿者: はるまき
「やっと信じたか」

目の前の少年がため息をつきながら呟く。

「えぇ~う、嘘だよねぇ?そんな…しかも何で私が責められてるのぉ…」

「それはコイツが…」

来島少年が私の後ろを指さすので振り返ると、10センチほどの女の子(?)がふよふよと浮かんでおり、バッチリと目があった。

〈あ、そろそろ説明かわろっか?〉

ぎゃーーー!とひっくり返りそうな私を無視して、女の子は薄く透けた黒い羽をパタパタと動かしながらニコニコと笑っている。

真っ黒なフリルのワンピース、ツインテールの艶々黒髪、尖った耳先…それはまるで。

「あ、あ、悪魔…召喚しちゃった…??」

〈違うよ~(笑)これは個人的趣味の格好♪
私は『呪いの取り扱い説明書』兼『アドバイザー』ってやつだよ〉

「の、呪いの…」

〈塔子ちゃん、来島くんのこと毎日恨んでたでしょう?〉

ギクッとする。

〈この世の中、恨み嫉みで溢れかえってるから珍しくないんだけど。ネットにもたくさん、相手を呪う方法が載ってるし。
まぁ大体が眉唾物だし、素人がやってもほとんど効果ないんだけどね。
時々塔子ちゃんみたいに変な波長があっちゃって、呪いがバッチリかかっちゃうケースがあるわけよ~〉

「呪いが…バッチリ…」

恐る恐る来島少年に目をやると、眉間にシワを寄せて難しい顔をしている。

〈でもね、いざ呪いが完成して、その後焦ったり後悔する人が多いのよ。
そこで私たちみたいな存在が手助けにくるってわけ。
そのためには可視化できたり喋れる方が便利でしょ?
だからこんな姿形でやってるってわけで~〉

混乱する頭を抱える。

「俺が今朝、こんな姿になってパニクってたらコイツが現れて…」

《え~来島遼太くん!あなたにはこの度、正式に呪いがかけられました~
呪いの送り主は「榊塔子さん」です。
呪いを自力で解くことは出来ませんので、どうにかして欲しい場合は、塔子ちゃんと交渉することをお勧めしまーす》


「それで、待ち伏せしてたわけね…」

「こんな姿、誰にも見せらんねぇだろ。
…榊に、呪いを解いてもらおうと思って」

「あ、あの…手助けって、つまりは呪いを解くってことですよね?」

〈二択だね。呪いを解いてあげるか、正しく呪いを使いこなして相手をとことん苦しめるか…
そのお手伝いを、私がしてあ・げ・る♪
もちろん送り主の塔子ちゃんに決定権があるよ~〉

「ちょいちょい、呪い解いてもらうためにここに来たんだろ!?
何だよ、とことん苦しめるって…」

〈だって来島くんは、塔子ちゃんが呪いたいって思ってた相手なのよ?
もっと苦しめたいって思う人もいるわよ~〉

「そんな…なぁ榊ぃ、頼むよ~」

お願い!と、来島少年は私に手を合わせてくる。

胸がざわつく。喉が苦しい。

「わ、私が…来島くんのこと…呪いたいくらいに傷ついてたって…分かってる?」

お腹の中に沈んでいた、嫌な気持ちが上がってくる。

「す、好きだったのに…大好きだったのに、あんな…ひどい別れ方…そもそも私のことなんて好きでもなかったくせに…」

「榊…あ…の、俺…」

「……いい気味だよ」

「え?」

「…来島くんなんて一生そのままでいれば良いのよ!人のこと簡単に傷つけて、自分が困ったらノコノコやって来て…」

グイッと彼の腕を掴み、ドアの外に追いやる。

「出てってよ!本当は顔なんて見たくないんだから!さっさと出てってよぉ…」

「えっ、あ、榊!ちょ、ごめんって。お願い、話させて!ちょっと…あっ」

バタンッ!ガチャッ!

相手は子どもだから、私の力でも簡単に追い出すことができてしまった。

ゴンゴンと外からドアを叩いて名前を呼ばれたが、無視し続ける。

泣いても泣いても、来島くんを思うと涙が止まらない。

しばらくすると「ごめん…」と小さな声で呟いたのが聞こえ、音も止んでしまった。

〈来島くん、帰ったのかな?こんな遅くに歩いてたら補導されちゃうかもねぇ~(笑)〉

小さな彼女は、可笑しそうにパタパタと羽を動かしている。

〈呪い、強くしちゃう?〉

「…知らない、もう関係ない」

〈ありゃ、放置パターン?まぁいいけど~〉

もう関わりたくない。呪いとか知らない。

〈仕事だから一応伝えとくけど、放置してたら最終的には来島くん、ダメになっちゃうからね〉

「…え?」

〈当たり前じゃん。彼の身体は今、13歳まで戻ってるの。
塔子ちゃんの呪い、ちょっと不完全でね。若返ったのは身体だけ。頭の中は25歳のままなの。
こんなの人間ではありえないことでしょ?
そのありえないアンバランスさが、どれだけの負担か想像つく?
呪いを強めて本当の子どもにしちゃうか、呪いを解くかしないと、来島くん壊れちゃうだろうね~〉

「え、なにそれ…嘘でしょ?」

〈私、嘘つきませーん♪

まぁ良いんじゃない?正直放置って1番フィジカル的にキツいだろうし。
彼、誰にも頼ることできないもんね~メンタル的にもだいぶキテると思うよ(笑)〉

「そんな…」


『ごめん…張り切って作りすぎちゃった…』

『うわっ、うまそう!全部榊が作ったの!?すげぇな~』

『お、美味しくなかったらごめん…無理に全部食べなくて良いから…』

『何言ってんの、すげぇうまい!ありがとうな、全部食うよ!』

『…ふふ、後でお腹痛くなっても知らないから(笑)』


「………」

〈塔子ちゃーん?〉

「…やっぱ無理」

腹立つけど、悔しいけど、でも…

大好きだった来島くんを本気で呪うなんて

「…無理だよ」

バタバタバタッ

来島くん、家に戻ってるの?

