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エピローグ・消去・抹殺・改変・
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:エピローグ・消去・抹殺・改変・
投稿者: アレックス ◆Df3LS3WJTE
2034年。

リトルバードに乗り込む。ベルトを締める。
市街地の掃討作戦、最終目標の抹殺。
「アレックス少尉!頼むぞ!」「了解です大佐」
大佐は俺の肩を叩いた。
「帰ってきたらウィスキーぐらいおごってやる!」
リトルバードは飛び立つ。小型のヘリコプターで大分昔から使われている。
最近ではアパッチロングボウから遠隔操作もできる。新人がいたな。
「マーク軍曹!しっかりやれよ」
「はいっ、少尉!」
まだ幼さが残る。
シールズの試験は過酷だ。合格できりのは一握り。
「目標地点に接近!着陸まで5分」
俺はHk416を軽く構える。全て問題無し。
目標地点だ。
着陸してすぐにあたりを制圧。
掃討は海兵隊の仲間がやってくれる。
かなり遠くからストライカーとM1A2が通るのが見えた「移動するぞ!」
俺は命令を下してから移動をはじめた。
市街地だ。
待ち伏せに気をつけねば。曲がり角に気をつけながら移動する。
目標の建物まで10キロ。
2010/11/20 08:54:52(yQiRViX/)
7
投稿者: アレックス ◆Df3LS3WJTE
到着、田舎のような場所。田んぼが広がる。
俺は光学迷彩シートをタイムマシンにかける。
誰か触れれば無線機で知らせてくれる。
そもそも触ってすぐに扱える代物じゃない。
コートの中にはM1911と予備マガジン6本。
小型無線機をとりだす。
地図と資料が移る。
タッチパネル式。
ちなみにMac製ではない。暗殺ではないのでうまくは行かないな。
まず話を信じて貰えるかどうか。
ちらちらと雪がふる。
学校を通り過ぎて寺に向かう。
長い階段を登る。
さすがに歳だな。
軽く息が切れる。
少女がいる。
目標ではないな。
可愛らしい外見だ。
雪掻きをしている。
「こんにちは!」
元気よく挨拶をしてくる。日本語で返事をする。  「やぁ、お嬢ちゃん。偉いね」
「いえ、片付けが好きなんです!」
いい心がけだな。
目標はこの寺にいるらしい寺を見てまわる。
なかなか立派だ。
俺は寺などTVでしか見た事がない。
いきなり君は死ぬんだと言っても信じないだろうし。無理矢理連れていこうか。少し開けた所に雪だるまがある。
目標の少女がいた。
桂詞葉。
赤っぽい髪の毛。
この子は少し大人っぽいけどやはり幼い。
さっきの子も可愛いがこの子も可愛い。
ここで無理矢理連れて行く気は失せた。
雪だるまを撮っているようだ。
この子が死ぬのか・・・。「あ・・外人さん・・はろーぅ」
「日本語は喋れるよ。こんにちは」
「わ、凄い!こんにちは!」
一眼レフ・・・Canonと書いてある。
大分古いデジカメだな。
小柄な子が一眼レフを使うとは珍しい。
「雪だるまを撮っているのか?」
「はい!」
ちゃんと顔の表情は枝で作ってある。
パシャパシャと撮り始めた俺は資料を見る。
何ものかに暗殺されると書いてある。
刺殺・・・・。
酷い死体の写真。
この子は方っておくとこうなるのか。
「あの、お寺の見学したいんですか?」
