目を覚ますと室が電気の照明で明るくなっていました。 窓のカーテンが閉められていて、日の暮れから夜になっている感じがあり、布団の横にあった置時計に目をやると七時十五分でした。 何時に眠ってしまったのか正確にはかりませんが、二時間前後は眠っていたようです。 側にあったトランクスとTシャツだけ身につけて、ふと見ると今日の午後にこの室に入った時には壁に立てかけられていた座卓が布団の真横に置かれ、その上には食事の用意がされていて、大きな皿に天ぷらのような料理が盛られていたり、何かが入っている小鉢が二つほどと、湯気の立つ味噌汁のお椀が見えました。 義母の姿がないことに気づいたすぐ後に、襖戸が外から開けられ、手に盆のようなものを持ち、濃紺のジャージーの上下に水色のエプロン姿の彼女が片足を引きずるようにしながら入ってきました。 炊き立てなのか湯気の多く立つご飯の盛られた茶碗を盆の上に載せていました。 少し危うい足取りを見て、 「亜紀子、大丈夫か?これ全部君が?」 と声をかけると、 「お買い物に行けないから冷蔵庫にあるもので作ったものばかりで、何もないのだけど…」 義母は茶碗を座卓に置き、 「天ぷらが好きだといってたから」 とやはり僕とは視線を合わさないままいってきたのでした。 僕が惰眠に耽っている間に、義母は不自由な足で台所とこの室をおそらく何度も往復して、僕のために夕食を用意してくれたのでした。 義母のそんな気遣いを思っていた時、僕の携帯が鳴りました。 妻の由美からでした。 無事福岡に着いているとの報告で、母にもよろしくということだったので、義母に携帯を翳すようにしてその旨を告げて、 「おいしそうだな。ありがとう、いただくね」 といって僕は箸に手をかけました。 妙にこそばゆくて温かく嬉しい気持ちで箸と口を忙しなく僕は動かせました。 義母は僕の斜め横に座り、楚々とした所作で湯呑み茶碗に急須から熱いお茶を注いでくれていましたが、それが済むと急に姿勢を直してきて、そこで初めて僕に視線をしっかりと合わせてきて、 「浩二さん、お食事しながらでいいから聞いて」 と眼鏡の奥の切れ長の目を光らせ、改まったような真剣な口調で僕にいってきたのです。 「お食事が終わったら、もうこの室から出て行ってね。このままでは本当に駄目だと思うの。…あれだけの恥ずかしい過去のある私からどうこうといえる立場はないということはわかっています。…今、私はこうして生きているのさえ恥ずかしく、死ぬほどに情けなく思っています」 つい数時間前には僕に抱かれ、女として官能的な愉悦にはしたないくらいに、喘ぎ狂った顔や表情は微塵もなく、あの元聖職者の凛とした顔に戻っていて、言葉を差し挟む余地さえないような毅然さに満ち溢れていました。 「お食事中にごめんなさいね。食べながらでいいから聞いてね」 唐突な義母の強く思い詰めたような声と真剣な眼差しに、思わず箸と口の動きが止まってしまっていた僕に気づいてか、彼女はかすかに柔和な表情を見せましたが、すぐにまた厳しい表情を戻し、 「前にもいいましたが、あなたを私は責めるつもりはありません。でも、あなたと私の立場ではこんなことは到底許されることではありません。本当に今日の今を限りに何もかも忘れましょう」 義母は僕から視線を逸らすことなく、真摯な声と真剣な眼差しで語りかけていました。 僕は黙ったまま、箸と口の動きを止めることなく聞いていました。 義母が真剣な眼差しをして真摯な声でいっていることは正しいことでした。 一膳のご飯を完食し、義母が入れてくれたお茶を手に取り一口すすり呑んだ後、僕から出た言葉は、 「亜紀子、その話はもういいよ。二度とは聞きたくない」 というものでした。 驚きの表情を浮かべる義母に対して、 「ご飯はおいしかったよ、ごちそうさん。…僕はあの日から、あの山小屋の一夜で亜紀子を知ってから変わった。ある意味では僕はあの夜から悪魔に心を売ったのかも知れない。それは亜紀子、君のせいだよ」 とさらに言葉を継ぎ足しました。 「私の…?」 「そうだ、亜紀子が僕の前に現れたからだ。由美の母親として君が僕の前に現れた時から、僕はずっと夢想してた。立場とか身分とか、年齢の差なんて関係ない。…理屈じゃないのさ」 「そんな…」 「あの山小屋でのことは過ちでも何でもない。僕にとっては一つの起点に過ぎない。そして僕は今も後悔は少しもしていない」 「で、でも私があなたの妻の母親だということは事実です」 「亜紀子、僕は由美を今も愛している。それは間違いないよ。そして亜紀子も愛している」