それとも、どこか行きそうなところ…

ガチャンッ

「…!!」

ドアを開けると薄暗い廊下に、小さな来島くんがちょこんと体育座りをしていた。

「く、来島くん…」

「はは、やっぱ開けてくれた。榊ってばお人好しだからなぁ…」

来島くんが、申し訳なさそうに笑う。

よく見たら、ブカブカのTシャツとズボン、靴もサイズが合わずにカパカパな状態。

こんな格好では周囲から訝しげに思われただろう。

「ご、ごめんね。来島くん、ごめん…ごめんなさい…」

「俺が悪かったんだよ。こっちこそ、テンパってキツい言い方してごめん」

「…呪い、解くから。ちゃんと解くから…」

春の夜はまだ寒い。

冷たくなった来島くんの身体をギュッと抱き締めながら呟いた。

*********

〈じゃあ塔子ちゃん、呪いを解くということでOK?〉

「お願いします…」

〈了解~〉

彼女の明るいOKサインを見て、ほっと胸を撫で下ろす。

何やらパラパラと古い小さな本を読んでいる。

〈ふむふむ。えっとね、塔子ちゃんの呪い、結構「インの気」が強いのね。素人の呪いのくせになかなか厄介~〉

「い、陰の気…そんなどす黒いものが…私の中に…」

〈ノンノン、「陰」じゃなくて「淫」ね!
どす黒いっていうより、どピンクだね!キャハハ♪〉

「…は?」

ニヤニヤと笑いながら、彼女は説明を続ける。

〈塔子ちゃん、来島くんとのエッチ、充分に出来なかったんでしょ〉

ギクリとする。

「え、そうなの?」

「いや~何て言うか…そのぉ」

〈塔子ちゃんってばセカンドバージンだったから、かなり緊張してたもんねぇ(笑)
大好きな来島くんは自分を気持ち良くしてくれてるのに、自分は何のご奉仕も出来ない…もっと気持ち良くなって欲しい、自分が気持ち良く出来てたらフラれることなんてなかったかも…なーんて、毎晩飽きもせずモヤモヤしてたもんねぇ~〉

「そんなこと考えてたの…」

「うぅぅ…」

あまりの恥ずかしさに死にそうになる。

〈来島くんを恨めしく思う気持ちと、エッチした時の高揚感、もっとこうしてあげたかったっていう後悔…そういうのが複雑に混ざりあって…どピンク状態ってこと(笑)〉

「もう解説はいいから!どうしたら解けるか教えてよ!」

これ以上、来島くんに私の恥ずかしい気持ちを知られたくない。

〈呪いの原動力がこの「淫の気」だからね。これを解放してあげなくちゃ〉

「解放…?」

〈つまり、塔子ちゃんが来島くんとエッチして、来島くんが気持ち良くなったら…こっちでは射精って言うのかな?その度に少しずつ年齢がもとの状態に戻るってわけ♪〉

「はぁぁーー!?」

「せ、セックスしろってこと!!?」

目の前がクラクラする。

そんなバカみたいな話があるものか。

「しかも今の言い方、1回しただけじゃ完全に戻らないってことか?」

〈そうなのよ~塔子ちゃんの呪い、雑すぎてかかり方もこんがらがってんのよね。
上手にかけてたら1回で済んでたのに(笑)〉

「そ、そんな…」

「…俺がひとりでオナニーするとか、風俗行くとかじゃダメなわけ?」

〈ダメダメ~塔子ちゃんの淫の気、舐めんじゃないわよ!〉

「やめてぇ~~」

嘘でしょ、今さらフラれた相手とセックス?

来島くんも難しい顔をしていたが、覚悟を決めたのか私の手をギュッと掴んだ。

「榊…本当に申し訳ないが協力してくれ!
…嫌だろうけど、なるべく榊も気持ち良く感じるように、俺頑張るから!」

ドーンと来島くんを突き飛ばすと、小柄な身体は思いきり吹っ飛んだ。

「む、無理無理無理無理!!
いくら頭の中が一緒って言われても、目の前にいるのは中学生の男の子なんだよ!?
そんな子とセックスなんて…わ、私…淫行で捕まっちゃううぅ~~」

〈あ、それは大丈夫よ。13歳の来島くん自体はこの世に存在しないから。目の前にいるのは、見た目は13歳でもあくまで25歳の来島くんだから♪ノット条例違反なのです~〉

「榊…そういうことだから安心しろ。
これは合法ショタだ!存分に堪能してくれ!」

バッと手を広げる来島くんを前にして、私はめまいがしそうだった。

つづく
18/05/22 01:41 (3d96d8Pf)
3
投稿者: はるまき
today´s DETA
physical age:13
height:150㎝

