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2021/09/03 21:13:16 (3x6tr2t9)
副題。ハンシャ組織と関係のある葬儀屋で見てしまった事。

今から9~10年前の話し。もともと接客業をやっていた俺は、(他者からの評判の良かった)トークスキルを生かせる仕事を探していた。

出来れば今よりもっと収入が高く、そして楽しい要素が含まれた仕事。そこで俺が見つけたのは「葬儀屋」という業種だった。

葬儀屋をやった今では分かる事だけど、葬儀会社というのは正直なところ、そこまで収入が高いという訳ではない。この時、何も知らなかった俺は、映画「おくりびと」の影響もあってか、葬儀屋=高収入と考えているところがあった。

そして駅に置いてある無料の求人冊子で「三木谷葬祭」(仮称)の求人を見つけた俺。見た感じ、給料も悪くなかったし、電車に乗らないといけない距離ではあるが場所もさほど遠くなかったのでこの会社の求人に応募する事になったんだ。

これが25歳の時の夏である。


この三木谷葬祭っていう会社組織について話しをしない事には、この先の話しの枠組みを作れないので紹介させてほしいと思う。

三木谷葬祭は、名前のまま「三木谷家」が家族経営する、地域密着型の葬儀会社だった。葬儀会社といっても、公〇社やベ〇コといった大手の互助会系の会社形態ではなく、あくまで家族経営のこじんまりした葬儀会社だった。

社長は現在の50代の2代目社長がいて、役員連中に社長の奥さん、息子、そして周辺には親族が固まっており、それに連なる社員、従業員は総勢で20名前後っていうところだった。

俺はその三木谷葬祭で中途採用され、そして・・・2年半くらいだったかな。普通に、これといって何か変わった事なく儀式人としての勉強の毎日だった。ただ会社というか業種が体育会系が集まりやすい空気は否めなく、多少のパワハラ的な事も経験したけど、2年半くらい経過したらさほど文句も言われなくなっていた。

ちょうど、そんな時の事である。

俺が会社A先輩と個人的に飲んでいた時の話し。いきなり夜間宿直中のB先輩からメール連絡が入ったんだよ。そしてA先輩は席を中座し、B先輩と電話で話し終わった後、俺のところに帰ってきていきなりこう言ってきたんだ。

A「ここきて何年なる?」
俺「2年半ですね」
A「司会とか出来るようなった?」
俺「まぁそれなりにw」
A「なるほどな・・。ちょっと聞くけど、あっち系の葬儀って聞いたことあるか?」
俺「あっち系ってなんですか?」
A「まじ知らないの?いや、、知ってると思ったけど、まぁいいや。ヤ〇ザの葬儀っていう事」
俺「ああー、、、たまにウチで施行持ってるみたいですね。呼ばれた事ないのでわかんないですけど。」
A「まぁな。で、、さっきBから連絡がはいったんだけど、あっち系の人の葬儀の依頼が来たって。」
俺「でも、会社的に大丈夫なんですか?ハンシャの仕事受けて」
A「そりゃ建前上はカタギっていう事にしてるよ」
俺「そりゃそうですよねww」
A「うん。で、、たまにこんな感じで佐藤組(仮称)から葬儀の依頼があるんだけどさ、先代社長と佐藤組の元組長が同級生だかなんだかで、その縁でウチに葬儀を依頼してくるんだよ」


A先輩がいうのはこうでした。既に書いた通り、三木谷葬祭の先代社長と、誰もが知っている〇〇組系の三次団体の先代組長が同級生で仲が良く、先代三木谷社長は「色んな面で佐藤組長にお世話になりながら」今の会社を作ってきたという経緯があるとの事だった。

戦後の混乱期、昭和初期までは三木谷葬祭は佐藤組と完全に協力体勢っていいのか関係を持っており、(この時代は非合法ではなかったとの事)葬儀代金を踏み倒す者、式場でトラブルを起こす者、そういった連中のいわゆる「ケツモチ」「バック」という形で三木谷葬祭を手助けしてきたという過去があるらしい。

そして代がかわった今でも、昔ほど堂々とはしてないものの、やはり佐藤組関連の葬儀の依頼があって、葬儀の依頼を今でも受けているとの事だった。

確かに、そうい言われて見ればウチの葬儀会社が元ハンシャ系の仕事を請け負ってるというのは聞いてはいたが、あくまで「元」だという風に俺は聞いていた。だからこそ何とも思わなかったし、その葬儀には呼ばれもしなかった。だがそれには理由があったんだ。


A「そもそも、オマエにあっち系の葬儀の呼びかけがなかったのはなぜか分かるか?」
俺「いいえ。まだ一人前じゃないからですかね?」
A「もちろんそれもある。だけど、いくつか理由があるんだけど・・・」

A先輩はこう話しだした。

そもそも、ハンシャ系の仕事を施行した社員は、「特殊手当」という形で2万~3万の給料上乗せがあるということ。そして何より、ハンシャ系組織の組員や構成員の面々からの「寸志」っていうやつ。それもかなりの額を頂戴できるらしい。

となると、誰も彼もを「オイシイ」ハンシャ系葬儀に呼んでいると、自分ひとり頭の手当の額が少なくなる。だからこそ、、呼ぶなら人を選んで呼びたいというのがあるという事だった。

そして、三木谷葬祭の中でも誰も彼もがハンシャ系組織の葬儀をやりたい。という従業員ばかりじゃない。もしそんなやつを無理やりハンシャ系の葬儀に参加させて、後からなんやかんやと言われるのも、それもそれで会社としては困るという理由だった。

