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君に呪いをかけられて。
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:君に呪いをかけられて。
投稿者: はるまき
ファンタジー要素、ショタ要素出てきますので、苦手な方はスルーしてください。

*************


神さま仏さま、魔王さま閻魔さま…

えーと、えーと…

この際誰でも構いません。

私の気持ちを踏みにじったあの男を、思いきり痛い目にあわせてください!

どうか、どうかお願いします。


*********

「おーおー、今日もモテてるねぇ。あんたの元カレ」

「…あんなやつ、元カレでも何でもないよ。あんなの付き合った内に入んない!」

「まぁまぁ。確かにあの別れ方は腹立つけど、あんまり騒いでると『取り巻きたち』に睨まれるよ」

「うぐっ……うぅ~悔しいよぉ~~あの性悪男めぇぇ」

賑やかな社員食堂。

1番人気のテラス席を陣取って、楽しそうにランチタイムを過ごしているのは、私の「元カレ」である来島遼太(くるしま りょうた)と、美人で華やかな取り巻きの女性社員たちだ。

窓から離れた日の当たりにくい席で、肉うどんを食べている私の名前は、榊塔子(さかき とうこ)。

今年で25歳、可もなく不可も無くな容姿、仕事の出来も人並みの平凡なOLです。

そんな私が、部署内イチのモテ男、来島くんと付き合うなんてこと自体、今思えばおかしなことだったのだ。

彼とは3年前、新入社員の研修で出会った。

顔が良いだけでなく発言力もあり、リーダーシップも取れる。

私とは住む世界が違うなぁと思っていたが、こんな平凡女にも分け隔てなく優しく接してくれるので、私は簡単に恋に落ちてしまった。

偶然にも同じ部署に配属され、私は毎日がとても楽しくて充実していた。

しかし平凡な故に彼にアプローチする勇気もなく、私は「気の良い同期」として接することに徹していた。

そんな私たちに間違いが起こったのは、今年の3月末。

『俺さ、榊のこと…前から良いなぁって思ってて』

職場で花見をした後、片付けたごみ袋を抱えているところで来島くんから突然の告白を受けた。

驚いてぶちまけてしまったごみを、笑いながら拾ってくれた顔が今でも頭から離れない。

私に断る理由もなく、晴れて恋人同士になれたのに、付き合って2週間も経たない頃…

『ごめん、やっぱ付き合うの無しにしてもらって良い?なんか…いざ付き合ってみたら何か違うかなぁって…』

という訳の分からない理由でフラれてしまった。

付き合っている間、彼は1回家に来てくれたので私は精一杯の手料理を振る舞った。
その夜に初めてセックスして、夢のような時間を過ごした。
それなのに「何か違う」ってどういうこと!?

突然の別れを私は受け入れられず、悲壮感にうちひしがれていた時に追い討ちがかけられた。


『本当に付き合ってないのぉ?榊さんと一緒に帰ってるの見た人たくさんいるんだよ~』

『付き合ってないよ~こんなに可愛い子たちに囲まれてるのに、何でわざわざ榊さん選ぶの?』

『ぷっ…やっだ、遼太くんひどーい(笑)』

『本当のことじゃん(笑)俺、みんなと遊んでる方が楽しいもん~』

休憩ラウンジで楽しそうに取り巻きとしゃべっているところを偶然聞いてしまい、私は愕然とした。

あんなに素敵な人だと思っていたのに、私はからかわれていただけなんだ。

悔しくて悲しくて、私は一晩中泣いた…

「…ていうのにあの男は!
相変わらず女はべらせて!良いご身分よね!!
っとに…腹立つわぁぁぁ~」

「そんな嫌な人に見えないけど…人って分かんないもんだね」

よしよし、と同期のみなみちゃんが頭を撫でてくれる。

「…私、あれからあいつに怨念送ってんの」

「は?」

「ネットで毎晩『呪い』『仕返し』って検索してるから!
あいつの下半身が爛れて、使い物にならなくなってしまえって思ってるから~~!!」

「平凡な顔して考えることがエグいわぁ」


良いでしょ、これぐらい思っても。

私はそれ以上に傷つけられたんだから。

どうせ気休めでしかないけど、あいつが痛い目にあうように願うことで、私は正気を保っているのだ。

*********

翌日、彼はオフィスに来なかった。

「え~来島くんだけど、急な体調不良で今日は休みだから」

(ま、まさか本当に爛れた!?)