「あ、ああ・・そうだな。案内してくれるのか?」
「はい!」
寺を見学する。
やはり立派だな。
「観光ですか?ここらへんは田舎ですしこのお寺と神社ぐらいしか見る所はありませんよ」
「そうか・・・」
どうにか打ち解けたいが。どうするかな・・・
「私はお寺に匿われているんです・・・」
「ん?・・・匿われている?」
詞葉はしょぼんとした。
「私・・・狙われて・・あっ、ごめんなさい・・こんな事、誰にも言ってないのに・・」
やはり狙われているのか。「おじさんが力になれればいいがな・・・」
詞葉は俺をじっと見る。
娘がいたらこのぐらいかな・・可愛いな。
「あの・・おじさんは強いですか?」
「ああ、強いぞ」
詞葉は少し黙る。
「じゃあ私をどこかに連れて行ってください!」
「・・・・!?何を言ってる?」
詞葉は少しがっかりした。うつ向いてしまった。
「ごめんなさい・・・私・・変ですよね・・・」
ここで一か八か打ち明けてみるか。
「いや・・実はな・・君が狙われているのは知っている・・・」
「えっ?・・・本当に?」
じっと俺を見つめる。
「信じないかも知れないがな・・・君を守りに未来から来たんだ」
「ふぇ・・・?未来・・から?」
凄く困惑している。
けれどもすがるように俺にしがみついてきた。
「私を守ってください!」
「し、信じるのか?」
「・・・分かんないです・・けど最近変なんです・・怖くて・・・」
「ショックだろうが・・・君は殺される・・近いうちにな・・」
詞葉は少し涙を流した。
「なんとなく・・分かります・・・変な男の人が私を見てるんです」
何が理由で・・狙われているんだろう。
「この前に警察の人に銃を向けられました・・怖くて・・・」
「警察?・・・」
「はい、私・・撮ってはいけない写真を撮ってしまったんです・・・」
警察に狙われている?
何かの証拠写真か?
「俺は今日タイムマシンに乗ってきた。君を未来に連れて行くのが任務だ」
「すぐにでも・・行きたいです・・死ぬより・・いいです・・・」
ボロボロ泣いている。
「準備をしてくるか?今からでも・・」
「すぐに行きます!私、引っ越しする事にして・・すぐに着ますから」
「あぁ・・待ってるぞ」
なんとも順調すぎる展開だ・・・。
まぁいい。
資料をもう一度見る。
死体の写真は酷い。
滅多刺だ
真っ赤になっている。
こうはならないようにしたいな。
「お待たせしました。」
少し大きめの鞄を持っている。
「本当に大丈夫か?怖くないか?」
「おじさんは優しそうだし・・・大丈夫です」
なんとも分からん。
俺はそんなに優しく見える外見ではないが。
雪掻きしている少女はもういなかった。
二人でタイムマシンの所に向かう。
「あのタイムマシンって・・・凄いんですか?」
「ああ、俺も最初は驚いたよ・・まさか完成しているとはね」
「ほぇ・・・」
詞葉は早く見たそうだ。
商店街を抜けて田んぼ道へ見えにくい場所にタイムマシンをとめてある。
順調すぎる。
もう少し時間がかかると思ったが。
警官に止められる。
「おい、そこのお前」
詞葉の顔がこわばる。
「あの人・・・」
俺は詞葉を後ろに隠す。
「お前・・その子をどうする気だ?誘拐すり気だろう!」
「ずいぶんと乱暴だな」
警官はこちらに近づく。
恐らくは・・・こいつ警官じゃない。
挙動がすべておかしい。
「詞葉・・にげ・・っ!」
グサッ!
