主人と些細なけんかをし、家から200キロも離れた主人の父の所へ行った。
実家でも兄弟でも友人の所でもない義父の家、どうしていったのかは私にも分からない。
さしていえば私が小学校に入る前に父が亡くなり、父に対して憧れ?があったのかもしれない。
義父はドが付く田舎で義母を亡くし、一人で畑仕事をして暮らしている。
もちろん義父に伝えていったのではなく突然行ったのでした。
ビックリしていましたが優しく迎えてくれました。
息子と何かあったのは察したらしく、でも1日目は何も言わず義父が作った野菜やお米、わなを仕掛けて取ったイノシシやシカ肉をご馳走してくださいました。
都会では考えられない静かさ、そして空気がおいしく、車が無いと不便なところもありますが自然があって私には理想なところでした。
水は沢からの天然水、お風呂も薪で沸かし義父が自分で作ったヒノキ風呂、
お風呂を頂き食事も義父が腕を振るうと言って作ってくださったものばかり。
「疲れただろう、都会と違ってこの辺の夜は早い、もう寝たらいい、でもすまんな、来ると分かっていれば布団も干しておいたのに、向こうの部屋で寝床を作るから、、、」
「お、お義父さん、お願いがあります。お義父さんと同じ部屋ではいけませんか。怖いというか、、、」
「えっ、いいのか。私はかまわんが優希さんが、、」
「いいえ、その方が、、それにもう少しお義父さんと話をしていたいです。」
そう言うと義父はニッコリし、「いいよ、優希さんの好きにしたらいい、、」と言って義父の部屋に二組の布団を敷きに行ったのです。
外を見ると真っ暗で、でも遠くに街の明かりが見え、小さな人魂?、、蛍でした。
そして遅くまで義父と世間話や主人が小さい頃に話や義母のことも聞かせてくれ休みました。
翌朝、起きると台所でカタカタ包丁の音が、
「お義父さん寝過ごしてしまいました、すみません。」
「優希さんおはよう、まだ5時半、寝ている時間だよ、起こしてしまったかな、、」
「いいえ、こちらこそ、ああ、、お義父さん、おはようございます。」
義父の挨拶が一番最後になってしまって、二人で笑いこけてしまいました。
「ここらは夜が早いが朝も早いんだ。都会じゃその反対なんだろ。正博(主人の名)も夜が遅いんじゃないのか、、」
義父の言ったことは当たっていました。
仕事が忙しいと言いながら夜は飲んで帰ってきて、私と離そうともしない主人に腹が立っていたんです。
私の両親も義父もだと思いますが、早く孫の顔が見たいと言葉に出して言いませんが分かるんです。
家で一人で主人の帰りを待っている、それが子供と二人で待つとまた違った喜びもあるんだろうと、、
食事をし後片付けを終え洗濯掃除も終えると、義父が畑仕事から変えってきます。
「どうだ、昼ごはんの前に山に入って山菜でも取りに行くか。それとも山は怖いか、、」
「いいえ、行きたいです、、連れて行ってください。」
と言っても山歩きの服は持って来てなくて、義父のズボンと長靴を借りました。
たくさんの山菜を取り山を下りる時、足を滑らせて小さな木でしたが引っ掛けて怪我をしてしまいました。
怪我も大したことはなく歩いて帰れるくらいでしたが義父は私の背中にと言って負ぶってくれたのです。
義父の厚い背中、温かく頼もしい背中でした。
帰って傷の手当てをし包帯まで巻いてくださいました。
「お義父さんごめんなさい、私がうっかりとしていて、、」
「いいや、私が悪いんだ、優希さんを山に連れて行ってしまって怪我までさせてしまって、、」
その日は家で休むように言われ従うしかありませんでした。
何とか足にビニール袋を巻いてお風呂に入り、義父と一緒の部屋で寝ました。
「お義父さん、、」
「ん、どうした、、痛むのか、、」
「いいえ、そうではなく、、、」
「どうした、、」
「お義父さんのお布団に入ってはいけませんか、、」
「ん、どうして、、夕べ怖かったか、、」
「そうじゃなく、、お義父さんと一緒になりたいから、、」
そう言ったのはいいのですが恥ずかしくなって義父とは反対の方向へ向いてしまいました。
「ゆ、優希さん、、いいのか、、でも、、正博に知れてしまったら、、」
「正博さんにはここへ来たことは言っていません。私が言わなかったら分かりません。」
「ほんと~にいいのか、優希さん、、」
「その言葉を聞いて私は寝ている布団から義父の布団へ移って行ったのでした。
義父も掛け布団を捲ってくださり助けてくれました。
その時義父の携帯に主人から電話がありました。
私が夕方に心配しているだろうと、友人お家に泊めてもらっているから心配しないで、、とメールを入れておいたのです。
「どうした、正博、何かあったか、、」
「いいや、元気かなと思って、、」
「なんだ、珍しいじゃないか、優希さんが元気か、、」
「ああ、、元気だ、たまにはこっちにこいよ。」
「ああ、そのうちな、畑があったらすぐにとはいかないだろ。」
「そうだよな、それはそうと優希から何か連絡がなかったかなと思って、、」
「なんだ、喧嘩でもしたのか、ないけど、ここへ連絡するより向こうのご両親や友人の所が先だろ、、」
「そ、それもそうだな、、心当たりを訪ねてみるよ。」
「ああ、、それがいい、、でも大した喧嘩じゃないんだろ、見つかったら連絡でも暮れ、、」と言って切れてしまいました。
「お義父さん、ありがとうございます。」
「いやいいんだ、まさか、優希さんが私と一緒の布団で寝ているなんて言えないだろ。」と二人で笑ってしまいました。
それからは足の怪我を気にしながら義父と愛し合ってしまいました。
長くなるのでその辺は今度書きます。
時計を見るとまだ夜の9時でした。ド田舎の夜は早いです。