ちょっと寒気がしたものの、良い気味だと思い直した。

彼のいないオフィスで、目の前の仕事を淡々とこなし、定時まで働いてまっすぐ家に帰る。

こんな平凡な日々を過ごしていけば、私の傷もいつか癒えるはすだ。


「みなみちゃん、帰れる?」

「ごめーん、まだかかりそう。先帰ってて」

「分かった、お疲れさま」

有能なあいつが休んでいたため、今日はいつもより忙しかったのが何だか悔しい。 

ため息混じりでオフィスを出たところで「おい」と声をかけられた。

視線の先には、見たことのない小学生か中学生くらいの男の子が立っている。

そして思いきり私を睨んでいた。

(え、私?だ、誰この子…)

「おっせーよ!」

「あ、あの人違いかなぁ?」

「…ったくお前なぁ、何てことしてくれてんだよ!」

少年は私に向かってズイズイと向かってくる。

「っ!!?」

びっくりして私は思わず逃げてしまった。

「おい!待てよ!!」

(なになになに?あの子なに!?こ、こわ~何で見ず知らずの子どもにキレられてんのぉ!?)

何度も迂回しながら、後を付けられていないことを確認して家についた。

ほっと安堵したのも束の間。

「お前~~どこほっつき歩いてたんだよ!」

「ひいぃ!!」

さっきのキレる少年は、さっきよりもキレた顔で私の部屋の前に立っていた。

「け、け、け、警察~!」

「落ち着け!榊、話聞けって!」

「な、名前まで知って…えぇ~ストーカー!!?」

「んぁ~もぉぉ…俺だよ!来島!!お前の元カレの来島だって!」

少年は真剣な面持ちでそう叫んだ。

「………は?」

「だからぁ、来島なんだって。朝起きたらこんなことになってたんだよ!」

「あ、悪の組織に、何か毒物を…」

「名探偵の話じゃねぇんだよ!!」

落ち着け。落ち着け私。

この戯れ言少年はきっと来島くんの悪戯だ。

何らかの理由でこの子を使って、私に嫌がらせを…

「…あのね、その来島って人に頼まれたの?
悪いけど私とその人は何の関係もないから。
もう暗いんだから、早くおうちに帰りなさい」

「…やっぱ信じねぇよな」

「いくら頼まれたとは言え、知らない人の家まで来て騒ぐなんてダメなんだからね」

「ピンクのレース。真ん中にちっちゃいリボン」

「え?」

「半月前、俺とセックスした時に榊が着けてた下着の色!」

「……えぇ??」

「あと、へその右側にほくろ。くすぐったいから触らないでって笑って…」

「ちょっ、まっ!…え、えぇぇ!!?」

「まだ信じない?他にもあるよ。首筋には」

「わーー!わ、分かったから!ちょ…い、1回入って!」

有り得ない、そんな漫画みたいなことあるわけない、と混乱しながら、私は少年の手を引いて部屋のドアを閉めた。

「やっと信じたか」

ふんっと腕を組みながら、混乱している私を見る少年。

「く、く、来島…くん?えぇ~~」

神さま仏さま、魔王さま閻魔さま?

こ、これって私のせいなのでしょうか?


つづく
2018/05/21 21:08:39(thh7PhBH)
12
投稿者: はるまき
ありがとうございます!嬉しいです!!


