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君に呪いをかけられて。
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:君に呪いをかけられて。
投稿者: はるまき
ファンタジー要素、ショタ要素出てきますので、苦手な方はスルーしてください。

*************


神さま仏さま、魔王さま閻魔さま…

えーと、えーと…

この際誰でも構いません。

私の気持ちを踏みにじったあの男を、思いきり痛い目にあわせてください!

どうか、どうかお願いします。


*********

「おーおー、今日もモテてるねぇ。あんたの元カレ」

「…あんなやつ、元カレでも何でもないよ。あんなの付き合った内に入んない!」

「まぁまぁ。確かにあの別れ方は腹立つけど、あんまり騒いでると『取り巻きたち』に睨まれるよ」

「うぐっ……うぅ~悔しいよぉ~~あの性悪男めぇぇ」

賑やかな社員食堂。

1番人気のテラス席を陣取って、楽しそうにランチタイムを過ごしているのは、私の「元カレ」である来島遼太(くるしま りょうた)と、美人で華やかな取り巻きの女性社員たちだ。

窓から離れた日の当たりにくい席で、肉うどんを食べている私の名前は、榊塔子(さかき とうこ)。

今年で25歳、可もなく不可も無くな容姿、仕事の出来も人並みの平凡なOLです。

そんな私が、部署内イチのモテ男、来島くんと付き合うなんてこと自体、今思えばおかしなことだったのだ。

彼とは3年前、新入社員の研修で出会った。

顔が良いだけでなく発言力もあり、リーダーシップも取れる。

私とは住む世界が違うなぁと思っていたが、こんな平凡女にも分け隔てなく優しく接してくれるので、私は簡単に恋に落ちてしまった。

偶然にも同じ部署に配属され、私は毎日がとても楽しくて充実していた。

しかし平凡な故に彼にアプローチする勇気もなく、私は「気の良い同期」として接することに徹していた。

そんな私たちに間違いが起こったのは、今年の3月末。

『俺さ、榊のこと…前から良いなぁって思ってて』

職場で花見をした後、片付けたごみ袋を抱えているところで来島くんから突然の告白を受けた。

驚いてぶちまけてしまったごみを、笑いながら拾ってくれた顔が今でも頭から離れない。

私に断る理由もなく、晴れて恋人同士になれたのに、付き合って2週間も経たない頃…

『ごめん、やっぱ付き合うの無しにしてもらって良い?なんか…いざ付き合ってみたら何か違うかなぁって…』

という訳の分からない理由でフラれてしまった。

付き合っている間、彼は1回家に来てくれたので私は精一杯の手料理を振る舞った。
その夜に初めてセックスして、夢のような時間を過ごした。
それなのに「何か違う」ってどういうこと!?

突然の別れを私は受け入れられず、悲壮感にうちひしがれていた時に追い討ちがかけられた。


『本当に付き合ってないのぉ?榊さんと一緒に帰ってるの見た人たくさんいるんだよ~』

『付き合ってないよ~こんなに可愛い子たちに囲まれてるのに、何でわざわざ榊さん選ぶの?』

『ぷっ…やっだ、遼太くんひどーい(笑)』

『本当のことじゃん(笑)俺、みんなと遊んでる方が楽しいもん~』

休憩ラウンジで楽しそうに取り巻きとしゃべっているところを偶然聞いてしまい、私は愕然とした。

あんなに素敵な人だと思っていたのに、私はからかわれていただけなんだ。

悔しくて悲しくて、私は一晩中泣いた…

「…ていうのにあの男は!
相変わらず女はべらせて!良いご身分よね!!
っとに…腹立つわぁぁぁ~」

「そんな嫌な人に見えないけど…人って分かんないもんだね」

よしよし、と同期のみなみちゃんが頭を撫でてくれる。

「…私、あれからあいつに怨念送ってんの」

「は?」

「ネットで毎晩『呪い』『仕返し』って検索してるから!
あいつの下半身が爛れて、使い物にならなくなってしまえって思ってるから~~!!」

「平凡な顔して考えることがエグいわぁ」


良いでしょ、これぐらい思っても。

私はそれ以上に傷つけられたんだから。

どうせ気休めでしかないけど、あいつが痛い目にあうように願うことで、私は正気を保っているのだ。

*********

翌日、彼はオフィスに来なかった。

「え~来島くんだけど、急な体調不良で今日は休みだから」

(ま、まさか本当に爛れた!?)