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煌々と明かりの点いた室で、座卓の上に全裸で仰向けの姿勢で、両手両足を赤い縄紐で四方の脚に固定され、全身の至る部分に僕の手と電動器具による愛撫を受け、最早彼女は息も絶え絶えの状態で汗の滲み出た顔を左右に激しく揺り動かせて悶え狂っていました。 ああ、ああと間断なく喘ぎの声を上げ続け、少し前くらいまで、僅かな欠片程度に残っていた理性の心も喪失してしまっているかのようでした。 僕はあるところで、山小屋の時のように頭の向きを逆にして義母の身体に跨り覆い被さりました。 僕の顔の真下に、義母の意外な感じに濃い漆黒の茂みが見え、彼女の顔の上にはほぼ屹立状態になっている僕のものがそそり下りていました。 義母の口がすぐに僕の屹立に唇を当て吸い込むように中に含み入れてきました。 僕も彼女の漆黒の中に顔を埋めました。 生熱い義母の舌の感触が僕の屹立の皮膚を妖しく刺激してきます。 湧き上がる昂まりを堪えきれなくなり、僕は義母から一旦離れ、彼女の両足首を拘束している縄を解き外して、大きく割り開かれた股間に入り、少し焦らすような動きから、ゆっくりと挿入の行為に入っていったのです。 「ああっ…いいっ」 義母の口から一際高い咆哮の声が上がり、全身が硬直したように固まっているのがわかりました。 もう幾度も感じた義母のその部分の狭窄感に、 「ううむ…」 と僕は堪えるように小さく呻いたのでした。 それからしばらくの後、義母の両手首の縄も僕は解いてやり、彼女の身体を起こし、座卓の布団の上に胡坐をかいた自分に正対させ、腰を跨らせて密着する姿勢をとりました。 義母の小さく華奢な身体の下腹部に、僕の濡れそぼった屹立が深く突き刺さっていました。 この態勢もあのアダルトショップで見た、小姓姿の美貌の女剣士が裸にされ、悪人の男に跨り座って愉悦に浸っている画像を思い返してのことでした。 「ああ…こ、こんな…は、恥ずかしい」 義母のか細い両腕が僕の首に捲きつき、彼女の細い背中を僕の手が包み抱いていて、二人の顔と顔が触れ合うくらいのところにあり、自然に唇と唇がなるのでした。 「すごい…亜紀子のあそこすごく締め付けて、気持ちいいよ」 「ああ…いや、そ、そんな下品なこといわないで」 やがて僕は身体を動かし、義母の身体を抱き締め、その部分に突き刺したまま立ち上がり、そのまま横の布団に全身を沈め落としたのです。 義母を四つん這いにし僕は背後からまた彼女を突き刺し、腰を激しく律動させ、その態勢のまま絶頂の時を迎えたのでした。 それから一時間ほど、義母は絶頂に達した後、布団に突っ伏したまま意識を失くしていました。 その間に僕は自分の携帯を手にして、何時間か前に届いていた看護師の野村加奈子からのメールを開きました。 (突然のメールですみません。知り合ってまだ間もなく、これという関わりもないあなたに、どうしてこんな告白をしたいと思ったのか、自分でもよくわからないのですが、病院でお会いして、私の小学校の時の恩師のお嬢様のご主人様と知り、…そしてその恩師とあなたとの特殊関係を偶然にも知ってしまったことで、自分の過去とあるところで交錯することがありましたので、勝手ながらこうしてメールさせていただきました。長文になろうかと思いますが、途中で読みたくなくなりましたら、削除していただいてかまいませんので、よろしくお願いします) と冒頭から長々とした文面になっていて、少し気が重くなったのですが、僕と義母との特殊関係、という箇所が少し気になったのは事実です。 後でもう一度熟読することにして、流し読み程度で画面を繰り下げていくと、どうやら彼女は自分の過去の出来事についてを、まだ薄い因縁の僕に告白しているようでした。 野村加奈子が高校二年の頃に、五年前に夫と死別していた母が再婚をして、市営住宅で二人暮らしだったところに、新しい父親が唐突に現れ同居するようになったということのようです。 新しい父親は、老人ホームのケアマネージャーとして働いていた母の部下のヘルパーとして、二年前に入所しいつしか交際が芽生えたとのことで、母よりも四つ年下の四十二歳の男だということです。 そして、野村加奈子はある時、その義理の父親に無理やりに犯されたという内容でした。 こんな重大なことを、どうしてまだ知り合いでもない自分に向けて打ち明けてきたのかがわからないまま、僕は少し驚きながら携帯画面を流すように繰り下げていました。 あの病室で、自分の幼い頃の恩師である義母とその娘の婿である僕との関係に、野村加奈子はどういうきっかけでか気づき、そして自分の過去の記憶と交錯させ、彼女なりに何か思うことがあっての僕への告白だと推測できました。 僕と義母との特殊関係を知ったことで、野村加奈子が僕を脅迫するという気配は少しもなく、自分は友達ができない性格で、心から相談話ができる人がいないというような自嘲的な告白もあり、終わりのほうに、恩師の義理の息子である僕には、そのこと