*********

帰宅すると、来島くんが昨夜作ったカレーを温めていた。

コニーちゃんが頭の上に乗って鍋を覗きこんでいる。

「おかえり~」

「ただいま。わぁ~助かる、ありがとう~」

〈来島くん、良かったねぇ。やっと塔子ちゃんに食べてもらえるねっ☆〉

「お前はあっちでリンゴでも齧ってなさい」

手でピッピッと払うとコニーちゃんはパタパタと羽を鳴らしながら飛び立つ。

私に小声で〈照れてるんだよ〉とウインクしてきた。

来島くんはとても優しい。

でも私は間違いなくフラれたし、白沢さんたちと話していたのも聞き間違いではない。

昨日のことを思うと、これ以上聞いても来島くんは何か話してくれるような気はしなかった。

私はというと、今日改めて矢野くんから「来島が好きなんでしょ」と言われ、どんどん来島くんを想う気持ちが高まっているのを感じていた。

我ながら単純な性格だと思うけど。

早く呪いを解いてあげたいけど、解けたらまた離れていくのか…

そんなことばかり考えていた。


「…ん、美味しい!これすごい美味しいよ~」

「良かったぁ…あ~手料理食べてもらうってなんか緊張すんね(笑)」

安心した来島くんはカレーを口にして、自分で「あ、うまいうまい」と笑っていた。

今みたいなあったかい時間が、もうすぐ終わっちゃうのかな。

もっと一緒にいたいって言ったら、来島くんは困った顔をするのかな。

********

お風呂から上がると、来島くんはソファに寝転んだ状態で右足を上げ、膝を何回も曲げたり足首を回したりしてる。

そして時々「っ…」と小さな声を出していた。

プシュッ

「はい、成人おめでと~」

「え?…あ!ビール!!」

来島くんの顔の前に缶ビールをちらつかせる。

彼はぴょこんっと身体を起こし、目を輝かせていた。

「久しぶりのビール!!」

昨日までは未成年ということだったので、「大丈夫なのに!」という来島くんの飲酒を却下し続けていた。

ゴクッゴクッゴクッゴクッ…

美味しそうに喉を鳴らす。

「っ…んまぁ~~」

「そんな一気に飲んで…酔いが回るよ~

…さっきの、足ってあんなに動かして大丈夫なの?」

「うん、固まったら困るから、当時もなるべく動かしとけって言われてたんだ」

「そうなんだ…まだリハビリしてた頃の身体だもんね。
あ、朝の話だけど…御守りもらったって何のこと?」

「え?…あぁ~まぁ、俺が勝手に御守りにしてるだけなんだけど」

「何かあげた?」

「いや~」

歯切れ悪く、ちょっと恥ずかしそうに頭をかく。

「…うーん…俺のケガってさ、いっつもみんなに同情されちゃうんだよね。
可哀想だ、運が悪い、もったいないって…当時は本当に嫌になるくらい言われてた。
…そんなの、言われなくても本人が1番分かってるのにね」

「……」

「サッカー出来なくなるのはかなり辛かったけど、仕方ないって思った。日常生活できなくなる方が困るし…
でもサッカーは大好きだから、選手は無理でも教える側とか、リハビリトレーナーとか、何でもいいからサッカーと関わる仕事がしたかった。
…まぁ当時は、何とか前向きに生きてこうって、必死で自分を奮い立たせてたのかも」

痛むのか、右足をそっとさすっている。

「でも、みんなは変わらず俺を可哀想なやつって目で見てた。ひとりで頑張れば頑張るほど、憐れむような…
俺は結局それに耐えられなくなって、サッカーの世界から完全に離れちゃったんだ。
サッカーのことまで嫌いになりそうで…怖かった。

だけどそれからも、この傷を見るたびに「俺は可哀想なやつなんだ」って言われてる気がして…結構キツかったなぁ。
これからもこの傷を見るたびに、それこそ一生、自分は可哀想だって思い続けるのかなぁって…軽く絶望っていうの?」

「…そんなこと、ないのに…」

思わず呟いてしまう。

ケガの経緯は聞いていたけど、まさかこんなに辛い思いをし続けていたなんて知らなかった。

来島くんは私を見て、ふっと笑う。

「うん、あの時もそう言ってくれた」

「え、あの時?」

「新人研修で、俺がこの傷のこと話したら案の定、みんなから可哀想だなんだって…でも、榊は…」

『そっか…その傷って、来島くんが辛かったことを一生懸命乗り越えた証なんだね。ものすごーく頑張ったんだねぇ』

「……私ってば何をエラそうなこと…」

「ううん、俺…めちゃくちゃ嬉しかったんだよ。ここまで来るのに俺は死ぬ気で頑張ったんだ、道は違っても自分でちゃんと前向いて立ってんだって。
可哀想って思われるより、すげぇじゃん!って…誰かに、ずっと言って欲しかったのかなぁ」

「来島くん……え、もしかして御守りって」

「そう、榊に言ってもらった言葉だよ。ずっとモヤモヤしてた気持ちが、一気にすーっと楽になった。
もっと早く、榊に出会ってたらなぁって……あー!改めて言うの恥ずかしいなっ!」

