2012/05/10 03:54:14
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昼御飯を一緒に食べ、いつもより言葉少なめに、なんとなく点いてるテレビを見ては
時計を気にしたり。
二人とも落ち着かない感じでした。
4時頃。「そろそろ用意するね」
と、妻がリビングから離れ、シャワーを浴びに浴室へと向かった。
「あぁ。もうそんな時間か」
向井さんから連絡がないか、携帯を見たり、またテレビを見たり・・・
自分の妻が今から他の男に抱かれる。
そう思うと、今までにはない嫉妬とは別の感情が湧いてきてました。
妻がオッケーさえすれば二人の行為は撮影され、それを見る事ができるかもしれない。
どんな姿で喘ぐのか、怖いもの見たさのような好奇心がありました。
そんな事を考えてると、化粧も終え、着替えを済ませた妻が再びリビングに戻ってきました。
普段からそんなに濃い化粧はしない妻でしたが、この日はいつもより念入りにしたのか、
さらに若く、キレイに見えました。
服装もドレス調の黒いワンピースに身を包み、照れくさそうに現れた妻に見惚れてしまいました。
「どうかな?おかしくない?」
恥ずかしそうに俯く姿は、何故か新鮮でした。
「おかしくなんかないよ。き、キレイだよ」
「そう?ありがとう。少しでもキレイな姿を見せて、そうすれば早く済ませてくれるかなって」
やはり妻は今でも乗り気じゃなかったのだと思いました。くだらない賭けに負けた俺に
付き合い、好きでもない男に抱かれる・・・
できるだけ男の人が興奮しそうな服装を選び、さっさと済ませて、早く帰ってくるつもりなのだと。
5時10分程前に携帯が鳴り「今から出ます。5分後には着くと思います」
と、メールが来たことを妻に伝える。
「嫌なら逃げ出したらいいから」
ギュッと抱きしめた後、インターフォンが鳴りました。
「来たね」
「あぁ」
ドアを開けると向井さんは車から降り、いつもよりおしゃれなスーツ姿で待っていました。
「迎えに来ました。この日をどんなに楽しみにしていたか」
満面の笑みを浮かべる向井さんに妻は頭を下げ挨拶をした後、俺の方に振り返り、
「あなた。いってきます。できるだけ早く帰るからね」
「あぁ、待ってるよ。 向井さん、乱暴はしないで下さいね」
笑いで見送ろうと冗談っぽく言うと
「ははっ・・心配は無用だよ。無傷で帰すよ」
と、上機嫌の向井さんはそう言い返してきました。
いつまで経っても車に乗ろうとしない妻に助手席のドアを開けて
「さぁ、お嬢様。お乗り下さい」
乗り込む前にもう一度俺の方を見て微笑んだ。
妻が助手席に乗り込んだのを確認すると優しくドアを閉め、運転席に乗る前に
「では、しばらく奥さんをお預かりします。奥さんが嫌がるような事は
するつもりはありません。もし、私の家に着いた後、やっぱり嫌だと言うのなら、
すぐに送りに来ます。無事に成功しその様子が知りたいのであれば包み隠さず話もします。
まぁ、私の希望とすれば奥さんが撮影に協力してくれるのが一番なんですが・・・
それから、奥さんをお借りするのは今回だけ。二度とあのような賭けを持ち出す事もしません。そして私が満足したらすぐに送ります」
チラっとシートベルトを締め待っている妻を見、「向井さんはメチャクチャな事を
するような人でない事はわかっていますよ。今夜は俺の事は気にせずに、
妻と楽しい時間を過ごして下さい」
向井さんのあまりにも紳士的な態度に強がって恰好をつけたが、内心は心配で、
早く帰ってきて欲しい気持ちでいっぱいでした。
「ありがとう。では、もう行きますね」
そう言うとドアを開けて運転席に座るとエンジンをかけ、シートベルトを締めた後、
二人は同時に俺を見て微笑むと、妻を乗せた車は消えていきました。
しばらく茫然と立ちつくしていましたが、我に返り家へと入りそのままソファに寝そべってテレビを見ていました。
「早くて1時間・・・いや2時間くらいかな」
いきなり行為が始まる事はないだろう。少し話をして雰囲気がそうなって・・・
テレビの内容など耳に入らず、頭の中で妻と向井さんがどうなるか想像をしていました。
「結局勃たなくてできなかった・・なんて事ないよな」
色々想像を膨らませた後、時計を見るとまだ30分も経っていなかった。
恐ろしい程長く感じた30分。別に行方不明になったわけでも、誘拐されたわけでもないのに、妻の安否が心配で、酒の力を借りずにはいられませんでした。
いつ帰ってくるのか分からず、家を空けるわけにもいかず、かといって友達を呼んでも
今は楽しめる余裕もなく。
結局一人でスナック菓子をつまみにビールを飲んでいました。
1時間ほど飲んでいると、ほろ酔い気分になり、別に妻を取られたわけでも離婚になる事もない。深く考えるだけ損だと割り切れるようになり、バラエティー番組を笑いながら見れるくらいの余裕ができました。
やがて眠気も襲い、ソファの上でいつの間にか眠っていました。
「すぅ・・すぅ・・んっ・・あれ・・いつの間に寝てたんだ?
って今何時だ?」
妻が帰ってきた気配はない。たぶん1時間くらい寝てたのだろうと
時計を見てみると、12時を過ぎていました。
一気に眠気が覚め、携帯を確認。着信もメールもありません。
玄関に行ってもやはり妻の靴はなく帰ってきてませんでした。
もう7時間以上帰ってこない事に心配になり電話をしようと携帯を持ちましたが、
「今日は俺の事は忘れて、妻と楽しい時間を過ごして下さい」と言った手前、
連絡する事もできず、どんどん自分の鼓動が激しくなるのがわかりました。
「まさかまだやってるなんて事ないよな。きっと向井さんが疲れて寝てしまったんだろう。
朝には帰ってくるだろうし、もう寝よう」
結局ご飯も食べず、パジャマに着替え寝室のベッドに横になり、無理矢理寝ようとしましたが、さっき寝た事もありなかなか寝付けず悪い事ばかり考えるようになりました。
後1時間して帰って来なかったら電話しようと思っていた矢先の、夜中の1時頃。
カチャ・・ガラガラ・・
カギの回る音と扉が開く音。俺が寝ていると思い静かにドアを閉める気遣いが伝わる妻の行動。
無事に帰って来てくれた事に、無性に嬉しかった・・・と同時にこんなに遅くなった事に少し腹が立ち、このまま寝た振りをしました。
つづく。