後ろを向いた瞬間ナイフが飛んできた。
バリスティックナイフ。
やはり警官じゃない。
詞葉を狙った。
肩を深く切られた。
「ちっ!外したか」
俺は空いている手でM1911を構える。
警官は硬直する。
「ひっ!おもちゃだろ・・」クラッとする・・
止血しなければ。
一瞬の隙をつかれて逃げられた。
「くっ・・詞葉・・タイムマシンで待ってろ・・」
光学迷彩シートを外してハッチをあける。
「あの・・どうするんですか?怪我してるのに」
「隠れてろ。絶対にバレない・・・すぐに帰るさ・・この中に食べものがあるから・・・大丈夫だ」
「・・・はい」
ハッチを閉めてシートを被せる。
ライターでナイフを炙り止血する。
あの警官を片付けなければ・・・任務とは関係ないのになぜか詞葉を殺そうとした事、銃を向けた事に酷くはらがたつ。
警官は走って逃げたようだ・・やはり本物じゃなかった。
雪がふってるのに徒歩でしかも射出可能なナイフを持っている警官などいない。足跡を追っていく。
傷口は閉じてはいないがさっきよりマシだ。
足跡を追っていく。
後ろ姿が見える。
M1911を向ける。
ゆっくり近づく。
「おい、止まれ」
「ひっ!おまえは!!」
警官は止まった。
アイアンサイトをピッタリと警官の胸に合わせる。
「なぜあの子を狙った?」
「し、知るかよ。依頼されたんだ。俺は警察の裏担当だから・・」
「裏担当のくせに銃も持ってないのか?」
「・・・ナイフでメッタザシにするのが好きでな・・俺はいつもそうして・・」
バスッ、バスッ、バスッ。警察の胸を撃ち抜く。
怒りが頂点にまできた。
あの詞葉の死体を見ていたから。
警察の死体は放っておく。タイムマシンの所に戻ろう詞葉が待っている。
ふらつく。
傷口から血がでている。
さすがに無茶したな。
フラフラして倒れた。
意識が・・無くなる。
車が近づく。
誰かが駆け寄る。
顔は見えない・・・。
「大丈夫ですか?」
「あ・・・う・・」
車に運ばれる。
間に合わない。
恐らく死ぬ・・・。



10/11/21 21:03 (61Kt173M)
8
投稿者: アレックス ◆Df3LS3WJTE
目が覚めた。
病院らしいベット。
「大丈夫ですか?」
痛い・・・肩を抑える。
「良かったです・・うちが病院で」
銀髪の女性だ。
美人でスラッとしている。隣には・・・少年・・・14歳くらいの・・。
見覚えがある。
この子は。
「美月!!」
美月は驚いた。
「へ?大丈夫ですか?頭を打ったとかじゃないですか?」
「いや、頭に傷はない・・」美月を見つめる。
「美月・・・ああ・・分からないか・・そうだよな・・・またか・・また助けられたんだな・・」
女性が困惑している。
「あの・・美月って誰ですか?彼は私の夫のルカっていいます」
「は?・・・・」
いやいや・・美月だろ。
まったく同じだ。
「私は白木楓、ここは白木病院です。何か頭をぶつけて記憶でも・・・」
どういう・・事だ?
「今は2009年の12月・・だよな?」
「は、はい・・・」
どうなっている?
訳が分からない。
美月に助けられたのに。
2009年の12月に。
「あなたのお名前は?」
「ジョン・タイター・・・」「ジョンさんね・・・頭は負傷してないし・・検査もしたけど・・」
俺はルカを見る。
美月にしか見えない。
「あ、ルカは喋れないんです・・この子はこう見えても28歳ぐらいですよ」
美月と同じような物か?
まったく見えない。
下手に喋らない方がいい。「怪我は一週間ぐらい様子を見た方がいいですね」
「いや、人を待たせていて・・すぐに・・向かわなければいけない」
「そうですか・・入院してもらった方がいいんですがね」
「すまない・・怪我の理由は・・・」
「いいですよ。何か理由がありそうですし」
「すまない・・・」
美月は・・・どうなった?一体・・どうなっている?病院を出ようとした。
ルカがこちらを見ている。「驚かせて・・すまなかったな・・・」
ルカはうなずいた。
美月にしか見えない。
楓もやってきた。
「あの無茶はしないでください・・傷口は縫合しましたが・・・」
この二人は幸せそうだ。
「ありがとう・・・助けてくれて・・」
「いえ、医者として当然です」
手を振って見送ってくれたM1911を返せなかった。
また別の任務の時に助けられるのかもしれない。
いや、美月は嘘をついたのかも。
全て嘘・・・・。
タイムマシンの所に戻る。ハッチを開けると詞葉がいた。
「あっ、大丈夫ですか?」
「ああ、行こう・・・」
座標を設定して未来へ行くなんだこの脱力感。
美月はいない。
そんな・・・。
タイムマシンステーションにつく。
また黒服が出迎える。
「ご苦労。無事に連れて帰ったな。」
「この子は俺が預かる」
「いいだろう」
部屋まで連れていく。
「あの本当に未来なんですか?」
「ああ、ニュースを見れば分かるよ」
詞葉の頭を撫でた。
パソコンでインターネットを調べる。
銀狼計画・・検索結果120件どれもマンガの情報。
なんで美月がいなかった?訳が分からない。
歴史が変わったから?