来島くんは照れとアルコールのせいで顔を赤くしている。

私の言った言葉で、来島くんを少しでも救うことが出来てた…

どうしよう、嬉しくて泣きそう。

「何だよぉ、なんかリアクションし…榊?さか…んっ」

私は来島くんに跨がり、そっとキスをした。

もう、気持ちが抑えられない。

「…来島くん、私…」

好き。来島くん、好きだよ。

優しくて、強くて、でも時々ひとりで頑張り過ぎちゃう来島くんが好き。

だけど、困らせると嫌だから言わない。

…私もお酒が回ったんだろうか。

身体が熱い。

来島くんに、触って欲しい。

私は初めて自分から来島くんを求めた。

*******

「榊…その、大丈夫?昨夜はかなり無理させたから…」

「大丈夫…」

ベッドの上で、来島くんは私を少し心配そうに見下ろしているので、ぎゅっと抱き寄せた。

来島くんの手がゆっくりと服の中に入る。

わき腹に軽く触れただけで、びくんっと反応してしまう。

アルコールのせいなのか、それとも…

ブラが外され、固くなった先端はクニクニと弄られる。

「んっ…あ、んは…」

私の下半身は触られる前から熱く濡れていて、トロトロで火傷しそうだ。

「どしたの、榊…今日すごい」

ぐちゅんぐちゅんと、指を出し入れする度に恥ずかしい音がする。

「はぁっ…わ、分かんない…でも…き、きもちぃの…」

私は惚けた顔で口をパクパクさせている。

「やばいよ、榊。すご……っ、いてっ……ちょ、ごめん…」

来島くんは顔をしかめて、仰向けに転がり右膝をさすっている。

「だ、大丈夫!?」

「ごめん、体勢がちょっとキツかっただけ。ごめんごめん…」

さすがにリハビリ中の身体で、膝立ちの姿勢をキープしての愛撫は辛かったようだ。

来島くんは、どうしたものか…と考えている。

「……来島くん、そのまま」

「え?」

「そのまま、仰向けで…」

私は来島くんの上に跨がる。

「今日は…私が…」

そしてまた、来島くんの口を塞ぐようにキスをした。

くちゅっ、むちゅ…チュポ…

どうしよう、こんなの恥ずかしいのに…止まらない。

来島くんのTシャツを捲りあげ、指先で乳首を弄る。

「わ、榊…ちょ…ん」

小さめの乳首が固くなったきたので、私は顔を近づけて乳首に舌を這わす。

ぷちゅん、レロッ…ぴちゃぴちゃ…

舌で先端をくすぐると、来島くんは小さく声をあげている。

「来島くん…ここ、さっきから苦しそう」

スウェットの上から、固く盛り上がっている部分に手をやる。

スリスリと服の上から擦ると熱い温度が伝わってくる。

「…見てもいい?」

私が聞くと、来島くんは赤くなりながら頷く。

スウェットをずらすと、ぺニスがドクドクと脈打っている。

「な、なんか一方的に見られるって…恥ずかしいな…」

「じゃあ私…いつも恥ずかしいことされてる」

「う、ごめん…」

「いつもの仕返し…」

私は来島くんの大きくなったぺニスを握り、そして…

チュポッ、むじゅっむじゅっ…ジュポジュポジュポジュポ…んむっ…んぼっ…じゅるっじゅるん…ぐぽっ

口の中で来島くんのぺニスを味わう。

大きくて、熱くて、ぬるぬるしている。 

くちゅんくちゅんと手でしごきながら先端をしゃぶると、来島くんは私の名前を呼びながらビクビクと反応していた。