ちょっと寒気がしたものの、良い気味だと思い直した。

彼のいないオフィスで、目の前の仕事を淡々とこなし、定時まで働いてまっすぐ家に帰る。

こんな平凡な日々を過ごしていけば、私の傷もいつか癒えるはすだ。


「みなみちゃん、帰れる?」

「ごめーん、まだかかりそう。先帰ってて」

「分かった、お疲れさま」

有能なあいつが休んでいたため、今日はいつもより忙しかったのが何だか悔しい。 

ため息混じりでオフィスを出たところで「おい」と声をかけられた。

視線の先には、見たことのない小学生か中学生くらいの男の子が立っている。

そして思いきり私を睨んでいた。

(え、私?だ、誰この子…)

「おっせーよ!」

「あ、あの人違いかなぁ?」

「…ったくお前なぁ、何てことしてくれてんだよ!」

少年は私に向かってズイズイと向かってくる。

「っ!!?」

びっくりして私は思わず逃げてしまった。

「おい!待てよ!!」

(なになになに?あの子なに!?こ、こわ~何で見ず知らずの子どもにキレられてんのぉ!?)

何度も迂回しながら、後を付けられていないことを確認して家についた。

ほっと安堵したのも束の間。

「お前~~どこほっつき歩いてたんだよ!」

「ひいぃ!!」

さっきのキレる少年は、さっきよりもキレた顔で私の部屋の前に立っていた。

「け、け、け、警察~!」

「落ち着け!榊、話聞けって!」

「な、名前まで知って…えぇ~ストーカー!!?」

「んぁ~もぉぉ…俺だよ!来島!!お前の元カレの来島だって!」

少年は真剣な面持ちでそう叫んだ。

「………は?」

「だからぁ、来島なんだって。朝起きたらこんなことになってたんだよ!」

「あ、悪の組織に、何か毒物を…」

「名探偵の話じゃねぇんだよ!!」

落ち着け。落ち着け私。

この戯れ言少年はきっと来島くんの悪戯だ。

何らかの理由でこの子を使って、私に嫌がらせを…

「…あのね、その来島って人に頼まれたの?
悪いけど私とその人は何の関係もないから。
もう暗いんだから、早くおうちに帰りなさい」

「…やっぱ信じねぇよな」

「いくら頼まれたとは言え、知らない人の家まで来て騒ぐなんてダメなんだからね」

「ピンクのレース。真ん中にちっちゃいリボン」

「え?」

「半月前、俺とセックスした時に榊が着けてた下着の色!」

「……えぇ??」

「あと、へその右側にほくろ。くすぐったいから触らないでって笑って…」

「ちょっ、まっ!…え、えぇぇ!!?」

「まだ信じない?他にもあるよ。首筋には」

「わーー!わ、分かったから!ちょ…い、1回入って!」

有り得ない、そんな漫画みたいなことあるわけない、と混乱しながら、私は少年の手を引いて部屋のドアを閉めた。

「やっと信じたか」

ふんっと腕を組みながら、混乱している私を見る少年。

「く、く、来島…くん?えぇ~~」

神さま仏さま、魔王さま閻魔さま?

こ、これって私のせいなのでしょうか?


つづく
 
2018/05/21 21:08:39(thh7PhBH)
7
投稿者: (無名)
続きをヨロしく!


楽しみに待ってま~す♪
18/05/25 16:07 (lWC7vspS)
8
投稿者: はるまき
コメントありがとうございます☆
嬉しいです(*^^*)

*********

ツーツーツー

「き、切られた…」

〈えー!塔子ちゃんってば矢野くんとデートしてるのぉ!?〉

電話を盗み聞きしてたコニーは〈大変だー!〉と言いながら羽をばたつかせている。

「…もっと警戒しろよ、いきなりふたりとか…」

〈でも塔子ちゃんの言う通りよね~
来島くん、彼氏でもなんでもないじゃない。
自分からフッたくせに、居候してお世話してもらって、毎晩エッチの相手させるなんて……あらやだ、だいぶクズね(笑)
イケメンだからって何でも許されると思うなよ
ー!!このこのっ、天誅ぅぅ!〉

ビビビビビ、と高速の羽で鼻を攻撃される。

「いてっ!や、やめ…俺だって好きでクズみたいなことしてるんじゃ…」

〈あ、それもそっか。呪いかけたのは塔子ちゃんだもんね(笑)
でも…今さらだけど来島くん、あなたなんで塔子ちゃんのことフッたのよ。
見てる限り、ヤキモチは焼くし、カッコつけたがるし、嫌いになってるようには思えないけどね~〉