「詞葉はチーズバーガーを食べて待っててくれ」
「あ、はい・・美味しそう・・・」
黒服の所に行く。
「なんだ?」
「銀狼計画は知っているか?」
「ああ、君が最初に殺した大統領の息子が発案した」誰だ?
「増田という男だ・・逃げてばかりだったからな責任を取ってもらった」
銀狼計画がなければ美月と美空は生まれる事はない。つまり俺が殺した?
部屋に戻る。
詞葉はニュースを見ているこれは・・・まさかな。
俺が双子を殺した?
恩人を殺した・・。


10/11/21 22:58 (61Kt173M)
9
投稿者: アレックス ◆Df3LS3WJTE
いくつか任務をこなす。大量殺人犯、KCという暗殺組織の暗殺者、自分の事を師匠と呼ばせる男。
どれも何かしら犯罪をしているやつらだ。
部屋に戻ると詞葉が必ず待ってくれている。
「あ、おかえりなさい!」
「ただいま、勉強してたのか?」
「はい、やる事がなくて・・・・」
そういえばあまり外に出てないな。
まぁ外出するなら詞葉にも発信器を付けなければならなくなる。
それは避けたい。
「今度雑誌でも買ってきてやろう」
「あ、はい!未来の雑誌かぁ・・いいなぁ」
詞葉には随分と助けられた精神的に参ったら時はそばにいてくれる。
美月と美空を消してしまって後悔している時も。
俺は詞葉を娘のように可愛がった。
「あの・・おじさんの事はお父さんって呼んでもいいですか?」
「ははは・・どうした?急に?」
「私、お父さんいなくて・・・でもおじさんが嫌ならいいです」
「いや、いいよ。詞葉がそう呼びたいなら」
詞葉はニコッと笑って抱きついてきた。
「お父さん!」
可愛いな・・俺はこの子を守りたい。
しばらく休暇をとってから任務に戻る。
休暇と言ってもやる事はないがな。
俺は詞葉のために外出許可を貰い何か買ってくる事にした。
とりあえず雑誌と変わった食い物でも。
クロスワードの雑誌とカメラのカタログ。
食い物・・復刻版ホットミカンジュース、バナナサンド、カップ麺などを適当に買う。
他には何かないかな。
詞葉が喜びそうな物。
電化製品の店に行ってみる「最近見ないうちに凄い事になったな・・・」
もの凄くデカイ。
店というよりショッピングモール並。
カメラを買っていったら喜ぶかな。
店員が話しかけてくる。
「すまん、おすすめはどれかな?」
「そうですね、こちらなどがよろしいかと思います。コンパクトで扱いやすく1600万画素ありますし」
詞葉に聞いとくべきだったな。
まぁいい。
「全部貰おうか・・・」
「はい?全部ですか?」
「あぁ、この店にある全種類のカメラ」
「あ・・・ありがとうございます!」
こんな任務だ。
金は結構貰える。
軍人の時よりずっと高い。かなりの量なので監視役の黒服にも手伝ってもらう。部屋に戻る頃には腹がへってしかたなかった。
「あ、おかえりなさい!」
「ただいま。詞葉におみやげがあるぞ」
雑誌と食い物。
それとカメラの入った段ボール箱。
大きな段ボール箱が5箱ある。
「う、わ・・・なんです?」「全部カメラだ。どれ買っていいか分からなかったからな・・・」
詞葉はポカーンとしているいけない・・詞葉は外に出られないからカメラを買っても無駄か。
「詞葉、うっかりしてたカメラを買っても意味・・」詞葉は俺に抱きついてきた「お父さん嬉しい!ありがとう!」
「あ、ああ。外に出られないのにいいのか?」
「うん、いじるだけでも楽しいもん」
「そうなのか・・・」
カメラの魅力はよく分からんが。
雑誌と食い物を開いてからまた喜ぶ。
俺は様子をみるだけで幸せになる。