来島くんにゴムを装着してもらうと、私はぺニスを入り口にあてがう。

ゆっくり、ゆっくり腰を落とすと、来島くんが押しいるように私の中へ入ってくる。

「……んぅ…は、あ…ぅあ…ん」

ブチュンッ

根本まで挿入され、私は来島くんの上でハァハァと息を切らしている。

「榊…」

来島くんは熱っぽい目をしながら、私の胸を揉みしだいたり、お尻を優しくて触ってくる。

私はゆっくりと腰を上げたり下げたりすると、結合部はチュボチュボといやらしく音を立てていた。

「あっ…はぅ、あ…」

騎上位なんてやったことがないので、私の動きはぎこちないけど、それでも自分の体重でぺニスが奥まで突き刺さるような感覚になる。

「あ、く…それ、やばい…」

「はぁっはぁっ…んぅ…んんっ…は、はぁはぁ…」

慣れない動きに疲れてしまい、私は来島くんの上にペタッとへたりこむ。

「ごめ…ちょっと…休憩」

「………」

ぐいっ

「え、あ…」

来島くんは上半身を起こし、私を抱き締めたまま、腰を激しく突いてくる。

「あっ、あっ!や、んあっ…は、げし…ひぃっ」

間近で来島くんと目が合う。

ダメだよ…そんな目で見られたら…

「く、るしま…くん、んぐ、ぷは、くちゅ、チュッ、ちゅぷ…」

熱くキスをしながら、抱き合って腰を振り続ける。

「はぁっ!ん、あ…あぁ!や、やぁ…んは……きぃ…す、すきぃ…くる、しまくん…はぁん…好きぃ…好きなのぉ」

ビクビクッ…

来島くんのぺニスが私の中で果てていくのを感じる。

私はあまりの気持ち良さに、何か口走ってしまった気がしたが、そのままフラフラと倒れるように寝入ってしまった。

もうすぐ、呪いが解ける。


つづく
18/05/31 07:23 (fFGy6F50)
13
投稿者: コロ
続きを楽しみに待ってます!!
18/06/02 21:58 (uHqdeAHT)
14
投稿者: はるまき
読んでくれて嬉しいです!



today´s DETA
physical age:24
height:177㎝

*********

目が覚めると、私は腕枕をされていた。

顔を左に向けると、スヤスヤと眠る来島くん。

昨夜とは異なり、黒髪に戻っている。

いよいよ社会人の来島くんに戻ってきたのだ。

「ん、う…」

来島くんは右手で私の頭を触ってくる。

どうしよう……好き。

すごく、すごく、好き。

胸がギュウッと締め付けられる。

こうやって肌を重ねるのは、あと1回もあれば良いはず。

あぁ、好きって気持ち…結局消えなかったなぁ。

*******

「ふぁぁ…おはよ~」

「あ、おはよう」

朝ご飯を用意していると、眠そうな来島くんが寝室から出てきた。

〈おはよーって…来島くん、しゃんとしなさいよ~もう24歳まで戻ってるんだから!〉

「え、本当!?…おぉ~髪黒くなってる…今さらだけど、これどうなってんだ?」

鏡をしげしげと見ながら、不思議そうにしている。

「…ん、24歳?一晩で3歳も戻ったわけ?」

「あ…」

言われてみれば、悪夢のような一昨日だって、あれだけして4歳しか戻ってないのに。

昨日の1回だけで3歳?

〈あぁ~〉

コニーちゃんはニヤニヤとしている。

〈最初に言ったでしょ、この呪いの原動力は塔子ちゃんの「淫の気」だって。
それを解放するためのエッチなのよ?