「それは……人間にはいろいろあるんだよ!大変なの!!」

ふぅ~とコニーはため息をつく。

〈あーあ、今頃塔子ちゃんは、ろくでなしの来島くんに傷つけられたハートを矢野くんに癒してもらってるのかしらねぇ~〉

「はっ!そうだよ、矢野だよ!くそ~よりによってあいつかよ…」

ピッピピッピッ… プルルル、プルルル…

『…もしもし?どうしたの、珍しい』

「岡崎!お前今ひとり?」

『ひとりだけど…何よ突然。それより身体大丈夫なの?何してたら両肩脱臼と両足捻挫するわけよ…
早く来てくれないと、そろそろあんたの取り巻きが鬱陶しいんですけど~』

「あぁ…悪い、出来るだけ早く復帰するから…
それより!榊と矢野、今一緒なんだろ!?どこ行ったか分かるか?」

『えっ何で知ってんの?怖いんだけど(笑)』

「いいから!どこ行くか聞いてんじゃねぇの!?」

『聞いてるけど…え、なに…邪魔でもしに行くつもり?』

岡崎の声がピリッと低くなる。

「いや、邪魔っていうか…」

『…あのね、塔子なりに前に進もうとしてんのよ。何で邪魔するわけ?』

「だから邪魔するわけじゃ」

『来島くん、私あんたのこと悪いやつには思えないんだけど、それでも親友が傷つけられてるのを見てたら、やっぱ腹が立つわけよ』

「……」

そうだよなぁ。やっぱ、勝手なことしてるし、傷つけてるって思われるよなぁ。だけど…

『…ねぇ、聞いてんの!?』

「頼むよ…」

『え?』

「榊のこと、これ以上傷つけたくないんだよ…お願いだから教えてくれ……頼むっ…榊のスマホ繋がんないし、もうお前にしか頼れないんだよ…」

『…何よ、フッたくせにわけ分かんない』

「頼むっ!教えてください!」

『……はぁぁ、もぉ…駅の東口からちょっと行ったとこにある「oak」ってダイニングバーよ』

「っ!!あ、ありがと、岡崎っ!」

『来島くんが何考えてるか知らないけど、これ以上塔子のこと傷つけたら……まじで呪ってやるからね!!』

「ひっ!わ、分かりました…」

それは洒落にならないから勘弁してほしい。

『ふんっ…さっさと復帰しなさいよ、忙しいんだからね』

「うん…ありがとな」

ガチャッ ツーツー

「ちょっと行ってくる!」

〈あ、私も行く~~えいやっ!!〉

ズボッとジャージのポケットに入り込んでしまったコニーを連れて、俺は家を飛び出した。

*********

「じゃあ乾杯」

「乾杯~」

カチンッとグラスが鳴る。

矢野くんは私たちと同い年だが、昨年からの中途採用だったので、あまり親しく話したことはなかった。

ふたりで食事することになるなんて思わなかったなぁ。

「榊さん、好きなもの頼んでね」

「あ、ありがとう!」

普通に優しい。こうやって別の男の人と過ごすことで、来島くんのことも薄れていくと良いのにな。

少しお酒も回った頃、矢野くんが唐突に尋ねてきた。

「ところでさ、会社の女の子たちに聞いたんだけど、榊さんってちょっと前に来島と付き合ってたの?」

ゴホッ…

もぉ!どいつもこいつも来島くんの話ばっかり!

「や、やだなぁ~そんな噂あるの?あの来島くんが私と!?いやいや、釣り合わないでしょ~」

チクンッ

あ、これ自分で言って傷つくやつだ。

「いやいや(笑)でもまぁ、あいつはちょっと世界が違うよなぁ」

「う~ん、そう…なのかな?」

「そうだよ。見た目はあの通りだし、女ウケも良いし、結構上からも贔屓されてると思うんだよなぁ」

「え…そ、そう?」

「やっぱイケメンだと得だよね。同じことしても評価が高いっていうか。
まぁ、そうやってこれまでの人生、得して生きてきたんだろうけど」

あれ、ちょっと待ってよ。

「大した苦労もしてないのに、すごく出来るやつに見えるんだよなぁ、正直。
少しは俺たち凡人の努力とか苦労、あいつにも分からせてやりたいよ(笑)」

いやいや、そんなこと…

「でも榊さんと付き合ってたって聞いて、ちょっと意外だったっていうか…
あ、ごめんね。変な意味じゃないんだけど、ふたりって雰囲気違うからさ、本当のとこどうだったんだろうって気になって。
…でもガセだったんだねぇ」

