弟は3ヶ月に1回、実の母親に会っていた。
成人するまでの最低限の決まりだった。
息子を内心どんどん溺愛していく母にはこれが凄く辛かったらしい。
でも、息子は実の母親に会って戻ると、普段以上に母に甘えたそうだ。
弟なりに母を慰めたかったのだ。
本当の母親は貴女なのだという意思表示だ。
二人は私がいない時はもっと大胆なスキンシップを取っていたようだ。
実の親子ならちょっと恥ずかしくてできないような、例えばハグ的な事もしていたみたい。
私が母親とはわりとドライに接していたから、母的にはその反動もあったのかもしれない。
それに、やはり娘と息子は違うのだ。
象徴的なエピソードがあった。
弟が実の母親と会って予定よりずいぶん遅く帰宅すると、母は色々な心配が重なり不機嫌になっている。
弟はろくに顔を合わせてくれない拗ねた母親に後ろから抱きつき、うんと甘えてみせて機嫌をなおしてもらう。
弟の吐く甘いセリフにだんだんと絆されていく母。
弟はそういうかわいいお母さんが大好きと追い討ちをかけるのだ。
元々溺愛している母からしたらもうメロメロだろう。
母をよく知る私にはその光景が目に浮かんだ。
別に弟がジゴロだというわけではない。
本心から言ってるのだ。
弟が母の機嫌をなおす時に使う魔法の呪文がある。
「お母さんみたいな女と結婚する」
これも実の親子なら少し引くセリフだろう。
でも二人にはどこかで異性の感情が残っていたのだ。
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