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僕は不意に思い立ち、布団から起き上がり浴室に向かいました。 浴槽に湯を出して戻ると、義母が目を覚ましているのか、上布団がもぞもぞと動いていました。 「亜紀子、起きてるのか?」 と声をかけ彼女の横に潜り込むと、一時間ほどの眠りのせいで平静を戻しているのか、気恥ずかしげにぷいと寝返りをうち僕に背中を向けてきました。 「お風呂入れてきたからね、一緒に入ろ」 耳元に顔を寄せてそういうと、首を二、三度ほど小さく振ってきましたが、彼女の腋の下から潜り込ませた僕の手が、乳房の可愛い膨らみを掴み捉えても、手を添え当ててくるだけで、さしたる拒絶の所作はありませんでした。 乳房の肌の肌理の細かさが、僕の手と指を心地よく刺激してきます。 義母のうなじのあたりに顔を寄せると、彼女の官能的としか表現できない、艶かしい匂いが鼻腔を擽ってきます。 そういえば前に何度か妻の由美に、義母のまだ若い頃の写真を見せてもらったことがあって、口に出しては勿論いえませんでしたが、まるで綺麗な女優のポートレートを見たような気持ちになり、心の中で感動し興奮したことがありました。 まだ幼い由美を抱いて清廉で清楚な笑顔で写っているその写真を、僕は由美のアルバムからこっそり抜き取って、財布の中にでも入れていつも持っていたいと思ったものでした。 それは女優のポートレートによくあるような妖艶なだけの色香というよりも、上手くはいえませんが上質な気品と豊かな素養のようなものが備わった色香で、それでいてそのことをひけらかすような素振りのかけらもない美しさに僕には見えたのです。 「うっ…」 義母の細い肩がぴくんと震え、小さな声が洩れ出ました。 彼女の乳房の膨らみを撫で擦るように楽しんでいた僕の指先が、その可愛い膨らみの上の小さな蕾のような乳首を、少しだけ力を入れて摘まみ取ったのです。 最初は柔らかかった蕾が、固くしこりだしてきているのがわかりました。 義母は乳首を摘まんでいる僕の手を払い除けようとしてくるのですが、その力は幼女のようなか弱さでした。 二つの蕾を交互に摘まみ揉んでやると、そのたびに義母は、うっ、うっと鼻から洩れるような短い声を上げ続けるのでした。 布団の下のほうでは、義母の小さくて丸い尻肉の割れ目に、また半勃起状態になってきている僕のものが微妙に当たったり擦ったりしていました。 心地のいい匂いに満たされ、布団の中で密着した義母の身体から発せられる仄かな体温が、僕に言葉ではいい表せない癒しの気持ちと、至福の時を与えてくれているようでした。 浴槽に湯が満たされそうな時間になったので、僕は上体を起こし、義母に入浴を促すと、彼女はまた子供が駄々をこねるように首と肩を振ったのですが、僕はそれを無視するかのように動き、足の悪い裸身の彼女を強引に抱き抱えて浴室に向かいました。 手足をばたつかせ嫌がる素振りを見せていた義母を、僕はそのまま浴槽の中に入れて座らせたのでした。 湯の浸った細長い浴槽で義母は怒ったような表情で、両膝を竦めるようにして座っていました。 そして僕は義母の前で浴槽に足を入れ強引に、彼女と向かい合うように座り込んだのです。 この家で二人で風呂に入るというのは、義母は当然ですが、妻の由美とも一度もないことでした。 僕の目の前で緊張と気恥ずかしさを露わにして、義母は僕との視線を避けるためか、湯に顔がつくくらいに首を深く俯けさせていました。 湯水に濡れた義母の白い肌はお世辞抜きに、六十代という年齢を感じさせないくらいに、艶やかで瑞々しく見えました。 ちゃぽんと湯の跳ねる音と同時に僕の手は動き、義母の細い二の腕あたりを掴み取っていました。 そのまま強く自分のほうへ引き寄せると、義母の態勢は湯の中のせいもあってか、意外に脆くも僕の胸の近くまで寄りついてきていました。 肩に手を回しさらに強く抱き締めると、小柄で華奢な義母の身体は僕の胸の中に容易く引き込まれたのでした。 湯の音をざわめかせながら浴槽の狭いスペースの中で、僕と義母の揉み合いがしばらく続きましたが、やがて僕の唇が彼女の濡れた唇を奪い、強く重ねるとやがてざわめいていた湯の音が静かになりました。 僕の舌が義母の口の中に入り逃げ惑うの舌を捉え、強く吸ってやると、 「ううっ…むむぅ」 と彼女は小さく呻きながら、次第に全身の力が弱まってきているのがわかりました。 僕の胸板を跳ねつけるように押していた義母の手からも力が抜け、いつしかゆっくりと僕の首の後ろあたりに捲きつくようにしてきていたのでした。 僕の手は湯の中でまた義母の乳房をまさぐっていました。 ふと間近の義母の顔を見ると、湯水なのか汗なのかはわからないのですが、ひどく濡れそぼった額とかたちのいい眉の下の目が柔らかげに閉じられていて、抗いの気配は最早皆無に近い表情のようでした。
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