「…違うよ」

「うんうん、変なこと聞いてごめんね」

「来島くん、めちゃくちゃ努力家だから!
いつも遅くまで頑張ってて、周りのフォローもすごくしてくれるし…」

「え?」

「確かに…イケメンだから寄って来る人もいるけど、それだけで評価されてるわけじゃないよ!
一緒に働いてたら分かるよ…矢野くん、分かんないの!?」

ずっと傍で見てたから分かるよ。

めんどくさい仕事にも嫌な顔ひとつ見せない。

期待されるプレッシャーに負けないように、一生懸命取り組む。

来島くんの優しさや頑張りが、全部否定されている気がして、無償に悔しくなった。

「もっとさ、ちゃんと見てよ。来島くんのこと…ちゃんと…」

そうだ。私は、来島くんのそういうところがすごく好きだったんだよ。

ポロッ

感情的になって、思わず涙をこぼしてしまう。

「さ、榊さん!?え、ちょっと落ち着いて…」

「…そんなこと…言わないであげてよぉ…」

私が大きな声を出したので、周りの人たちがヒソヒソとこっちを見ている。

しかし、何やら店の入り口の方も騒がしい。

「誠に申し訳ありません。夜間、学生さんおひとりでの来店はご遠慮いただいてまして…保護者の人は…」

「あ~だから客じゃないんですよ!中に知り合いがいるかもしれなくて!」

「すみません、他のお客様のご迷惑になりますので直接ご本人様にご連絡を…」

「繋がらないんですって!くっそ…おい榊!!榊ー!!」

「お、お客様!困ります…」

「っ!?…え、うそぉ」

店の入り口で店員さんと押し問答になっていたのは来島くんだった。

「え、何で…」

店員さんを振り切り、来島くんが店の中に入ってくる。

「榊!?どこだよ、さか…あ、いたぁ…」

私の顔を見て、来島くんは安堵の表情を見せた。

「なんでここに…」

「何の騒ぎ?…ん、君どっかで…あれ、えっ?」

後ろで矢野くんが訝しげな顔をして来島くんを見ている。

(うわーーっ!ヤバいヤバいヤバい!!)

私が反応に困って口をパクパクさせていると、来島くんがズンズンと矢野くんに近づく。

「いとこ、その2です!」

「え…あれ、いとこって昨日も…」

「昨日のは弟です!」

「あぁ…昨日の子に似てるのか…いや、でもどっかで見たことある…」

(それ全部同じ人ーー!!)

