忘れもしない私が小学最後の夏。
母親の古くからの友人が我が家に滞在することになりました。
名目的には大学受験勉強。
田舎だし保養も兼ねてたそうですが、彼の家庭の事情もあったらしい。
確か何週間か海外に研修に行くとかなんとか。
彼の母親は研究者って話でした。
うちは私も含め年頃の女の子三人いるし大丈夫かなあと思ってました。
あっ、一番上の姉は大学進学に伴い家を出ていたか…
この時期にうちに居たのは、母親と中三の次女に三女の私。あと、母親の妹。
私には叔母になります。
叔母は別居中で小四の従妹を連れて戻っていた。
総合的に見てもかなりの女所帯です。
番犬の柴犬までメスでした。(笑)
そこに異性、しかも若い男が来るんですから色々浮き足出すに決まってます。
ただ、彼は使ってない離れをあてがわれたので問題ないだろうと判断したのか。
食事だけは母屋でするって寸法です。
うちに男親がいたらどうなんだろって気はしますが、そんな状況であの夏が始まりました。
彼はお母さんに付き添われてやって来ました。
挨拶がてら送ってきたのでしょう。
やっぱり田舎の女性と違い垢抜けてる方でした。
どこか洋風な雰囲気の美人って印象。
私の母も器量は良かったとは思うけど、やっぱり和風な印象は拭えません。
二人は久しぶりの再会を楽しんだようでしたが、彼のお母さんは泊まる事なく辞去しました。
彼の印象はがさつさが全くなくて、物静かなあまり印象に残らないような人。
あんまりうちの地方にはいないタイプで、森やら川を散策してたら絶対よそ者だと思われるでしょう。
最初、うちの周囲を案内がてら犬の散歩につきあってもらったら、顔馴染みの近所のオバチャンやおばあちゃんにも気さくに対応してて、それは多少見直した。
ちなみに、彼が一番最初に馴染んだ我が家の女は犬のチョコだった。(笑)
私はその晩、彼の評判が知りたくて就寝前に姉の部屋にいった。
お風呂上がりの姉はストレッチをして体をほぐしていた。
私はカルピスを渡した。
「お姉ちゃんはどう?」
「なにが…?…ああ、彼?」
「タイプじゃないでしょ?」
「……えっ、そっち系の話?(笑)印象かと思った…」
「じゃ印象でいい」
「別にこれといって。でも害はなさそうだしいいんじゃない。離れで暮らすんだし。」
「まあ夜這いしそうではないよね。」
姉は軽やかに笑った。
姉は新体操をやっていて県大会でも上位に食い込むような選手だ。
スレンダーな選手が多い体操界からすると、少し姉は肉感的で本人もそれを気にしていたが、太りやすい体質なのは仕方ない。
前屈みになりパジャマの隙間から見える胸は相当な巨乳だった。
これは叔母譲りかもしれないとか、どうでもいいことが頭を過った。
「あなたはどうなの?…それこそ全然タイプじゃないか。趣味からするとちょっと軟弱っぽいもんね」
姉はそう先走り分析していたが、私は微妙っといったところか。
といっても、別に彼が男として魅力があるかないかなんて、彼からしてみれば余計なお世話なんだけど、顔見知りが多くて単調な田舎暮らしには充分話題になりえたということです。
徒歩何分にコンビニとかがないってだけで、そんなド田舎でもないんですけど。
でも、建物の背景には大抵緑があるって、やっぱり田舎ですか。(笑)
そんな私の彼評価が根底から覆る事件を目撃したのは、その最初の晩でした。
家に変化が起きて多少は精神が高揚していたのか、私はその晩はなかなか寝つかれなかった。
もう早起きしなくていい安心感もあった。
私は何気にカーテンをめくって離れを見た。
時刻は深夜の一時近い。
さすがに電気は消えていたのだが、離れの奥に人影が見えてギョッとなった。
咄嗟に見間違え?幽霊?とか考えたが、確かに見えた気がした。しかも二人。
横並びじゃなく連なるように二人見えた。
私は怖さはすぐ消えて好奇心が湧いてきた。
どうせ眠れないのだからと、確かめる気になったのだ。
たぶん普段ならしない。
離れに暮らし始めた人間がいたから行く気になったんだと思う。
私は玄関から出ずに勝手口から出た。
用心して離れの反対側から回り込んだ。
まがりなりにも自分の家の敷地内だし恐怖心はなかった。
離れの奥の林は緩やかな上りの斜面になっていて、小さな茶室がある。
私はもしかしたらうちの誰かが茶室に行ったのかとも思っていた。理由はともかくとして。
でも茶室の窓にも明かりが灯っていない。
私はなるべく土の箇所を歩いて上がっていくと、茶室の裏の方からかすかにしてきた声を聞き取った。
それを目当てに近づきすぎないように歩みを進めていくと、我目を疑う光景が飛び込んできた。
茶室の壁がまるでベッドのように男女が抱きあっていた。
月明かりで見える二人はすでに裸だった。
二人の押し殺すような息づかいはハッキリ届いてくる。
誰がどう見てもセックスの真っ最中だった。
しばらく思考が停止したが、平静になれと自分に言い聞かせる。
片割れは彼なのは疑いようがない。
だが、相方は認識するのに時間を要した。
最初は叔母かと思った。
立ったまま壁に覆い被さるようにしてる彼のせいで見えにくかったのだ。
でもどうやら違った。
なんと母だったのだ。
ある意味、一番意外性のある相手だった。
私は娘でしつけられて育っている側だから、母親のこうした痴態が信じにくいのは無理もない。
でも、認めたくなくても事実母なのだった。
来た初日にこれ?…
いったいいつからできてるのよ…?
思い返すと、今回の話を切り出す時に、母は彼と面識があるとは言っていた。
母が上京して彼のお母さんに会ったりしてるのも知っていたし。
だから、その過程でそうなったのだろう。
それなら、色々合点もいった。
年頃の娘がいる家に下宿させる無防備さの最大の原因はこれだったのだ。
私はそれから三日ほど、神経を研ぎ清まして二人をこっそり観察した。
そうやって意識してみると、二人が自然を装い二人きりになろうとしているのがわかる。
現場を押さえたのは初日だけだったが、離れの浴室に深夜誰がいる気配がしたのは確認した。
深夜に電気をつけないで入浴する理由なんてない。
あるとしたら母が一緒に入っているからだ。
昼間はあくまで普通に振る舞う二人が物凄く隠微に見えた。
叔母も姉も感づいてる様子はない。
でも、知ってしまった私からしたらたまらない。
今までにない欲求が湧いてきて仕方なかった。
私は隙を見ては下着に指を滑り込ませていた。
あの初夜を思い出して。
しかし、初日からセックスしたくなる気持ちはわからなくもない。
でも、なぜ茶室でしないで外でしたのだろう。
あんな裸にまでなったら、見つかったら言い訳すらできないのに。
私が外でまでオナニ-をするようになったのは、あれを見たせいなのは間違いなかった。
しかも、裸でしたくてたまらなくなってしまうようになり本当に困る。