「おっ・・ホットミカンジュース・・・」
「復刻版と書いてあったが・・・」
詞葉は俺に一本手渡してきた。
「一緒に飲も、お父さん」
「ああ、いいよ」
一口飲んでしばらく沈黙になった。
「・・・・おいしい」
「詞葉、無理しなくていいぞ・・・・微妙だ」
詞葉はカメラを一つ一つ丁寧に触りだす。
「私・・・昔好きな人を傷付けちゃったんです。酷い事しちゃって・・」
「ふーん・・酷い事?」
もう一口飲んで思った。
たぶん一部の熱烈なファンがいるのだろう。
一般受けしなさそうだ。
「私が・・私のせいで」
詞葉は泣きそうになる。
「詞葉、言わなくていい。無理するな・・誰にでも秘密はある・・言わなくていい秘密がな」
詞葉は涙を拭いた。
「はい・・・そうですよね」うつ向いてしまった。
いくら親しくなったからと言ってもやはり他人だ。
秘密はなかなか言いにくいはず
「お父さんにもカメラの使い方教えてくれないか?趣味がなくてね」
「あ、うん!いいよ!」
夜寝るとき詞葉は俺にしがみつくように寝る。
この子を助けてよかったとしみじみ思う。
可愛い寝顔だ。
しかし・・・。
やはり思ってしまう。
あの双子を・・・。
恩人は消えたのか。
すこし調べてみよう。



10/11/22 06:03 (lViaxob4)
10
投稿者: アレックス ◆Df3LS3WJTE
ネットで調べようにも情報がない。
黒服に直接聞いてみるか。いつも出迎えにくる黒服にきいてみるか。
「おい、黒服!」
「なんだ?やっと仕事の合間にブラックコーヒーを飲もうとしたのに・・・」
どこまでブラックなんだ?サングラスは着けていないまだ人間味がある。
「銀狼計画についと詳しく知りたい」
「あの計画を知ってどうする?」
「俺の恩人が関わっている・・知りたいんだ」
黒服はコーヒーをすすりながら少し黙る。
「まぁ、いいだろう」
黒服はパソコンを操作して資料のようなページを見せた。
「銀狼計画・・・人間の潜在能力を極限まで高める技術。発案者は増田と言う男だ。」
俺は黙って資料を見る。
「戦争で親を無くした子供を実験体にして薬物や手術・・・遺伝子を組み換えて子供を生ませるなどで改良が進められる。多額の研究費に見合う成果はなく実験は凍結。それでも増田は研究施設を作り極秘で進めていた。」
「クローン人間ではないのか?」
「クローンは寿命が短く当時まだ不安定だったからな・・・特殊な力を持った人間の遺伝子を保存しておく・・・孤児に組み込む遺伝子は戦争で優れた戦果を上げた者。超能力のたぐいを使う者。天才的な頭脳の持ち主。オリンピック優勝選手。それらの遺伝子で作った精子、卵子と人工受精させる毛髪、精子、卵子を保存しておく」
ズラッと並ぶリストにはかなり有名な人物ばかり。
銃器発明家などもいる。
「胎児から遺伝子を抜き取り安定化するまで改良された。ある程度安定化したら量産段階に入る。この時の遺伝子の種類は凄まじい数に及ぶ。優れた遺伝子同士を組み合わせて銀狼たちを作っていった・・・」
そこで資料は終わり。
「成果は全く無かったのか?それだけ金をかけたのに・・・」
黒服はコーヒーをすする。「大した成果はない。特殊な機能を持った人間も生まれたが量産が安定化しないでそのまま300人委員会は凍結を命令した。失敗した銀狼は焼却処分していたが一匹、研究者に連れ出された。行方は追ったが掴めず追っても価値はないのでそのまま放っておかれた。研究者は増田が直接殺害したと聞いたな」
あの双子は普通の人間の母親と銀狼から生まれたとか聞いたが。
不死になる事は十分な成果では・・・いや、量産と応用が出来なければ意味がないか。
