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夢枕
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:夢枕
投稿者: アリス ◆Df3LS3WJTE
2198年。

まだ地球は存在している。人間もいる。
平和になった世界。
ただし現実だけ・・・・。別の世界ではもっと悪化している。
でもそれは仮想だから。
人は死なない。


目の前にウサギがいる。
ステッキを持ってニンジンスティックをポリポリかじっている。
「おい、ニル!サボるな」
ウサギは耳をピョンと立てて姿勢を正した。
シルクハットをかぶっている。
人形みたい。
口元はモフモフ世話しなく動いている。
まだニンジンスティックが口の中に残っているらしい「アリス様、ランチくらいお許し下さい」
「だめっ!」
このウサギは私の相棒。
名前はニル。
私はアリス。
今はある人を探している。普通の町並み。
人もいっぱい。
現実に見える。
そういう風に作ってある。ニルはステッキをクルクル回しながら歩く。
「落ち着かないね・・」
「ウサギですから・・申し訳ありません」
全然申し訳なさそうな感じはしない。
目標の人はもうすぐ目の前店に来るはず。
「チーターは来ませんね」
「まぁ待て・・」
なんでこいつを相棒にしたんだろう。
まぁ素行は悪いが性能は良いし。
黒いコートを来た男が店の前に立ち止まった。
「ニル!あれだ、行くぞ・・・全員、目標確認。捕獲準備・・」
他の仲間に連絡する。
私はニルと男に近づく。
G36Cを構えて近づく。
「動くな・・」
男は手を上げた。
ひげ面でいかにもって感じ・・・。
「チーターだな?」
「あぁ・・そうだ」
迂濶に近づけない。
その場は騒然とする。
「武器を捨てろ・・ゆっくり・・」
「俺は死なないよ・・」
まさか・・・。     一瞬戸惑った。     男に隙をつかれた。   私はトリガーを引こうとした。
遅かった。
男が素早く路地裏に逃げた「くそっ、ニル。追うよ」
「ラジャッ!」
本当にムカつくウサギだ。たまに敬語を忘れる。
男を追う。
路地裏からビルに入ったようだ。
G36Cのストックを降り立たんで構える。
ドアは空きっぱなし。
階段をかけあがる。
「屋上にいるようです」
「厄介なやつだな・・」
仲間はまだ来ない。   待ってられない。    屋上のドアを蹴破る。
素早く近くの物陰に隠れる屋上は広い。
「ニル、まだ屋上にいる?」「いるよ・・あ、います」
物陰から出る。
制圧していく。
「ははっ、こいよ!」
遠くに男がいた。
私は男が持っている物を見て素早く隠れた。
パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパッ!
安物のマシンピストル。
ミニUZIあたりか。
マガジンはとっくに空のはず。
けど笑いながら延々と撃ち続けている。
チートの一種・・・。
銃撃が止んだ。
「ニル、挟み込むよ」
「おまかせあれ!」
ニルと別れて挟み込むように隠れながら進む。
男の真横に来た。
キョロキョロとしている。素早く近づく。
G36Cを構える。
「動くな、銃を捨てて」
「ははっ、女か」
男がニヤリと笑う。
パンッ。
男の腕を銃弾が貫く。
UZIが吹っ飛ぶ。
男は平均な顔。
「死なないって言ったろ?」「クソッ!」
捕まえなければならない。だが近寄れない。
男は走り出した。
向かい側のビルに。
「ニル!撃って」
「はいっ!」
男は飛んだ。
向かい側のビルまでかなりの距離。
けど可能だ。
チートを使っているなら。ニルのステッキがNTW20に変わる。
対戦車ライフで2メートル近くある。
ニルがスコープを覗いてトリガーを引いた。
ボンッ。
もはや大砲だ。
空中の男の足に当たる。
足がちぎれた。
ニルがボルトを引いてもう一発撃つ。
男の両足は無くなりビルにぶつかって下の道路に落ちた。
私は無線で仲間に連絡。
「6番通りの真ん中に落ちたから確保して」
「了解」
下に落ちた男は這って逃げようとしている。
「ニル、左手」
「オッケー」
ボンッ。
男の左手が吹っ飛んだ。
もう動けない。
ニルはライフルをステッキに戻した。
「任務完了でやんすね!」
「ニルを一回バラしてちゃんと敬語使えるようにしないとね」
「お許し下さい!」
ニルの耳がしゅんと垂れた
下の道路に向かう。
仲間が男を確保している。「くそっ・・いてぇ!」
男は私を睨んだ。
私は男の右手をつかんで袖をまくる。
キーボードと小さなモニターのついた機械。
それを外して操作する。
「パッドは確保、住所も個人情報も載ってる。確保して」
仲間に渡す。
私は男を見下ろす。
「ある程度の規則は守ろうね、チーターさん」
「・・・・っ」
男は悔しそうな顔をした。「ニル、戻るよ」
「はぁーい・・かしこまりました」
ニルがポケットから鍵を取り出す。
私の右手にあるパッドに差し込む。
意識が戻っていく。
現実へ・・・・。