*********

目の前で次々と起こった非現実的な出来事に、私の脳みそはキャパオーバーとなりふらふらとへたり込んでしまった。

どうやら、そのまましばらく眠っていたようだ。

時計は0時過ぎを指している。

「…なーんだ、夢だったかぁ~」

〈そんなベタなオチはないからね〉

目の前にさっきの小さな女の子がくるくると回っている。

そしてソファには、座ったまますぅすぅと寝息をたてている小さな来島くんもいた。

「あぁぁ~夢じゃなかったかぁ~~」

ガックリとうなだれる。

ちなみに、この小さな彼女に名前を聞くと《私は説明書の「No.5211」だから、特に名前はないよ~》と言った。

名前がないのは不便だし、番号で呼ぶのも何だか可哀想だったので、5(コ)2(ニ)1(イ)1(ー)…コニーちゃんと呼ぶことにした。

コニーちゃんはその名前を大層気に入って、嬉しそうにくるくる飛んでいた。

〈来島くん、ぶっ倒れた塔子ちゃんを必死にベッドまで運んでたわよ。「重い重い」って言いながら…〉

「っ!腹立つなぁ~~しかも呑気に寝ちゃって」

〈まぁまぁ、体力も腕力も13歳なんだから(笑)
こんな時間まで起きてるなんて、子どもにはキツいんでしょ〉

「まぁ…そうだけど」

はぁ…とため息をつきながら来島くんに毛布をかける。

「来島くん、座ったままじゃなくて横になって寝たら?」

「ん、んぅ~」

かけた毛布に頬ずりしながら、そのままパタンと横に倒れてしまった。

改めて見てみると、中学生の来島くんはとても可愛い。

つるつるな肌や髪、長いまつげ、華奢な手足。

小柄で声変わりもしてないから、本当に「美少年」という感じだ。

「…イケメンは子どもの頃からハイスペックなのね…」

ぷにっと頬を突っつくと「んぅ~」と可愛く反応する。

「……う、可愛いな」

〈今なら合法でやりたい放題だよ♪〉

いつの間にかソファの縁に座っていたコニーちゃんがニヤニヤと笑っている。

「ち、違うから!そういう意味で言ったんじゃないから!」

〈照れなくていいのに~〉

「…ねぇ、本当に来島くんとセックスするしか方法はないの?」

〈それ、塔子ちゃんが寝てる間に来島くんにも聞かれた~
セックスするだけなのに、そんなに大変なことなのぉ?〉

「そんなに大変なことなのよ…」

私のこと好きでも何でもないって分かってるのに、今さら来島くんと…しかもこんな姿になってるのに…

「んん……めん…ご、めん…ね…さかき…」

「………」

〈あら、彼にも何だか罪悪感があるのかなぁ~
ほらほら、人間って仲直りエッチってのがあるんでしょ?そういうことにしといたら??〉

「ケンカしてるわけじゃ…ないんだって」

謝るくらいなら、何であんなこと言うのよ。

釈然としない。腹の虫も治まらない。

痛い目にあえば良いって思っていたのに、いざ困っている姿を見ると放っておけない。

「はぁぁ…私ってめんどくさい」

〈塔子ちゃんみたいなめんどくさい人間、たくさんいるから大丈夫よ♪〉

コニーちゃんは羽をパタパタと動かし、私のむくれた頬をくすぐってくる。

「…今日はもう疲れた。明日考える…」

どっと疲れた私は、そのまま眠りに落ちてしまった。

*********

ガツガツガツ!

ごくっごくっ…

「ぷはっ!おかわり!」

「…は、はい」

来島くんは、朝っぱらからご飯をもりもりとたいらげ、2回目のおかわりをせがんだ。

「いつも朝からこんなに食べてるの?」

「いやいや、身体と一緒に食欲も育ち盛りの時に戻ったんだろ。
俺チビだったから、デカくなりなくてすげぇ食ってた記憶があるよ」

悪夢のような日から一夜明け、来島くんは私の部屋にしばらく居候することになった。
(身体が急におかしくなったら怖いじゃないの!)

もちろんこんな姿で仕事に行けるはずもなく、当面の間は仕事を休むことになった。

「度重なる腹痛と頭痛と肩の脱臼と足の捻挫で動けないので、しばらく休ませてくださいってことにした」

「そんなむちゃくちゃな理由が通るなんて、部長も来島くんに甘いんだから…」

「まぁ日頃の業績と信頼のおかげかな」

本当のことだから、自惚れるなとも言えない。

「じゃあ私は仕事に行くけど、何か身体がおかしかったらすぐに連絡ちょうだいよ!」

「はーい。いってらっしゃーい」


カチャカチャと食器を片していると、まだ眠たそうなコニーちゃんがふよふよとやって来た。

〈塔子ちゃん、仕事に行ったのね~〉

「うん」

〈わっ、お昼のお弁当まで作ってる!
なーんて言うか、本当お人好しな子ねぇ~〉

「……そこが良いんだよ」

〈じゃあ何であんなひどいこと言ったのかしらねぇ~25歳の来島くんは~〉

「それは……それは、まぁ…いろいろあって…
あ、ほら!このあと服買いに行くから付いてきてよ。いつまでもこれじゃ動きにくいから…」

ブカブカのシャツの袖を何度も捲りながら、不便そうにぼやいた。

つづく
18/05/22 18:13 (TRZJGFf7)
4
投稿者: はるまき
「塔子~帰りご飯食べて帰らない?」

「あ、えーと…今日はちょっと…ごめん、また今度で…」

「なになに、もしかしてデートぉ?」

うふふとみなみちゃんが笑うと、近くのデスクからプッと吹き出すように笑われた。

来島くんの取り巻きの中心、白沢さんだ。

「あ、ごめぇん。何か榊さんってそういう話全然聞かないからびっくりしちゃって(笑)」

クスクスと他の取り巻きもおかしそうに笑っている。

「あはは、別にデートとかじゃないから~」

腹が立つのに、本人を目の前にするとついヘラヘラしてしまうのは私の悪い癖だ。

「そうだよねぇ、デートならそんな普通の格好じゃなくて、もっとおしゃれして来るよね~」

「ふ、普通の…格好」

私はこの春初めておろした、綺麗なすみれ色のスカートの裾をぎゅっと握った。



「ったく、白沢のやつムカつくわぁ。来島くんがいないから、いつもの100倍ウザイわぁ~」

「うぅ、みなみちゃんのそーいうとこ好き。
私以上にムカついてくれてありがとう…」

「来島先輩の前では可愛いキャラでいてくれますけど、いないから当たりが強いですよね…」

みなみちゃんと、後輩の堀ちゃんと3人でオフィスを出る。

「塔子と来島くんが付き合ってるかもって噂が流れた時、露骨に嫌がらせされたもんねぇ」

「そうそう!噂の段階であれだから、本当に付き合ってることがバレたらどうなるかと思いましたよ~」

そう。白沢さんはずっと来島くんを狙っている。

来島くんと一緒に帰ったことで私は彼女の反感を買い、さりげなく仕事を押し付けられたり、小さなミスの責任を被せられたりした。

堀ちゃんの言う通り、付き合っていることがバレたらもっとひどいめに遭うかもと思ったが、そんなことどうでも良いと思えるくらい、来島くんの傍にいられることが幸せだった。