また、リスクもあるとの事だった。なんといっても相手はハンシャ系。もし、、、不手際などがあった時に普通の相手と同じと考える訳にはいかない。だからこそ、、このハンシャ系葬儀に参加できるのは三木谷葬祭の中でも「よく事情を知ったほんの一部」という訳だった。そこに俺が、入社2年半で呼ばれようとしていたんだ。


そして・・・この佐藤組を相手の葬儀は、また別の特殊な一面があったんだ。


A先輩と飲んでいた夜間に佐藤組の関係者(幹部クラス)が逝去し、そして三木谷葬祭に葬儀の依頼をかけてくる。いちおう、今回の故人が今現在はカタギであるというのは本当の事らしく、亡くなった場所も普通の病院。そして病院から帰った先も、奥さんが待つ普通の一戸建ての家との事だった。(参列者は100%あっち系。喪主は奥さんだけど、施主は佐藤組という形)

そして通夜が行われるその日、三木谷葬祭は完全に佐藤組の貸し切り状態となり、本来なら2施行同時に出来る三木谷会館も、その日の他の葬儀依頼はお断りというスタンスを取っていた。

いつもどおり8時に出社した俺。すると三木谷葬祭の雰囲気が、いつもと違う空気になっている事に気が付いたんだ。

そもそも、普段は事務所なんかに来ないハズの三木谷社長が直々に朝早くに来ているという事。そして周辺にいる社員の数が圧倒的に少なく、2名の男と4名の女性従業員という少人数という事だった。

俺は思ったよ。(あれ?男手は?俺入れて3人??)そう思ったのも無理はない。葬儀屋といってもけっこう力仕事なんだよね。棺を動かしたり持ち上げたりするのにも力はいるし、祭壇の組み立てから撤去、花の設置から撤去、その他の幕張などの式場設営なんて基本的には力仕事。

(男3名でできんのか?)というところ。だがこれは心配無用との事だった。

どこのハンシャ組織にも「若衆」と呼ばれる人(丸坊主で紺色のツナギの作業着を着ている)が組事務所に詰めており、普段はその若衆が組員の身の回りの事を世話をするシステムがあるというのをこの時に知ったんだ。

今回の葬儀も同じ。葬儀屋の俺たちでしか出来ない、湯灌、納棺、式場設営、司会、火葬手続きなどはやるが、椅子並べとか、教えさえすれば可能な祭壇の組み立て、それに伴う式場の掃除や後片付けなどは、その5名前後の若衆がやってくれるとの事だったんだ。

そして・・話したいのはここが本題なんだけど、、4人いた女性従業員。全員が20代中盤から30代前半なんだけど、、いつもと着ている服の感じがなにか違うんだよな。

よくよく見れば、、普段なら膝くらいまで長さがあるタイトスカートが指定された制服であるのだが、
この時は普通にミニスカートなんだよな。そして定番の黒ストッキングを着用せず、全員が全員。。生足なんだよね。

髪の毛も普段は後頭部でバレッタという網の袋がついたもので纏めているのに、この日だけはポニーテールとか、普通のロングヘアースタイルとか。

そしてその4人の従業員が言ってるセリフ、これもこれで普段と違う。変な会話をしているんだよ。

「久しぶりだから、足元スースーするw」「また触ってくるオッサン居るのかなー」「まー、そこは我慢だってw 寸志の為にがんばろーw」といった類の、まるでキャバクラ?のような会話をしているのである。(触ってくる・・・って何?)

実は、これにも裏があったんだ。

話しを遡ると先代社長、先代組長の話しになるんだけど、佐藤組の葬儀をしていた時の話。

葬式っていうのはけっこう酒を飲むタイミングがかなり多いのは皆も知っていると思う。通夜料理や、骨あげの料理といった大きい食事イベントの時は三木谷会館に佐藤組が手配したコンパニオンを呼んでワイワイ、ガヤガヤってするのが、「大往生した」故人への佐藤組ならではの送り方だったらしい。(大往生じゃない死に方の事は知らない・・・・)

すると、その時に佐藤組が呼んだコンパニオンが、オバハンばかりのブスばっかという事があって、三木谷葬祭の女性従業員のほうが若くて美人揃いだという事があったんだ。

そして先代佐藤組長は、三木谷葬祭のオンナノコを酒の席によんで、いろいろと「いたずら♪」と引き換えにお小遣いもあげた事が始まりで・・・・。その伝統が今でも続いているとの事だったんだ。

そりゃびっくりしたよ。ここにいる4人の女性従業員はこの三木谷葬祭の中でも綺麗どころだし、基本真面目だと思っていたんだよね。それが・・・実はこういうタイプの葬儀にも金目当てで参加しているなんて・・・。って正直、驚いた。だからこそ、誰でも呼んでもらえる葬儀じゃないっていう意味も同時にね。

さて、いったんここで区切ろうと思うんだけど、もっとハンシャ系葬儀の話しをするべきか、一気に、飲みシーンにまで移ろうか・・・どうしようかな。

いったん書き込むわ。


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2021/09/08 12:51:24    (LLJB7VPs)
めっちゃ楽しく興奮して読ませてもらいました!
ありがとうございました。

もの凄い体験でしたね^_^

23
投稿者:カバさん ◆3mAIkNmzgY
2021/09/10 21:30:42    (dACSJP0D)
面白かったです。
次回も楽しみにしております。
24
投稿者:一休   casino-tribe
2021/09/13 18:12:51    (.yPfJAQb)
これは名作としてアーカイブされるべき作品でしょう!
25
投稿者:(無名)
2021/09/15 08:48:40    (Y3dEglBt)
まだ最初の読んだとこですが、文章的に読み易く大変おもしろいです!
こんな小説あったら買うぐらい笑
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