目が覚めるとパソコンの前にいた。
「ふはぁ・・つかれた」
仲間が数人パソコンの前の椅子に座って目を閉じている。
まだ戻って来ないだろう。
自分のデスクに戻ってパソコンでレポートをまとめる。
「今回は無限弾と重力無視のチートか・・はぁ、手強かった」
レポートを本部に送信。
私はまだまだ駆け出しの新米。
バーチャルリアリティーポリス。
もう一つの世界の警察。
略してVRP。
「そろそろ上がろう・・」
カバンを持って建物を出る街がある。
建物もある。
けど人はあまりいない。
車も走っていない。

メールが来た。
ニルからだ。
【これから気をつけますからバラさないで下さい】
ムカつくけど頼りになる。相棒はAIだ。
バーチャルリアリティー空間でのみ存在する。
バーチャルリアリティー空間・・VR空間が出来てから120年。
だいぶ洗練されてきた。
もう現実との区別も難しいくらい。
戦争はVR空間でされるようになった。
軍も軍需産業もある。
現実で戦争するよりVRで戦争するほうが儲かる。
そう聞いた。
政府は現実で戦争するよりよっぽど金がかからないVR空間で戦争をしている。
場所を決めて戦争したい国と戦争をする。
VR空間で使う武器類ももちろん金がかかる。
けど現実よりは安い。
軍需産業は儲からないと思うはず。
けど一般人も戦争に参加できるようになった。
オンラインゲームのような感覚で痛みもない。
武器類は銃器メーカーからダウンロードして買う。
武器もダウンロードして買う時代・・。
そして犯罪も減った。
現実での犯罪はほとんどない。
殺人、性犯罪はVR空間では当たりまえ。
被害を受けるのは人間ではなくNPC。
プログラムされたVR空間のキャラクター。     人間ではないので好きな事をできる。
罪にはならない。
規則の範囲内なら・・。
VRPが取り締まるのはチート使い、VR空間にいる人間に危害を加えた者など。

欲望の捌け口ができたお陰で人間は大人しくなった。まさに平和になったのだろう。
私の家はマンション。
二人暮らし。
恋人がいる。
「ただいま!」
「アリス、おかえり」
ちなみに私は日本人。
名前は好きな絵本の主人公から取った。
彼は正樹。
最近知り合った。
もちろん現実で。
「つかれた?」
「うん、つかれたよぉ」
私が甘えられるのは恋人だけ。
正樹に抱きつく。
「エッチしよ・・」
「うん、いいよ」
キスする。
現実のキスの方が好き。
エッチも現実の方が気持ちいい。
ゆっくりとベッドに倒れこんだ。
生きてるって実感する。
この時は・・・。