「我々は増田を消すために過去に二度工作員を送った・・一人目は訓練経験が未熟だったために講演会場で銃撃したが外して捕まった・・・すぐに始末された。二人目は同じ時間帯を狙い暗殺者を雇って増田を狙撃させたが失敗。口封じのためと余計な事をしたため暗殺者の反撃を受け死亡」
二人とも未熟だったのか。俺ならどうしただろう。
「たしか逃げた銀狼と暗殺者の女との間に双子が生まれたんだったな・・・研究施設を崩壊させたのも双子だ。そんな物兵器として必要ない・・・恐ろしくて使えんよ」
その双子が美月と美空か。「ありがとう・・缶コーヒーおごるよ」
黒服は手で要らないと言った。
「悪いが缶コーヒーはあまり好きじゃなくてな・・・ホットミカンジュースなら欲しい」
こいつは・・・。
「もう一つ頼みがある」
「なんだ?」
「タイムマシンを使いたい」「・・・・なんのために?」「恩人が消えたかどうかもう一度確かめたい」
黒服は俺を見る。
どう見ても冴えないサラリーマンにしか見えない。
「恩人?だれだ?」
「その双子だ・・銀狼の双子」
「はぁ・・・まぁ歴史を帰るわけではないようだな」俺は恩人を消してしまったのだ・・・
もう一度2009年の12月に行ってみたい。
「過程は変化するが・・結果は変わらない・・・」
黒服がポツリと呟く。
「なんだって?」
「いや・・何でもないさ」
黒服はコーヒーを飲んでから冷蔵庫からケーキを取り出した。
「どうぞ、コーヒーケーキだが・・・」
「どんだけコーヒー好きなんだ?」
黒服はニヤリと笑った。
「カフェインはなるべく取るようにしててな。目が冴える。」
俺はケーキを一口食べる。苦い・・・ほのかに甘い。「あらゆる世界線に工作員を派遣して観測し記録を受け取り記す。それが私の役目だ」
「知ってるよ、最初に聞かされた」
「恩人に会ってどうする?」「会えるか分からんが・・行ってみたいんだ」
「そうか・・その恩人とはどこで知り合ったんだ?」俺は黒服に大体の事を伝えた。
戦地で助けられ過去でも会った事。
その時俺が言った事。
「なんとも面白いな・・・まぁ行ってくればいい」
正直ビックリした。
「なんでそんなに簡単に許可する?俺を始末するのか?」
「君への報酬だよ。君はよくやってくれている」
どうなのか分からない。
「その双子がどうなったのかしっかり報告書に書いてくれるならいいだろう」
「仕事はするさ・・・」
許可をもらいタイムマシンに乗る。
詞葉はまだ寝ていた。
座標と年を設定して2009年に向かう。

会えるといいな。

あの二人に。

10/11/22 10:12 (lViaxob4)
11
投稿者: アレックス ◆Df3LS3WJTE
あの田舎についた。
2009年12月6日。
俺が任務で来た日の4日後タイムマシンを隠して小さな町を調べる。
やはりあまり変わらないな・・・。
所々見てまわる。
ここにいるのは確かだ。
美月がここに住んでいたと言ったから。
雪はやんでいるが空は曇っている。
後ろから子供の声がするが違う子供。
どうだかな。
やはり消えてしまったのか・・・・。
「きゃーっ!」
悲鳴が聞こえた。
公園の方に走る。
女性が教われている。
男が覆い被さっている。
レイプか?
こんな真っ昼間から。
草むらに連れ込もうとした俺はM1911を取り出す。
「おい!やめろ」
男はこちらを向いた。
マスクを被っている。
女性は逃げ出した。
ナイフしか持ってないな。「見逃してやる。ナイフを捨てて去れ!」
「・・・・・うぜぇ」
「なんだと?」
男に近づく。
「うぜぇなぁ!!」
こいつはなんだ?
