2021/03/15 10:04:56
(8G/LHR3H)
自宅に戻り、うな垂れて突っ立ている妻を食卓のテーブルの椅子に座らせ俺は尋ねた。
いつからの関係なんだ?羽鳥とはいつから続いているんだ?
妻はうな垂れ小さな声で、ごめんなさいを繰り返すばかりだ。俺は妻の答えに苛立ち、謝って欲しいんじゃない。いつから羽鳥と関係続けてるんだと聞いてるんだ。俺と結婚する前からだよなと思わず声を荒げた。
妻は違うんです。と答える。
俺はかぶりを振って妻に言う。違わないよ。冷静に話そう、お前と羽鳥が関係していたことは事実だ。
先ずは今日、芸能人じゃないんだからラブホテルで悩み相談してましたなんて言い訳は通用しない。お前達が俺とお前の結婚前から続いている事も知っている。
俺がお前に聞きたいのは二つだ。
何故、俺と結婚した?
どんな気持ちで毎日俺と過ごしていたんだ?
妻は時々すすり上げながらポツポツと答え始めた。羽鳥の店に通い始めた大学時代に夏休み羽鳥の店でアルバイトをしたそうだ、その頃、既婚で3人の子持ちの羽鳥に熱を上げて妻の方から関係を望んだらしい、何年もの不倫に疲れた妻は羽鳥との仲を清算し当時の会社の同僚で熱心に妻を口説いていた男との結婚を決めた。
しかしその結婚はうまく行かずに5年で壊れる。妻はその後、昔の仲間をたよって仕事を再開している。再開当初は苦労したらしいが、ここ何年かは仕事が堅調でフリーランスとして1本立ち出来、少し余裕が出来て同期会にも顔を出し俺と再会した。
やはり同じく同期会で再会し再び交流が始まった当然、羽鳥て妻の過去の関係を知らない女友達に羽鳥の店に久しぶりに行こうと誘われたらしい。
妻は一方的に別れ結婚後は全く連絡を取らなかった羽鳥に会うのは躊躇われたが、もう終わった事だし過ぎた事だと店に行くくらいならと良いだろうと羽鳥の店に何年ぶりに出向く事になったらしい。
丁度その頃、再会した俺とデートを重ね、羽鳥の店に行く事になった。
妻は結局は羽鳥を忘れる為に最初の結婚をし、忘れられずに離婚をして、今度は羽鳥を断ち切るのでは無く同じ既婚の同等の立場で羽鳥との関係を続けることを選択したのだ。
俺を傷つけないようにしているつもりなのか、回りくどい言葉や、謝罪や、本当に貴方は悪くないだの、貴方の優しさに救われていただの、甘えていただの色々な言葉が出たが結論は不倫をやめられない身勝手な馬鹿女に振り回された俺の情け無い話だ。
俺は妻に離婚しようと言った。妻は分かりましたと答えて席を立とうとした。俺は猛烈に腹が立った。これだけ人を振り回しておいて、これだけ人の人生に無駄な時間を作らせて、一言分かりましたで終わりかよ。
俺は待てよ。待ってくれよ。と言った。
お前、俺の気持ちはどうなっちゃうのよ?今までの俺の気持ち、時間。何それ?不倫してました。ごめんなさい。はい離婚ですね。分かりました。なんだよソレ。あんまりじゃないか!
妻はごめんなさい。と返す。
こんな馬鹿なコトあるだろうか。結局は慰謝料だなんだになって羽鳥やこの女から金を取って終わりだろうか。俺の気持ちはそれでおさめろって事になるんだろうか。
俺は納得がいかなかった。
全て話して、もうなる様になれって事なのだろうか妻は黙っているが先程までとは明らかに顔色が変わり、かえって清清した顔をしている。
俺はとにかく妻と羽鳥が憎くて堪らなかった。
俺は妻に、疲れた少し1人で考えさせてくれ。と言った。私、出て行った方が良いわねと言った妻に俺は1人で楽になろうとするなよ。結論出るまでここで生活して自分がやったことに向き合えよと告げた。
再び俯いた妻を見ながら俺は、羽鳥て妻に対する復讐を考え始めた。