そりゃあ来島くんが気持ち良くなればなる程、解放の勢いも大きくなるわけよ。ま、一晩の限度はあるけどね〉

「それはそうなんだけど、昨夜は1回しか…」

〈だからぁ、気持ち良さはイコール回数だけじゃないの☆〉

「へ?」

〈……昨日の塔子ちゃん、とっても積極的みたいだったじゃなーい?〉

うぷぷぷ、と笑いながら高く飛び上がる。

〈来島くん、嬉しくて相当感じちゃったんじゃなーい?〉

「えっ!?」

「な…っ!」

〈塔子ちゃんも、来島くんを気持ち良くさせたいって後悔しまくりだったし…
つまりそれだけ、昨日はお互いを想った濃厚なエッチだったってことよ!ウキャキャキャー♪〉

真っ赤になる私たちの周りを、コニーちゃんははしゃぎながらブンブンと飛び回る。

「…お前は人を茶化すことしかできねぇのか」

〈本当のことだもーん〉

お願いコニーちゃん、気持ち掻き回さないでぇ…

私は火照った顔を沈めるため、顔を洗いにいく。

〈…来島くん、あと1回よ。それで呪いは完全に解けるわ。
あなた…昨夜の塔子ちゃんの言ったこと、ちゃんと聞いてたでしょ?〉

『くる、しまくん…好きぃ…好きなのぉ』

「…うん」

〈塔子ちゃん、抑えてた気持ちがついこぼれちゃったのねぇ…はぁ、来島くんが、人の気持ちを考えられないクズでないことを祈ってるわ〉

「…分かってるよ。でも今はまだ……ん?」

ガシッと来島くんはコニーちゃんを右手で捕まえる。

「…何で榊の言ったこと知ってんだよ…お前、まさか…」

〈っ!!違うもん違うもん!これはあくまで適切な説明と助言をするためであって、決して面白そうだからのぞいちゃえ~ってわけじゃ…〉

ハッと口を両手で押さえるコニーちゃん。

「てめぇ…やっぱのぞいてたのかよぉぉ!!」

「ちょっと何騒いでんの……え?」

ひぃぃん!!と泣きながら部屋中を飛び回るコニーちゃん。

丸めた新聞を片手に、プリプリと怒りながら追い回す来島くん。

〈バーカバーカ!来島くんの優柔不断!カッコつけ!ヤキモチ焼き!〉

「くぅっ…このポンコツ悪魔がぁ!!」

〈悪魔じゃないもん!!怒りんぼー!!〉

「……朝ご飯、先に食べてるね」

私は脱力しながら、ふたりの子どもみたいなケンカを見ていた。

********

「え~来島だけど、やっと退院できたようで、今週中には復帰の目処が立ったと連絡が入った。でも病み上がりだからな、無理させないように」

昼前、部長がニコニコと私たちに報告してきた。

病み上がり…ご飯食べてビール飲んでセックスしてましたけど…

それにしても来島くん、もう仕事に戻る気まんまんだ。

今夜で終わらせるつもりかな…そう思うと何だかまた胸が締め付けられる。

来島くんの復帰の報告に、白沢さんたちはキャッキャッと色めき立っていた。

「快気祝いしてあげようよ~」

「いいね!どっか週末でさぁ…」

何だかその会話が聞きたくなくて、廊下に出る。

まだ昼休みが始まったばかりだから、ラウンジは人がほとんどいない。

「どしたの、元気ないね」

矢野くんが顔をのぞき込んできた。

「わ、びっくりした…」

「来島、戻ってくるの良かったじゃん」

「そうなんだけど…」

この胸のモヤモヤ。

きっとどこかで、このまま来島くんを独り占めしたいと思ってるんだ。

私だけが来島くんの秘密を知っている。

私だけが来島くんを助けてあげられる。

「あ、そうそう。来島って何か新しいプロジェクトでも任されてるの?」

「…え、どうして?」

「あいつ、ここ一月ぐらいの間に結構大きい仕事をこっちに引き継いでくれないかって言ってきてさ。俺だけじゃなくて、他にも何人か任されてるやついるみたいで…
だからあいつが今休んでる今も、何とか仕事が回ってるとこあるんだよね。
もし引き継ぎしてなかったらヤバかったよ。

でも、いきなり何で?って思ってさ。何かプロジェクトでもさせられてんのかなぁ~と」

「…新規プロジェクトなんて話出てないし、来島くんからも何も…」

何も聞いてない。

「そっか……うーん…あいつまさか、本社とかに異動じゃないよね?」

異動?