銃を突き付けているのにこの態度。
「警察に連れてってやる。来い!」
ドンッドンッ。
・・・・・?
俺は撃ってないぞ。
後ろ?
男の仲間がいた。
メーカーも分からない安物の銃。
ドンッドンッドンッ。
凄まじい衝撃で倒れる。
血は出ていない。
防弾チョッキはきているが・・・
動けない。
「おい、早く来い!こんな田舎に来てヘマすんな!」
「おお、ワリィな」
男が俺を見下ろす。
「いい銃じゃん。もらってやろう」
それだけは許さない。
美月に・・渡さなければ。「わーっ!誰かー」
子供の声。
「ちっ、やばい!」
そのまま走って行った。
足音がする。
「大丈夫ですか?」
「あ・・・っ・・」
衝撃で骨が砕けた。
「今救急車を呼びますね」
「・・・っ・・」
意識が無くなる。
死ぬ訳じゃないが。
いかん・・・・不覚だった・・・・。
完全に気を失った。
美月と美空に会わなければ・・・。
会わなければ・・。

「大丈夫ですか?」
「う・・・・ここは?」
「ルカ、気が付いたよ」
「うん、ちょっと変わって・・・大丈夫ですか?分かりますか?」
銀髪の医者。
まだ若い。
「あ・・大丈夫・・だ」
「よかった・・ここは病院ですよ」
「ああ・・・」
やっとはっきり目が開いた病室のようだ。
「骨が数本砕けているのでしばらく入院になります」タイムマシンをほったらかしだ。
二人の医者がいた。
銀髪の男と。
銀髪の女・・・
「ここは白木病室か?」
「はい、そうですよ」
この二人は見覚えがある。ルカと楓。
「しばらくゆっくりしててくださいね。すみませんが鉄砲は預からせてください・・・・」
楓は少し戸惑ったように言った。
「俺は・・・」
ルカは俺の肩を擦った。
「大丈夫です。あなたは悪い人じゃない・・・そんな感じがします」
「すまない。レイプされそうな女性がいて助けたんだが・・後ろから撃たれた」楓は病室から出ていった。「二人とも警察に逮捕されたようです・・さっき連絡がきましたから」
良かった。
女性は怖かっただろうな。「私はこれで失礼します」
「ああ、助かった・・・」
ルカは病室のドアを開けた誰かと話している。
俺の方を向いて申し訳なさそうな顔をする。
「すみません、息子が話したいようなのですが・・・いいですか?」
「ええ、構いませんよ・・」コートはわきの机においてある。
かなり貴重なやつなのに・・・30万はした。
きっちり借りを払ってもらいたい気分。
「あの、おじさん大丈夫?」俺は声の方を向いた。
「僕、美月っていいます。」美月・・・美月だ。
外見も全て同じ。
可愛いらしい顔にブルーの瞳。
「あ・・・ああ・・」
「僕がお父さんに連絡したんですよ!良かったぁ・・無事で」
涙が出そうになる。
いや涙が出た。
止まらない・・・。
「あのおじさん?」
「ああ・・・また・・か」
「おじさん大丈夫?」
美月が俺の背中をさする。病室のドアが開いた。
「美月!どこ行ってたの!?もう・・探したのに」
「ごめん、美空・・」
あの子だ。
美空もいた。
生きていた。
二人とも消えてなかった。俺は涙が止まらなかった。「おじさん、泣かないで」
「美月、なんで泣かせたの?」
「分かんない・・・」
しばらくしてようやく落ち着いた。
「おじさんを見た時助けなきゃって思って・・・」
「そうか・・ありがとう」
美月は俺を見つめる。
「初めて会う人なのになんでか・・凄く感謝しなきゃいけない気持ちになるんです・・・今の僕があるのはおじさんのおかげのような・・・・そんな気持ちに」二人は隣のベッドに並んで座っている。
人形みたいだ。
可愛い双子。
「おじさんは君達に助けられて嬉しいよ」
美空は不思議そうな顔をした。
「私・・何か助けたかな?」「君達は14歳か?」
「はい!」
二人揃って言った。
さすが双子だ。