2010/12/25 14:59:08(as3AsvRi)
17
投稿者: アリス ◆Df3LS3WJTE
馬木くんは父さんが辞めさせたらしい。
誰の目にも触れず。
隠すように。
私は父さんの部屋に向かういくらなんでもこの怒りは抑えられない。
ドアを蹴破る。
Px4を突きつける。
「馬木くんに何をしたの?」「邪魔だったんだよ・・」
「私と付き合ってたから?」「そうだよ・・」
トリガーを引きそうになった。
深呼吸をしてホルスターにPx4を収める。
事情を説明する。
起こった事すべてを。
「知らない・・・遠くにはやったが・・」
「ホントに?」
「本当だ」
今すぐ殺してやりたい。
嘘をついているようにしか見えない。
「もう、あなたは父さんでもなんでもない・・大嫌い・・・」
部屋から出ようと背を向けた。
手首を掴まれる。
「待て・・・」
「何よ!」
「今から話す事を落ち着いて聞いてくれ・・・」
「・・・・なに?」
父さんは電話をかけて誰かを呼んだ。
受話器を置いて私を見つめる。
「母さんは死んだ・・知ってるな?」
「うん・・・」
私の手を握ってきた。
「母さんは死んでない・・母さんはアリス、お前だ」ついに頭までいかれたかな・・・・?
「バカみたい、離して」
「本当だ・・・お前は俺と結婚したんだ。年齢差がありすぎて批判されたよ・・・けど俺とお前は愛し合って結婚したんだ・・」
「父さん、頭がおかしいんじゃない?私は・・・」
私は育ててくれたおばさんの顔も忘れた。
どういう生活かも忘れた。私には何もない。
私は何をしてきた?
「アリス、お前はある日VRに行って拉致された。俺は身代金を払った・・戻ってきたお前は意識もなく何も覚えてない別人になった・・・そして俺の事をお父さんと言った・・・」
「そんな覚えない・・・」
父さんは私を抱き締めた。「お前の記憶はどんどん改変されていったんだ・・・訳が分からなくてな・・離れて暮らさせるようにした・・心配で監視をしたんだ・・すまない」
父さんは私の夫・・。
私は母さん?
父さんは私の頭を撫でる。「アリスが警察になるって言った時・・楽にしてやろうと思った。お前は完全に別人になった・・清純でいつも笑ってくれるアリスではなくなった・・・」
混乱してきた・・。
待って・・・。
「じゃあ、水樹は弟じゃないの?」
「そうだ、知り合いの探偵だったあの子に相談したんだよ・・どうにかアリスを元に戻せないかと」
「そんな・・・そんなの無いよ・・嘘だよ」
父さんは離してくれない。「アリスには少しずつ打ち明けるつもりだった・・・すまない・・襲ってしまって・・・」
頭がくるくるして。
倒れた。
理解できなかったから。







ベットで目が覚めた。
水樹がいた。
「水樹・・・」
「ごめんね、アリス・・」
「嘘ついてたの?」
「うん・・・」
水樹は布団に入って寄り添ってきた。
「僕・・アリスが好き」
「ホントに?」
「うん・・・それは本当だから・・」
「水樹・・・」
今はすがるしかない。
水樹に・・・。
怖くて分からない。





馬木くんの勤めているお城に連絡。
移動中にVRに入ったらしい・・その頃から少し変わったらしい。
私の拉致された時と似ている。
水樹とミクちゃんで話し合っている。
恐らく同一犯らしい。
私はお父さんに寄り添う。「嫌いって言ってごめん」
「いいよ・・もういい・・俺のわがままだったんだ・・・もう好きに生きてくれ・・俺は父さんでいい。アリスの笑顔が見れるなら」父さんとしか思えない。
もうどう言われようが。
「ごめんね・・・」
「いいよ、アリス・・」
好きだったのか・・・。
愛していたのか・・・。
忘れてしまって・・・。
けど今の私は・・・。
水樹が好き・・・。
そうなってしまった。



11/01/03 00:01 (6l4vYAZ3)
18
投稿者: アリス ◆Df3LS3WJTE
ハサミを見つめる。
これで・・・・・。
「ちょっと、お嬢様!?」
「あ、未稀さん・・・」
「どうしたんですか?」
「髪・・切ろうかなって」
未稀さんは少し黙った。
年上だから分かってくれるみたい。
私の気持ち。
変わりたいんだ・・・。
髪型でもなんでも。
さっぱりしたい。
「私が切ってあげます。これでも美容師の資格もってますから」
「お願いします・・・」
椅子に座って目を閉じる。髪にハサミが触れる。
長かった髪が切られてていく。
「これくらいでいいですか?」
未稀さんが髪をつまむ。
「・・もっと・・」
「はい・・わかりました」
チョキチョキ・・・。