それなのに…

「来島くんもさぁ、良い人だと思ってたのに結局はああいう部類の人間ってことなのかしらね」

「やっぱり性格の良いイケメンなんて都市伝説なんですよ!」

あの日の、休憩ラウンジでの会話が頭の中で蘇り、胸がチクリとする。

「じゃあね、塔子。今度は付き合ってよ~」

「塔子さん、お疲れさまでーす」

「うん、またね」

ふたりと別れて、早歩きで家路を急ぐ。

ガチャンッ、バタンッ

「ただいまっ!」

少し息を切らしながらドアを開けると、来島くんとコニーちゃんが声を揃えて「おかえり~」と出迎えてくれた。

来島くんはSサイズのTシャツとジャージを購入したらしい。

まだだいぶ大きいが、それでも今朝の服よりはマシだ。

「コニーがレディースに連れていこうとするんだよ!ひどくない!?」

プリプリと元気そうに怒っている姿を見て、ほっとした。

だけど、このまま何もせず過ごすのは彼を「放置」しているのと同じだ。

いつ、どんな形で来島くんに異変が起きるか分からない。

でもやっぱりセックスは気が引けるよなぁ……

「うーん」と唸りながら夕飯の支度をする。


「…なぁ、本当にやんなきゃダメ?榊のこと怒らせたくないんだよ…」

〈このまま待ってても何も進まないでしょ~〉

「そうだけど…俺、やっぱ恥ずかしい…」

〈往生際が悪い!〉

「……はぁ、分かったよ」

コトコトコト…

「来島くん、そろそろ出来るから机片付け…え?」

私が味噌汁をよそおうとしたら、来島くんは急に左腕にしがみついてきた。

「ど、どうしたの…危ないよ?」

さらにギュウウッと来島くんは力を込め、すりすりと頭を寄せてくる。

「えっ、なに、どしたの?」

「俺…榊と…その…」

「へっ!?ちょっと…え…」

「あの…お、お願い………お、お…おお…」

「お、お?…え、なに?」

顔を上げた来島くんは真っ赤になっており、もじもじと何か言おうとしている。

「…お、お姉ちゃん…俺、お姉ちゃんとエッチなことしたい…」

「っっっ!!!」

ガチャリ。

開けてはいけない扉が、思いきり開いてしまう音がした。

********

『はぁ!?そんなこと絶対言いたくねぇ!』

《塔子ちゃんは、来島くんとエッチすることに抵抗があるのよ?なんせフラれた相手だもんね~》

『うっ…』

《だから、最初はできるだけ「来島くん」ってことを意識させない方が良いと思うの!13歳になりきって、可愛くおねだりしてごらんなさい!》

『そんな…無理だって。子どもとヤルって方がハードル高いだろ…榊に通用すると思えないけど』

《あなた今日服買いにいって、何回周りに声かけられてたと思ってんの?自分のショタ力を信じて、塔子ちゃんの母性をマックスまで駆り立てなさい!》

『…嬉しくねぇ…』

《言っとくけど、呪いは止まってるわけじゃないのよ?じんわりと継続してるんだから、このままエッチしないとあと3日もしない内にもっと若返っちゃうよ!それでも良いのぉ~?》

『…それは困る』

《じゃあ頑張れ!男の子でしょ!
全身全霊でおねだりすれば、あの子の性格上断れないと思うのよね~》

『お前…やっぱ悪魔なんじゃ…』

《失礼ねぇ~私は「アドバイザー」でもあるのよ!》


「く、来島くん…ちょっと…1回離れよっか?」

「…やだ」

来島くんの突然のおねだりに私は身動きが取れず、今は前から抱き付かれた状態で固まっている。

「やだって…あの、来島くん…」

「…エッチしてくれるまで離さない」

〈ぷぷぷ(笑)来島くんも吹っ切れたね~こんなに可愛くおねだりできるなんて上出来よ♪〉

「…うるせぇ、コニー」

来島くんは真っ赤になってコニーちゃんを睨む。

「コニーちゃん!どうにかしてよぉ!」

〈どうにもなんないよ~
塔子ちゃん、来島くんがこーんなにお願いしてるんだから、そろそろ応えてあげたら?〉

「そんなぁ…」

「コニー…お前、絶対のぞくなよ…」

〈そんな野暮はいたしません~♪〉

グイッと私は来島くんに手を引かれ、寝室に連れ込まれた。

抵抗する間もなく、ベッドに押し倒される。

「うぐっ!わ、来島くんまって!」

「ごめんな…元に戻ったら、ひっぱたいてくれて良いから…」

「えっ…んっ…」

くちゅ、ちゅっちゅ…むちゅ

来島くんに何度もキスをされ、首筋に舌が這う。

「っや…あっ…あう」

首筋は弱い。初めてセックスした時にも、からかわれるように何度も責められた。

小さな手が服の中に入り、ブラがずらされていく。

「ひゃっ!あっ…だ、ダメぇ」

細い指が私の乳首に触れていく。

目の前にいるのはどう見ても子どもなのに、慣れた手つきでどんどん服が脱がされていく。

力では敵うはずなのに、抵抗できない。

チュプッ、ちゅう…チュッ…

固くなった乳首を吸われると、私の身体はビクビクと反応してしまう。

「…可愛い」

来島くんはそう言いながら、Tシャツを脱ぐ。

細い腰、華奢な腕。

未発達なその身体は、まさしく「少年」だ。

「や、ヤバイよこんなの…やっぱダメダメ!無理だって!」

「………どうしてもダメ?」

来島くんを見ると、頬を赤らめて少し泣きそうな顔をしている。

「~~~!!」

「俺…こんなになっちゃってる…助けてよ」

私の身体に、来島くんの固いものがあたる。

「えっ!こ、子どもなのにこんな…」

「子どもでもエロいことしたら勃つよ。
…榊に…いや…お、お……お姉ちゃんに……入れてもいい?」

「そ、その呼び方やめてぇ…恥ずかしいからぁ!っあ!やぁ…」

彼の指が私の中に入ってくる。

クチュっ…ぐちゅぐちゅ…

「…お姉ちゃん、グチョグチョになってるよ」

耳元で囁かれながら、細い指が何本も中で動いており、私は声を押さえることができない。

「っあぁ…や、ダメ…んぅっ」

「俺ももうダメ…ごめんね、入れさせて…」

ジャージを脱ぐと、まだ小さめのペニスが苦しそうに勃起している。

「や…あ…」

ツプンッと私の中に入ってくる。

小さくてまだ奥に届かないが、それでもこのまま突かれたらヤバイかもしれない…

そう思っていると、来島くんはピクリとも動かず、小さく震えている。

「……な、んだこれ…や、ヤバ…うっ…うぁぁ」

「…来島くん?え、だ、大丈夫!?」

「わっ!動くな!ダメっ…う、あっ…ああぁ…っ…ぅあぁ」

「え…」

彼はビクビクと射精してしまった。



〈そろそろ終わったぁ~?あ…察し(笑)〉

私たちは背中合わせで、どんよりとうなだれている。

(うぅ…泣きながら射精させてしまった…いたいけな少年を犯してしまった気分…ヤバイぃぃ…ごめんなさいごめんなさい…)