しばらく話した。
全く普通の子供だ。
最初に会った時の鋭さはない。
ごくごく普通の子供。
「おじさんは小説家でな・・タイムマシンの小説を書いてるんだ」
もちろん嘘だ。
「すごーい!聞きたい!タイムマシンってどんなの?」美月は目を輝かせている。「・・・タイムマシン・・欲しいなぁ・・・」
美空は腕を組んでなにか考えているようだ。
「よし、助けてもらったお礼だ。特別に話してやろう・・俺の事はアレックスと呼んでくれ」
それから入院中は二人に話した。
俺が経験した事を脚色して・・・。
2ヶ月たってやっと明日は退院。
夜中になっても二人で話しを聞きにくる。
「おーい!二人とも早く寝なさい!」
「はーい!」
二人が手を振って出ていった。
楓は病室に入ってきた。
「すみませんね・・うちの双子は好奇心が激しくて」綺麗な女性だ。
「いえ、とっても可愛いですね・・・」
「私とルカの愛の結晶です」そういえばルカは喋れなかったはず。
「旦那さんは昔喋れなかったんじゃないですか?」
「え、ええ。良く分かりましたね。私とルカは孤児院で出会ってからずーっと両思いだったんです」
少し顔を赤くした。
「それはいい事だ」
楓は頭をポリポリと書いた「不謹慎ですけど私を貰い受けようとした人が死んだから・・・ルカと出会えて好きになったんです」
「それは・・どうして亡くなったんですか?」
「たしか殺されちゃったんです。後から暗殺組織の人って聞いてビックリしましたよ」
なんだか運命的だ。
二人は結ばれるべくして結ばれたんだな。
「ルカは最初は喋れなかったけど精神的な物でした。私がその・・・筆下ろしをしてあげてるうちに・・声が出るように」
何とも可愛いらしく顔を隠す。
まだ子供っぽい所も残っているようだな。
「あ、じゃあ。私もそろそろ仕事の続きしますので・・・明日は退院ですね」
「ええ、お世話になりました。」
ニコッと笑って出ていった幸せそうな家族だ。
翌日の朝に病院を出る。
前に見た時より大きい。
美空と美月が見送ってくれる。
「おじさん、またね!」
「美月、その言い方だとまた怪我して下さいって言ってるみたいじゃん!」
「ははは、いいよ。その時は・・・また助けてくれよな!」
「はい!」
二人はニコッと笑った。
「二人はいっつもくっついてて仲がいいな」
美空は顔を赤くした。
美月はニコニコ笑う。
「美空は僕のお嫁さんです!僕たち結婚するんです!」
「ば、ばかっ!」
二人も・・良かった。
ちゃんとお互いを好きなんだな。
最初に会った時に近親相姦をしていたと打ち明けられた時はさすがに引いたが。今はそれを聞いてホッとした。
「そうか、いいお嫁になれよ。美空!」
「あ、う・・お嫁さん・・じゃ・・うーん・・・・・は、はいっ!」
俺は背を向ける。
「おじさーん。絶対また会おうね!」
「ああ、楽しみにしてる!」二人はいつまでも見送ってくれた。
俺は心が晴れた。
良かった。
二人とも普通になったが思いは変わっていなかった。タイムマシンの所に戻る。シートをどかしてハッチを開く。
また忘れた。
M1911を取り出す。
「また・・返せなかったか・・・」
ハッチを閉めて設定をする彼らは変わった。
いい方に変わったと思いたい。
人も殺さず。
普通に生きて。
それで幸せに生きてもらえれば嬉しいと思った。
俺もこんな人の事を考えられたんだな。
世界線は幾多にも枝分かれする。
俺の見た世界線が・・・。彼らの理想であると思いたい。
未来に戻ろう。
俺の家族が待っている。
無事に家族の所に帰る。
それが・・・英雄。




【End・・・・・】
10/11/22 20:13 (lViaxob4)
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