しばらくして目を開けた。鏡に移る私は・・・・。
短くなった髪。
前髪は長い。
後ろはシャツに少しかかるくらい。
「ふむ・・・水樹より男前だね。未稀さんはどう思う?」
「凄く素敵ですっ!」
いいな・・男の子になったみたいだ。
少し髪を撫でてみた。
かなり変わった。
くしでといで髪を整える。艶々な黒髪はそのまま。
白いワイシャツを着ていたから切った髪がついている・・・。
パッパッと払う。
椅子からたってフリフリと頭をふる。
髪の毛の残りがいくつか落ちた。
未稀さんはポッと赤くなっている。
「幸い・・・じゃないけど胸もあんまり無いし、男の子に見えるかもね」
「あ・・・はい」
未稀さんはもじもじしている。
「ふむ・・未稀さん」
「は、はいっ!」
「ありがとう・・お礼してあげる」
未稀さんに近づく。
手首をつかんで引き寄せる軽くキスをする。
「んっ・・・お嬢様・・」
「私・・僕のキスはどんな味だった?」
「あ、あの・・・」
「ははっ、未稀さん可愛いなぁ。ありがとね」
フリフリと手をふった。
未稀さんは顔を赤くして固まっていた。

水樹の部屋に向かう。
途中でミクちゃんに会った「ミクちゃん、おはよ」
「うん?・・・えっ!?」
「びっくりした?」
「うん!」
「ははっ、そっか」

水樹の部屋に入る。
水樹は私を見てポカーンとしている。
「・・・どう?水樹」
「あわわ・・」
水樹のベットに座る。
「男の子になったかな?・・僕・・・」
「アリス・・僕よりカッコいい・・」
「えへ・・ありがと!」
水樹にキスして頭を撫でたなかなか面白いな。
髪なんていつかは元に戻る記憶は戻らない・・。
もういいんだよ。
これで・・・。
でも体は女の子だから。
エッチはしたくなる。
「水樹、する?」
「えっと・・朝から?」
「そう、朝から!」
「ミクちゃんが来ちゃうから・・ダメ・・」
「問答無用・・」
「あぅ・・・」
これからが私のスタート。新しい私の・・・。



11/01/03 09:47 (6l4vYAZ3)
19
投稿者: アリス ◆Df3LS3WJTE
髪を切ったと言ってもまだ全然縛れるくらい長い。
短めだと楽だな。
爆発の現場に向かう。
VRの車はないから歩きで。歩くと髪がなびく。
腰くらいまで伸びてたからなぁ。
「あの・・・」
「はい?」
女の子のグループ・・。
まさかね・・・。
「良かったらお茶しませんか?」
「えっと・・ナンパ?」
「あ、はい・・」
ふむふむ・・・やっぱり男の子っぽくも見られるのか・・・。
「失礼・・僕のどこがいいの?」
女の子たちはもじもじしている。
「えっと・・可愛いしカッコいいし素敵です!一目惚れしました」
「あ、あはは・・・」
本当にこんな事になるとは・・・・。
「ご、ごめん。僕急いでるから・・」
女の子たちはしゅんとした私はまた歩き出す。
同性に好かれるってのもいいな。
手鏡を取り出す。
「ふむ・・まだ女の子だと思うんだけどなぁ・・そんなに切ってないのに」
ムッとして手鏡をにらむ。ほっぺたを膨らませる。
「ねぇねぇ、君、俺達と遊ぼうよ」
今度は男のグループだ。
めんどくせ・・・。
「あ、僕急いでるんで」
「はぁ?男かよ!?」
イラッとした。
警察手帳を見せつける。
「お!ん!な! 生粋の女の子ですがなにか?」
男たちは去っていった。
警察手帳をしまって周りの視線に気付く。
クスクス笑われてたり可愛いとか言われてる。
これが新しい自分。
後悔はしてない。

現場に行くと武村さんがいた。
「武村さんっ!」
「おお、大変だったな・・・・髪切ったのか」
「ええ・・まぁ・・」
少し髪をいじる。
頭を撫でられた。
「似合ってるよ」
「・・・ども」
爆心地の周囲は立ち入り禁止。
大きなテントで囲われている。
テントに入る。
真っ黒になった固まりがごろんと転がっている。
「爆発はあの当たりだな・・・プラスチック爆薬が使われた」
「彼は人間なのに製造番号が表示されていました・・まるでNPCみたいに・・」
「ふむ・・・」
あらかたの事情は話す。
武村さんはしばらく黙る。「よく分からんな・・・記憶を取り出して全く同じ外見のNPCに記憶を入れて自爆させたって事か・・?なんだそれは・・・」
「記憶を取り出す・・・私の場合まったくの別人になっちゃいましたが・・」
記憶を取り出す事は無理ではないが固く禁止されている。
逮捕されれば死刑。
VR内にある特別な施設で記憶をコピーする。
データ化されているが取り出した部分の記憶は消える現実にも支障をきたすので現在開発中止だとか。
私はパッドで調べてみた。「その施設はもう無いみたいですね・・2050年から開発が始まり2148年に開発中止で施設は無くなったらしいです」
「ふむん・・・」
誰かがこっそり施設を作ったとか?
そんな事できるのはよほどの大金持ちだな。

