少しずつ、部屋の暗さにも慣れてきた。部屋の脇には母の小さな鏡台が置いてあり、反対側に一間の押入れがあった。襖を開け二段収納の下段に、いつもはないスペースがぽっかり空いていた。私はそこへ入り襖を数センチ残したまま閉めると沢木にメールした。もし本当にここで行為が行われたとしたら、私の視界にはその全てが見えることになる。ゴクリという自分の生唾を飲み込む音の大きさに驚くと同時に、我が母がこれから自分の友達と行為をするのを、まるで期待しているかのような心持ちでいるとは、なんという不謹慎な・・・という複雑な心境に、どっちが自分の本心なのか判らなくなっていた。部屋へ入ってきた沢木は堂々としていた。ベッドをスルーすると窓の方へ行きカーテンを開けた。月明かりが入り、部屋は一気に明るくなった。隣は塀垣と木々に覆われているので見えることはないが、この月明かりで父が起きるのではないかと心配した。沢木は寝ている母の脇に腰かけると、「おーい」呼びかけながら頬をペシペシ叩いた。 うーん、と母が寝返りをうち、違和感に気づいたのか、ガバッと起き上がり、「な、あ、あんた、何しているの! 」と小声で沢木を睨んだ。母は少し寝乱れた髪に、白いシンプルなパジャマを着ていた。月明かりに照らされた母は妙な色気があり、私の息は荒くなっていった。沢木は少しも慌てることなく、「へへへ、来ちゃった」とおどけた。「なにやってんのよ! 」と小声で怒りながら、母は周りをキョロキョロと見渡した。それに気づいた沢木が、「息子? 部屋で寝ているよ。旦那さんもごらんの通り寝ているし、この家で起きているのは俺とおばさんだけだよ。へへへ、いい機会だから・・・、久しぶりにやろうか? 」母は父が寝ていることと私がこの場にいないことにホッとしたような表情をしたが、一変、キッと沢木を睨んだ。「馬鹿なこと言ってんじゃないよ! ここに来たことは黙っていてあげるから、早く出ていきな」小声だがその声には迫力があった。私は思わずビクリとしたが、沢木は臆すことなく、「別に俺は黙っていてもらわなくてもいいんだけどね。むしろみんなを起こして見てもらってもいいくらいだよ」と言った。「な、何言ってるの? 」「はははは、冗談冗談。ねえ、そんなの嫌でしょ、だからコッソリとやろうよ」「馬鹿! 隣にお父さんが寝てるんだよ」「寝てなきゃいいの? 」「バ、違う! いいから早く出ていきな! 本気で怒るよ! 」母の言葉を無視するかのように、沢木は母との距離を詰めていった。母は両手で胸のあたりを覆い隠すようにし、体を身じろぎながら父のいる方へ逃げようとしたが、沢木に右手を掴まれグイッと引っ張られた。沢木の力が強いのか母が軽いのか、まるで赤ん坊を抱き寄せるように、母は軽々と沢木の胸元へ引き寄せられた。沢木は母のあごに指をかけそのまま上を向かせた。一瞬、母が緊張したのが判った。「ねえ、俺がこの家に泊まりにきたっていうのに、何もないと本気で思っていた訳じゃないだろ? 」母は一生懸命沢木から逃れようとしていたが、沢木にがっちりと押さえられているために身動きを取ることも難しそうだった。
...省略されました。
別れ話の日にHしたんだ。ひとつスッキリしました。最初のHの口説かれ方も知りたいけど、池田さんは聞いてくれないから、お母さん目線でないと心の揺れもわからないままですね。