(あんなに恥ずかしい思いしてやっとセックスに持ち込んだのに、入れただけでイクとか…何これ死にたい…)

ふたりして暗い顔でブツブツ言っていると、コニーちゃんが笑いながら来島くんの頭に座った。

〈来島くんってば何落ち込んでんのよ~
13歳の時なんてサッカー三昧でオナニーもろくにしてなかったのに、そんな身体で突然入れたらすぐイッちゃうに決まってるじゃない〉

「そんなこと…何も教えてくれなかったじゃねぇか…」

真っ赤な顔して半泣きになっている。

〈でも気持ち良かったでしょ?
うふふ、明日になったら1~2歳は戻ってるわよ~〉

「1~2歳…」

「そんな…あと何回すれば…」

〈知らなーい♪〉

「こ、の…ポンコツ!それぐらい分かれよ!」

「いやぁぁ~頭おかしくなっちゃうぅ~」

「っ!!ご、ごめん!榊~本当ごめんなぁ…」

「わ、私に近づいたらダメよ!来島くんを汚してしまうぅぅ~」

「そんなことない!そんなことないから、な!?大丈夫だから!」


こうして未体験の背徳感に襲われながら、第1回目のセックスは無事に(?)終わることができた。

つづく
18/05/23 10:20 (flHZMifS)
5
投稿者: はるまき
today´s DETA
physical age:15
height:161㎝

*********

「っくぅぅ~はぁ、あんま眠れなかった…」

大きくあくびをしながら身体を起こす。

昨夜、このベッドで私は来島くんと…

「………あぁぁ!朝からなに考えてんの!」

深呼吸していると、リビングから賑やかな声が聞こえる。

「すげぇすげぇ!見てよ、だいぶ腹筋とかついてるよな!?」

〈この頃にはだいぶ筋力も上がってきたもんねぇ。背はまだまだだけど(笑)〉

「うるせーよ。それでも一晩で10㎝以上でかくなると視界が違うわ~」

嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる来島くんは、15歳の姿になっていた。

まだまだ子どもだが、それでも昨日よりは成長している。

「あ、榊おはよー!なぁなぁ、本当に起きたら変わってた!すげぇよな~」

「お、おはよ。うん…びっくり。それに来島くん…声、昨日より低くなってる」

「あっ!声変わり!?よっしゃ、女みたいな声で嫌だったんだよ~
お、もうすぐ榊の身長も追い抜きそうだな~
へへへ♪」

来島くん嬉しそう。

そうだよね、早く戻りたいよね。

〈順調な滑り出しだね。
良かったねぇ「お姉ちゃん」とエッチできて~〉

クスクスと笑いながらコニーちゃんが茶々をいれる。

『っあ…う、ぁああんっ!!』

昨夜の半泣きでイッてしまった来島くんの姿を思い出し、真っ赤になってしまう。

「…てめぇ、覚えてろよ…」

来島くんも真っ赤になり、急に大人しくなる。

「あっ!あ、朝ご飯にしよっかぁ~」

私は恥ずかしさを消すように、明るく声をかけた。

*********

「土曜日だしさ、どっか行かない?」

昼ごはんを終えたあと、手持ち無沙汰な来島くんは私を誘ってきた。

「え?何言ってんの、知り合いにでも会ったらどうするの」

「…俺だって分かる?」

「……分かんないと思う」

ほんのりと面影があるとはいえ、知らない人が見たらただの美少年だ。

「身体動かしたくてウズウズしてんだよ~ボウリングでも行こうよ!」

「もぉ、仕方ないなぁ…」

〈おっと、デートですかい?じゃあ私も一緒に…〉

「「ダメ!!」」

声を揃えて断られたコニーちゃんは、ぷぅっと頬を膨らましてベランダに飛んでいく。


「大人2人、1ゲームで」

「えっと…大人…?」

店員さんが来島くんをまじまじと見る。

「あっ!す、すみません、大人1人、子ども1人で…」

「かしこまりました~」

ふぅ、と席についていると、後ろの球置き場から来島くんの呻き声が聞こえる。

「ど、どうしたの?」

「14ポンドが…持てな…くっ、重い…」

「今は15歳なんだから仕方ないよ。ほら、10か11くらいなら何とか持てるんじゃない?」

「い、嫌だぁぁ…嘘だろ……うがっ」

ガクンっと落としそうになる。

「もう、危ないでしょ!11で投げなさい!」

私は隣の棚にあった球を手渡す。

「やだよぉ、かっこ悪ぃ…」

「じゃあボウリング無しだよ!」

「いやだぁ~~」

私たちのやり取りを、近くのお客さんが「可愛いー」「姉弟かなぁ?」とクスクス笑いながら見ている。

カパーン!!