帰宅して馬木くんの部屋を調べる。
荷物はもう無いみたいだけど。
「むぅ・・無いなぁ・・」
バフッとベットに寝転がる天井が見える。
「はぁ・・・わけ分かんない・・・ん?」
天井に何か張ってある。
手を伸ばしても届かない。「むぅ・・・」
「アリス、何かあった?」
「水樹っ!手伝って」
「ほぇ?」
水樹を肩車して取ってもらった。
封筒?
手紙が入っている。
「アリスへ・・私に書いたのかな」
手紙を読む。
【今、君にしか見えてない物がある。それは君にしか分からない。僕は捕まった・・・もう助からない。これを君が読んでいる頃、僕は君の事はさっぱり忘れている。君にしか見えてない物が・・・僕を消した・・もう何も書けない。思い出せない・・どんどん消えていく・・自分が変わっていく・・怖い・・怖いよ・・アリス・・さよなら】

「・・・・馬木くん・・」
水樹に手紙を渡す。
私にしか見えない物。
・・・・何?
分からない・・・。

1日が終わる。
もう12時。
ニルからメールだ。
【私はアリス様にお仕えしてからだいぶ経ちます。そろそろご褒美が欲しいですよ】
無視してベットに寝転がる水樹はパソコンを操作している。
可愛いなぁ・・・。
「ねぇ・・水樹・・」
「なに?」
「私の事好き?」
水樹は私を見つめて。
頬に触れて。
キスをしてきた。
「分かるでしょ?言わなくても・・好きだよ」
「私の事・・どうして好きになったの?」
水樹は一瞬困った顔をしたがまた私と目を合わせた。「アリスは・・・僕のお母さんにそっくりなんだ・・凄く凄く・・だから好き・・・結婚したいくらいお母さんの事好きだったから」水樹はうつむいてしまった「そっか・・理由はなんでもいいから・・私を好きでいてくれて嬉しいよ」
「アリス・・すき・・」
抱き締めて頭を撫でた。
水樹の過去はしらない。
けど聞かない。
何か辛い過去だったんだなって思った。
忘れられるから人間は生きていける。
けど忘れられない事もある・・・。
水樹は本当にお母さんが好きだったんだな・・・。
「甘えていいよ・・ママって言っていいよ」
水樹は私を見て泣いている「ママ・・ぐすっ」
私はしっかりと受け止めた
水樹を支えてあげられるようになろう。
そう思った。



11/01/03 13:04 (6l4vYAZ3)
20
投稿者: アリス ◆Df3LS3WJTE
脳科学研究所。
かなり大きな施設だ。
現実にもVRにもある。
今日は一人で聞き込み。
受付には綺麗なお姉さんがいた。
「すみません、VRPですが少しお聞きしたい事が・・」受付のお姉さんは電話で担当の人を読んでくれた。
しばらくして外人の男性が来た。
「記憶研究主任のジムです、今日はどうされました」私は事件の資料を見せる。「記憶のコピーについてお聞きしたいのですが・・」ジム主任は資料を眺めながらふむふむとうなずく。
「施設をご案内しながら説明しましょう」
「ぜひ、お願いします」
ジム主任について行く。
白い壁紙。
いかにも研究所って感じの内装。
ジム主任は歩きながら話す「あの施設の事は聞いた事があります・・・なかなか面白い研究だったんですがね」
「ふむ・・・どうして中止に?」
「一部の研究員が強引な実験をしたらしいんです」
ガラスの向こうにはたくさんの研究員。
みんな白衣を着ている。
頭が良さそうな人ばかり。「ここでは脳細胞の研究をしています」
「ふむん・・・」
「人間の脳はあと少しで完全に解明できます」
ここはVRなので実験ではなく結果を分析したり脳のマッピングをするらしい。
色々と案内してもらった。頭が痛くなりそうだ。
応接室に入ってお茶を出される。
「ふぁ・・疲れちゃいました・・」
「はは、なかなか難しい分野ですからね」
お茶を一口飲む。
ジム主任はパソコンから資料をプリントアウトする。「記憶のコピーを研究していた者のリストです」
「ふむん・・・赤字は死亡しているんですね・・」
半数以上が赤字。
地道に調べてみるか。
ふと馬木くんの手紙の事を思い出した。
「被害者の人が残した手紙に私にしか見えない物がなにかしようとしていると書いてありました・・・私自身よく分からないのですが・・・・」
ジム主任は腕を組んで唸る「あなたにしか見えないなら彼はどうやってそれを知ったんでしょうかね・・・まぁ、それは置いといて。あなたにしか見えない物・・・・VRでは思念や思想が形になる事があります。たとえば人を襲いたいと強く強く思えば身近に何かとして形になる場合があります。どんな形や物になるかは人それぞれですが」
「ふむん・・・」
そんな事知らなかった。
思想や思想が形になるなんて。
「あなたの過去について調べてみるのもいいかと思いますよ」
「ふむ・・どうもありがとうございました」
主任にお礼をして警察署に戻る。
報告をして現実に戻る。