ドクンッと胸が速くなる。

「実は内々ですでに辞令出てて、ちょっとずつ仕事分担してるとか……ってあ、ごめん!推測だから…あいつ何も言ってないんでしょ?じゃあ俺の考えすぎだから、ね?」

私があまりに動揺した顔をしているのを見て、矢野くんは慌ててフォローしてくれる。

「矢野くん、私何も聞いてない」

「うん、そうだよね。ごめんごめん」

「何も…教えてくれないんだもん、来島くん…何考えてるのか、私…分かんな…」

目の奥がツンとして、熱いものが溢れそうだった。

上向きで何度も瞬きをして、何とか引っ込ませる。

ここ最近はいろんな話をした気がしたけど、結局肝心なことは何も分からない。

何が私だけが…だ。

おこがましいことを思っていた自分が恥ずかしい。

すると、ポンッと私の頭に矢野くんが手を乗せる。

「うーん…男はさぁ、何て言うか、カッコつけだから、悩んでるとことか必死で頑張ってる姿、彼女とか好きな子にあんま見せたくないやつもいるんだよ。

不安かもしれないけど、ちょっとだけ見守ってあげたら?」

ニコッと笑いながら頭をポンポンと撫でてくれた。

「…ありがと、矢野くん。でもあの…私、来島くんとは付き合ってないし、別に好かれてるわけでも…」

「…こないだはただの噂って言ってたけど、本当はちゃんと付き合ってたんじゃないの?」

「へぇ!?」

「ぶはっ…本当、顔にすぐ出るよね。
何で別れたのか知らないけど、榊さんこんなに未練たらたらじゃん。
…来島、そんな別れ方するやつには見えないんだけどなぁ」

「うん……」

ラウンジに人がガヤガヤと入ってきたので、矢野くんはそっと私から手をのけて、ヒラヒラと手を振って出ていった。

転勤…まさか、でも…

ざわつく気持ちがおさまらなかった。

**********

「さっきのあれ何?頭ポンポンとかされてたんだけど」

「え、矢野くんと付き合ってるの?」

「うそぉ~矢野くんちょっと狙ってたのに…」

「てか、前は来島くんで今度は矢野くんって…
榊さん、目立たないのになんで?」

ラウンジの外でヒソヒソと女性社員が集まっている。

「ねぇ、白沢さん?」

「………うざ」

取り巻きの真ん中にいる白沢さんは、低い声で呟いた。

つづく
18/06/04 13:21 (CigIPdeM)
15
投稿者: コロ
この後の展開が非常に楽しみです♪

続きを宜しくお願い致します!!
18/06/09 22:42 (1F92F/C7)
16
投稿者: はるまき
ありがとうございます(*^^*)
今回Hシーンなしですけど、読んでもらえたら嬉しいです。