心臓がドックンドックンと激しく脈打つ。

「それにしても榊さんのいとこって、やたらイケメンばっかなんだねぇ」

「そ、そうかなぁ~あは、あはは」

あぁ、心臓に悪くて直視できない…

グイッと来島くんは矢野くんの胸ぐらをつかみ、耳元で何か呟いている。

「…お前、受付の広川さんはどうした。総務の安藤さんは?秘書課の間宮さんだっているんだろ」

「っ…!!?は…な、何なんだよ、お前…気持ち悪ぃな…」

ふたりがじっと睨み合う。

「あの、お客様!本当に他の方のご迷惑になりますので…」

「わぁ!す、すみません!すみませんっ!!」

私は慌てて店員さんにペコペコと頭を下げる。

「女遊びも大概にしとかねぇと、そのうち呪われるぞ……俺みたいに」

「…は、何を言って…」

不思議そうに目を丸くしている矢野くんの胸ぐらから手を離し、来島くんはペコペコしている私のところへやって来る。

そしてその女性店員の手をそっと握った。

「…お姉さん、うるさくしちゃってごめんなさい。すぐ出ていきますから…」

来島くんがうるうるした瞳をしながら謝ると、店員は「えっ、あ!いや、だ、大丈夫ですよっ!ご、ごゆっくり!!」と真っ赤になってしまった。

矢野くんの言う「イケメンは得」というのは全否定できないかなぁ、と思い直した。


「一緒に帰ろう、榊」

店員の手を離すと、来島くんは私に優しく声をかけた。

「……うん」

パタパタッ…

「矢野くん…その、うちの「いとこ」がごめんね。これお金置いとくから。ごめんね、また明日…」

「え、あぁうん……あ、分かった…榊さんのいとこ君さ、俺の嫌いなやつに似てるんだ。

…嫌いなんだけど、いつも…負けたくなくて、すごく意識しちゃうやつに…似てる気がするなぁ」

「………」

ふっと矢野くんが笑って「男らしくないとこ見せちゃったなぁ…ごめん、忘れて?」なんて言うから、私はまた少しだけ泣きそうになった。

*********

私の前を、来島くんはスタスタと歩いている。

なんて言ったら良いか分からず、私は少し後ろをついて歩く。

ひょこっ

〈……なかなかカッコ良かったじゃん、来島くん♪〉

スススッとコニーちゃんがポケットから顔を出し、来島くんの腕をよじ登る。

「…人がいるかもしれないから出てくんなって」

〈まぁまぁ。しっかし、矢野くん…普通というか真面目そうに見えたけどねぇ。そういう男に限って遊んでるってこと?こわーい!〉

「…コニー、お前その話は榊にするなよ。矢野は確かに女癖悪いって男連中はみんな知ってんだけど、榊に手を出そうとしたのか分かんないだろ。
余計なこと言って、あいつが男性不信にでもなったら可哀想だろ…」

〈えぇ~じゃあ何であんな強引に引き離したの?
姿晒して危ない橋まで渡ってさぁ。
気を付けろよ~って言えば良かったじゃない〉

「それは…何かあいつが「口出しするな」とか言ってくるし…放っておいて、本当に矢野が何かしようとしたら危ないし…」

〈ふーん…本音は?〉

「………くっ、ただのヤキモチだよ…悪いかよ」

〈くふふ、素直でよろしい(笑)
あ~でも、なんで別れたか余計に分かんなくなっちゃった~〉

「だからそれは…」

グイッ

来島くんの服の裾をひっぱる。

「……ふたりでこそこそ何話してんの?」

「あ、いや…その」

〈来島くんはヤキモチ焼きだなぁって話♪〉

「…お前…」

顔を赤らめる来島くんを見ると混乱してきた。

私フラれたんだよね?

私といるよりも、他の子といる方が楽しいんでしょ?

じゃあ、どうして期待させるようなことするの?

セックスしなくちゃいけないから優しくするの?

いろいろ聞きたいことがあるけど言葉に出せず、そのまま家に着いてしまった。

ガチャンッ

「…え、カレー?」

部屋に入ると、カレーの匂いが広がっていた。

見ると、少し散らかったキッチン。

コンロには美味しそうなカレーが鍋に入っていた。

「俺…カレーくらいしか作り方が分かんないから」

「えぇ!来島くんが作ったの!?」

「その…世話になってるから…今日くらい俺が作ろうかなぁって…」

照れ臭そうに、目を合わせず呟く。

「あ……」

『え、17時過ぎに帰るって…』

〈せっかく塔子ちゃんと食べようと思って待ってたのに、遅くなるって聞いた時の顔見せたかった~!
捨て犬みたいにショボーンとしちゃっててさぁ(笑)〉

「…っ…だ、黙れよ!」

手でシッシと払うが、するりとかわして天井高く飛んでいくコニーちゃん。

〈ぷぷぷ~良かったねぇ、来島くんっ〉

「うるさいなっ!黙っとけって…わっ!さ、榊?」

後ろから来島くんに抱きつく。

「来島くん、私喜ばせてどうするのよ…私、単純だから嬉しがっちゃうし、勘違いしちゃう…

いくらセックスしなくちゃいけなくても、その気がないならこれ以上優しくされるのは…もう、キツイよ…」

「…榊……」

振り返り、私の手をとる来島くんは、なにか言いたげにしながらも言葉を濁す。

「呪いを解くためにセックスはちゃんとする。安心して?必要以上に優しくしないでいいよ…」

グイッ

「うぶっ!」

思い切り抱き寄せられ、息が止まりそうになる。

「…まだ、ちゃんと言えないけど…でも、辛い思いさせてごめん…本当にごめん」

「来島くん?…あ、っ…ん…んぶ…くちゅっくちゅ…はぁ…」

熱い舌が絡まりあい、溶けそうになる。

スカートの中に手が入り、お尻がゆっくり揉まれていく。

そして指は下着の中へ…

「んっ…あっ…」

この身体は、日に日に来島くんを求めるようになっていた。

愛撫されると、早く入れて欲しいと言わんばかりに濡れてしまうのがすごく恥ずかしい。

ブチュッブチュッブチュンッ…

「く、るしまくん…ここ、キッチンだからぁ…はぁっ!んやぁっ…」

「…実は、朝からずっと我慢してた。早く触りたくてヤバかった…」

耳元で囁かれると私はゾクゾクと反応してしまう。

そしてそのまま、私はキッチンで服を脱がされていった。

「や、やだぁ…ここじゃ…ちゃんとベッドで…」

昨日よりさらに大人になっているぺニスが、ビクビクと勃起しているのが目に入る。

恥ずかしいけど、目の当たりにするとさらに濡れてしまった。

そしてテーブルに手をついた状態で、後ろから来島くんが入ってくる。

ブチュンッ!!