「よっしゃ、ストラーイク!」

「すごーい!」

渋々11ポンドの球を受け取った来島くんは、最初こそふて腐れていたが、ストライクを連投してすっかりご機嫌になっていた。

「見た?今の見てたぁ!?」

ニコニコと無邪気に笑う来島くんはとても可愛い。

「俺ちょっと飲み物買ってくる~」

ふぅ、コニーちゃん。これはデートと言うより子守りだよ。

それにしても、あの姿だから自然に見えるけど、来島くんって案外負けず嫌いで子どもみたいだ。

ちょっとおかしくなってニヤけてしまう。

「あれ、榊さん?」

「え?」

声をかけられ振り返ると、同じ部署の矢野くんが立っていた。

「やっぱ榊さんだ。こんなとこで会うなんて偶然だねぇ」

「わー矢野くん。びっくりしたぁ」

「矢野の知り合い?あ、女の子じゃーん♪」

どうやら数人の友だちと来ているようで、ワラワラと席に寄ってくる。

「矢野の同僚なんだ。名前は?」

「友だちと来てんの?合流しようよ~」

など騒がしく聞かれる。

「お前らうるさい。ごめんね~でも榊さんが良かったら、ぜひ一緒にどう?俺も榊さんともっと話してみたかったし」

にっこりと矢野くんが微笑む。

「いや~その…」

どうしよう、こういう時にヘラヘラと曖昧に笑ってしまうのも、私の悪い癖だ。

「ダメ」

ハッと振り返ると、ジュースを両手に持った来島くんが不機嫌そうに立っていた。

「えっと…榊さんの弟さん?」

「え!?あ、いや~」

「…いとこです!」

ドスンッと私の横に座り、みんなはキョトンとしている。

「…デート中なんだよ。邪魔すんな」

そう言って私に片方のジュースを手渡してくる。

来島くんの言葉に、男性陣は「うぉ、ヤキモチ!?」「か~わい~」と笑う。

矢野くんはポンッと来島くんの頭に手を置き、頭を撫でながら

「デート、邪魔してごめんな」

と微笑んで去っていった。

私にもヒラヒラと手を振っているので、思わず振り返すと、キッと来島くんに睨まれる。

「お前なぁ~あんなナンパ、ヘラヘラしてないできっぱり断れよ!」

「だって矢野くんの友だちだし…言いにくいじゃん」

「言いにくくても意思表示くらいしろよ!だから俺だってあんなこと言わなくちゃ…」

「あんなこと?」

「……何でもない。ほら、帰るぞ」

「えぇ!?まだ終わってないのに…ちょっと待ってよ」

家に帰るまで来島くんはほとんどしゃべらず、私も何となく話しかけられなかった。

ガチャンッ、バタンッ、ドスドスドス…

〈おかえり~
コニーちゃんを仲間外れにしたデートは楽しかったかい?って…なに、来島くん怒ってんのぉ?〉

「怒ってない!」

来島くんは、バタンッと寝室に1人で入ってしまった。

〈…めちゃめちゃ怒ってんじゃんね。塔子ちゃん、何したわけぇ?〉

「実は…」

事の顛末を伝えると、コニーちゃんはおかしそうに笑う。

〈キャハハハ!それ完全にヤキモチじゃーん!それで頭なでなではキツいわぁ(笑)来島くんプライドずたずたねぇ~〉

「しー!しー!声が大きい!」

バンッ!!