私の過去は父さんが知っている。
聞いてみよう。
家に戻って父さんの部屋に入る。
「父さん、ちょっといい?」「うん、なんだ?」
私の夫だった人。
けどもう父さんになってくれると言った。
私の記憶は戻らないから・・・・。
事情を話して協力してもらう事にした。      「前の私の性格とか教えて欲しいな」
「・・・優しくて全てを愛そうとするような性格だったよ。虫も殺さなかった」父さんは辛いだろうけど思い出してもらうしかない。「・・・VRを嫌っていたよ・・一方的に犯罪被害にあうNPCが可哀想だと嘆いていた」
「はは・・そうだったんだ」今と全然違う。
父さんに色々聞いたが私の形になりそうな思想や思想はなさそうだった。
NPCにも権利を持たせてあげたいぐらいが一番有力そうだがまだ何も関係なさそう。
水樹の部屋ではミクちゃんと未稀さんが会議をしていた。
私も参加したかったが眠くてソファーでゴロンと寝転がった。
少し寝よう・・・・。

夢は見ない。
子供の頃からそうだった・・・いや、違う。
記憶や性格が変わってからは見ない。
そう思っていた。
目の前は雪景色。
何もない真っ白な景色。
いや・・ウサギがいた。
こっちを見てピョコンと耳を立てた。
私はそれを可愛いと思った・・・。
近づくと逃げた。
追いかけても追い付けずに消えてしまった。

目が覚める。
ミクちゃんが私に抱きついて寝ていた。
可愛い寝顔。
ぎゅっと抱き締める。
「んぁ・・アリス」
「ミクちゃん、かわゆいね」「えへ・・」
水樹はパソコンを操作して情報を集めている。
ミクちゃんを抱き抱えてベッドに移動。
三人で布団に入る。
「水樹、この事件が終わればどこかに行くの?」
「・・・うん・・そうなる」「そっか・・」
私はどうしようかな。
このまま警察を続けて生きて行こうかな。
「アリスが良ければ・・仲間になってもいいよ」
「ふむん・・いいの?」
水樹はほっぺたを赤くして頭をポリポリ。
「てか・・仲間になって欲しい」
ミクちゃんは抱きつきながら私の顔をじっと見ている「うん、ぜひ!」
このまま警察を続けても限界がある。
新しい事をやってみたい。だから水樹とミクちゃんに付いて行こう。
きっと・・・。
何かできる。



11/01/05 21:34 (r3NN6ujo)
21
投稿者: アリス ◆Df3LS3WJTE
VRの警戒レベルも上がり街中には人間もあまりいない「ふむ・・平和?」
事件らしい事件もないし。最近のVRは平和。
だが現実は・・・どうなるんだろ。
これ以上VRで過激な事件がおきたら人間はどちらを選ぶんだろう。
「アリス様、良かったですね」
「なんで?」
ニルはステッキをクルクル回しながらニンジンスティックをポリポリ。
「平和って・・いいですね」「まぁ・・うん」
チーターも息を潜めているし・・・。
どうなのかな。
ビルの外壁にある大きなディスプレイに緊急ニュースが映る。
NPCのサーバーが原因不明のエラー。
一時的に影響がある可能性・・・・。       「ふむ・・サーバが・・」
「準備できましたね」
「・・・・はぁ?」
ニルはNPCに近づいて行った。
数人のステッキでNPCの頭をポンと叩く。
NPCがブルブル震え出した・・・。
「ニル・・?」
ニルはNPCの頭を撫でた。
「おめでとう、君は人間だよ」