にゅぽっ…ぶちゅっ…グチュンっグチュンっグチュン…

「あっ…あ、ひぃ…んぁ、や、激し…んんぅ!!」

昨日までのセックスが嘘のように、来島くんは私の中をぐちゃぐちゃに掻き回す。

「ふぐぅぅ…んぅっ!や、もっと…ゆ、ゆっくり…あぁあっ!」

激しすぎてバランスが保てず、テーブルに上半身がへたれこむ。

来島くんは私の腰をガッチリ掴んで、バチンバチンと突いてくる。

「さ、かき…や、ば…すごい…中気持ち良すぎる
…」

「んぅああ!やっ、やぁ…はぁんっ!」

一層腰の動きが速くなり、私の奥の方がこじ開けられるような感覚になる。 

「だ、だめぇ…だめ、あ、やぁあ!!」

固くなった乳首もしごかれながら、私ははしたなく声を上げる。

バチュッ、ズボッズボッ…パンパンパンッ…

「ひ、ひぁ…も、だめぇ…イクぅ、イクのぉ…あっあ…」

「お、俺も…う…あ…」

ズルッとぺニスを抜かれた瞬間、お尻に熱いものがかかる。

「っあ…あぁぁ…い、イグぅ…」

来島くんとの4回目のセックスにして、私は初めてイッてしまった。

膝ががくがくとして、その場に座り込んでしまう。

ヌルッ

手に来島くんの濃いお汁がつく。

「ハァハァ…も、もう…ゴム買ったの…意味ないし…ハァッハァッ…」

「ごめ…が、我慢できなくて…」

「だからって、せめて寝室で…」

文句を言おうと振り返ると、来島くんのぺニスはさらに勃起していた。

「えっ…さ、さっき出したのに…」

「俺、今朝からやたらムラムラしてて…ひとりでしても全然治まらなくて…だから、もっと…」

「えっ!?や、待って!わっ」

そのまま抱きかかえられ、寝室に連れ込まれる。

「こ、コニーちゃん!どこ!?助けてぇっ!」

ベランダの方から、ふんふんと鼻唄まじりにやって来る。

〈いやいや無理だよ~(笑)高校生の性欲は限りないらしいからねぇ。昔はサッカーで発散してたみたいだけど、今は行き場がないからねぇ〉

「そ、そんなぁ…」

そうこう言っている内に、来島くんは熱を帯びた表情で私に近づいてくる。

そう、まさに発情している状態だ。

「榊…もっかい良い?今度はちゃんとゴム着けるから…」

「や、ま…ちょっと休ませて…」

「ごめん、それ無理そう…」

グイッと脚を開かれ、彼の舌が私の中に入ってくる。

電流が走るような感覚。

「…る…しまく…やっ!んぁぁ!!」

「わ、すげぇヒクヒクしてる…えっろ…」

そして再び挿入されてしまう。

今度は正常位のまま、奥を突かれ続ける。

さすが現役高校生。

体力と性欲に満ち溢れており、私はなす術もなく来島くんに溺れた。


「ハァッハァッハァッハァッ…も、や、やめよ…3回目とか…む、無理…」

「…はぁ、はぁ…」

来島くんは私の申し出を聞き流して、指を入れてくる。

グチュグチュグチュグチュ…

「あひぃっ…やっ、ゆ、許してってばぁ…」

〈わぁお、猿並みですなぁ(笑)〉

「こ、コニーちゃ…た、助け…」

私はへろへろになりながら助けを乞う。

〈だから無理だって~
それと残念なお知らせだけど、一晩に何回エッチしても、最大4歳くらいしか戻らないから〉

「え…な、なにそれぇ」

〈あまりに急激に戻ると、負担が大きいのよ~〉

「じ、じゃあ、これ以上セックスしても…」

〈戻らないねぇ♪
ん~人間の言葉を使えば「サービス残業」ってところ?〉

「そ、んなぁ…」

明日は月曜なのにぃ…

その日は日付が変わるまで何度も何度と来島くんにイカされてしまい、しばらく立ち上がれなくなってしまった。

つづく
18/05/26 19:29 (RvDfo7C2)
9
投稿者: コロ
益々楽しみになりますね♪


続きをお願い致します!!

