2018/03/19 17:34:22
(GjXWXzQo)
『なあなあ?お姉ちゃんと結婚とかしたい?』、そう聞いてきたのは郁美さんでした。しおりさんが『結婚なんか絶対に出来んよねぇ?』って言ってたそうだ。
昔は『結婚なんか出来るわけないでしょ!』と一方的に僕に答えていたのに、『出来んよねぇ?』と妹に聞いたというのは、かなりの変化に思えます。
僕の顔を見ながら、『あぁ~、どうするかぁ~。』と悩んでいる様子。再び僕を見ると、『無理よねぇ~。どう考えても無理よねぇ。』と現実を口にします。
『したい?ほんとにお姉ちゃん、お嫁にしたい?』
『無理でしょ?』
『33歳も違うのよねぇ?キミが50歳で、姉が死ぬか。無理じゃわなぁ~。』
『そうですね。』
『10年か15年だけ結婚して、別れるか。』
『はあ?』
『10年だけ結婚して、もうセックスしまくり?』
『はあ。』
『お姉ちゃん、一回くらい結婚させたいやろ?』
『はあ?しおりさん、バツイチでしょ?』
『違うよー。前の男やろ?籍は入れてないよ。』
初めて知りました。本人は『バツイチ』と言っていましたが、しおりさんは未婚で同級生の大平を産んだのです。
それを聞き、どこかうれしくなってしまったのです。風俗のお店で働いていたので、まあ彼女の身体はいろんな男性に汚されたと思います。
しかし、しおりさんの戸籍は真っ白なのです。その真っ白な戸籍を、僕が汚したいという気持ちが強くなるのでした。
『しおりさんって、バツイチじゃなくて、未婚なの?』思いきって聞いてみました。『私?結婚はしてないよ。』と簡単に覆してくれます。
昔、ウソをつかれたことなどもうどうでもよく、『一回くらい結婚せんの?』と聞いてみます。『タイト?いかんよ?』と先に言ってくるのです。
『全部あげる。キミには、私のもの全部あげる。けど、結婚だけは絶対に無理。』
『うん。わかってる。』
『ごめんねぇ。でも、ほんと私のものは全部あげるから、欲しいものあるなら言ってよ。』
『なんでも?』
『うん、なんでも。私はキミの女だから。私は全部キミのものだから。欲しいものがあるとか、したいことがあるなら、全部言いなさい。』
そう言われ、『なんか、しおりさんの物が欲しい。』と答えました。『なにを?』と言われましたが、漠然とし過ぎて、うまく答えることが出来ません。
『なんか、物?』と聞かれ、『そう。』と答えました。
数日後、『タイト?ちょっと、これ見て。』と渡されたのは、古い生徒手帳。もちろん、しおりさんの使っていたものです。
高校生の時のもので、開くと擦れてかすれたしおりさんの白黒写真がありました。ほとんど、顔の認識が出来ません。
後半はカレンダーのようになってあり、ところどころに予定や行事が書き込まれていました。まあ、キレイな字かどうかは、うまく言えません。
『8月開いて。』と言われ、8月のページを開きました。夏休みなので、ほとんど書き込まれていません。
しかし、後半の27日になんとも言えない得体の知れないマーク?記号?が書かれています。思わず、『なに、これ?』と聞いてみました。
そして、しおりさんはこう答えるのでした。
『私が、ロストバージンした日…。』