*********

私の名前は「白沢 美麗」と言う。

「美しく、麗しい女性になるように」という、両親の願いが込められている。

両親や周りは幼い頃から私を非常に可愛がり、ほとんど叱られた記憶もない。

実際に私の顔はとても可愛らしく、勉強も良くできた。

私の周りには自然といつも人が集まっていて、私にとってもそれは当たり前のことだった。

大学まではその当たり前が何の問題もなく続いていたが、社会に出ると少し違和感を覚えた。

会社には、良い大学を出ていたり、容姿の整っている人が何人もいたのだ。

もちろん自分も上位にいることは確かだが「1番」じゃない。

初めて感じる、猛烈な嫉妬や嫌悪。

特に、良い大学を出ていて、先輩たちに「可愛い」とチヤホヤされていた「早瀬さん」という同期の女のことは、心底気に入らなかった。

私も持ち前のルックスや身の振り方で、男性たちからそこそこ支持されていたが、大した努力もしてなさそうな早瀬さんが、私よりもモテている現状にイラつきを感じていた。

そこでふと、同じく同期の来島くんが目が留まる。

彼は、同期の中でも頭ひとつ抜けて非常に優秀な人だ。

スポーツ推薦らしいが良い大学も出ているし、そして何より見た目が良い。

彼が歩いていると、皆がうっとりとした目で追っている。

そうか、早瀬さんに勝つには、来島くんが必要なんだ。

来島くんが私のものになれば、私は皆からとても羨ましがられるだろう。

そして、私の価値も正当に評価される。

そう思ってから、私は来島くんを落とすためにあれこれ画策してみたが、簡単には落ちてくれなかった。

それもまた「周りのつまらない男たちとは違う」と、私の欲望を駆り立てた。

そんなある日、早瀬さんがニコニコと来島くんに近づいている姿を見かけた。

『来島ぁ、こないだはフォローありがとね。
テンパっちゃってたから助かったよ~』

『別に大したことしてないよ。ほとんど早瀬が準備してたので間に合ったじゃん』

『へへ、来島がいて良かったぁ。
…あのさ、お礼ってわけじゃないんだけど…今度、その…一緒に』

『来島ー!あ、いたいた、課長が探してたぞ』

『あ、はい!すぐ行きますー!あ、ごめん早瀬、何て?』

『…ううん、何でもない!ごめん、引きとめて』

『そ?じゃあ、俺行くわ』

熱のこもった視線を来島くんの背中に向けている早瀬さん。

それを見た時に、私の中にすぅっと冷たい空気が入り、ひとつの思いがハッキリと浮かんだ。

早瀬さん。私の邪魔ばかりする人。排除すべき人。

その思いが明確になってからは早かった。

若くて可愛い彼女を良しとしていなかったお局さまたちに、軽く盛った彼女の噂話を吹聴すると、露骨に彼女は嫌味や理不尽な説教をされることが増えた。

私には優しい同期の友達がたくさんいたので、お局さまと一緒になって早瀬さんを攻撃してくれた。

彼女は可愛い顔をしているくせに、人に甘えたりはしない女だったので、どんどんと1人で抱え込み、日に日に弱々しくなる姿は情けなくて可笑しかった。

お人好しな同期の女たちは心配そうに声をかけていたが、変なプライドがあるのか「大丈夫だよ」と言っていた。

そんなところも気に入らなかった。

しかしそんな状態が長く続くはずもなく、彼女は遅刻や欠勤をするようになり、最後は仕事に来なくなった。

馬鹿な女だ。

私のように上手に甘えられるスキルがあれば、こんなことにはならなかったのでは?

1人で何でも解決しようとするから、余計に反感も買うのだ。

いくら可愛くても、世の中の上手い渡り方を知らないなんてもったいない。

どちらにしても、これで邪魔者はいなくなったので心置きなく来島くんと一緒にいられる。

そう思っていたのに。

『ぐすっ…うっ、早瀬さんに、私…何もできなかったよ…』

『…塔子が悪い訳じゃないよ…私だってもっと気にかけてれば…』

同期の中でもお人好し・おせっかいコンビの榊さんと岡崎さんがラウンジでうなだれていた。

こういう女たちも好きではない。

『ごめん、塔子…ちょっと呼ばれてるから行くね』

榊さんは泣きながら頷き、また机に突っ伏して泣いていた。

あぁ、陰気な女だなぁ、とうんざりしていると入れ替わりに来島くんの声がした。

『早瀬のこと…気にしてんの?』

『…当たり前じゃない』

『早瀬に何があったか詳しくは分かんないけど…榊のせいじゃないんだから、そんな泣くなよ』

『だって…』

『俺も、早瀬が悩んでるの気付いてやれなかったし…』

『…早瀬さん、いっつも大丈夫大丈夫って……全然大丈夫じゃなかったのに…う…うぅ~』

何で他人のことでこんなに泣けるわけ?

私には理解できないし、したいとも思わない。

偽善者にしか見えず、イライラする。

だけど来島くんは、そんな偽善者の頭を優しく撫でていた。

『…早瀬、田舎に帰ったって。あっちには家族や友達もたくさんいるから、のんびり休むって聞いたよ。
早瀬だってあっちで頑張ってんだから、榊がいつまでも泣いてたら、あいつ心配するぞ』

『…ぐずっ…ずっ……う、うん…そだね…早瀬さん、優しいもんね…』

…ちょっと、そこのポジションは私でしょ?

優しくされている榊さんにイラッとしたけれど、彼女は所詮「その他大勢」だ。

見た目も普通、出身大学も普通、仕事の出来も普通。

私が劣っているところはひとつもない。

そう思うと、来島くんの行為も情けない同期を同情する思いから来るものだと分かるし、そんな来島くんの優しさを私は高く評価した。

だがその1年後に、2人が付き合ってるんじゃないかという噂が流れた。

お花見の後くらいから、一緒に帰っているのを見かけたという話だ。

私の誘いにはまったく応じないのに、榊さんと一緒にいるなんてどういうこと?

さすがに付き合っているとは思えなかったけど、あの女も調子に乗らないようにちょこっと警告すると、そんなくだらない噂もすぐに聞かなくなった。

それどころか、なかなか振り向かなかった来島くんがよく私のところへ来るようになった。

私のことを「可愛いね」「白沢さんがニコニコしてると癒されるよ」なんて甘い言葉を言うようになってきたのだ。

だけど後ひと押しがなかなか効かずに、完全には落ちてくれない彼に、私はヤキモキする。

次はどうしようかと思っていたら、来島くんは急に仕事を休んでしまった。

電話もメールもなかなか繋がらず、苛立ちは募る。

榊さんも懲りずに来島くんのことを話題に出しているかと思ったら、今度は矢野くんに取り入ってるの?

矢野くんだって、うちの部署ではかなりの優良物件だ。

万が一、来島くんがダメな場合は矢野くんでも…と思ったこともあったのに。

あら、榊さん…

あなたこそ、本当に邪魔な人だったのかしら。

私の中で、また冷たい空気が流れた気がした。


つづく
18/06/11 19:30 (is4lcc0k)
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