18/05/27 00:20 (d5SQLfL8)
10
投稿者: はるまき
長くなってるのに、読んでくれてありがとうございます(T_T)



today´s DETA
physical age:21
height:177㎝

*********

「本当に申し訳ありませんでした…」

朝の7時過ぎ、来島くんはベッドの上で正座し、私に深々と頭を下げた。

「…信じらんない。止めてって言ったのに…何回も言ったのに…」

「ほんっとにごめん!!全然自制がきかなくて…情けないです…」

手をパンッと合わせて謝っているが、私がむくれているのを見てしょぼんとうなだれる。

髪は昨夜より少しだけ長くなり、色も明るくなっている。

「……今の来島くん、チャラそう」

「こ、これは…この時しかできないと思って染めてた時期で……っ、あ…いたたた」

顔を歪め、足を崩す。

「あー…やっぱこれも再生されるのか」

「なに?…あ」

来島くんの右足には、昨日まではなかった痛々しい手術痕があった。

新人研修の時に「その傷どうしたの?」と周囲に聞かれ、少し言いにくそうにしながらも話してくれた。

来島くんのサッカーの腕前はかなりのものだったようで、大学もサッカー推薦、試合の時には何チームか監督やコーチが見に来ることもあったらしい。 

しかし大学3年の春、試合中に大ケガを追ってしまった。

前十字靭帯の損傷。

苦しい手術とリハビリに耐え、何とか日常生活は不便なく過ごせるまで回復したが、サッカーの世界に戻ることは叶わなかった。

『やだぁ、来島くん可哀想…』

『え~もったいないよねぇ』

その話を聞いたみんなは、彼に同情しながら騒いでいた。

『…まぁ、プロなんて厳しいと思ってたし、ちゃんと就職した方が将来安泰だしね』

と笑っていたことを覚えている。

「21歳なら、まだオペして1年経ってないくらいか…さすがに正座はキツイみたい」

右足をさすりながら痛そうに笑う。

「昨日、バーまでめちゃくちゃ走ったのに全然余裕でさ…またあんなに走ることができるなんて、ちょっと嬉しかったなぁ」

25歳になった今でも、激しい運動や、長時間走るようなことはちょっとキツイのだと聞いた。

「当時の気持ちも…再生されてるの?」

私は傷痕にそっと触れながら尋ねる。

「……大丈夫だよ。前に、榊から御守りもらったし」

「御守り?ん、何それ」

「覚えてないのかよ~ひどいなぁ」

ハハッと来島くんは目を細めて笑う。

〈塔子ちゃーん、もう7時半過ぎてるけど仕事良いのぉ?〉

「えっ!?よ、良くないよ!!」

私は急いで準備をし、慌ただしく家を出た。

*********

職場につくと、バタバタとみなみちゃんが走り寄ってきた。

「塔子塔子塔子ぉ!ちょっ、き、昨日どうだったの!?」

「あ、矢野くんのこと?」

私は小声で返す。

「あっ、矢野くんもそうだけど…それより来島くんよ!!あの後お店に来たんじゃないの?」

「えっ!?みなみちゃん、なんで知って…」

「やっぱりぃ~やるじゃんアイツぅ!
わざわざ私に電話してきてさ、塔子と矢野くんがどこに行ったか教えてくれって頼み込んできたのよぉ」

「え、うそ…」

そっか、それで来島くんは私たちの居場所が分かったのか。

昨日は問いただす前にセックスに流れ込んでしまったため、聞けず仕舞いだった。

「ねぇ…来島くんの気持ち、ちゃんと確かめた方が良いよ!」

「え…でも」

『今はまだちゃんと言えないけど…』

昨夜、強く抱き締められて言われた言葉がよみがえる。

「塔子、顔赤いよ?…やだ、何思い出してんのよぉ?」

みなみちゃんがニヤニヤと突っついてくる。

「ち、違っ!…みなみちゃん声でかいって!」

「何の話してんのぉ?」

振り返ると、朝からメイクバッチリな白沢さんがニコニコしながら立っていた。

みなみちゃんは小声で「ゲッ」と呟く。

「来島くんの名前が聞こえたんだけど~」

「気のせいじゃない?」

みなみちゃんがにっこりと返す。

その言葉を無視して、白沢さんの視線が私に向く。

