水着姿での晩飯の時も二人のイチャイチャは続いていた。
というか嫁と息子が並んで座り、その向かいに俺という、どう考えてもおかしいだろという席順で、もうその頃には俺はすっかり空気みたいになっていた。
嫁は何くれとなく息子の世話を焼き、嫁が身動きするたびに息子は嫁の肩や腰に手を回して支えたりしていた。
夜も水着のまま、息子を真ん中に川の字で寝たが、灯りを消してしばらくすると、嫁と息子のひそひそ話す声が聞こえてきた。
微か過ぎて息子が何を言っているかはほとんど分からなかったが、嫁の声は所々聞き取れた。
「え、何?」
「・・・」
「あ、ダメよ・・・」
「・・・」
「お父さんに、怒られちゃうよ・・・」
「・・・」
「もー、親を呼び捨てにして(笑)」
「・・・」
「・・・エフ」
「・・・」
「そんなの言えないよ」
「・・・」
「○○の方が、すごいかも・・・」
「・・・」
「バカ(笑)」
どうやら息子はタオルケットの下で、半裸の母親を呼び捨てにしながら、俺が見たら怒るようなことをしたり何かを比べさせたりしているらしい。
だが俺は飛び起きて息子を叱りつける気にはなれなかった。
むしろこの状況に妙な興奮を覚え、静かに聞き耳を立てていた。
もし俺が何か理由をつけて車で寝るなりしたら、このテントの中で何かとんでもないことが起こるんじゃないかと想像し、勃起さえしてしまっていた。
その想像は恐ろしく絶望的で、だが同時に魅惑的で、やがて俺はトイレに行く風を装ってテントを出た。
というか実際にトイレに行って一発抜いた。
その後タバコを一服し、十五分程して戻ったが、テントの外からは中の様子は分からず、念のため咳払いしてから中に入ったが、二人は特に怪しい様子もなく寝ていた。
寝たふりだったのかもしれないし、俺が不在の十五分に何かあったかは全く分からなかった。
※元投稿はこちら >>