雑誌か何かがドアに向かって投げられたのだろうか。

〈うぷぷぷ、それにしても可愛いじゃない。ヤキモチなんて案外子どもっぽいとこあるのねぇ〉

「私とはもう付き合ってないんだから、何をそんなに怒るかなぁ…」

〈塔子ちゃんは男心が分かってないのねぇ~〉

やれやれとコニーちゃんは笑う。

ガチャンッ

〈おっ、来島くん。ご機嫌直ったかなー?〉

「……」

無言で来島くんは玄関へ行き、外へ出てしまった。

「えっ、えっ、どうしよう。家出??」

〈落ち着いて。やつは25歳の成人男子だから大丈夫よ〉

15分もしない内に来島くんは帰ってきたのでホッとした。

何やら買ってきたようで、コンビニ袋をガサガサさせている。

そしてリビングに入るやいなや、無言で私を引っ張る。

「え?な、なに。どうしたの?」

「……コニー」

〈はいはい。勝手に入ったりしないから、ごゆっくりどうぞ~〉

「…こっち来て」

「え、来島くん?えっ!?」

ガチャンッ

ボフッとベッドに座り、ここに座れと言わんばかりに、自分の隣をポフポフと叩く。

「は、はぁ…失礼します…」

ちょこんっと隣に座ると、来島くんはガバッと頭を下げた。

「さっきはごめん!キツくあたった!」

「えっ!?あ、いや全然いいだけど…でも私、そんなに怒らせるようなことした…?」

「…そういうわけではないんだけど…」

「だって…怒ってたよね」

「…あれは何て言うか……だって俺、すげぇかっこ悪かったじゃん」

「え?」

「ボウリングの球も持てねぇし、ナンパだって追い払えねぇし、矢野に頭なでられるし…」

「いや、だってそれは…来島くんは今子どもなんだし」

「見た目こんなんでも、男としてのプライドはあるんだよ…あー超かっこ悪ぃ…」

はぁぁ~と頭を抱える。

「ふっ…来島くんみたいなすごい人でも、そういうこと思ったりするんだね」

「え?すごいってなんだよ。普通に思うよ、当たり前じゃん」

「だって来島くん、何でも出来るし、いつも自信に満ちてるって言うか、それに見合う実力もあるし…」

「そんなの全然…普通にへこむし、悩んだりもするし…てか実際、今へこみまくってるし…」

「ははっ!もぉ、へこまないでよ~
さっきの…かっこ良かったよ。今の来島くんなりに、私のこと守ってくれたんだよね。
…嬉しかった。ありがと」

「榊……」

「……え?ちょ、ま…」

来島くんに手を掴まれ、ジリジリと顔が近づく。

「榊…仲直りエッチしよっか」

「い、いや、別にケンカしてないじゃん!
んぐっ…ちゅむ…むちゅ…んふ…」

口をふさがれ、舌が入ってこようとする。

びくんっと動かした手に、ガサッとさっきのコンビニ袋があたった。

「あ、ほ、ほら。何か買ってきたんでしょ?なに買ったの?お菓子かなぁ~?」

何とか話をそらそうとして、袋をのぞくと『コンドーム 6個入り』の文字。

「昨日はごめんな。ちゃんと今日からつけるから」

「いやいやいや、そういう問題じゃ…いや大事なことではあるんだけど…」

「………お姉ちゃん、もう俺とエッチしてくれないの?」

悲しそうに首をかしげる来島くん。

「!!そ、それやめてぇ~」

「じゃあ、エッチしてくれる?」

「ちょっとぉ…男のプライドはぁ?」

「…まさに見せどころだよ」

ガバッと私は押し倒され、いろんな所にキスをされていく。

「っん…ふぅ…あ、ん」

「キスしただけでトロトロになってる」

下着に手を入れられると、くちゅくちゅと恥ずかしい音がする。

「あっ、や…んぅ…」

「…案外、こういうアブノーマルの方が好き?」

「ち、違っ…ぅあっ、んん…」

「昨日よりちょっとはでかくなってると思うんだけど…」

そう言うと、来島くんは大きくなったぺニスを出し、ゴムをつけていく。

「…すぐにイキませんように」

祈るように呟き、私に挿入する。

「んぅぅ!あぁ…」

「や、ば…でも、何とか…ぅう」

来島くんは必死で我慢しながら、ゆっくり腰を動かす。

ぬちゅっ…ぐちゅんっ…

「っはぁぁ…やぁぁ…」

私は華奢な彼の腕を掴み、ゾクゾクする快感に耐える。

少し慣れてきたのか、彼はちょっとずつ私の奥を突っつくように動いてくる。

「…お、お姉ちゃんの中…あったかくて気持ちいい…」

「だからそのプレイはいいから…そういう趣味があるわけじゃ…ぅっ、んあっ!」

「…いくら子どもの姿でも、俺とセックスするのしんどいだろ…せめて、相手が俺じゃないって思ってもらえたら…んっあぁ…」

「だからって…それは…恥ずかしすぎるからぁ!!」

私の下半身にギュッと力が入る。

「っあ!わっ…やば、く、ぅあぁぁ…」

ビクビクと来島くんは震え、射精したあとクタァと私の上に倒れこむ。

「はぁっ、はぁっ…さ、3分はもったか…?」

呼吸を荒くしながら来島くんはグッタリとしている。

子どもの身体には2日連続セックスするなんて相当キツイのかもしれない。

そっと頭をなでると、来島くんは潤んだ目で私を見る。

「…別に、子ども扱いしてるわけじゃないから…
お疲れさまって気持ちだから…」

「うん…ありがと。もっとなでて」

来島くんが嬉しそうに笑ってすり寄ってくる。

私は彼が眠りにつくまで頭をなで続けた。

しかし…

〈そろそろ入るよ~昨日よりは頑張れたかい?〉

「あっ!コニーちゃん!来島くん、すごい熱なの!どうしよう!!」

〈ありゃりゃ~2日連続はさすがにしんどかったか?〉

「これって呪い?私のせい?どうしよう、ねぇどうしたら…」

〈大丈夫だから落ち着きなって。
おそらく来島くんの身体は、明日には17歳前後になるはずよ。
私の調べでは、彼は高校に入って2年程で身長が15㎝近く伸びるの。
それが一晩に起きようとしているのよ。
成長痛も全身に起こってるだろうし、身体もビックリして熱が出ちゃったのね。
明日には解熱するし、むしろ呪いが少しずつ解けてる証拠よ~〉

へなへなと私は力が抜けた。

「よ、良かったぁ…死んじゃったらどうしようかと…」

ポロポロと涙がこぼれる。

〈おやおや、下半身が使い物にならなくなれ~とまで思ってたのに、そこまで人間の気持ちって変わるものなのねぇ~〉

「っ!び、ビックリしたのよ!私のせいで死んじゃうとか嫌でしょ!!
あ、タオル持ってくる!」

涙を拭きながら、バタバタと部屋を出る。

〈本当に仲直りエッチになればいいのにねぇ。
ねっ、来島くん?〉


つづく
18/05/23 16:38 (flHZMifS)
6
投稿者: はるまき
today´s DETA
physical age:17
height:175㎝

*********

どれくらい時間が経っただろう。

来島くんは身体の激痛と高熱にうなされており、私は傍を離れることができなかった。

コニーちゃんはああ言ったけど、相当辛いのは事実だから、15歳の身体が必死で耐えている姿を見ていると時々涙がこぼれた。

こんなに辛い思いをさせるなんて想像もしていなかった。

来島くん、ごめんなさい。

「ご、めんなさ…んぅ」

「……い、おーい、榊~風邪引くぞぉ」

ペチペチと頬を叩かれる。

「…へ、あれ…寝てた、えぇ今何時…」

「もうすぐ朝の5時。俺、10時間以上寝てたんだな~」

「…はっ!来島くん、大丈夫!?熱は…あ…」

目の前の彼は、10時間前と比べると一気に大人になっていた。

声もさらに低くなり、Tシャツから出た腕にはしっかりと筋肉がついている。

「身体がミシミシいってるけど、だいぶ良い感じ」

身体を伸ばすと、ボキボキと音がなる。

「そう……良かったぁ…」

ぐぅぅぅ…

「…うぅ、腹へったぁ~~」

笑う顔には、まだあどけなさが残っているけど。

「夕飯食べず仕舞いだったもんね。なんか作るよ」

「…榊、大丈夫か?目赤いけど…」

すっと来島くんが顔に触れる。

「っ!!だ、大丈夫!全然大丈夫!!」

アワアワしながらキッチンに向かう私を、来島くんは不思議そうに眺めていた。


トントントントントントン…

やばい、やばいぞこれは。

来島くんは完成形に近づいている。

昨日までは美少年がいるって感覚だったけど、もう「ちょっと若い来島くんがいる」だ。

さっきだって、顔を触られただけでこんな…

私は真っ赤になった顔を押さえる。

この2日間で確信した。

私は来島くんのことがまだ大好きなんだ。

あんなに陰でひどいことを言われたのに、それでも嫌いになれない。

来島くんが前みたいに優しかったりするから、心のどこかで期待してしまう。

私のこと、また好きになってくれたのかなって。

いやいや、そもそも私はそこまで好かれてなかったのだ。

白沢さんたちと、楽しそうにそう言ってたじゃない。

彼は元に戻るために私とのセックスが必要なだけで、完全に戻ったらまた離れていく。

仕方なく、ここに居るだけだ。

…やばい、今さらだけど辛い。

見た目が子どもだったから何とか気持ちを自制できてたけど、彼の姿はずいぶん大人になってしまった。

私、割りきってセックスできるんだろうか…

早く好きなんて気持ち、消えてしまえばいい。

(うぅ落ち着け…無心無心無心…)

トントントントントントントントントン…

「そんなにネギ使うか?」

後ろから急に来島くんに声をかけられ、ビクーッとなる。

立ち姿を見ると、改めて成長しているのが分かる。

私の身長を軽く越え、25歳とほとんど変わらないくらいの大きさだ。

「ちょっと!!急に現れないでよ、ビックリするじゃない!!!」

「お、おぉ…ごめん」

コニーちゃんに「そんなに怒んなくてもいいのになぁ」と声をかけながら、彼はリビングのソファに座る。

食器を出しながらチラチラと来島くんを見る。

薄目で見たらほぼ大人の来島くんじゃない…

あ、でもちょっと今より華奢な感じあるなぁ。

髪は昨日より少し短くなってる。

眉毛はちょっとだけ細い…色気付いてきたな(笑)