NPCがおかしい。
まるで人間のようだ。
プログラムで決まった行動をする機械ではない。
「ニル、何したの!?」
Px4に触れる。
おかしいぞ・・・。
ニルはスキップをしながら次々にNPCに触れていく。立ち止まってこちらを見た「アリスの願いでしょ?彼らを自由にしてあげている。記憶を入れてあげて人間にしているのです」
「・・・何言ってるの?」
「あなたは記憶を消されたと思っているんでしょうが違いますよ。アリス様は自ら自分を変えたんですよ」ホルスターからPx4を抜く
ニルに銃口を向ける。
「やめろ、何言ってのかさっぱり・・・」
「僕はアリス様が作ったAIです。あなたが命令した事をしてるだけ」
私が作った?
そんな記憶はない。
NPCが懐から銃を取り出した。
私はすぐに反応して銃殺する。
「アリス様が望んだのに。そんな事するんですね・・しかたない僕はアリス様を殺さなければ」
NPC全員が銃を抜いた。
「な・・なんで?」
「僕の命令は聞くようになってます。アリス様が信念を曲げた時は殺すようにと言われました。」

訳が分からない。

死ぬの?

いや・・死なないけど。

心が壊れる。

パパパパッ。

目をつむる。

死んでない・・・。

NPCが倒れてる。
「アリス、大丈夫?」
黒い兔と黒い犬がいた。
アーマーを着た人間。
可愛らしいフォルムのアーマー。
兔は銀色のツインテール。犬はふさふさした短い髪の毛。
どちらも怪しく光ってる。
ニルはステッキをライフルに買えた。
私は素早くニルを撃つ。
パンッ。
自分のAIを撃つのは初めて・・・。
ニルの頭に風穴があく。
けど倒れない。
「僕はアリス様を消してこの世界を平和にしなければならないのですね・・また会いましょう」
ニルがパッと消えた。
鍵がカランと床に落ちた。
「アリス、何を撃ったの?」「へっ?自分のAI」
兔と犬が顔を見合わせる。「AIなんていなかったよ・・・」
こんがらがってきた。
てか・・・このちっこい可愛らしいのは誰?
「アリス、一旦家に帰ろう」「あなたたちは?」
「水樹とミクちゃんだよ」
犬がそう言った。
一瞬迷ったけど信じた。
すぐに鍵を拾って現実に戻る。

警察署は大変な騒ぎだ。
さっきの事は他の警官も見ていた。
だが誰一人としてニル・・シルクハットをかぶったウサギは見なかったと・・。

家に戻ってから水樹の部屋に急ぐ。
ミクちゃんも水樹もいた。「二人とも・・さっき」
「アリス、詳しくは後で言うからこっちに来て」
水樹のベットに座る。
「アリス、覚えている事をゆっくり話してみて・・」私は起こった事を話した。水樹はパソコンを操作しながら唸る。
「僕たちには見えなかった・・・」
「そんな・・あいつはAIじゃないの?」
VRで作ったなら見えるはず・・・。
テレビに緊急ニュースが映る。
NPCが人間を襲いだした。銃激戦になっている。

「NPCは自己判断はできない・・プログラムされた通りにしか動かない・・・人間の記憶をコピーして入れたら・・そんな・・」
水樹がブツブツ呟いている「水樹・・私も信じられない・・」
「とにかく今VRに行くのは危険だよ・・そのニルってAIを止めないと」
携帯がなる。
ニルからだ。
【僕はあなたの信念とAIの塊です。あなたが部品を集めて形になった信念と組み込ん僕ができました。ご主人様なので僕の消し方を教えます。これもあなたの命令でした】
私はそれを見て震えた。
【今のあなたの記憶を消すと信念も消えてAIの僕が残ります。またアリス様を見たら僕は殺さなければならない。どうか信念を忘れないでください】
今の私の記憶を消すって。どうして・・・。





11/01/07 09:51 (lCwF2utX)
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