「榊さん、また変な噂立てて、来島くんに迷惑かけないであげてね?」

ニコッと微笑んで、白沢さんは自分のデスクへと帰っていく。

「…まっじであの女腹立つわぁ…何様よ…」

声を殺しながら、みなみちゃんはプルプルと震えていた。

「落ち着いて、まだ近くにいるから!ね?」

私は慌ててみなみちゃんをなだめる。

白沢さんがこっちを見てないか顔を上げると、矢野くんと目があった。

矢野くんはちょいちょいっと手招きして、廊下に出ていった。

「……?」

ガコンッ

「あ、いた。矢野くん、どうしたの?」

ラウンジ前の自販機でコーヒーを買ってる矢野くんを見つけた。

「これ、昨日のお詫び」

そう言って、私にコーヒーを渡す。

「えっ!?何の?」

「昨日はぐちぐちとみっともないとこ見せたし、そのせいで榊さんのこと泣かせちゃったみたいだから」

「あ、いや…あれは私が勝手に…」

「…好きなやつの悪口聞かされるなんて、嫌だよねぇ」

「えぇ!?す、好きな…」

「ふふっ…榊さん、顔に出やすいからなぁ」

矢野くんはおかしそうに笑う。

「…昨日のは完全に俺の嫉妬。
来島が仕事に真面目で真剣に向き合ってるの、悔しいけどちゃんと分かってるから。
…惨めになるから、もうあんなこと言うのやめるよ」

「矢野くん…」

本当は、ちゃんと来島くんのこと分かってたんだ。

「それと、話は違うんだけど…」

そう言って声を落とし、軽く周りを見渡して人がいないことを確認する。

「白沢さんには気を付けなよ」

「へ?」

「あの子、かなり来島に執着してるみたいだから。
ちょっとでも来島に近づこうものなら、手段を選ばず妨害してくるって聞いて…」

その経験、私にも身に覚えがある。

「男の懐に入り込むのはうまいからさ、ターゲットにされたらなかなか周りからのフォローもしてもらえず、どんどん追い詰められて辞めた子もいるって」

そうなのだ。彼女は怖い。

男性社員の前では良い顔をするので、白沢さんはマドンナ的扱いで可愛がられている。

そのイメージをうまく使いながら、来島くんに近づく女性社員を結構ひどい手を使って陥れていた。

職場に入りたての頃、同期で1番可愛かった女の子は、来島くんと仲良くしていたために陰で嫌がらせを続けられ、気を病んで辞めてしまったこともあった。

私が片想いをしながらもアピールできなかったのは、自分が平凡で気が引けていただけでなく、こうした前例があったことも理由のひとつだった。

それにしても…

「矢野くん、裏事情に詳しいね。白沢さんのことをそんなふうに警戒する男性社員、ほとんど聞いたことないよ…」

「……まぁ、中途採用だったから、積極的に社内のこと聞いてたらたまたま耳に入ってきて…」

(ちょっかい出してた女の子たちから聞いた話とは言えないなぁ)

「へぇ~そうなんだねぇ」

「とにかく気を付けなよ?…まぁ、困ったら相談くらいのるから」

「うん…ありがとう」

「あ、そうだ。榊さんのシスコンいとこ君たちはどうしてる?」

ちょっと意地悪そうに聞かれた。

「えっ、あぁ~じ、実はあの子たち海外で暮らしてて、もう今日のうちに帰っちゃうんだよねぇ~」

(うう…矢野くん、うそばっかついてごめん!)

「そっかぁ、そりゃ彼らも残念だろうね」

「残念?」

「大好きな榊さんと離ればなれになっちゃうなんて、残念に思うでしょ」

「大好きって…」

「ふふ、気付いてないふりしてあげてるの?ふたりとも、俺にすごく威嚇してたもんなぁ。
子どもらしいって言うか、可愛いよね」

(子どもらしい…中身は25歳なんですけど…)

それよりも、大好きってなに。

さすがに昨日の様子を見ると、嫌われてはないのかなと思うようになったけど…大好きだなんてそんな…

あぁ、誰かさんのせいで腰も頭も痛い。


つづく
18/05/28 20:25 (Kjpg7txU)
11
投稿者: コロ
いつも続きを楽しみにしています♪
18/05/29 23:32 (AHBuBY5M)
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