…高校生の時、来島くんはこんなだったんだぁ。

いつの間にか凝視しており、ぽわんと顔が緩む。

「……何か手伝う?」

視線に気づき、顔をこちらに向けられる。

「っ!き、急にこっち見ないで!ビックリするでしょ!!!」

「えぇぇ…ご、ごめん」

ダメだ…身が持たないかもしれない。


「どうしたの、榊。情緒がやばくない?」

〈一気に来島くんが大人になってきたからねぇ〉

「え、良いことじゃねぇか。呪いが解けてるんだから」

〈はぁ、来島くんも女心に疎いのかしら~〉

「んん??」

*********

「じゃあ行ってくるけど、何かあったらすぐ連絡ちょうだいね」

「分かったよ、心配しすぎだって(笑)」

今日はみなみちゃんとのランチの約束だった。

本当は来島くんの体調が気になるけど、朝の様子だと大丈夫だろう。

それに、ちょっと距離を置かないと心臓がドキドキしてもたない。

少し離れて頭を冷やすんだ。


「最近、来島くんへの呪いは順調?」

みなみちゃんに問われ、ブーッと吹き出しそうになった。

「え、あ、呪いは…その」

「こないだから体調不良で休んでるじゃん?あれってもしかして塔子の……なーんてね!そんなわけないじゃんねー(笑)」

「は、ハハ…ソウダヨ~」

バッチリ呪いがかかってしまい、それを解くために毎晩セックスしてますなんて、口が裂けても言えない…

「…でも、呪いたくなるくらい好きだったんでしょ?もう吹っ切れてんの?」

「……簡単には…無理、かなぁ」

「まぁそうだよねぇ…何で来島くんが別れようと思ったかは分かんないけどさ、納得のいく話もできないままじゃねぇ」

「うん…」

♪ピロン

「…あ、矢野くんだ」

「え、なんで矢野くん?仲良かったっけ?」

「実は昨日偶然…」

来島くんのことはごまかしつつ、ボウリング場での話をするとみなみちゃんは目をキラキラと輝かせた。

「いいじゃん!矢野くん!そりゃ来島くんには敵わないけどさ、見た目悪くないし仕事もちゃんとしてるし!」

「そ、そうなのかなぁ…」

「まぁ恋愛面の話は全然聞いたことないけど、悪くない感じだけどなぁ」

「うーん」

「…塔子、来島くんのことまた頑張るんだったら応援するよ。
でも忘れたいなら、他の男と会ってみるのも良いんじゃない?
ほら、とりあえず返事しときなよ」

「う、うん…」

『昨日はどうも。今日もいとこ君とデートですか?』

いとこ君…

そうだよ、来島くんがこんなことにならなかったら、私たちがデートすることなんて二度となかったんだ。

それももうすぐ、終ってしまう。

終わる前に、好きって気持ちも消してしまいたい。

カチカチカチ…

『こんにちわ。今日は岡崎さんとランチしてます。外はあったかくて気持ちいいです』

すぐ既読になり、しばらくすると返事が来る。

『ランチいいなぁ。岡崎さんとも仲良しですね。

ところで、今日の夜は時間ありますか?
俺ともデートして欲しいなぁ、なんて。
突然だから無理かな?』

「……え?」

「なになに、何て…キャー!キャー!良いじゃん、何これ~」

「か、からかってんじゃない?」

「塔子!これは行ってみるべきよ!分かんないけどさ、何か、これは絶対行くべきだってぇ!!」

「みなみちゃん、落ち着いて(笑)」

『夕方には解散するので、18時頃からなら大丈夫ですよ』

みなみちゃんに半ば無理やり返信させられると

『良かった!嬉しいな。
じゃあ18時に駅前で待ち合わせませんか?』

と矢野くんからお返事がきた。

うわぁ…何この急展開。

久々の男性との約束に、少しドキドキしてしまう。

**********

〈来島くーん!塔子ちゃんから電話だよ~急いで急いで!!〉

コニーちゃんはスマホの周りをくるくると飛んでいる。

『はいはいはい!はい、もしもし。どした?』

「あ、来島くん。あのー私、今日遅くなっちゃうかも…」

『え、17時過ぎに帰るって…』

「ごめん!えっと…みなみちゃんと盛り上がっちゃって、その…まだ話し足りないねーって…」

『分かったけど、あんま遅くなるなよ。明日月曜なんだから』

「う、うん。分かってる!あんまり遅くならないようにす…」

「榊さん!ごめんね、待った?」

「うわぁ!!」

後ろからポンッと肩を叩かれる。

「そんなびっくりしなくても(笑)あ、ごめんね、電話中だった?」

『…………』

「だ、大丈夫だよ~…も、もしもし?みなみちゃん待ってるから行くねー…」

『岡崎じゃないじゃん』

「えっ?」

ちょっと怒ったような声に、ドキッとする。

『何で嘘つくの?そこにいるの岡崎じゃなくて別の……え、もしかして、矢野?』

す、するどいっ!!!

「えーっと、たまたま矢野くんとも会ったから、ご飯とか行っちゃう~?って話になって、その…」

『それならそう言えばいいのに、何をこそこそ…
てか岡崎、本当にそこにいんの?もしかして矢野とふたり!?』

す、するどすぎるっ!!!

『あのな、榊。お前もうちょっと危機感…』

「べ、別に良いじゃん!」

『え?』

「私が誰と会ってようと関係ないよね!?
もう彼氏でもないのに、口出ししないでよ!」

『あ、おい!榊!?』

ブツッ!!

何よ、人のことフッたり貶したりして良いように使うくせに。

私の行動にまで口出ししてこないでよ!

「電話、終わった?」

私だって前に進むんだ。

叶わない思いにずっとしがみつくのはしんどい。

この人が、矢野くんがもしかしたら、私をそのしんどさから救ってくれる人かもしれない。

「うん、行こっか」

つづく
18/05/24 20:58 (aFyxYigg)
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